著者
SHRESTHA Manoj L KNELLER Robert 山名 美加
出版者
甲南大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

米国は生物多様性条約(CBD)そのものを批准していないが、CBD採択と同年の1992年にNIH(国立衛生研究所)、米国科学財団、米国国際開発庁の財政的支援の下で設立されたNIHの国際的生物多様性協力グループ(ICBGs)は、米国型のCBD理念を具体化した究極の国際産官学連携(共同研究)のモデルを提示するものである。日本においても、遺伝資源を活用した産官学連携には、NIHモデルのように日本の大学がコアとなりつつも、政府機関が、研究機関、民間企業とともに、現地研究者を最大限活用できる新たな国際的プラットフォーム作りが急がれる。
著者
三好 大輔
出版者
甲南大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

遺伝情報を保持していないRNA(非コードリボ核酸)は、高次構造を形成して機能を発現する。これと同様に、遺伝情報をコードしていないDNA(非コードデオキシリボ核酸)の高次構造も、遺伝子の発現制御などに関与している可能性がある。そこで本研究では、非コードデオキシリボ核酸の高次構造とその熱力学的安定性を定量的に検討した。その結果、代表的な非コードデオキシリボ核酸である、グアニンに富んだDNA鎖の形成する高次構造は、細胞内環境因子によって劇的に変化するのに対し、同様の配列をもつRNA鎖の構造は、細胞内環境因子によらず単様で高い熱安定性をもつことが示された。
著者
土井 康孝 辻田 美和 辻田 忠弘
出版者
甲南大学
雑誌
甲南大学紀要. 理工学編 (ISSN:13480383)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.1-26, 2003-07-31
被引用文献数
3

東洲斎写楽の現存する浮世絵版画141点のうち、第一期作28点は写楽の作品で最も人気があり、それらすべてが役者絵である。役者絵なので女性の絵もすべて男性が演じているものである。写楽は女性の絵画を1点も残していないとされている。しかしその女性絵画は男性が演じているにもかかわらず女性の特徴を持つ。そこで写楽の浮世絵版画の第一期作の役者絵を男女に分けて目に焦点を当てて分析をおこなった。ある男役の順に男女12種類の目を当てはめたものを作り、被験者10人に対して男性の目か女性の目かという判断を行った。その際、女性の目を男性の顔に当てはめても明らかに違和感があるものはなかったが、女性の目を男性の目と区別できる人が多かった。そこで判別分析を用いて目の形状から男女の目の判別を行った。その結果、F_x=4.713Z_1-2.804Z_2+2.274Z_3-2.788という線形判別関数で男女の目を判別することができた。そして男女の目の判別において目の交差角が最も影響を与えることがわかった。次に上で求めた線形判別関数に実際の数値を代入し結果を求めた。その結果、男性の目でありながら女性の目であると判別されたものは1点だけであった。この目は女性の目であると判断されることが多かった目であった。すなわち、すべて男性でありながら男役と女役ではそれぞれの目を用いて男女の区別を行い、役者の特徴を出していることがわかった。目の交差角の分布をもとに6グループに分類し各グループから1つずつ目を選び男女の順に当てはめたものを作った。それらを画面に一度に表示し、30ペア60種類の感情表現を表示し最も当てはまると思われる絵画を被験者に選んでもらうことから男女の目をいろいろと変えることによって、目だけを変えた役者からどのようなイメージをうけるかという実験結果を得た。その結果、男女どちらの場合であっても男役の目を当てはめたほうが多くのプラスイメージの感情表現を得ることができ、女役の目を当てはめたときにはマイナスイメージの感情表現を得た。また、ディスプレイ上に絵画を一枚ずつ表示し対になる感情表現を与えSD (Semantic Differential)法を用いて分析を行っても、女性の目を当てはめたときのほうがマイナスイメージを与えるということがわかった。
著者
秋元 孝文
出版者
甲南大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

アメリカ的立身出世物語の典型とみなされているHoratio Alger著Ragged Dick (1868)が、テクストの表層では「勤勉・努力・節制」といった内面の美徳を唱導しながらも、本当はむしろ外見を変えることの重要性を唱導してしまっているという点を、当時の偽札とのかかわりで論じた「Ragged Dick's Appearance---読むこと、読まれることと社会的上昇」を日本英文学会の学会誌『英文学研究』に投稿、審査を通過し第84巻に掲載された。本研究の19世紀部分の柱となる各論が一本完成した。8月に渡米。シカゴNewberry Libraryで、Autograph Counterfeit Detectorなどのアメリカの貴重な歴史的資料を収集。イリノイ大学シャンペーン校の図書館で、執筆中の論文「J.S.G. Boggsについて」のためのリサーチおよび論文の執筆、および引き続き、今後の各論の対象となるWonderful Wizard of OzやWilliam Gaddis作品に関する論文を収集。帰国後、収集した資料をもとに「J.S.G. Boggsについて…紙幣と文学の比較研究のために」を執筆、甲南大学文学部紀要に投稿。本論は当研究の序章となる予定である。引き続き、次の各論としてPaul Auster著Brooklyn Follies (2006)について、9.11以降のリアリティの変容を「Deception Dollar」というJoke Noteとのかかわりから論じる考察を開始、平成20年度に脱稿して、いずれかの学会誌に投稿の予定。以上のように2本の論文という形で成果を残し、また今後引き続く研究のための資料も集めることができ、着実な進展を実感している。
著者
秋元 孝文
出版者
甲南大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

アメリカ小説における想像力と、その同時代の紙幣制度の間にはなにかしらパラレルな関係が見いだせるのではないかという仮定のもとに、Paul Auster, Mark Twain, Frank Baum, Herman Melvilleという4人の作家の作品を取り上げて考察を行った。Auster作品では9.11以後の陰謀論的想像力との共鳴が、Twain作品ではサインと主体の分離の問題にバイメタリズムとの関連が見られ、そしてBaum作品ではエメラルド・シティの「緑」に紙幣の「グリーン」、そして同時代の紙幣のデザインに紙幣的なレトリックが見られることを証明した。MelvilleのBartlebyについてはその複製への抵抗をfantasy noteと呼ばれる偽札との関連で論じた。
著者
桐畑 哲也
出版者
甲南大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

日本の大学発ベンチャーの知的財産マネジメントにおける外部資源活用実態として,(1)事業計画策定にあたって外部資源から助言を受入れていない割合がイギリスの2倍以上に上る,(2)経営人材獲得において個人的ネットワークが中心となっている,(3)資金調達において自己資本,公的補助が中心となっている,(4)大学への依存が高いこと等が明らかとなった.日本の大学発ベンチャーは,個人的ネットワーク,自己資本への高い依存等,外部資源の活用が十分ではない.また,大学への依存が高く,他の外部資源との連携が十分ではないことが課題である.
著者
黒田 忠史 三阪 佳弘 野上 博義 深尾 裕造
出版者
甲南大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

本研究では、主要五カ国(独・英・日・仏・米)における法曹養成制度と法学教育制度の「歴史的類型」を理念型として析出し(黒田論文「法曹養成の歴史的諸類型」)、それらが近・現代200年にわたる各国特有の国家と法のあり方、および社会構造史的な基礎、とりわけ法律家集団と官僚制の各国あり方によってどのように規定されて成立したのかを明らかにしようと試みた。そのために、各国の歴史的諸制度とその改革の経緯に着目し、そのための史料や文献を収集し分析する作業に取り組んできた。これによって、各国における法曹養成と法学教育の実情が、史料に即してかなり明らかになった。歴史的に概観する研究報告論文の他に、共同研究者による個別的歴史研究としては、まず黒田(研究代表)がアメリカにおいて弁護士事務所での見習教育からロースクールでの法曹養成に転換していった原因とプロセス、法曹団体の役割と性格、およびProfession「理念」について、そしてドイツについてはグナイストの「自由弁護士」論とベルリン法学協会の果たした歴史的役割について研究した。イングランドについては深尾がLaw Society関係史料にもとづき19世紀後半のイギリスでの法科大学院設立運動の隆盛と挫折の過程を分析、フランスについては野上が革命後の弁護士職の歴史と特殊フランス的法律家秩序の変容のプロセスを、三阪が第三共和政初頭における司法官試験導入過程を研究した。三阪と黒田は、日本の司法官試験・弁護士試験と弁護士団体について比較法史的観点から研究をおこなった。本研究の成果の全体については、平成14年10月5/6日に開催される第50回法制史学会研究大会シンポジウム「歴史の中の法曹養成」において報告し、そこでの討論とあわせて公刊することになっている。
著者
小泉 洋一
出版者
甲南大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

特定宗教が社会において圧倒的な支配力を持つフランスおよびトルコでは、公的領域から宗教を排除することによって政教分離を憲法原則とした。両国ともその際国家による宗教統制を伴いながらそれが行われた。フランスでは宗教の自由が尊重されるとともに社会における宗教的多様性が進むとともに国家の宗教的中立性が重視されたが、トルコでは国家による宗教統制を伴う国家の非宗教性に重点が置かれ、今日でも国家の宗教的中立性は軽視されている。わが国の神道指令と日本国憲法における政教分離を分析する際には、国家の非宗教性および宗教的中立性に注目することが有益である。
著者
北川 恵
出版者
甲南大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

アタッチメントの投影的測定方法(PARS)を開発し、成人のPARSの結果と既存のアタッチメント測定方法の結果を比較した。自覚的な側面を測る日本語版ECRとの関連より、無自覚的な内的作業モデルの働きも捉えるAAIとの関連が多く認められたことから、防衛的な情報処理過程も捉えうる成人アタッチメント測定法としてのPARSの妥当性が認められた。