著者
下田 祐紀夫 櫻井 文仁 渡邊 博之
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.151-158, 1997-10-15
被引用文献数
2

切削加工では, 工具欠損が発生すると切削不能になるため, 工作機械, ロボット, 無人搬送車等をストップさせ, 復旧作業を行うために作業者がついていなければならず, 切削加工は自動化されているものの無人化されていないのが現状である.加工システムの信頼度を低め, 無人化を阻止している要因の一つが突発的に発生する工具欠損である.本論は, 工具寿命を「摩耗によるもの」と「欠損によるもの」とにわけ, 各々の工具寿命分布を考慮して問題を定式化し, 工具欠損の発生による加工の中断を少なくし, 信頼度の高い加工システムを構築するために工具の選択法と工具交換時期等の設計法を与えている.
著者
下田 祐紀夫 櫻井 文仁 早部 哲夫
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.263-273, 1999-10-15

切削加工の無人化を阻止している要因の一つが, 加工中に突発的に発生する工具欠損である.工具が欠損すると, 切削不能になるため, 復旧作業を行うために作業者がついていなければならないからである.本研究は, 夜間の切削加工を対象とし, 「加工中に工具が寿命になった場合は, 機械を停止させ, 朝まで停止したままとする」の前提のもとに切削加工を無人化した場合に, どのような問題が発生するかを明らかにした上で, 「切削加工の無人化への移行基準」を提案している.工具欠損の発生頻度が少ない場合は無人化した方が経済的となる分岐点が存在することを示し, 分岐点を求めるための生産量モデルと生産コストモデルを与えている.
著者
槇野 輝夫
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会誌 (ISSN:03864812)
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, pp.407-413, 1984-02-15

第一次オイルショックの影響を受けて, 一時, 経営不振に陥った東洋工業は, その後順調に立ち直った。本稿では, その原動力の一因となったオーダー・エントリー・システム(当社では新販売・生産システム)について紹介する.とくに高度成長期における個々の業務についてのシステム作りから, 関連領域を包含した, もうけるための, 売るためのトータルシステム開発への必要性を感知し, 全社一丸となって取り組んだシステム開発プロセスと, 経営効率化には不可避である部品共通化, 多様化対応, 計画リードタイム短縮等のシステム概要を説明する.
著者
森 健一
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会誌 (ISSN:03864812)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.313-319, 1976-03-31

ARIMA(p, d, q)-自己回帰差分型移動平均-モデルを中心として, 予測の手順化を試みる。手順は, モデルの次数推定, パラメータの予備推定, パラメータ推定, モデルの検討, 適応的予測の5段階によりなっている。次数推定およびパラメータの予測推定は自己相関, 偏自己相関係数によりなされる。予備推定値を初期値とすれば, 提案するパラメータ推定アルゴリズムにより誤差自乗和を最小にする解が得られる。季節要素を含む系列もモデルの簡単な変形により取り扱いうる。
著者
松丸 正延 土井田 修
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.426-435, 2000-12-15
被引用文献数
1

本研究では資本と負債の両面を考慮した倒産判別モデルを提案する.具体的には, 日々変化する株価を株式市場の投資家による企業評価と考え, 資本の時価総額を推定する.この際にベータ値推定法により資本の時価総額を推定する, 一方, 企業の負債は1事業年度ごとの金額しか公表されていないので, 日々の負債額を推定するのは困難であるが, オプション価格の評価に用いられているBlack-Scholesモデルを援用して負債推定を行う.この日次の資本の時価総額と負債の推定を用いた倒産判別モデルにより, 従来では1事業年度ごとにしか行えなかった倒産判別が日次で行えることが可能となった.また, 実証分析において本モデルの妥当性を示すことができた.
著者
松本 俊之 志田 敬介 金沢 孝
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.332-343, 2002-02-15
被引用文献数
4

立位姿勢・3次元作業域における動力式ドライバーを用いたタッピンねじ締め作業において, 作業方向と作業位置による作業者の作業姿勢が締結品質や作業負荷に影響すると考えられる.このことを確かめるための実証的研究を行った.実験結果から, 作業可能と思われている作業方向と作業位置でも締めつけトルクが許容範囲を下回ることがあり, 不良締結となる場合があり, 不良締結となる作業方向と作業位置は, 左方向では身体の右側の作業位置, 前方向では身体の前方の遠い作業位置, 下方向では身体の高い位置であることが判明した.また, 作業方向と作業位置によって, 最大押圧力と最大傾き力は一様でなく, 力をかけすぎる作業方向と作業位置は, 左方向では身体の正面の作業位置, 前方向ではほとんどの作業位置である, 傾き力が大きい作業方向と作業位置は, 左方向ではほとんどの作業位置, 前方向では低い作業位置であることが判明した.作業設計と製品設計において, これらのことを考慮する必要がある.
著者
葛山 康典
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.325-331, 2002-02-15

近年, 企業において積極的に直接金融が利用されている.なかでもここ数年, 普通社債の発行額の伸びが著しい.普通社債の評価は, 利払い及び元本の償還に関する不確実性である信用リスクの考慮を必要とする点において, 国債など信用リスクのない債券の評価と異なっている.社債格付け会社の発表する信用格付けを用いて企業の信用力を評価する方法は, 極めて一般的になっている.Jarrow et al.(1997)は, 社債償還までの比較的長期間にわたる格付けの変化を, マルコフモデルによってモデル化し, 格付け推移に関するマルチンゲール確率を用いて, 社債評価を行う方法を提案した.この際, 債務不履行が発生した場合の回収率として, 過去の債務不履行から得られた統計量を用いている.しかしながら, 社債による資金調達が一般的に行われるようになって日が浅い本邦社債市場においては, 過去の債務不履行事例が極めて少ない現状にある.本論では, Jarrow et al.における社債評価方法を, 本邦社債市場に適用できるように改良する.すなわち, 債務不履行時の回収率をモデルパラメータとし, 社債の市場価格にキャリブレートする方法を提案する.また, 提案した方法を用いて本邦社債市場における社債の信用リスクプレミアムに関する実証研究を行う.
著者
宮崎 茂次 世古口 謙二 太田 宏
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会誌 (ISSN:03864812)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.239-246, 1988-10-15
被引用文献数
6

近年, 多くの企業に導入されつつあるジャストインタイム生産方式の下では, ジョブの滞留時間は, 各ジョブのスケジュール上の生産開始時刻からそれぞれの納期までに一致する.本報文では, この時間を実滞留時間とよび, すべてのジョブについての実滞留時間の平均値を最小にするバックワード・スケジューリング法について論じる.基本モデルとして, 納期がすべてのジョブで同一の単一工程モデルを対象に, まず, 段取時間がジョブの順序づけに依存しない場合を検討し, これを基礎に段取時間がジョブの順序づけに依存する場合の最適解法を提案する.前者の場合にはLPTスケジュールが最適となることを示す.後者の場合は, 最新ノード探索手順を用いた分岐限界法による最適化アルゴリズムをC言語でコード化し, パーソナル・コンピュータを用いて, 計算時間や試行解の性質を明らかにする.
著者
鄭 鉉泰 本位田 光重 西山 徳幸
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会誌 (ISSN:03864812)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.110-115, 1993-06-15

生産セル構成問題はセル生産システム設計において最も重要な問題である.本研究の目的は最適生産セル構成方式を開発し, 効果的な生産セルシステムを設計することである.0-1データ行列が生産セル構成のための基礎データとして使用される.本研究では, 生産セル構成のために0-1データ行列を再配列する転換エントロピー凝集力尺度方式を提案する.また, 数値例で提案方式の有効性を示した.
著者
辻 洋 佐賀 亮介 金蔵 武史
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.342-346, 2003-12-15

This paper proposes the development of a software simulator that allows users to build a supply chain model and analyze the logistics issues behind the model. The simulator consists of five kinds of participants and an e-marketplace for the supply chain. Each participant is implemented as a distributed object such that it runs concurrently and has the following capacities and policies : (1) end customers, (2) intermediaries including manufacturers, (3) parts suppliers, (4) electronic payment service providers, and (5) transportation servers. The e-marketplace defines the trade protocol for the workflow management and transaction analysis. The SCM simulator visualizes goods flow, money flow and information flow. This paper discusses the background of the proposal, the goal of simulator, and milestone, and technical issues for development.
著者
久保 貞也 栗山 仙之助 能勢 豊一
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.424-430, 2000-02-15

地域に存在し, 自ら製造・販売している企業は, 個性的な製品を顧客に提供できる反面, 販売拠点が少なく, 顧客ニーズの変化によって収益が大きく影響される.これに対し, コンビニエンス・ストアは多くの製品カテゴリを扱うとともに, 地域内に点在している.そして, 点在することで顧客の利便性が向上することにもつながっている.以前の研究において, 先に上げた企業をコンビニエンス・ストアのように多種の製品を取り扱える相互供給システムが提案された.このシステムは小規模の企業でも多くの販売機会を得ることを目的としている.本論文では, 相互供給システムでの製品配送に関して, 巡回配送と物流センタ配送を定式化して比較を行う.また, 配送車両の容量に制約がある場合についても考察する.
著者
飯島 正樹
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会誌 (ISSN:03864812)
巻号頁・発行日
vol.45, no.6, pp.575-580, 1995-02-15
被引用文献数
1

新商品の開発は主として企業内のマーケティング部門とテクノロジー部門により行われてきた.ここ数年は, ダイレクトマーケティングや顧客満足のように, 顧客の要望を取り入れた商品開発が重視されてきている.顧客の意見には苦情(complaints)と要望(claims)があり, 本研究では苦情を中心とした口コミ情報が販売に及ぼす影響を考察している.商品を効率よく生産し販売するためのロジスティクス等のサービスや企業イメージ等の, 細分化された顧客の要求を満たす商品を販売するための情報メディアとして, 口コミは重要な役割を果たす.本研究で調査対象にした洋服は自動車に比べて, メーカーが新製品の品質向上に努力しているにもかかわらず, アフターサービスが伴っていないことを確認した.口コミ情報は, 商品購入や商品開発にとって重要なので, 顧客の意見を反映させやすいサービスシステムを確立することが肝要である.