著者
佐藤 慎太郎 川俣 恵利華 川端 真由美 半澤 真喜子 川俣 幸一
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.78, no.6, pp.264-271, 2020-12-01 (Released:2021-01-27)
参考文献数
36

【目的】高齢者筋力向上トレーニング(以下,高齢者筋トレ)後に,たんぱく質を摂取させる取り組みは広く行われているが,効果が一律とならないことは知られている。今回我々は,軟化した食材を用いた栄養介入が高齢者筋トレの効果を高めるのか検証した。【方法】仙台市在住の一般高齢者15名(平均76.3歳)を無作為に二群に分け,両群に3ヶ月間の介護予防運動教室を実施し,介入前後の数値を比較した。各回の教室の後半に,一方の群には軟化した豚肉 50 gを,もう他方の群には普通のボイル豚肉 50 gを,すみやかに摂取させた。【結果】両群ともに3ヶ月の運動教室を経験しているため介入前後で有意な改善を示した運動機能値が存在した。そこで主成分分析により総合数値を求め,介入前後の結果を比較した。その結果,第1主成分「運動機能」得点において軟化豚肉群では有意な増加が見られた。このような傾向は普通豚肉群では確認されなかった。【結論】今回の我々の結果は,高齢者筋トレ運動後に吸収性を良くした食材をすみやかに食べることが,筋トレ効果の更なる増強を導く可能性を示唆した。
著者
木林 悦子 中出 麻紀子 諸岡 歩
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.78, no.6, pp.243-253, 2020-12-01 (Released:2021-01-27)
参考文献数
14
被引用文献数
1

【目的】朝食におけるバランスの良い食事(主食・主菜・副菜の揃った食事)を推進するために,バランスの良い朝食摂取者における食習慣および健康意識の特徴を明らかにすること。【方法】平成28年度ひょうご食生活実態調査に回答した20歳~60歳代で朝食頻度が週4日以上の1,255名を対象とした。解析は性・年齢別(20~40歳代,50~60歳代)に,従属変数をバランスの良い朝食摂取の有無,独立変数を食習慣および健康意識,調整因子を年齢,家族構成,BMIとした二項ロジスティック回帰分析を行った。【結果】どの性・年齢階級でも,朝食でごはん(米)を週0回又は主食・主菜・副菜の揃った食事を1日2回以上食べる頻度が週5日以下を基準として,週5~7回又は週6日以上の者で,バランスの良い朝食摂取者のオッズ比が有意に高かった。また,男性では,50歳以上における健康意識に関連した項目において,ネガティブな者を基準として,現在の食事を自分で良いと思っている,食事時間が不規則ではない,生活習慣病予防の食事を実践している,適正体重を心がけている者で,バランスの良い朝食摂取者のオッズ比が有意に高かった。【結論】朝食にごはん(米)を食べていることや主食・主菜・副菜の揃った食事を1日2回以上食べていることは,性や年代を問わずバランスの良い朝食摂取と関連していた。また,男性の50歳代~60歳代では高い健康意識にも関連がみられた。