著者
安東 克之 伊東 康 藤田 敏郎
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.241-246, 1984-03-25 (Released:2013-05-24)
参考文献数
32

甲状腺機能亢進症における循環動態異常は交感神経充進状態に類似している. そこで,本症における交感神経系の役割を調べる目的で, 7名の本症患者にプロプラノロール 60mg/日を 3 日間投与し, 循環動態, ホルモン動態の変化について検討した. プロプラノロール投与により, 心拍出量, 心拍数は有意の減少を認めたが, 一回拍出量は変化しなかった. さらに, 血漿ノルエピネフリン濃度も有意に低下し, 血漿ノルエピネフリン濃度と心拍出量の間には有意の正の相関が認められた.血漿レニン活性も有意の減少を示した. 以上のことから, プロプラノロールは甲状腺機能亢進症の循環動態異常を改善し, これには効果器のβ受容体阻害作用に加えて, 中枢神経系を介するノルエピネフリンの放出の抑制やシナプス前 β 受容体遮断によるノルエピネフリン遊出阻害作用も重要な役割を果していることが示唆された. また, レニンーアンジオテンシン系の関与も考えられた.
著者
伊東 康久 野田 喜美雄 石川 久 井崎 賢二 江花 稔
出版者
JAEA
雑誌
JNC-TN8410 2001-007
巻号頁・発行日
pp.1-81, 2001-03

核燃料物質取扱施設では非密封の放射性物質を取扱う場合、グローブボックス(以下「GB」という)等の包蔵性を有した設備を配置している。放射性安全の立場からは包蔵性の一時的な機能低下等を考慮し、放射性物質漏洩の早期発見及び作業者の吸入を防止する目的で種々の施策を講じている。その中の一つに作業環境中の空気中放射性物質濃度を連続監視するためのダストモニタがあげられる。一般的にダストモニタは吸引ポンプを使用して空気を吸引し空気中に浮遊するダストをろ紙に捕集する方式であり、吸引ポンプの連続運転能力、可搬性及び排気場所の確保並びに騒音等に構造的問題を持っていた。このため、ダストの捕集方法に関し、従来技術である吸引ポンプを使用しない技術開発を進めることとした。上記目的を遂行するために、静電気により空気中のダストをイオン化し、ろ紙に捕集する市販の集塵器に着目し、静電捕集型のダストサンプラ及びダストモニタを試作し、特性試験及び操作性について評価した。静電捕集方式は空気吸引方式と違い吸引量の定量化が課題であり、捕集量を定量化するためにマスクマンテストで使用している装置を用い、塩化ナトリウム(以下「NaCl」という)による捕集量の定量化と捕集分布の解析評価を実施した。また、既存の空気吸引方式であるエアスニファとラドントロン子孫核種を対象に捕集量の比較を実施した結果、ほぼ同等の捕集性能を有していることが分った。一方、静電捕集方式の機能を明確にすることと、実際に使用する管理区域内を想定して操作性等の評価を実施した結果、十分実用に耐えうることも分った。今回の試験で使用したダスト捕集用ろ紙は市販されている集塵機の付属品を用いたが、放射性ダストの捕集には適していなかった。今後、集塵ろ紙の材質適正化を行うとともに、装置の小型化と捕集効率向上を検討し、また、試作機の構造は汚染防護対策が十分ではないので、これらを考慮した再設計を行う必要がある。 著者所属: 日本原子力研究開発機構(JAEA)
著者
中川 幹子 藤野 孝雄 高橋 尚彦 石田 修二 渡邊 真理 丹羽 裕子 伊東 康子 桶田 俊光 犀川 哲典 伊東 盛夫
出版者
Japanese Heart Rhythm Society
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.177-188, 1994-06-30 (Released:2010-09-09)
参考文献数
32
被引用文献数
1

糖尿病患者の心拍変動およびQT間隔と, 自律神経障害および心臓死との関連を検討した.対象は健常人13例 (C群) , 糖尿病群は自律神経障害を合併しない生存群9例 (AN (-) 群) , 自律神経障害を合併する生存群21例 (AN (+) 群) および心臓死群10例 (CD群) である.ホルター心電図より低周波数成分 (LF) , 高周波数成分 (HF) , LF/HFおよびRR間隔標準偏差の平均 (SD) を, 標準12誘導心電図よりQTc間隔およびQTc dispersion (最大QTcと最小QTcの差) を求めた.AN (+) 群とCD群は, C群に比しLF, HF, LF/HFおよびSDの24時間平均値と, その日内変動は著明に低下していた.最大QTc間隔はC群に比し糖尿病群では有意に延長していたが, 糖尿病の3群間には有意差を認めなかった.QTc dispersionはC群に比しCD群のみ有意に大であった.CD群は時間経過とともにHFの低下とQTc dispersionの増加が認められた.以上の成績から, 糖尿病患者の心臓死と自律神経障害およびQTc dispersionによって示される心室筋再分極の不均一性との関連が示唆された.
著者
深谷 智史 奥田 直人 岡田 龍一 伊東 康人 池野 英利 山崎 理正
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース 第127回日本森林学会大会
巻号頁・発行日
pp.151, 2016-07-08 (Released:2016-07-19)

コナラ、ミズナラなどのブナ科樹木が枯死するナラ枯れの被害が日本国内で発生し問題となっている。その原因となるナラ菌を保有するカシノナガキクイムシの飛翔能力(飛翔距離、飛翔時間、飛翔速度)の直接的測定を行われた例は昨年我々が報告した例以外にはなく、それに何が影響し飛翔能力が変化するかなどその詳細についてはわかっていない。カシノナガキクイムシの飛翔能力に影響を与える要因が明らかになれば、ナラ枯れ防除の技術開発につながるかもしれない。昨年は回転アームの先端に取り付けた虫が飛翔するとアーム部分が軸を中心に回転する装置であるフライトミルを用いて、カシノナガキクイムシの最大飛翔距離を測定し、報告した。(最大飛翔距離27.3km)今回は新たにカシノナガキクイムシの飛翔速度、飛翔時間に注目して、どのような要素(体長、翅の長さ、性別、飛翔開始時間)が影響し、変化するのかということを調べた。その結果、飛翔開始時間が早い個体は飛翔速度が速く、飛翔時間も長いという結果が得られ、飛翔開始時間というものが飛翔速度と飛翔時間に影響していることがわかり、朝早く飛び立つ個体が長距離移動していることが示された。
著者
伊東 康貴 八十島 章 加川 順一 荒木 秀夫
出版者
公益社団法人日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学年次論文集 (ISSN:13477560)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.1579-1584, 2007-07-30

今日,地震被害を受けた鉄筋コンクリート構造物や劣化既存構造物のRC柱に関してエポキシ樹脂を用いた注入補修が行われている。本論文はエポキシ樹脂注入をコンクリート内部または鉄筋位置から低圧をかけて行う内圧充填工法について,せん断破壊型および付着破壊型の鉄筋コンクリート柱試験体に対して繰り返し加力をおこない,その前後の復元力特性やひび割れ性状等の比較を行い,同工法の補修効果について検証した。
著者
大塚 二郎 関根 文太郎 伊東 康 加藤 正彦
出版者
公益社団法人精密工学会
雑誌
精密機械 (ISSN:03743543)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.308-313, 1981-03-05
被引用文献数
2 2

本研究は機械的ラッピング装置を用いて, 工作機械等に用いられる親ねじの酔歩をどのようにして減少させるかについて述べている.リード誤差のうち, 特に1リードに数回の周期を持つ酔歩の除去は研削仕上でも困難であり, 最終的に酔歩は熟練者の勘に頼るハンドラッピングによって取り除かれている.本研究の目的は次のとおりである.(1)フランクにねじの酔歩に相当するうねりの付いたそろばん玉状の試料を親ねじの近似モデルとし, それをラッピングする.(2)その基礎データをもとにして酔歩のある親ねじ試料をラッピングして, その減少する様子を観察し, それについて検討を加える.その結果, 近似モデルでは, うねりは徐々になくなった.実際の親ねじでは, 二つの方法についてラッピングを行ったところ, 一つの方法では酔歩は1/4程度に減少し, もう一つの方法では酔歩は減少してほとんど認められなくなった.