著者
栗山 正光
巻号頁・発行日
pp.1-4, 2015-10-30

日本の大学図書館における修士論文収集の現状および課題を明らかにするため、首都大学東京の事例をもとに問題点を整理した。さらに、全国の大学図書館のウェブサイトで修士論文収集状況を調査した。その結果、修士論文を収集している図書館も多く、明快な著作権処理の事例も見つかったものの、情報が得られない図書館が3分の2以上あることが判明した。各大学で修士論文の収集に関する明確な方針と著作権処理の手続きを策定すること、またその情報をわかりやすく発信することが求められる。
著者
原 崇文
巻号頁・発行日
2012-03-22

近年, 地球環境に対する意識から, 環境負荷の小さい電気鉄道に注目が集まっている. 電気鉄道は加速を行うときに伝えられる力である接線力が小さい. そのため, 雨が降っている場合や枯れ葉がレールの上に落ちている場合は線路と車輪との間の摩擦力が減少し, 車輪が一周分回転しても, 車体が一周分進まない空転と呼ばれる現象が起きる. 一旦空転が生じると, エネルギー散逸や乗り心地の悪化, 線路の破損が生じてしまう. 従って, 車輪と線路が粘着していない空転状態から再び車輪と線路が粘着している粘着状態に戻して加速させる空転再粘着制御が必要である. 空転再粘着制御には, これまで様々な手法が考案されている. 当初は「すべり速度情報」, 「接線力トルク推定情報」の二つを使わずに, 基準速度との速度偏差および加速度偏差にファジィ推論を使用した空転再粘着制御が一般的であった. 最近では, 計算機の発達により外乱オブザーバを使用して瞬時に「接線力トルク推定情報」を使用することができるようになったため, 「接線力推定情報」に基づいた空転再粘着制御が開発され, 実用化されている. また, すべり速度を測定できるものとして「すべり速度情報」および「接線力トルク推定情報」を共に活用した空転再粘着制御についても提案されている. しかし, これらの物理量は微小なため, 電気鉄道車両において測定することは困難とされており, この制御方式の実現は難しいと言える. また, それらの手法は晩秋のレール上への落葉や冬季のレールへの積雪, 着氷などによる極めて接線力係数の低い条件下における再粘着の保障についての議論はなされておらず, 加えていつ空転が収束するかやどれくらいモータトルクを絞るかについても統計だった考え方に基づいて行われていない. そこで, 本論文では空転の重度を測る「超過トルク」および「超過角運動量」という2つの新しい概念を使用し, 極めて劣悪な路面条件においても再粘着を保証する再粘着制御について述べる. 通常の鉄道車両を基にモデル化した4軸2台車モデルを使用した数値解析によってそれらが可能であることを示す. その再粘着制御を粘着力の有効利用とレール, 車輪の傷みという2つの評価指標に基づき評価する. また, 「すべり速度情報不使用」, 「接線力トルク推定情報不使用」の再粘着制御, および「すべり速度情報使用」, 「接線力トルク推定情報使用」の再粘着制御と比較を行い, 提案空転再粘着制御の優位性を示す.
著者
石毛 直道
出版者
立命館大学社会システム研究所
雑誌
社会システム研究
巻号頁・発行日
vol.2017特集号, pp.9-18, 2017-07