- 著者
-
竹ノ山 圭二郎
- 出版者
- 日本グループ・ダイナミックス学会
- 雑誌
- 実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
- 巻号頁・発行日
- vol.44, no.1, pp.42-53, 2005 (Released:2005-08-26)
- 参考文献数
- 18
本研究の目的は,援助の意思決定における状況の重大性の影響およびWeiner(1995)の認知(原因帰属)―感情―行為モデルについて検討することであった。被験者は,重大性(高:車道で倒れる―低:歩道で倒れる)×倒れる人(病人―酔っぱらい)で構成された4種類のシナリオを読み,それぞれに対して,援助意思,重大性,原因帰属,および困窮者に対する感情を訊ねられた。その結果,重大性高―酔っぱらい条件の被験者は,重大性低―酔っぱらい条件よりも援助意思を高く評定していた。この結果は,重大性が高くなるほど援助意思も高くなるということを示唆していた。しかし,重大性高―病人条件と重大性低―病人条件の援助意思には有意な差がなかった。この結果は,重大性高―病人条件の被験者が困窮者に責任を帰属したことにより援助意思が低下したことを示唆していた。また,相関分析の結果は,酔っぱらい条件における援助意思と原因帰属の相関が病人条件よりも大きいことを示唆していた。