著者
河崎 正裕 青山 興司 大倉 隆宏 後藤 隆文 高尾 智也 仲田 惣一 向井 亘 秋山 卓士 浅井 武 岩村 喜信
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.38-42, 2017-02-20 (Released:2017-02-20)
参考文献数
10

【目的】成人では上腹壁ヘルニアはまれとされているが,小児ではよくみかける疾患である.この違いが何に起因するのかそれぞれの臨床像に焦点をあて検証した.【方法】2005 年4 月から2015 年3 月まで関連小児外科6 施設および同施設の成人外科6 施設で手術された上腹壁ヘルニア症例を対象とし,カルテ記載から比較した.【結果】今回小児76 例,成人11 例の87 例が集計された.症例は全年齢に分布していたが,幼児期が圧倒的に多かった.性別はともに女性が多かった.症状は小児では上腹部腫瘤以外ではほとんど無症状であったが,成人では11 例のうち8 例に腹痛を認めた.多くの例が診断後1,2 年以内に手術が施行されていた.ヘルニア門径は小児では10 mm 以下,成人では20 mm 以上が多かった.ヘルニア内容は小児では腹膜前脂肪,成人では大網が多数を占めた.術式は全例単純縫合閉鎖が行われ,再発例はなかった.【結論】上腹壁ヘルニアの小児と成人の報告数の差は手術適応に起因すると考えられた.小児では整容及び将来の嵌頓リスク,成人では腹痛などの嵌頓症状である.成人の有症状例の少なさを考えると,小児において将来の嵌頓リスクを高く見積もり過ぎている可能性がある.幼児期の上腹壁ヘルニアの手術適応には議論の余地があると考える.
著者
齊藤 卓弥
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.303-311, 2010-04-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
12

発達障害と気分障害の合併は,患者の全体的な機能(functioning)の低下を引き起こし,発達障害の患者の適応をより低いものにする.従来,発達障害患者の気分障害の合併に関してはさまざまな議論があったが,徐々に発達障害に気分障害が合併すること,また発達障害患者に気分障害の評価・診断を行う際にはさまざまな配慮が必要であることが明らかになってきている.発達障害の中で気分障害に注目することは,問題行動の予防をする点からも重要であると考えられるようになってきている.同時に,治療可能な合併する気分障害の治療を積極的に行うことは,発達障害患者のquality of lifeの向上と機能の至適化に重要である.ここでは,気分障害を合併する発達障害の診断・治療について,現在までの知見を概説するのと同時に,米国における発達障害への教育的なかかわりを通して成人の発達障害への支援について1つのモデルを提案する.
著者
融道男著
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
2001
著者
伊東 由文 片山 真一 桑原 類史 大宮 真弓 一條 義博
出版者
徳島大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1992

1(伊東). 佐藤・フーリェ超函数の基礎理論の整備がようやく満足できる程度に完成した。ベクトル値佐藤・フーリェ超函数の値の空間を一般化する方向では,ベクトル値佐藤・フーリェ超函数の値の空間を必ずしもFiechet空間とは限らない一般の局所凸空間まで拡張し,究極の結果に到達した。劣指数型正則関数の関数論的研究では,レンゲの定理やクザンの加法的問題が解決した。〓擬凸領域の特徴付けと岡・カルタン・河合の定理Bの一般化等の問題の研究が進行中である。2(一條). 共形不変なテンソルを用いて,フィンスラー多様体が共形的平坦であるための必要十分条件を明らかにした。3(大宮). 漸化作用素を用いて急減少ポテンシャルの1次元シュレジンが一作用素に対する一連の跡公式を統一的に導いた。また、KdV多項式の代数的性質をへ作用素を用いて解析した。上の結果を発展させ,Mckean-Turbowitz型の跡公式やCrumのアルゴリズムの代数的証明を与えた。4(桑原). gordon-wilsonによって構成された巾零多様体上の等スペクトル変形を古典力学的視点から考察した。巾零多様体上の等スペクトル変形について,力学系の簡約化の視点から考察し,その古典力学的構造を明らかにした。4(片山). 最近RA.Mollin-HC.Willismo,横井英夫,M、G.Leu-H、K、kim-小野孝等によって盛んに研究されているR-D-typeの実2次体の類数に関する研究を4次のbicyclic bignadratic fieldsに拡張した。R-D-typeの実2次体に関する様々な結果をbound funotionという新しい概念を導入することにより一般的に扱った。さらに,素数と実2次体の基本単数の関係を明らかにした。