- 著者
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甲斐 慎一
横田 喜美夫
山下 茂樹
米井 昭智
- 出版者
- 一般社団法人 日本集中治療医学会
- 雑誌
- 日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
- 巻号頁・発行日
- vol.17, no.2, pp.203-206, 2010-04-01 (Released:2010-10-30)
- 参考文献数
- 10
2005年1月~2008年4月に出血により同種血輸血を必要とし当院ICUに入室した帝王切開術後患者12例について検討した。妊産婦の平均年齢は33歳で,疾患は常位胎盤早期剥離4例,弛緩出血2例,前置胎盤2例,癒着胎盤2例,hemolysis, elevated liver enzymes, low platelet count(HELLP)症候群1例,子宮破裂1例であった。8例が産科disseminated intravascular coagulation(DIC)を合併した。ICU入室期間は平均3日,入院期間は平均20日で,全例軽快退院した。平均同種血輸血量は赤血球濃厚液18単位,新鮮凍結血漿15単位,濃厚血小板18単位であった。7例が止血術を要し,うち3例は経カテーテル動脈塞栓術(transcatheter arterial embolization, TAE)のみ施行,2例は子宮全摘術のみ施行,1例はTAE中に出血性ショックとなり緊急で子宮全摘術を施行,1例は子宮全摘術後も出血が持続しTAEを施行した。産科出血は,迅速な輸血や止血術が肝要であり,院内の緊急輸血体制の整備に加え,産科医,集中治療医,麻酔科医,放射線科医の協力体制を整えることが必要である。