- 著者
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品田 裕
- 出版者
- 神戸大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2002
1990年代の総選挙における政治家の選挙公約をデータ化し、公約の構成比をもとに各政党の政策位置を検討した。(1)90年代の三回の総選挙における選挙公約データから、「全体-個別」および「左(再分配)-右(分配)」の二軸を抽出し、四つの領域を設定した。個別の利益を作り出す(例えば地元のために)ことを重視するもの、個別の問題に対し再配分を求めるもの、全体的な問題に異議を申し立てるもの、全体的な問題に関し新しい提案を行うものである。(2)90年においては、地域向けに訴えることの多い個別利益を担う自民党と現状を修正しようとする野党の対置が見られた。さらに野党内には、より一般的全国的な、あるいは体制に関わることを述べる勢力(社会党)と福祉など個別要求を好む勢力(公明党・共産党)が存在していた。(3)93年には改革が最大の話題となった。全国的かつ新しい政策領域が突如、出現し、すべての政党がそこへ向けて移動した。この動きをもっとも代表するのが新党勢力であった。比較的に動きの少なかったのが社会党で、もともと近い位置にいたにもかかわらず、位置変更ができなかった。自民党もかなり動いたが、なお個別利益から脱却できない。(4)96年は全般にわたる諸改革が主要な話題であった。もっとも明確に改革姿勢を示したのが民主党であり、逆に自民党は前回の位置に留まった。自民・民主両党の中間に新進党が位置した。これに対し社民・共産などの政党が再び、革新イデオロギー的な姿勢を明確に示した。96年は主要三党間の競争(改革か地元利益か)と、これらに対抗する中小革新政党群という二つの次元での競争が見られた。(5)連立内閣については、93年の非自民8党政権は政策面からの説明が、その成立についても崩壊についても可能であった。しかし、その後の自社さ政権については、96年の閣外協力によるものも含め、政策を主とした議論で説明するのは難しい。