著者
今井 光信
出版者
一般社団法人 日本生体医工学会
雑誌
BME (ISSN:09137556)
巻号頁・発行日
vol.12, no.10, pp.27-35, 1998-10-10 (Released:2011-09-21)
参考文献数
16
著者
嶋 貴子 一色 ミユキ 近藤 真規子 塚田 三夫 潮見 重毅 今井 光信
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.167-177, 2006 (Released:2014-07-08)
参考文献数
13

目的 HIV 検査をより受けやすくするための試みの一つとして,検査を受けたその日に HIV スクリーニング検査結果を通知する「HIV 即日検査」を保健所の HIV 検査に導入し,その効果と実施に伴う問題点等を明らかにするため研究を行った。方法 栃木県県南健康福祉センターにおいて2003年 1 月より,通常の HIV 検査と平行して試験的に即日検査を導入し,即日検査導入前・後の受検者数や受検者層等の比較,また対照として選択した他保健所の HIV 検査受検者数の動向と比較し,即日検査の効果と影響について検討した。即日検査実施の情報についてはホームページ「HIV 検査・相談マップ」に掲載し,その効果についても検討した。結果 栃木県県南健康福祉センターにおける HIV 検査数は,即日検査導入前の2002年は130件であったのに対し,即日検査導入後の2003年は453件と3.5倍に増加した。また,そのうちの94%が即日検査を希望した。即日検査404件中 5 件がスクリーニング検査陽性となり,確認検査の結果,1 例が HIV 陽性,4 例が偽陽性(偽陽性率 1%)と判定された。 HIV 検査と同時に実施している性感染症検査の受検率は,即日検査の導入後には梅毒抗体検査(即日結果通知可)が77%から63%に,性器クラミジア抗体検査(即日結果通知不可)が76%から33%に減少したが,HIV 受検者が大幅に増加したため,受検者実数としては増加した。受検者へのアンケート調査結果から,受検者の61%がホームページ「HIV 検査・相談マップ」をみて受検していることが分かった。 同時期における即日検査を導入していない栃木県内の他保健所の HIV 検査数の増加率は0.9~1.0倍,全国保健所 HIV 検査件数の増加率は1.2倍であった。結論 即日検査は受検者にとって需要の高い検査であり,保健所 HIV 検査への即日検査導入は HIV 受検者数の増加に繋がる可能性の高いことが分かった。また,ホームページに「HIV 検査・相談マップ」よる継続的な情報提供が受検者増に有効であることが分かった。 しかしながら,HIV 迅速検査キットの偽陽性率が約 1%と高いため,検査前・後の説明やスクリーニング検査陽性者へのサポート体制が重要となること,また,即日検査と性感染症検査とを同時に実施する場合には,性感染症検査の受検率の低下を抑えるための対策が必要となる等の課題も明らかとなった。
著者
杉本 和隆 高西 優子 今井 光信 木村 和子
出版者
日本エイズ学会
雑誌
日本エイズ学会誌 (ISSN:13449478)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.23-30, 2005

目的: 日本は他の先進諸国に比べ推定国民HIV感染率が低いにも関わらず, 献血のHIV陽性検体出現率は高い. そこで, 諸外国の献血者選定方法, 特にHIV感染リスクを有する者の献血を防止する手法を調査し, 我が国の血液安全対策に資する.<BR>対象及び方法: ベルギー, スイス, 英国, スウェーデン及びカナダの血液サービスを対象に, 文献, 調査書送付及び訪問面接により調査した.<BR>結果: 各国とも無償かっ自発的な献血によって血液を収集している.<BR>対象国に共通して見られた血液の安全性確保の方策は, 次のとおりである: 献血時のHIV/AIDS教育, 教育内容の理解の確認, 証明書による本人確認と献血者情報の管理, 問診表と署名の活用, 面接研修を受けたスタッフによる面接と責任, 並びに献血後の血液使用辞退の申し出の勧奨. 初回献血前に血液センターへのコンタクトを求め, 事前教育や事前検査を行っている国もあった. また, HIV検査を一般の医療機関で受けられ, 医療保険が適用される. 特に, 初回面接を念入りに行っており, 感染リスク行為が献血希望者に具体的に提示されることが, 高い教育効果を上げると思われた.<BR>結論: 対象国では献血希望者に対するHIV/AIDS教育と理解の確認が徹底されている. また, 登録時の本人確認, 面接官の訓練と責任による慎重な面接及び一般のHIV検査の利用しやすさが, 感染リスク保持者の献血の減少に寄与しているものと思われた.
著者
生田 和良 西野 佳以 今井 光信 石原 智明 関口 定美 小野 悦郎 岸 雅彦
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1996

精神疾患の原因は明らかにされていない。現在、精神分裂病やうつ病などの精神疾患の原因として遺伝因子と環境因子の両方が関わると考えられている。本研究では、精神疾患との関連性が示唆されているボルナ病ウイルス(BDV)に関する検討を行った。これまでのドイツを中心に行われた疫学調査から、BDVはウマ、ヒツジ、ウシ、ネコ、ダチョウに自然感染し、特に、BDVに感染したウマやヒツジではその一部に脳炎を引き起こすことが明らかにされている。私達は、日本においてもドイツとほぼ同じ状況でBDVがこれらの動物に蔓延していること、さらに末梢血単核球内にBDV RNAが検出しえることを報告してきた。また、同様の検出法により、精神分裂病に加え、慢性疲労症候群においてもBDVとの関連性を認めている。しかし、献血者血液においても、これらの疾患患者に比べ低率ながら、BDV血清抗体や末梢血単核球内のBDV RNA陽性例が存在することを報告した。そこで、本研究では安全な輸血用血液の供給を目的として研究を行い、以下の結果を得た。1) 健常者由来末梢血単核球への精神分裂病患者剖検脳海馬由来BDV感染により、明らかなウイルス増殖の証拠は得られなかった。2) ヒトの血清抗体ではBDV p24に対する抗体が主に検出され、ヌクレオプロテインであるp40に対する抗体検出は稀である。同様に、ヒト由来末梢血単核球内のBDV RNA検出においても、p24 mRNAが主であり、p40 mRNAは稀である。この現象を検討するため、ラットおよびスナネズミ脳内へのBDV接種実験を行った。その結果、新生仔動物への接種ではp24抗体が主として産生され、成動物への接種ではp24とともにp40に対しても上昇することが判明した。