著者
ディヴィド E. エステベ J. デュリオン C. ミュゲ M. カスターヌ C.
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6, pp.474-478, 1987

At the Saint-Gaudens plant of La Cellulose du Rhône et d'Aquitaine (170, 000t/year of bleached hardwood kraft pulp), the replacement of sodium hypochlorite with a mixture of hydrogen peroxide and oxygen gives a high-quality commercial grade of hardwood pulp (whiteness increased by 1 point, with a 20% improvement in the degree of polymerization, a 12% improvement in the breaking length, and 21% improvement in the square root of the product of bursting strength × tearing strength), and this without any loss in the qualities of bulking and opacity. In addition, the savings in chemicals amount to between 30 and 35 Francs perton of commercial pulp (on the basis of 1986 prices), without mentioning the merits of the elimination of sodium hypochiorite production.
著者
長尾 敏之
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.258-261, 2011-03-01

せん断応力を測定原理とする濃度計は通常使用する一般計器と異なり計器校正が難しい。しかしパルプ配合の適正さを維持するためにはこの濃度計の機能維持が重要な要因である。<br> 当社はパルプ濃度の適正化のため,濃度計およびプロセスに関する問題点抽出とその対策について長年にわたり取り組んできている。これまでは濃度計設置場所(直管長),制御方法について改善を進めてきた。近年パルプ配合適正化のため流量計の精度検査を実施してきたが,本年の取り組みの中で新たに計装として濃度計の性能保証を目的にせん断応力を測定原理とするすべての濃度計について錘検定を開始した。全濃度計をA,B,Cランクに区分けし,Aランクは1年,Bランクは3年,Cランクは5年周期で錘検定を計画し現在進行中である。対象機種は三島工場の中で使用台数の多い「Metsoブレード式」,「Metso回転式」,「Dezurik回転式」について錘テストの実際について発表する。また三島工場での使用実績が特に多いMetsoブレード式濃度計について「温度特性」のデータについても報告する。<br> 本発表に先立ち,これまで当社で実施してきた濃度計に関る問題点と改善事例について,DezurikおよびMetsoブレード式濃度計の取り付け位置(直管長),プロセスに起因する濃度変動事例を併せて説明する。
著者
藤安 洸一郎
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.156-165, 2000-02-01 (Released:2009-11-19)
参考文献数
12

Formamidine sulfinic acid (FAS) has been attracting attention as a new bleaching agent in the pulp and paper industry. Though FAS is less powerful for reducing groups of pulp than hydrosulfite, it works effectively for decoloring dyes in pulp suspension.As recycled fiber is more commonly used, and ingredients such as inks and fillers originating from reclaimed papers gets diverse, FAS becomes interesting to the industry. The author shows that the two stage bleaching with hydrogen peroxide and FAS is very efficient for those troubles.
著者
稲田 治
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.643-654, 2007

日本製紙連合会は1997年より「環境に関する自主行動計画」を定め,積極的に活動している。その中の1つである地球温暖化対策目標は2004年11月に改定した次の2項目で,1990年度を基点とした実績についてフォローアップ結果を毎年公表している。<BR>(1)2010年度までに,製品当り化石エネルギー原単位を1990年度比13%削減し,CO<SUB>2</SUB>排出原単位を10%削減する。<BR>(2)2010年までに,所有または管理する国内外植林面積を60万haに拡大する。<BR>2005年度実績は,省エネルギー投資に加え,化石エネルギーから再生可能エネルギーおよび廃棄物エネルギーへの燃料転換投資により2年連続して大幅改善され,化石エネルギー原単位は86.5%で目標を若干上回り,CO<SUB>2</SUB>排出原単位は90.8%で目標に近づいた。また,今後の各社の投資計画を踏まえて2010年度を試算した結果,化石エネルギー原単位とCO<SUB>2</SUB>排出原単位ともに目標を達成できる見通しである。<BR>一方,植林面積の推移も順調で2005年度末で国内外合わせて536千haで目標の89%となり,達成は問題ないと考える。<BR>併せて,日本におけるエネルギーバランス,紙パルプ業界のエネルギーバランス,全産業のCO<SUB>2</SUB>排出量およびそれに占める紙パルプ産業の位置づけとともに,関連法律情報も報告した。
著者
飯田 清昭
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.69, no.8, pp.854-863, 2015
被引用文献数
1

紙には2000年の歴史がある。人々がその価値を認めて,2000年間使い続けてきたのである。一方では,使ってもらえるように2000年間に亘り技術開発を続けてきた。個々の技術開発は,その当時の社会の経済・文化と大きくかかわっていた。<br>歴史的に,紙の使用量は社会の豊かさ(例えばGDP)と強い相関があった。社会が安定し,豊かになると紙の需要が増し,それを満たす技術開発が生まれてきた。蔡倫による紙の発明は後漢の発展期であり,竹パルプの開発は唐・北宋の中国文明の爛熟期であった。イタリアはルネッサンスの発展期にゼラチン処理の書籍用紙を開発,オランダは17世紀の最盛期にHollander beaterで動力革命を演出,イギリスは産業革命の先頭に立っていた19世紀に抄紙機を開発した。<br>これらの技術開発でコストが下がった紙は印刷技術の発展を促し,多種の印刷物が社会に出回ることになった。日本では,江戸時代に和紙の特性と木版印刷を組み合わせ,いろいろの印刷物が出版された。さらに紙は日常生活で,素材としても種々に利用された。<br>紙は,世界の広域国家(中国王朝や中央アジアで栄えた大帝国)において,統治の伝達の手段として重要な役割を果たしてきた。一方,ヨーロッパでは活字印刷を発展させ,生産性を上げた紙とコストを下げた活字印刷が組み合わさって,印刷物が広く社会に普及・利用された。その規模は日本をはるかに凌ぐもので,ルネッサンス,宗教改革,啓蒙主義,産業革命と続く社会の変革を引き起こした。<br>Kremerが100年前に述べたように,紙に記すことで可能になった知的活動の開花が新しい文明の時代を生み出した(Blossom of mental activity made possible by paper started a new era of civilization.)。
著者
Atsushi Takahashi
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
JAPAN TAPPI JOURNAL (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.5, pp.386-393, 1987-05-01 (Released:2010-10-27)
参考文献数
5

As an interest in permanence of paper has been increasing, the Testing Standards Committee of J. TAPPI recently prepared J. TAPPI Testing Standard No.50 [Accelerated Ageing Conditions for Paper and Board].In preparing it, the committee carried out some surveys including the conditions which are taken actualy in this country, foreign standard methods, literatures concerning effects of moisture, and performance of temperature-humidity chambers. This is a report of the surveys.
著者
石塚 雅規 斎藤 継之 江前 敏晴 磯貝 明
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.64, no.8, pp.955-968, 2010-08-01
参考文献数
16
被引用文献数
1

広葉樹漂白クラフトパルプ(HBKP)をTEMPO触媒酸化して水中で解繊した高フィブリル化物(FTO―HBKP)を,HBKP懸濁液に0~30%添加し,水道水を用いてHBKP/FTO―HBKP混抄シートを作製した。水道水中のカルシウム等の二価イオンを介したイオン架橋により,FTO―HBKPを効率的にシートに歩留らせることができた。FTO―HBKPの添加量が10%から30%に増加させることで,混抄シート密度は直線的に増加し,貫通細孔径分布は小細孔径側に移行した。通気度はFTO―HBKPの添加により低下するが,30%のFTO―HBKP添加でも一定量の通気性を維持していた。この混抄シートの大気中でナノ~ミクロンレベルの粒子捕集率の評価を行ったところ,FTO―HBKP添加量を増加させることで捕集率を向上させることができ,高性能集塵紙としての利用が期待された。続いて,未解繊のTEMPO酸化針葉樹漂白クラフトパルプ(TO―SBKP)シートのイオン交換特性について検討した。TO―SBKP中のカルボキシル基は抄紙時の水道水中のCa,Mgイオン,あるいは添加した硫酸アルミニウム由来のAlイオンを効率よく吸着した。乾燥履歴のあるTO―SBKPシートの硫酸アルミニウム水溶液浸漬によるAlイオン吸着能も維持しており,イオン交換能を有する機能性シートとしての利用が期待された。
著者
加藤 晴治
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.14-17, 1965

伊勢市倉田山には, 神宮皇学館と並んで, 神宮文庫がある。そこに皇学館の図書館も併置されて, 多くの書籍, 古文書などが保蔵されている。とくにここでは神宮文庫に保蔵されている古文書のうちからいくらかを選び出してそれに用いられている用紙が如何なるものであるかを検討しようとするものである。そのために選定した古文書は次の26種である。これを分類すると次の5種になる。 (カッコ内の数字は第1表の番号である。)

1 0 0 0 天平の紙

著者
町田 誠之
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.10, pp.522-526, 1976
被引用文献数
1
著者
石塚 雅規 斎藤 継之 江前 敏晴 磯貝 明
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.437-447, 2010-04-01
参考文献数
18
被引用文献数
2

広葉樹漂白クラフトパルプをTEMPO触媒酸化することで,セルロース中のC6位の水酸基の一部をカルボキシル基のナトリウム塩に効率的に変換できる。そこで,酸化の程度を変えたTEMPO触媒酸化パルプを一定条件で水中解繊処理して得られるスラリーから手抄きシートを作製し,各種物性評価を行った。広葉樹漂白クラフトパルプは3mmol/g―pulp以上の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を添加してTEMPO触媒酸化を行うことにより,解繊処理によるパルプ繊維の切断が促進された。TEMPO酸化広葉樹漂白クラフトパルプの解繊処理によって得られた切断したパルプ繊維およびナノファイバーを含む微細化物も,水道水を用いた抄紙法によって90%以上紙中に歩留まらせることができた。TEMPO触媒酸化パルプの解繊物を水道水で抄紙すると,水道水中の多価イオン(例えばカルシウム)を多く含むシートになり,イオン交換機能が期待できる。解繊が進むに従い,シートの密度は高くなり,通気性の低い緻密なシートになった。これらの結果から,抄紙条件を最適化することにより,一部ナノファイバー化したTEMPO触媒酸化パルプ解繊物の抄紙法によるシート化が可能であり,イオン交換能等の有する機能性シートへの利用が期待される。
著者
長谷川 清
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.8, pp.1163-1168, 1996-08-01

当工場では, 現在4基の蒸気タービンが稼働しているが, そのうちの3基については, いずれも昭和40年代に設置されたものである。<BR>設置後20年以上経過しており, 経年劣化を考慮しなければならない時期にさしかかっていた。又, 運用負荷帯での効率低下が顕在化して来た為, 既存設備としての省エネルギーを考慮に入れながら, 設備そのものの信頼性向上を図る目的で逐次改造工事を実施してきた。<BR>改造内容としては, <BR>(1) 隔板 パッキン環・ノズルを含め新製交換 (高効率ノズル採用) <BR>(2) 動翼 シュラウドを含め高効率翼に新製交換<BR>(3) 動翼シールフィン 新製交換<BR>(4) シャフトバッキン環 前・後部及び中央部新製交換<BR>(5) ローター・円板 2T・ 3T→新製交換<BR>4T→既設流用<BR>(6) その他 3T→ 第一段ノズルボックス新製交換<BR>2T→ 抽気背圧タービンから背圧タービンに改造をそれぞれ定期検査期間を利用し実施してきた。<BR>改造の結果, 蒸気消費率は, <BR>2T : 11. 09 ton/ MW→9. 77ton / MW (改善率 11. 9%) <BR>3T : 6. 68ton/ MW→6. 26 ton / MW (改善率 6. 3%) <BR>4T : 10. 77 ton/ MW→9. 63ton / MW (改善率 10. 6%) <BR>となり改造工事を行ったことで計画以上の省エネルギーを達成することができたとともに, 設備上の信頼性も向上し, 現在, 安定した稼働を継続している。
著者
岩重 尚之
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.34-38, 2011

LPスクリーンは,約40年間の弊社ノウハウを注ぎ込み完成させた,超低動力スクリーンである。低動力の秘密はその内部構造にあり,スクリーンプレートに設けられたすべての開口部を,均一に原料スラリーが均一な速度で通過すること,処理原料の濃度を高くすることができるような工夫が盛り込まれている。今回は,佐々木賞受賞記念講演として,この画期的スクリーン技術の紹介をする。
著者
佐藤 幹晃
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.12, pp.1675-1684, 2004
被引用文献数
3

板紙の最近の傾向は,軽量化と高付加価値化,美粧化といわれている。すなわち,以前から重視されてきた強度に関する品質はもとより,印刷用紙に匹敵するような高い印刷適性も要求されてきている。したがって,板紙用ヘッドボックスにおいても,印刷・情報用紙用ヘッドボックスと同様の性能が求められているのが現実である。我がフォイトグループでは,以前から紙種を問わず高品質のヘッドボックスを供給してきた。同時に,ハイタービュレンスW型ヘッドボックスとモジュールジェット濃度コントロールシステムという高い信頼を得てきた技術をもとに,新たにマスタージェットヘッドボックスと呼称する高品質なヘッドボックスを開発してきた。その一方で,最小の生産コストで最大の生産性を確保する命題のもと,経済的にも優位なヘッドボックスの開発にも取り組んでいる。
著者
中田 雅博
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.283-286, 2007
被引用文献数
1

弊社として30余年の事業の歴史と約2,500台納入させていただいた,その歴史の概要と現在における"スーパーNASP"の特徴について述べる。<BR>要求スペックをいかに実現していくかは世の中の技術の進歩とユーザ様のご支援によるものがベースにある。本文では"WISの歴史と将来"を技術あるいは要求スペックをキーワードあるいは,その狙いがご理解いただけるように記載している。また,将来について紙の生産ラインの特質である高速・連続24時間稼動などそのWISへの期待レベル高さに対して課題と一般的に言われている生産ラインの発展の方向性を見据えながら記載している。"スーパーNASP"を軸に将来へ向けて弊社の方向性とユーザ様の期待とでWISが発展していくものと考える。
著者
川井 利克
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.31-36, 2012

昨今の電力供給事情の悪化により,日本の産業界は省エネルギーへの取組みを強化せざるを得ない環境にあり,省エネルギーの進んだ製紙業界においても,更なる取り組みが必要となっている。このような状況の中,製紙工程の中でも,とりわけ大きな動力を消費する叩解工程は,これまでも日々改善を積み重ねられてきたが,今また注目しなければならない工程となった。<BR>また古来より紙製品の品質を左右する重要な工程である叩解技術は,製紙原料,抄紙技術とともに変遷してきたが,主原料であるバージンパルプや古紙原料の短繊維化が進行している今日においては,叩解処理技術は新たなる転換期を迎えていると考える。<BR>本稿では,この様な背景に合致した低動力で製品品質のアップグレードを可能とする弊社の最新型リファイナー用刃物である"Finebar"に焦点を当てる。<BR>この"Finebar"は,刃幅,溝幅を究極まで狭小化すること可能な刃物であり,その特徴を生かして得られる様々な優れた叩解性能を紹介するとともに,"Finebar"の技術を更に展開した新しい叩解技術への弊社の取り組みを紹介,報告するものである。<BR>紙面の関係上,導入メリット,ミニセグメント等,一部の内容の報告に留まったが,Finebarは,国の内外を問わずL,N混合叩解や家庭紙用叩解などあらゆる叩解工程で,極めて高い叩解性能が実証されており,叩解工程の省コストに貢献できる優れた技術であるといえる。