著者
石川 清子
出版者
静岡文化芸術大学
雑誌
静岡文化芸術大学研究紀要 (ISSN:13464744)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.15-25, 2000

My essay presents a reading of two novels of Leila Sebbar, a French novelist, whose works are classified usually as North African literature written in French. Born in 1941 in Algeria during the colonial administration to a French mother and an Algerian father, Sebbar never formally studied the Arabic language. She left her homeland in 1959 to attend university in France; she currently resides in Paris. Sebbar's mixed heritage as a so-called "croisee' has engendered feelings of alienation and exile. Considered neither French nor Algerian, she exists simultaneously between two cultures and civilizations. She sets her novels in the economically-depressed milieu of the "Beurs", the second generation of North African immigrants residing in France's turbulent inner cities. Like the author, her characters experience the conflict between cultural identities imposed by France and the traditions of their heritage. In her novels, Fatima, ou les Algeriennes au square (1981) and Sherazade, 17 ans, brune, frisee, les yeux verts (1982), Sebbar creates marginalized heroines and an orality of expression inspired by the patterns of feminine speech unique to the immigrant community. The author explores the difficulties such women experience in forging a new identity amidst the opposing demands of two disparate traditions.
著者
イシカワ エウニセ アケミ 池上 重弘 上田 ナンシー直美
出版者
静岡文化芸術大学
巻号頁・発行日
2015-02

日時:2014年12月6日 場所:静岡文化芸術大学 南280中講義室主催:静岡文化芸術大学、静岡県
著者
根本 敏行
出版者
静岡文化芸術大学
雑誌
静岡文化芸術大学研究紀要 (ISSN:13464744)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.101-110, 2013

本研究は、近年世界的に関心が高まってきている産業遺産の活用による地域活性化やツーリズムとの連携と、戦争や民族紛争、労働問題といったいわば近代化の「負の」歴史遺産をミュージアムに取り入れ、これも地域活性化やツーリズムと連携させようとする取り組みの事例を取り上げ、広義の文化政策の視点から分析しようというものである。今回は旧東欧地域からポーランドとチェコの新しい事例を取り上げた。
著者
種田 明
出版者
静岡文化芸術大学
雑誌
静岡文化芸術大学研究紀要 (ISSN:13464744)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.117-124, 2009

本研究は2008年欧州文化首都リバプールを分析の対象にしている。中世の小さな漁村は、18世紀第一四半期から19世紀初頭まで「(いわゆる奴隷)三角貿易」の中心の港として繁栄した。奴隷貿易廃止(1807年)以後は、南北アメリカ・オーストラリアおよびその近隣やその他への海外移民の送出港として、ある研究者によると900万人(かそれ以上)のヨーロッパの人びとを見送ってきた。 こうした「負の遺産」にもかかわらず、2004年にはユネスコ世界遺産リストに登録され、2008年には欧州文化首都に選定されている。 (文化政策研究科長研究費08調査研究報告/種田担当分)
著者
溝口 紀子 光本 健次 田辺 陽子
出版者
静岡文化芸術大学
雑誌
静岡文化芸術大学研究紀要 (ISSN:13464744)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.77-82, 2005

フランスのスポーツクラブの歴史を調査すると、その歴史や現状に関しての先行研究、統計資料は、フランス国内において多数発表されているが、日本国内においては、それらの資料の入手が困難であるため、フランスのスポーツクラブに関する研究はほとんど行われていなかった。本研究では、フランスのスポーツクラブの歴史を明らかにし、最近のスポーツクラブの変化を捉えることでクラブが組織化された背景を検討する。
著者
高田 和文
出版者
静岡文化芸術大学
雑誌
静岡文化芸術大学研究紀要 (ISSN:13464744)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.133-142, 2004

本稿は平成十三年度、十四年度に学長特別研究事業として行なわれた「現代イタリア演劇の研究」に関する報告である。事業の目的は、イタリアのノーベル劇作家ダリオ・フォーの作品を、実際の舞台上演を通して本学学生及び一般市民に紹介することにあった。上演されたのは、フォーの初期の一幕喜劇『泥棒もたまには役に立つ』(十三年度)と代表的な政治風刺劇『アナーキストの事故死』(十四年度)で、いずれも日本では未公開の作品である。上演は本国講堂において行なわれたが、日本ではまだあまり知られていない劇作家であるにもかかわらず多数の観客が来場し、たいへん好評であった。また、舞台上演と並行してフォーの演劇活動を紹介する写真パネル展、イタリア独自の演技の方法を用いたワークショップを実施した。ワークショップには浜松で活動する劇団の俳優や高校の演劇部員が参加し、地域の演劇関係者との直接的な交流を図ることができた。
著者
石川 清子
出版者
静岡文化芸術大学
雑誌
静岡文化芸術大学研究紀要 (ISSN:13464744)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.1-12, 2012

ウジェーヌ・ドラクロワ『アルジェの女たち』(1834)は、オリエントのハーレムの女性を画材にしたオダリスク絵画の代表的名画であり、以降のオリエンタリズム絵画、裸婦像に多大な影響を及ぼした。しかし、1830 年のフランスのアルジェ占領があってこそ、画家はハーレム内部に入ることができ、ゆえにこの絵を描くことができた。フランスのアルジェリアに対する植民地支配の産物とも言える。また名画として鑑賞されてきたこの絵を、フランス語表現の女性作家はどのような視点で見て、どのように自己の作品に反映させ、自らのアイデンティティを構築していくか。この論考はその後半部で、アルジェリアとフランス両方にルーツをもつフランス人作家、レイラ・セバールのシェラザード三部作を検討し、80 年代に顕在化する北アフリカ系フランス人の若者の自己構築の諸相を、この名画と関連づけて考察する。
著者
池上 重弘 イシカワ エウニセアケミ 上田 ナンシー直美
出版者
静岡文化芸術大学
巻号頁・発行日
2016-02

静岡文化芸術大学には日本人と同じ入学試験を突破して合格したブラジル人学生が10名以上います。2013年度に実施した「バイリンガル絵本プロジェクト」では、ブラジル人卒業生が作った学校生活導入絵本が媒介となって、ブラジル人大学生たちによるブラジル人児童の家庭訪問が実現しました。今回はそのプロジェクトの全貌を報告すると共に、家庭訪問調査の結果を紹介します。また、実際に家庭訪問した学生たちの声をお届けします。
著者
根本 敏行
出版者
静岡文化芸術大学
雑誌
静岡文化芸術大学研究紀要 (ISSN:13464744)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.123-135, 2012

今日、先進諸国の都市では、新しい創造的な諸活動の受け皿として、近代以降の産業遺産を活用した都市政策が展開されている。一方、先進国の近代化の過程には、戦争や民族紛争、奴隷貿易、強制労働などの負の文化遺産も同時に存在する。本論考では、英国、ドイツ、とりわけアイルランドにおいて、負の文化遺産にも正面から真摯に取り組み、新しい都市や地域の発展に結び付けようという試みについての事例を取り上げている。(文化政策研究科長研究委2011 による調査報告/根本担当分を含む )
著者
パルス トーマス ショウバック マイケル
出版者
静岡文化芸術大学
雑誌
静岡文化芸術大学研究紀要 (ISSN:13464744)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.1-6, 2006
被引用文献数
1

立命館大学理工学部ならびに静岡文化芸術大学用に開発したプレゼンテーション授業運営・評価ツールの意義とその詳細、および実証的効果について概説する。ツールはリアルタイム・オンライン・ピア・フィードバックシステムを備え、教員は個々のオーディエンスが行った評価(イントロダクション、ボディ、コンクルージョン、内容、ビジュアルエイド、デリバリー、質疑応答の7項目)にリアルタイムでアクセスできる。プレゼンテーションをした当人は、終了後すぐに、教員による評価、ピア・エヴァリュエーションの結果(匿名)に加えて、両者がどの程度一致しているかをパーセンテージで表したものについても閲覧できる。一方、教員は、色分けされた円グラフで、個々のオーディエンスがどの程度プレゼンテーションの内容を理解できたか、どの程度プレゼンテーションの方法論を理解しているかを容易に把握することができる。このシステムにより学生の授業態度、習熟度、授業満足度が飛躍的に向上したことが、セメスター毎に実施するオンライン授業評価アンケートの数値にも顕著に表われている。
著者
ヒューズ メアリー パルス トーマス
出版者
静岡文化芸術大学
雑誌
静岡文化芸術大学研究紀要 (ISSN:13464744)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.99-106, 2006

現在進行中のカリキュラム、英語ディプロマコース(以後EDC)の進展状況を報告する。EDCは、二年にわたって集中的に行われるインテンシヴな教育プログラムである。学習意欲の高い学生を対象とし、学生の英語によるコミュニケーション能力を-特にオーラル・コミュニケーションに焦点を合わせて-発展させることを目標としている。学生たちは、時事問題や個人的関心についての多様なトピックを適切な語彙を使用して、形式にとらわれずに話すことを学ぶと同時に、ビジネスにおいて使用できるレベルでも話せるように学習している。教材には、新聞、ビジネスレター、ラジオやテレビのニュース、インターネット上の情報などの多様なメディアを使用している。課題は様々なプレゼンテーションやレポートから成り、卒業後を視野に入れたテーマが設定されている。学生がこのコースを通じて成果をあげるためには、自習のために充分な時間を-例えばLL教室やインターネット上の材料を利用したり、日記をつけたりして活用しなければならない。このコースは学生の側に多大な献身を要求するものであるが、それなりの努力をした学生はコース終了時に、社会に出て働くにあたって英語を活用する準備が整っていることになろう。EDCは、それぞれが重なり合う三つのスキルを学生に伸長させることを意図している。それらは、英語力、生涯学習を続けるスキル、社会で働くためのスキルである。
著者
黒田 宏治
出版者
静岡文化芸術大学
雑誌
静岡文化芸術大学研究紀要 (ISSN:13464744)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.41-47, 2007
被引用文献数
1

近年、第3セクターを巡っては、経営破綻や法的整理なども続き、批判的な論調が強いが、一方で、地方圏には小規模ながら健闘している第3セクターも少なくない。本稿では、そのような第3セクターの事例を6社取り上げて、調査分析を行った。そこから、プロパー体制、デザイン戦略など組織面、戦略面にわたり6つの留意点を抽出することができた。
著者
永井 聡子
出版者
静岡文化芸術大学
雑誌
静岡文化芸術大学研究紀要 (ISSN:13464744)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.67-72, 2014

帝国劇場における「貴賓席」は舞台と客席を繋げる前舞台領域に存在し、両者の関係性を提示している。本論文では、劇場の近代化の過程において議論となった舞台と客席の前舞台領域における関係性を考察するため、1911年に開場した帝国劇場とその劇場建設のモデルのひとつとなったパリのオペラ座(ガルニエ設計)を例に、当時設けられた「貴賓席」の配置について考察する。考察の方法は、劇場に関する当時の資料、劇場関係者の言説を中心として論じる。
著者
鈴木 元子
出版者
静岡文化芸術大学
雑誌
静岡文化芸術大学研究紀要 (ISSN:13464744)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.1-8, 2008

本稿では、『夏の夜の夢』や五月祭、および広場での笑いのシーンにバフチンのカーニヴァル的な笑いの理論を援用して、アメリカの代表的作家サナニエル・ホーソーンの"My Kinsman, Major Molineux"を新たに読み解くことを試みた。主人公ロビンの名前の起源には、春を告げる小鳥(ロビン)のほかに、『夏の夜の夢』のパックことロビン・グッドフェローや、ロビン・フッド伝説のロビンが考えられ、作品の文学世界はアメリカからイギリスへ、新大陸から旧大陸、そして中世へと広がる。この短編のクライマックスである広場に行列が通るシーンは、『夏の夜の夢』の劇中劇に触発された「ペイジェント」として、「演劇的な仕掛け」がこの作品にあることを論じた。
著者
福岡 欣治
出版者
静岡文化芸術大学
雑誌
静岡文化芸術大学研究紀要 (ISSN:13464744)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.69-77, 2007

大学新入生の心理的適応におよぼす家族および友人のソーシャル・サポートと達成動機の影響を検討した。福岡(2000)の枠組みを踏襲しつつ、本研究では精神的健康度を含め2時点においてこの問題を検討した。247名の大学新入生から得た入学後3ヶ月時点でのデータを分析した結果、主として友人のサポートが自己充実的な達成動機を高めることで大学新入生の学業および大学生活全般についての意欲低下を防ぐ効果をもつこと、また家族および友人のサポートが精神的健康を支える効果をもつことが示された。また、 3ヶ月時点の回答者のうち127名から得られた入学後9ヶ月時点でのデータでも、同様の分析結果が得られた。ただしこれらの回答者はやや授業に対する意欲が高い傾向にあり、再検討の余地を残すものであった。これらの結果をふまえ、大学新入生における環境移行への心理的適応過程に対する今後の検討の方向性を考察した。
著者
阿蘇 裕矢 黒田 宏治
出版者
静岡文化芸術大学
雑誌
静岡文化芸術大学研究紀要 (ISSN:13464744)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.61-74, 2010

近年、人口の減少・高齢化、地球環境問題など新たな社会経済構造の変革に伴い、生活環境の悪化や都心の衰退などに伴う都市行政や都市経営の課題が指摘されている。また、住民の快適な住環境への関心が高まるなど、より良い都市のあり方、良質な市街地のストックが求められている。本研究では、従来の再開発に関わる手法によって都市や市街地の質や価値を高めてきた流れを検証しながら、まちづくりにおける再開発事業の事例を通して、住民にとってより快適で良質な地域コミュニティを創出するための方策等について考察する。特に、計画から事業完了までのプロセスを洗い出すために浜松市東地区の再開発をケーススタディとして、従来の手法によって補うことができない問題や課題とは何かを考察する。
著者
的場 ひろし 和田 和美
出版者
静岡文化芸術大学
雑誌
静岡文化芸術大学研究紀要 (ISSN:13464744)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.83-89, 2011

メディア造形学科では、研究・教育の成果を様々な形で学外へ発表しており、特に地域の文化施設との連携による情報発信を推進している。2010年に浜松科学館で行われた企画展では、教員の指導のもと、学生によるメディアアート、インタラクティブアートをベースとした作品展示が実現した。本論文では、このプロジェクトの詳細について報告する。
著者
森 俊太
出版者
静岡文化芸術大学
雑誌
静岡文化芸術大学研究紀要 (ISSN:13464744)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.51-56, 2002

本論では、日本の大学とアメリカの大学の学期制度を比較した。具体的には、静岡文化芸術大学とアメリカ合衆国の異なるタイプの2大学、カリフォルニア大学サンタクルズ校(州立)とコロラドカレッジ(私立のリベラルアーツ大学)の学期制度を比較した。静岡文化芸術大学では、セメスター制度に移行した日本の多くの大学と同じように1セメスター15週制を採用しているが、この制度の下では学生が学期中に平均10科目以上もの多くの科目を履修することになり、また一週間に1回の授業では、教員が学生に接する時間も少ない。1セメスターに3ないし4科目程度を履修し、1科目の授業を週に2-3回行なうアメリカの大学の学期制度が教育効果は高い。今後、学期制度を本来の形態を維持し教育効果をあげているアメリカの大学をモデルに変革し、教育力を高める必要があると思われる。
著者
尾野 正晴
出版者
静岡文化芸術大学
雑誌
静岡文化芸術大学研究紀要 (ISSN:13464744)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.61-69, 2003

「天地 (あまつち) 耕作」は、浜松近郊に在住する三人の美術家、村上誠、村上渡、山本裕司によって結成された。本稿は、12年にわたる彼らの活動を映像と写真によって回顧するとともに、活動の終焉を告げた展覧会「天地耕作、まで」の報告書である。入場者数は約300人。名古屋や京都からも入場者があった。浜松展終了後、規模を縮小して、7月11日 (金) 〜26日 (土) まで、成安造形大学ギャラリー (大津市) に巡回した。