著者
尾島 俊之 谷原 真一 中村 好一
出版者
自治医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

【研究目的】従来のコホート研究は、死亡や生活習慣病への罹患をエンドポイントにしたものがほとんどである。しかし、WHO憲章で健康の定義が、心理的、社会的健康も含むとされているように、昨今は、QOL(生命の質)を目指した保健福祉活動が必要であると考えられるようになった。さらに、近年は、損失生存年数(PYLL)などの分析から、自殺の重要性が認識され、うつ状態が重視されている。そこで、脳血管疾患の有病者、その他、様々な状況の人について、これらの要因の状況等を明らかにし、特にうつ状態の危険因子を明らかにすることを目的とした。【研究方法】脳血管疾患罹患率の高いA地区の住民を対象として、コホート研究のデザインで実施した。まず、ベースライン調査を実施した。調査は、訪問面接調査、家庭血圧測定を実施した。調査項目には、ADL(Activities of Daily Living)、手段的ADL、SF-36(Short Form)によるQOL、睡眠状況なども含まれる。また、一部の対象者に関しては、血液検査、24時間血圧、心臓超音波検査などを含むより詳細な検査を行った。最終年度に、再度、訪問面接調査、家庭血圧測定を実施し、エンドポイントデータとした。この中には、知識・態度・行動(KAP)、CES-D(the Center for Epidemiologic Studies Depression Scale)による抑うつ度、ストレスなども含まれる。【結果】CES-Dによる抑うつ度に関しては、7.7%が抑うつ状態にある結果であった。一人暮らしは統計的に有意ではないものの2.41という高いオッズ比を示した。物忘れがひどいは2.59、朝食を食べない4.58、ストレスがとてもある7.20、自分の体重を測っていない2.30、早朝覚醒2.45、寝付くために睡眠剤・アルコールなどに頼る2.96、楽しみや生きがいがない2.78などが高いオッズ比を示した。今後は、一人暮らし者を対象としたうつ病対策なども重要であろう。また、今回の結果では、因果関係の逆転によると考えられる項目も多数見られたため、より長期の追跡を行う研究も必要であろう。
著者
吉尾 卓 倉沢 和宏 出井 良明 岡本 完 廣畑 俊成 簑田 清次
出版者
自治医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

1.CNSループス出現頻度の検討(栃木県モデル)栃木県3医療機関で前向きに3年間、年度毎のSLE患者数、CNSループス発症頻度と症状内訳を調査研究した。SLE登録患者は開始時719例、終了時823例、栃木県人口に対するSLE患者有病率は0.041%であった。10年度12例、11年度16例、12年度15例がCNSループスの診断を受け、半数以上がSLE発症直後に出現し、症状内訳は約7割がループス精神病であった。2.CNS ループス診断に有用なCSFcytokine/chemokine (cy/ch)の検討SLE患者でCSFと血液採取が同時に行われた52例(CNSループス陽性群30例、陰性群22例)のCSFと血清の28種類cy/ch測定を行った。陽性群のCSFIL-6、IL-8、IP-10、MCP-1、G-CSF濃度が血清の各々に比較して高値を示し、陽性群と陰性群でのこれらCSF濃度比較検討では陽性群が有意に高値を示した。特にIL-6の有意差が最も大きく、CSF IL-6濃度測定がCNSループスの診断に最も有用で
著者
武藤 重明 宮田 幸雄 岩津 好隆 宮田 幸雄 岩津 好隆
出版者
自治医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

尿中へのK排泄に重要な役割を担っている皮質集合管細胞では血管側K濃度をわずかに増やすと、1)管腔内Na存在下では、管腔側膜のNaチャネルと基底側膜の起電性Naポンプの活性化を介したNa再吸収の増加と連動して基底側膜の起電性Naポンプと管腔側膜のKチャネルが活性化しK分泌が増加すること、2)管腔内Na非存在下では、基底側膜のNa/H交換輸送体を介した起電性Naポンプの活性化およびそれと連動した基底側膜と管腔側膜のKチャネルの活性化を介してK分泌が増加することが判明した。
著者
西嶋 康一 高野 健二 平井 伸英
出版者
自治医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

わが国ではmethamphetamine (METH)などのアンフェタミン類の流行が社会問題となっている。その過量投与は高熱を呈し死亡の危険があり、またその作用機序は十分に解明されていないため、本研究を実施した。その結果、METH 10 mg/kg の投与によりラットは42℃以上の高熱を呈した。Risperidone の前投与、後投与群ではMETH による体温上昇は有意に抑制された。5-HT_<2A> 受容体拮抗薬の前投与、後投与はMETH による高体温を有意に抑制したが、5-HT_<2B/2C>受容体拮抗薬の前投与はMETH による高体温を抑制しなかった。また、5-HT_<1A> 受容体拮抗薬もMETH による高体温は抑制しなかった。D1 受容体拮抗薬は前投与、METH による高体温を有意に抑制したが、D2受容体拮抗薬の前投与はMETHによる高体温を抑制しなかった。METHと、同じアンフェタミン類であるMDMA の投与により、視床下部のglutamate 投与300 分後から上昇した。それに対して、risperidone の前投与はglutamate の後半の上昇を有意に抑制した。ラット視床下部の一酸化窒素代謝物(NO)-はMETH を投与すると徐々に増加し基礎値の約180%まで増加したが、risperidone を前投与するとその上昇は有意に抑制された。またMETH はMDMA との合剤で使用されることが多く、以前我々はrisperidone はMDMA による高体温を抑制したことを報告した。これらを考え合わせるとrisperidone はMETH による体温上昇に対し臨床上有効な治療薬になると考えられる。その作用機序は、5-HT_<2A> 受容体、D_1受容体拮抗薬作用によるものと考えられた。またMETH によるNO, glutamate などのフリーラジカル上昇を抑制することも体温上昇を抑制している機構である可能性が示唆された
著者
成田 伸 齋藤 良子 小川 朋子 角川 志穂 段ノ上 秀雄 野々山 未希子 鈴木 幸子 野々山 未希子 工藤 里香 水流 聡子
出版者
自治医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本科研の避妊・性感染症予防カウンセラー育成プログラムを受講した助産師の実践評価を目的に、プログラムに参加しその後病院で産後の女性へのケアを行ってきた助産師 9 名を対象にグループインタビューを行い分析した結果、産後入院期間が短く、避妊に関しては集団で簡単に話すのみで、性感染症の話題はない等の現状が明らかになった。今後は、これらの対象者により近い場で活動している薬局の薬剤師との連携等、情報アクセスで新たな展開が必要と明らかとなった。