著者
山中 亮一 上月 康則 野上 文子 魚谷 昂一郎 三好 真千 五島 幸太郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.I_1206-I_1210, 2012 (Released:2012-11-15)
参考文献数
12

Mytilus galloprovincialis (mussel) is a dominant species that attach to seawalls in eutrophied enclosed ports in Japan. Mussel drop-off occurrs every summertime causing sediment contamination at the sea bottom. To avoid the occurrence of mussel drop-off, we suggest to harvest an attached mussel just before the drop-off and composting it. To predict the occurrence of the mussel drop-off, we have to investigate it's biological reaction to influential factors, especially water quality variation. Therefore, we conduct the field observation and reaction experiment of mussels. As a result, we clarified that adhesion characteristics of mussels are affected by the pattern of water quality variation and caused by internal seiche which improves the number of byssus of the mussels.
著者
東 和之 大田 直友 河井 崇 山本 龍兵 丸岡 篤史 橋本 温 上月 康則
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.I_1091-I_1096, 2012 (Released:2012-09-18)
参考文献数
16
被引用文献数
1

代償措置として創出された人工干潟と模倣した自然干潟においてマクロベントスの定量調査を行い,干潟中下部生態系を再現できているかを検討した.マクロベントスの個体数は,自然干潟の方が人工干潟を大きく上回っており,種数についても自然干潟の方が多い傾向であった.干潟へ流入してくる栄養塩や底生珪藻量も自然干潟の方が高く,自然干潟の豊富な生物量はこれらの栄養塩や一次生産に支えられているようであった.両干潟の決定的な違いは,ホソウミニナの有無であったが,直達発生により分散能力が乏しいため,人工干潟にはほとんど加入していないこと,安定した自然干潟では爆発的な増加力を発揮していることが示唆された.以上のように,造成から約5年が経過した人工干潟であるが,潮間帯中下部の干潟生態系は模倣した干潟とは全く異なっていた.
著者
渡辺 雅子 山本 龍兵 采女 尚寛 上月 康則 岡田 直也 玉井 勇佑 野上 文子 河井 崇
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.I_916-I_920, 2015 (Released:2015-09-04)
参考文献数
5
被引用文献数
3

希少種ルイスハンミョウの生息地消失に対する代償措置として創出された海浜において,ルイスハンミョウ幼虫の生息可能な場所の面積を増やすための手法検討が本研究の目的である.そのため,幼虫の生息環境について,生息標高や植生被度,地盤の安定性を調査した.その結果,(1)標高0.7~1.0m,(2)植生被度25%以下,(3)地盤の変動係数6.7%以下の場所に生息していた.幼虫の生息場所を増やすためには,標高を調節する,植生を除去する,地盤を安定するなどの方法が考えられる.幼虫生息場創出実験により,調節した標高を維持することは難しいが,植生除去により創出した生息地を1年以上維持できることが分かった.以上のことから,維持管理や得られる面積の広さを考慮した結果,ルイスハンミョウ幼虫の生息場の創出方法として海浜植生除去が効果的であると考えられた.
著者
杉本 卓司 村上 仁士 島田 富美男 上月 康則 倉田 健悟 志方 建仁
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
海岸工学論文集 (ISSN:09167897)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.306-310, 2002-10-10 (Released:2010-03-17)
参考文献数
7

2050年までに80%の確率で起こるとされるM8.4級の南海地震津波に対し, 防災施設の新設は困難との立場から, 既存の水門や陸閘の津波浸水防止効果を高知県のU町を対象とした津波数値計算により検討した. その結果, これらの門扉が津波到達までに閉門できれば浸水範囲の低減や津波浸水開始時間を遅らせる効果があることが証明された. 一方, 多くの集落で門扉操作者の安全が確保できない場合があり, 操作を含めた門扉の管理・運用方法の改善が必要との結果が得られ, さらにこれらの門扉を有効に活用した具体的な防災対策について提示した.
著者
渡辺 雅子 大塚 弘之 上月 康則 大田 直友 河井 崇 萬宮 竜典 岡田 直也 中野 晋
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.I_1233-I_1237, 2012 (Released:2012-09-18)
参考文献数
10
被引用文献数
5

希少種ルイスハンミョウの生息環境を代償する目的で,徳島県沖洲に人工海浜が造成された.ルイスハンミョウは海浜生態系の高次捕食者であるため,生息場所の物理的環境条件の模倣だけでなく,餌生物を含む海浜の食物連鎖の再現も目標とされた.人工海浜の概成後,2007-2010年におけるルイスハンミョウ出現数は年々増加しており,本ミチゲーション事業はその目的を達成したといえる.一方,希少種の保全と海浜の利活用を両立するためには,その主体となる地域住民とともに利活用のあり方を検討する必要がある.そこで,多様なステークホルダーによるワークショップが開催され,規制ルールが検討された.その結果,幼虫の生息環境保全のために人を対象とした侵入防止柵が設置され,また,環境維持におけるその有効性が検証された.このことから,協働による海浜の維持管理体制の構築の重要性が示唆された.
著者
三好 真千 上月 康則 山中 亮一 山口 暢洋 坂下 広大 田中 千裕 山口 奈津美
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.1246-1250, 2009 (Released:2010-03-05)
参考文献数
7
被引用文献数
1 1

Large volume of mussels attaches on the coastal structure in eutrophic area. The dropped and died mussels accelerate the depression of dissolved oxygen in the bottom layer. This study revealed the relationship between fluctuation of salinity and temperature and their attaching activity on the wall. Result of our investigation at Amagasaki Harbor in Osaka Bay showed that the mass of mussels dropped out at the bottom after the salinity and temperature had extensively changed. It was also observed in Komatsushima Harbor that the salinity and temperature jumps initiated the dropout of the mussel. From laboratory experiments in different environmental conditions; salinity and temperature, we cleared the ecological cycle of the mussels in which the changes in salinity and temperature mainly influenced their activities.
著者
山中 亮一 上月 康則 田邊 晋 井若 和久 村上 仁士
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.341-345, 2009 (Released:2010-03-05)
参考文献数
18

Tsunami disaster prevention of Seto Inland Sea is slow to take action for lack of knowledge of generation mechanism of Tsunami damages. According to previous research papers, there is a possibility of appearance of sudden water level raising and long-term water level fluctuation in sympathetic vibration with characteristic vibration in some bay. Therefore, this study focuses on period characteristics and hazardous sea area. As a result of numerical analysis, temporal period characteristics of each sea area, distribution of largest tsunami heights and time of occurrence, distribution of maximum tsunami velocity and time of occurrence and a map of hazardous sea area are clarified. Moreover, generation mechanisms of Tsunami damages are examined.
著者
中野 晋 蒋 景彩 上月 康則
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
河川技術論文集 (ISSN:24366714)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.397-402, 2022 (Released:2022-09-01)
参考文献数
10

令和3年7月に熱海市の逢初川源頭部で大規模盛土が崩壊し,深刻な土石流災害が発生した.逢初川源頭部付近で複数行われた地形改変に注目し,これらの地形改変が流出過程に及ぼした影響について数値解析により検討した.地形改変前と後の地形データを用いて令和3年7月豪雨時の雨水流出過程を計算し,逢初川源頭部付近の断面通過水量の比較を行った.その結果,尾根部を削って谷を埋めるなどの宅地造成に伴う地形改変の結果,北側を流れる鳴沢川流域から多量の雨水が逢初川側に流入し,盛土末端部では地形改変前の4倍に達する表流水が通過した可能性があることが明らかとなった.
著者
野田 茂 能島 暢呂 細井 由彦 上月 康則
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.556, pp.209-225, 1997-01-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
25
被引用文献数
1

1995年兵庫県南部地震は都市機能を支えるライフラインに多大な被害を与えた. ライフライン被害の相互連鎖は, 既往の震災事例をはるかに超え, 明らかに質の異なるものとなった. 本報告では, 断水が他のライフライン (電気, ガス, 下水道) や医療機関の機能および消火活動や廃棄物焼却施設などに及ぼした影響について述べる. 差し水によるガスの復旧の遅れ, 冷却水や工業用水道の供給停止による発電などへの影響や消火用水の多様な確保策がわかった. さらに, 意外に少なかった通電火災, 復電による通水の状況, 水道の回復が下水道の機能に与えた影響や医療に不可欠な水道の役割などが定量的に明らかになった.
著者
井若 和久 上月 康則 山中 亮一 田邊 晋 村上 仁士
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.I_1261-I_1265, 2011 (Released:2011-11-09)
参考文献数
16

We examined values and applications of earthquake and tsunami stone monuments in Tokushima. The results of the study are as follows; (1) the purposes of stone utilization were to hand down records and lessons of earthquake and tsunami to posterity for its "presence", "conspicuousness" and "durability". (2) We recognized three cultural values of earthquake and tsunami stone monuments in Tokushima such as academic material, disaster prevention education material and disaster cultural asset. (3) We found that about 70% of earthquake and tsunami stone monuments in Tokushima have problems of their location and decipherment, and "teaching" function decreased remarkably. On the other hand, some stone monuments signs of their locations and/or explanations in modern Japanese were newly set up. (4) We collected the application cases of the earthquake and tsunami stone monuments in local municipals, areas and primary and junior high schools.
著者
白鳥 実 上月 康則 島田 佳和 橘田 竜一 佐藤 塁 村上 仁士
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G (ISSN:18806082)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.262-275, 2008 (Released:2008-09-22)
参考文献数
33
被引用文献数
2 2

本研究では,付着藻類群集に着目して,ダム下流減水区間の自濁作用の実態把握とメカニズムについての考察を行なった.ダム上流と減水区間で付着藻類群集を比較したところ,夏季において違いが顕著であった.ダム上流では,出水の有無によらず藍藻優占の現存量の少ない群集が形成されていたのに対し,減水区間では,珪藻優占の群集が形成され,現存量もダム上流より有意に多かった.さらに,減水区間では,付着藻類群集の一部が剥離する現象が見られ,付着藻類の生産した有機物が河床に蓄積されるだけでなく,流水中にも負荷されていることが明らかとなった.このような自濁作用は,出水頻度の低下のみならず,平常時におけるアユ等の摂餌圧の低下によって生じているものと推測された.
著者
山中 英生 澤田 俊明 上月 康則 鎌田 磨人 石田 健一 山口 行一 田中 祐一
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
環境システム研究論文集 (ISSN:13459597)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.255-266, 2000-10-13 (Released:2010-03-17)
参考文献数
23
被引用文献数
6 6

本研究では、徳島県上勝町の棚田地域を対象として、参加型計画手法であるPCM (プロジェクト・サイクル・マネージメント) 手法を導入して、棚田保全戦略を立案した。そして、PCM手法により得られた棚田保全戦略の特徴を、PCM手法の開発思想および作業特性の観点から分析した。その結果、PCM手法が、「科学的判断による分析行為」と「戦略的判断による選択行為」から構成されていることを示した。「科学的判断による分析行為」であるPCM手法におけるアプローチ抽出までの情報は、共通課題を有する場合の他の棚田地域への応用性が高いことが指摘できる。また、PCM手法は、「合意形成の対象となる情報」について複合的な「わかりやすさ」を有していることなどを示した。
著者
細井 由彦 村上 仁士 上月 康則
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1992, no.456, pp.83-92, 1992-11-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
8
被引用文献数
5 8

流速の変動する感潮部において堆積した底泥による酸素消費を, 定量的かつ一般的に評価する方法について検討した. 浮遊させた底泥による酸素消費特性について検討した後, その結果を用いて, 河床に堆積した底泥による酸素消費を, 浮遊時の酸素消費特性, 堆積状態, 底泥上の流水の特性により評価する方法を, 実験とモデルにより考察した.
著者
北野 倫生 上月 康則 倉田 健悟 村上 仁士 山崎 隆之 芳田 英朗 水谷 雅裕
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.741, pp.49-56, 2003-08-22 (Released:2010-08-24)
参考文献数
35
被引用文献数
1

沿岸域の環境修復の目標の一つとして, 懸濁物を起点とした物質循環が円滑に作用する生態系を再生することが挙げられる. 本研究では堆積物の生物撹拌について, 内湾の表在性の堆積物食生物マナマコを対象に, 活動が鈍化する夏季に実験を行なった. 得られた結果を次に示す. 1) 水温上昇に伴い不活性化して摂食行動は行われず, 堆積物中の有機物濃度に有意な差は見られなかった. 2) 葡匐行動によって還元型硫化物濃度は減少し, その影響は表層から深さ2cmにまで及んだ. 3) 生物撹拌は埋在性の懸濁物食性二枚貝の個体数を増加させるように作用し, その結果マナマコの餌環境が向上することが示唆された.
著者
上月 康則 山中 亮一 松重 摩耶 齋藤 梓 石田 達憲 大谷 壮介
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.I_971-I_975, 2012 (Released:2012-11-15)
参考文献数
15

Various laboratory experiments were performed to examine the effects of H2S (Hydrogen Sulfide) on R. philippinarum in this study. These results were as follows. 1) Most of clam closed its shell, in case was placed in the anoxic water. However, the number of clam that opened its shell increased with time. 20 hours later, the dying clam appeared after the clam extended the siphon and pelecypod. 2) H2S exposure had an insignificant effect on the clam, they closed shells. However, the clam was significantly affected by H2S exposure when they opened its shell and extended siphon and pelecypod. 3) When the water was hypoxic or anoxic before Blue tide occurrence (Aoshio), the clam would directly suffer severe effects of H2S because the extended soft tissue from the inside of shell was exposed.