著者
井口 隆
出版者
公益社団法人 日本地すべり学会
雑誌
日本地すべり学会誌 (ISSN:13483986)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.1-9, 2003-05-25 (Released:2010-03-16)
参考文献数
65
被引用文献数
3 5

日本列島には多くの火山が分布している。 火山地域は特有の地形地質条件を持つ為そこで生じる土砂移動現象も他の地域とは大きく異なる。 日本の火山地域では各種の地すべり災害がしばしば起きてきたため, それらを対象として様々な角度からの研究が行なわれて来た。 本稿は特集号の総説として, 火山地域で発生する地すべり災害の特徴, 火山地域における地すべり災害の歴史的経緯と研究史について並行的に論述する。 また最近の研究成果について概観するとともに今後の研究課題についても論じてみたい。
著者
上床 喜和子 須佐美 隆史 井口 隆人 大久保 和美 岡安 麻里 内野 夏子 髙橋 直子 松林 幸枝 阿部 雅修 末永 英之 森 良之 髙戸 毅
出版者
特定非営利活動法人 日本顎変形症学会
雑誌
日本顎変形症学会雑誌 (ISSN:09167048)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.26-36, 2016-04-15 (Released:2016-05-20)
参考文献数
32

Acromegaly is caused by growth hormone excess owing to a pituitary adenoma after completion of growth and tends to lead to mandibular prognathism. In this paper, two patients with mandibular prognathism caused by acromegaly and treated by surgical-orthodontic treatment are reported. The first case was a 36-year-old male who was referred to our hospital to correct mandibular prognathism and malocclusion after resection of the tumor in the pituitary gland. The second case was a 26-year-old male who was referred from an orthodontic clinic for orthognathic surgery. He had not been diagnosed as acromegaly but a typical double-floor of the Turkish saddle was found in the lateral cephalogram. Blood tests revealed acromegaly. Surgical-orthodontic treatments were performed after resection of the pituitary adenoma and confirmation of normal level of blood growth hormone (GH) and somatomedin C. In both cases, multi-bracket appliances were worn and bimaxillary osteotomy (Le Fort I osteotomy for maxillary advancement and bilateral sagittal splitting ramus osteotomies for mandibular setback) was carried out to secure the intraoral space for the enlarged tongue. After post-surgical orthodontic treatment, the treatment results were good and stable in both cases. These cases showed that surgical-orthodontic treatment for patients with acromegaly after pituitary adenoma resection is reliable. The importance of careful examination of the craniofacial shape in patients with mandibular prognathism to detect acromegaly is emphasized.
著者
井上 美保 井口 隆文 川田 あゆみ 佐藤 直樹 渡辺 敏郎 段 武夫 田辺 創一 武藤 徳男
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.103, no.6, pp.499-504, 2008

大麦醗酵エキスと赤紫蘇エキスを主成分とした大麦赤紫蘇飲料の摂取がスギおよびヒノキ花粉症患者の症状に及ぼす影響について検討した。被験者は, スギ花粉症の症状を有し, 血液検査でスギRASTスコァーが陽性と判定された25人を対象とし, スギ花粉が飛散する前から大麦赤紫蘇飲料を飲用するA群と花粉が飛散してから飲用を開始するB群の2群に分けて実施した。くしゃみと鼻水 (鼻をかんだ回数) のスコアーでは, スギの花粉が飛散するとB群のスコアーが常に高値を示し, 症状が悪化した。一方で鼻詰まりと目のかゆみに関しては両群ともに差は認められなかった。鼻症状の総合的判断である鼻Symptom ScoreとSymptom Medication Scoreでは, スギの花粉飛散後, B群が高値を示し, A群は軽症であった。大麦赤紫蘇飲料は, 大麦醗酵エキスを主成分とする飲料であり, 大麦赤紫蘇飲料による花粉症症状の軽減効果は, 主として大麦醗酵エキス成分による効果と考えられた。
著者
井口 隆
出版者
The Japan Landslide Society
雑誌
日本地すべり学会誌 (ISSN:13483986)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.409-420, 2006-01-25 (Released:2010-06-28)
参考文献数
29
被引用文献数
5 8

火山体では多様な斜面変動が多く発生している。中でも岩屑なだれを伴う山体崩壊は最も悲惨な災害を引き起こす。火山体に発生する山体崩壊・岩屑なだれの特徴を明らかにするため, 日本列島における発生状況について可能な限り多くの事例を収集し検討した。その結果, 日本列島の第四紀火山のうち67火山において128件の発生事例が確認できた。これは日本列島に分布する火山のうち約4割に相当する。火山体における大規模崩壊-岩屑なだれの発生頻度は最近500年間では見ると60年に1回程度である。大部分の山体崩壊の規模は0.2km3より大きい。岩屑なだれは横方向へも広く拡散する特徴を有するため, 被災範囲が極めて広い。火山体において発生する山体崩壊-岩屑なだれの規模は他の地質地域と比べると大きく, しかも流動性があり, 発生頻度が高いなど他の地域で起こる大規模崩壊より危険度が大きい。およそ3分の1の岩屑なだれ堆積物において流れ山が確認できた。また65件の岩屑なだれの崩壊源の位置を推定したところ, 山体崩壊は火山体の山頂付近など山体上部で発生する傾向が見られる。約3分の2の岩屑なだれの崩壊源は確認できなかったことから, 山体崩壊の跡地は容易に開析されるか埋積されて不明瞭となる。岩屑なだれの流動性は他の土砂移動現象と比べて高く, その等価摩擦係数は (H/L) は0.2から0.08と極めて小さい。山体崩壊・岩屑なだれは第四紀火山において必ずしも特異な現象ではなく, 火山体の開析過程の1つである。特に円錐形の山体を持つ活火山では, 山体崩壊-岩屑なだれを多く発生させてきた。多数の火山を有する我国では今後も山体崩壊・岩屑なだれが発生する危険性を考慮しておく必要がある。
著者
大八木 規夫 井口 隆
出版者
Tokyo Geographical Society
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.94, no.6, pp.436-445, 1985-12-25 (Released:2009-11-12)
被引用文献数
6 9

The main portion of Iwo-jima island consists of lava flows and pyroclastic rocks of trachy andesite, erupted and deposited in shallow sea, except the upper part of Suribachiyama, in 2600-2800 y.B.P. The island have been uplifting from about 800 y.B.P., followed by active faulting and change in coast lines.
著者
北尾 邦伸 安井 鈞 長山 泰秀 稲田 充男 新村 義昭 片桐 成夫 井口 隆史 瀧本 義彦 北尾 邦伸
出版者
島根大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1991

輪島・鳳至地域の現地においてアテ・複層林の森林を対象にして種々の計測を行った。また、その複層林を経営する担い手の経営構造やアテ材の生産・流通構造についても現地調査を行った。さらに、固定試験地の林分構造に関する過去20年間のデータの解析に努めた。これらのことから、次のような新たな知見や林分構造に対する理論モデルを導出した。1.複層林の直径分布および樹高分布は各齢階ごとのそれぞれの分布が結合したものと仮定して、頻度分布モデルとして混合対数正規分布g(w)を誘導し、計測データをあてはめた。結果はよく適合した。2.択伐林内の樹木の伐採確率分布の誘導を行い、混合マルコフ過程を応用した択伐林直径分布モデルを誘出できた。3.よく施業されたアテ択伐林分では直径や樹高の度数分布は逆J字型を示す。施業がよくない光環境のもとでは、上層木のみが成長して択伐林型が崩れる。これら林分構造・成長・光環境の関係を定量的に明らかにした。4.2つのアテ択伐林分における林分各部分の栄養塩類の集積量、およびそれに影響をおよぼす土壌の化学性を下層土壌を含めて明らかにした。これは、森林土壌の肥沃度および物質集積量の基礎的データとなる。5.暴風害の被害形態は幹折れ、根返りが多く、直径・樹高の全てのクラスに及んだ。折損被害は形状比が60-80のものに多く、冠雪害の場合よりも小で、折損高は2-3m、折損比高0.1-0.3と冠雪害に比較して低かった。6.光環境を整える枝打ち作業が労働力不足のために困難となり、この点を基軸にして伝統的なアテ択伐の経営構造が変容を迫られている。また、外材率20%という地域材の地場需要の強い伝統的な生産・流通構造も、その規模が小さく、飛躍的に増大した戦後アテ造林の資源的成熟に伴って、大消費地とのつながりにおける産地形成を迫られている。これらの点を実証的に明らかにした。
著者
永田 恵十郎 渡辺 晴基 井口 隆史 平塚 貴彦 北川 泉 岩谷 三四郎 猪股 趣
出版者
島根大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1985

63年度に行った主な研究作業は, 過去3ヵ年の研究の総括とそのために必要な補足調査である. 研究の総括は毎月1〜2回の頻度で開催した研究会の場で行った. 研究会では, それぞれの分担者が担当課題についての研究結果を報告し, それをめぐって全研究分担者が討論し, 率直な批判検討を積重ねるという方式で進めた. また補足調査は, 自然減社会の実態構造, 減返強化米価引下げによる地代負担力の減少とそのことによる借地返還多発の実態構造等の把握に力を注いだ.以上を通じて, 3ヵ年の研究成果を『過疎山村の再生』というテーマで世に問うことを決定し, 63年度の研究成果公開促進費の交付申請を行った. もっとも, 『過疎山村の再生』というテーマは, すぐれて具体的, 現実的課題をふくんでいるだけでなく, 理論的にも掘下げなければならない課題も多々ある. そこで, 上記研究会には地元の各機関, 団体の関係者の参加も求め, 具体的, 現実的な課題への認識を深めることにした. なお, 共同研究者以外の研究会参加者は延25名(県庁農林水産部, 農林漁業金融公庫松江支店等)であった. さらに, 63年12月にはたまたま来松の機会のあった和田照雄(東京大学), 森田学(京都大学), 陣内義人(鹿児島大学)の3教授にも研究会への参加を要請し, われわれの理論フレーム(仮設)についてコメントを頂いた.
著者
井口 隆 大八木 規夫 諸星 敏一 高橋 博
出版者
Tokyo Geographical Society
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.97, no.4, pp.256-262_2, 1988-08-25 (Released:2011-02-17)
参考文献数
9
被引用文献数
2 1

1 0 0 0 OA 普通文典

著者
井口隆太郎 著
出版者
皇典講究所
巻号頁・発行日
1891
著者
納口 恭明 井口 隆
出版者
独立行政法人防災科学技術研究所
雑誌
防災科学技術研究所年報 (ISSN:09186441)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.94-95, 2000-10-30

(1)崩壊土砂の堆積状況調査大規模崩壊による流下物の堆積状況調査から岩屑流の流動機構の解明を目指して,飯綱火山・黒姫火山を対象地域に選び,山麓に分布する岩屑なだれ堆積物を空中写真判読等により分布状況の調査を行なった.(2)模擬実験ピンポン球実験を斜面の底面の条件を変えて継続するとともに,10mスケールの斜面上で発泡スチロール粒子を用いて同様の実験を行い,実際の堆積物との比較から相似則の導出と確認を行なう.