著者
森本 正和
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.895-914, 1997-06-01 (Released:2009-11-19)
参考文献数
40
被引用文献数
2

Aspects of the global utilization of nonwood plant fiber pulp are reviewed compared with that of woodpulp and waste paper, referring the data from FAO Yearbook 1994 and PPI July 1995. The ratio of nonwood pulp produced in the world attained to ca. 12% of all pulp produced in 1994. Characteristic differences between nonwood pulp and wood pulp, which are important to paper making use of them, are also reviewed on the point of morphological features of component cells and chemical composition of each pulp.
著者
本間 忠一
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.686-698, 1990-06-01 (Released:2010-04-23)

This scrial report describes current topics in pulp and paper process instrumentation rechnology, and this paper focuses on the automation technology that Yokogawa Electric Co. provides for the pulp and paper industry.
著者
畑 幸徳
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.90-98, 1960-02-10 (Released:2009-11-17)

In order to establish the standard printability testing method, printing experiments were carried out conbined with orthogonal array which composed with 18 papermaking factors and 7 printing factors .48 samples, consist of finepaper, photo-gravure and newspaper, were made on the test fourdriniermachine.Some parts of each sample were tested physical properties, and the rest were printed by letterpress, lithography or rotogravure on a test rotary printing machine.Each printed sample was determined ink transfer number, printed opacity, and reflection index, specular gloss and uniformity of printed surface, and the results were analysed statistically in order to obtain the relation between printing results and papermaking factors, printing factors or physical properties of sheet.Some experiments were carried out to printing results.Smoothness of paper were tested by 4 types of tester, all the results indicated that smoothness highly correlated with printing results.Among the contributions of all factors on printing results, in the case of fine paper, printing factors are generally greater than others, but in the case of newspaper and photogravure, paper making factors are dominant.Generally speaking, printing factors have greater effect to the ink transfer number and reflection index of printed surface than paper making factors.For the printed opacity and specular gloss of printed surface, this relationship is reversal.Among paper making factors, smoothness is the greatest for any printing results, so that smoothness is the most important in the printability of paper.
著者
早坂 大助
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.621-625,022, 2001-05-01 (Released:2010-10-27)

2000年8月, 小型蒸気タービン誘導発電機を導入した。当工場では, これまで発電設備がなく電力は全て購入電力であったため, 電力料金の工場のエネルギーコストに占める割合は非常に大きなものとなっていた。蒸気タービン発電機を導入したことにより当工場の第一号発電機となり, ここに岩渕工場発電所が誕生した。構内で蒸気を最も多く使用する設備は工場の主力である3, 4マシンであり, ボイラーより蒸気圧力1.1MPaで供給し直前にて減圧弁で蒸気圧力0.3MPaに下げて使用していた。この減圧による熱落差のエネルギーロスを有効利用すべく出力385k Wの蒸気タービン誘導発電機を設置した。導入効果としては予定通り全使用電力の約3%を自家発電することとなり, エネルギーコストも目的通り節減が計られた。今回こうした導入経緯, 設備概要, 効果等, エネルギーコスト削減の一例とし紹介する。
著者
西田 友昭
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.11, pp.1071-1084, 1989-11-01 (Released:2009-11-16)
参考文献数
79
被引用文献数
1 1
著者
玉浦 裕
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.5, pp.540-547, 1991-05-01 (Released:2009-11-19)
参考文献数
5

CO2 was decomposed completely (100%) at 290-350°C with the oxygen deficient magnetite which had been prepared by passing the H2 gas through the magnetite powder at 290-350°C. In this reaction, oxygen in CO2 is transferred into the spinel structure of the oxygen-deficient site, and carbon is deposited on the surface of the magnetite. The activation energy estimated from Arrhenius plot is 75.0 kJ. When the carbon deposited on the magnetite was reacted with H2O (400°C) and H2 (300-500°C), H2 and CH4 were generated, respectively. The reactions found in this study will open the door to construct the chemical heat pump which can be applied to the power station to reduce the CO2 emission.
著者
紙パルプ技術協会木材科学委員会 木材科学委員会
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.11, pp.1336-1345, 1993

平成5年 (1993年) 6月8, 9の両日, 星陵会館大ホールにおいて, 約300名参加のもとに第60回紙パルプ研究発表会が開催された。最初に研究発表会実行委員長島田謹爾氏(森林総合研究所木材化工部成分利用科長) から開会の言葉があり, 続いて紙パルプ技術協会を代表して副理事長恩田恰彦氏 (三菱製紙 (株) 専務取締役)からご挨拶があった。今回は産・官・学の各界から30件の研究成果が発表され, 特別講演として生命工学工業技術研究所微生物機能部生態化学研究室長農学博士常盤豊氏の「生分解性プラスチック開発の現状と展望」と題するご講演を聴講した。発表会の最後に次回 (第61回) 研究発表会実行委員長諸星紀幸氏(東京農工大学農学部教授)から閉会の言葉があり, 雨模様で, また2日目は皇太子のご成婚祝日であったにもかかわらず盛会裡に終了した。なお第61回の紙パルプ研究発表会は, 平成6年6月9日 (木), 10日 (金) の2日間,同会場で開催の予定である。<BR>本報は研究発表及び特別講演の内容・質疑応答等を座長をお願いした諸先生にまとめていただいたものである。
著者
澤 昭裕
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.65, no.12, pp.1238-1243, 2011

3月11日の東日本大震災後,日本のエネルギー政策が大きく見直されようとしている。エネルギー政策の見直しにあたり整理すべき論点として,(1)エネルギーの「安定供給」の確保 (2)エネルギーの供給責任とコスト負担のあり方 (3)安定供給を担えるエネルギー産業の編成 の3点がある。これらの論点について,政策を立案・実施する責任のあり方も十分考慮し,整理する。<BR>電力の安定供給の確保については,電源の種類,タイミング,供給主体,場所等の計画を策定し,反原発か原発推進かという対立的で不毛な論争に終止符を打つべきである。石油危機による教訓は,エネルギーは安定供給が第一に重要であり,そのためにはエネルギー源を多様化しておくべきである,ということだ。石油危機後,日本は電源の多様化を進め,震災前は原子力,天然ガス,石炭がそれぞれ発電電力量の20~30%を担うバランスのとれた電源構成となっていた。自然エネルギーは,まだ1.1%しかなく,すぐに原子力を代替することはできない。こうした事実を踏まえ,今後のエネルギー構成を考えて行くべきである。<BR>また,供給責任とコスト負担については,自由化が進展した際,需給がひっ迫していない平時は余剰となる設備を誰が所有・維持するのかという論点を考えなければならない。現在の原子力損害賠償スキームには問題点があり,国策として原子力を進めてきた国の責任が十分とはいえない。<BR>エネルギー産業の編成の方向性としては,国際資源の獲得における交渉力などの面から,大規模化・統合化・総合化を検討すべきである。
著者
尾鍋 史彦
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.462-474, 1991-04-01 (Released:2009-11-19)
参考文献数
31
被引用文献数
5 5

The dioxin issue in Japanese paper industry has emerged October 1990 and the governmental organizations (i. e., Environment Agency and MITI) have taken immediate actions to investigate the current status of organochlorine compounds in paper mill effluents. The Japan Paper Association has created the Special Committee for measures against Dioxin Issue and announced on December 1990 the guideline for reducing AOX (Adsorbable organohalogen compounds) to 1.5 kg/ ton by the end of the year 1993.The current dioxin issue is analyzed from a wider perspective of global environmental problems with particular emphasis on the government's action and the technological countermeasures by the Association.The present status of dioxin research from chemical, toxicological and pharmacokinetical aspects are summarized. The recent advances of kraft pulping and oxygen bleaching technologies as countermeasures for reducing AOX in paper mill effluents are described.The potential impacts of the current dioxin issue on recycled paper manufacture, environmental protection movements and consumer's movements are also described.
著者
柴田 聡 井上 梅夫 阿部 博文 田中 俊彦
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.600-603,020, 2001

タクマTCP 30マイクロタービン・コージェネレーション・パッケージは, apstone社製28k Wマイクロガスタービン発電機を組み込んだコージェネレーション・パッケージである。マイクロタービンはガスエンジン等のレシプロエンジンと比較して小型軽量, 高効率, 低環境負荷, 低コスト, 無振動, ノーメンテナンスと数多くの特徴を持ち合わせており, また, タクマのエコノマイザ付排気再燃蒸気ボイラで排熱回収を行っている。パッケージは, エンジン本体, ガス圧縮機, 制御・電力変換装置のマイクロタービン機器と排熱回収装置, 制御装置, その他附帯設備から成立っており, 超高速発電システム特有の騒音低減と電子機器からの排熱の効果的な除去という二律背反する面を, コンパクト化されたパッケージ内で両立させている。<BR>26kW電力 (有効電力) と蒸発量600kg/h (換算蒸発量712kg/h) の蒸気を出力し, システム効率93%の高効率コージェネパッケージとなっている。システムの高効率化によって従来の方式 (電力需要は買電, 蒸気需要はボイラによる供給) と比較して約20%の省エネルギーと約25%のCO<SUB>2</SUB>削減が実現するとともに, ユーザ側の大幅なランニングコスト削減が可能であり, 蒸気需要の多いホテル, スポーツクラブ, 銭湯, 病院, 工場等の施設を対象として急速な普及が期待される。
著者
田頭 弘章
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.201-208, 2005

1998年のメッツォ社のペーパーテクノロジーデイズにおいて, 各セクションに最新の技術を反映し, 設計抄速2,000 m/minをターゲットに置いた全く新しい抄紙機オプティコンセプトが紹介された。実機としてオプティコンセプトのコンプリートマシンが誕生したのは1999年12月であった。<br>それから今日まで, わずか4年ほどの間にオプティコンセプトは世の中に広く受け入れられ, 新設だけで10台を超える抄紙機が稼動に入っている。オプティコンセプトマシンは高速運転における操業安定性に優れているだけでなく, 地合い, 表裏差などの紙品質にも優れ, 更にプレス後の高いドライネスにより乾燥負荷が軽減されるという経済性にも優れている。勿論, 新設抄紙機だけでなく, 改造機にもオプティコンセプトは多数採用されており, 品質改善, 増産等に多大な貢献をしていることは言うまでも無い。<br>オプティコンセプトは新聞用紙, 上質紙, コート紙等の種々の紙種に適用されてきたが, 更なる開発が続けられており, 市場のニーズに応えるためこの度新たに開発された新型オプティフロー, 新型オプティドライ, オプティスプレーの製品の特長をここに紹介する。
著者
松永 文利
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.77-82,017, 1998-01-01 (Released:2010-10-27)

この報文は, ポリサルファイド蒸解の操業経験について述べたものである。大昭和製紙本社工場鈴川では, 1996年1月にポリサルファイド製造設備を完成した。これと同時にスタートしたポリサルファイド蒸解は, パルプ歩留りと生産性の向上という大きな成果をもたらしている。ポリサルファイド蒸解の導入にあたり, 同蒸解のラボテストを実施した。パルプ歩留は, 白液蒸解を100%とすると, 針葉樹で4.5%, ユーカリで2.0%, アルダーで4.7%向上した。品質の変化としては, HUKPの比引裂強度の約4%の低下が見られた。ポリサルファイド製造システムは, 住重アールストローム社製のモキシー法を採用し, 処理流量230m3/TT (世界最大), ポリサルファイド濃度6g/l以上という計画性能を達成し, 順調に稼動している。ポリサルファイド製造装置の触媒は, 約1.5ヵ月周期で汚染による性能低下が見られるが, 酸洗により再生している。実機でのポリサルファイド蒸解の歩留は, ユーカリKPで1.2%, LUKPで4.6%向上し, パルプ品質は, 特に変化が見られていない。このほかに, 回収ボイラーの熱負荷の低下により, 工場の生産のネックとなっていた回収ボイラーの底上げを図ることができ, 約3%のパルプ増産が可能となった。
著者
金子 優
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.66, no.8, pp.863-867, 2012

王子板紙江戸川工場は東京都内唯一の製紙工場であり,東に旧江戸川,残る三方を住宅地に囲まれるロケーションとなっている。当工場では古紙の集荷がし易く,また製品の消費地に近いという優れた立地条件を生かし,白板紙を生産している。<BR>江戸川工場5号抄紙機は1971年5月に小林製作所ハイスピードウルトラフォーマーの国内白板紙1号機として建設され,現在では,年間約14万トンの白板紙を生産しており,主に紙器用途に使用されている。これまで印刷加工技術の進歩に対応して品質改善を進めてきたが,昨今,印刷加工での要求品質が高まり,インキセット性やニス塗工適性,プレスコート適性を改善する必要があった。そこで2006年8月に上塗工方式をエアーナイフコーターからブレードコーターへ改造を行い,更なる品質の改善を図った。<BR>本稿では,コーター改造後の操業経験及び品質改善効果について下記の項目に沿って報告する。<BR>まず,設備上の問題点対策を以下に挙げる。<BR>1)カラーパンの改良→スプラッシュガード取り付け,カラーパン形状の見直し<BR>2)振動スクリーンの改良→ノンチューブ固定型への変更,掃除の頻度・網の取り替え周期の標準化,エアー抜き管の大径化等<BR>3)バッキングロール汚れ対策→フロークリンドクター設置<BR>次に,品質上の問題点としてストリークの多発があり,対策を以下に挙げる。<BR>1)洗浄方法の見直し→洗浄薬品の変更<BR>2)振動スクリーン乾き対策→上部配管レイアウト,密封,ノンチューブ固定型網等<BR>3)配管,タンク内泡対策→配管内の空気が触れる部分の減少,タンクへの落差軽減等<BR>4)原紙表面付着異物対策→ドライヤードクターの整備,材質変更
著者
藤岡 芳由紀
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.67, no.10, pp.1148-1154, 2013-10-01
参考文献数
2

昨今の節電意識の高まりにより,空調費削減に寄与する省エネ機能を前面に押し出した機能性塗料の需要が伸びてきている。機能性塗料の代表的なものとしては遮熱塗料(高日射反射率塗料)と呼ばれているものがあり,省エネ意識の高まりを追い風に年率20%台の伸長を続けている。ただし,反射依存型塗料の遮熱塗料では大気や雨水に含まれる汚体(黄砂,煤塵,車塵等の堆積物)がもたらす塗布面の汚れにより効果が持続しないという問題点がある。<BR>本稿では反射依存型塗料の問題点を解決する画期的な次世代塗料「熱交換塗料ネオコート」の紹介をより充実させた。加えて,節電効果の検証結果に関し,数種の実例を挙げて具体的に説明した。<BR>「熱交換塗料ネオコート」の熱遮蔽の特徴は,「塗面による熱の反射」ではなく「塗面による熱の取り込み」で「特定温度内で熱エネルギーに対し反応する」という物理的な特性を巧みに利用したもので,反射効果や断熱効果に依存する事無く「熱の遮蔽」を成し遂げている。<BR>その主な特徴としては,<BR>1)ヒートアイランド対策~反射に依存しないため輻射熱などの熱害を防止<BR>2)塗布面に汚れが付着しても効果に影響がない<BR>3)太陽光に依存しないため熱帯夜など夜間でも効果を発揮<BR>4)冬場は熱を取り入れ暖房効率アップ<BR>などが挙げられる。<BR>地球規模で環境が悪化して行く中,「新世代塗料」としての期待に応えるべく,「熱を消す」という「熱交換塗料ネオコート」の独自のテクノロジーは,従来の機能性塗料の常識をくつがえしただけでなく,塗料を使った「遮熱」「断熱」における方法論の見直しと,最新技術による新しい時代の幕開けを告げていると言える。
著者
高橋 俊之
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.334-338,018, 2001

日本製紙岩国工場3号マシンおよび5号マシンの欠陥検出器に, 従来のアナログ型に替えて, 東芝エンジニアリング製のデジタル型欠陥検出器を, 紙パルプ業界では初めて導入した。<BR>今回導入したシステムは, カメラ側にて256階調にA/D変換された濃度信号について, MMPボードと呼ばれる処理ボードにて, デジタル処理による欠陥判定を行っている。MMPボードでは, 2値化明・暗, ミクロ, ムラ (薄汚れ), スジ状 (ストリーク) の7種の欠陥判定を並列パイプライン処理している。特に, 大・中・小の3種類のムラフィルタは薄汚れ欠陥検出に有効であり, 検出能力アップが期待される。<BR>また, マーキング装置には, 従来のフェルトタッチ方式に替えて, 非接触スプレー方式が採用されており, 汚れの問題が有るものの, 省スペース化および多色マーキングを実現している。<BR>一方では, 立上げ当初, エッジ検出や欠陥判定ロジックの点で製紙特有の仕様との食い違いが見られるなど, 運用上の問題点も発生していた。しかし, それらについてもほぼ解決済みであり, 画面の操作性・カメラ自体の性能を含めた検出能力・欠陥画像の鮮明度が他メーカーと同等またはそれ以上であることから, 今回のシステム導入効果は大きいと考える。本稿では, システムの概要および導入後の問題点について報告する。