- 著者
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片岡 栄美
村井 重樹
川崎 賢一
廣瀬 毅士
瀧川 裕貴
磯 直樹
- 出版者
- 駒澤大学
- 雑誌
- 基盤研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 2017-04-01
日本版の文化の差異化・卓越化(ディスタンクシオン)研究を計画に沿って推進し、平成29年度は以下の成果をえた。(1)次年度予定の本調査の予備調査として大学生調査を実施した。有効サンプルは383票で、首都圏4校と地方大学1校で実施した。音楽、ファッション、スポーツ、メディア、価値観等の各領域で分析した結果、若者の文化実践やテイストの測定方法や仮説設定に関しての知見が得られた。(2)文化実践を方向づけるハビトゥスの複数性・多次元性に関する研究を推進するため、デプス・インタビュー調査を10名に実施した。対象者が大学生の場合と社会人の場合でのインタビューの工夫を行い、実践の多様性とハビトゥスの一貫性および分化について一定の予備的知見が得られた。(3)片岡は過去に実施した調査データの再分析を行い、文化的オムニボアを理論的・実証的に再考する研究を行った。文化実践の多重対応分析(MCA)を行い、文化の差異化が生じやすい文化実践と社会的地位変数との関係性を明らかにした。文化テイストは性と年齢で大きく分化するとともに、学歴や所得の地位変数のほか、子ども時代の文化資本(家庭環境)とも強く関連する。また(4)文化実践を始めるきっかけを「文脈」概念を用いて分析し、文脈効果の時代的変容を明らかにした。これらは日本社会学会で研究発表し、また論文として活字化した。(5)グローバル化による文化の変容と文化政策の関連について、シンガポールを題材に川崎が検討し論文を発表した。(6)ヨーロッパを中心に新しい研究動向・情報を入手し、複数の海外研究者との協力関係を開始した。(7)村井と片岡は食に関する海外研究書の翻訳作業を行った。(8)新しい研究メンバーが3名(連携協力者)加わり研究組織を充実させ、分析方法や研究方法についての検討や学習会を行うことで、次年度の研究計画推進にむけての具体的な準備を進めることができた。