著者
齋藤 充生
出版者
公益財団法人 日本感染症医薬品協会
雑誌
The Japanese Journal of Antibiotics (ISSN:03682781)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.269-288, 2008-08-25 (Released:2013-05-17)
参考文献数
53

医薬品の副作用は担当医の専門分野とは異なる臓器にも発生し得ること, 重篤な副作用の発生頻度は一般に低く, 臨床現場において遭遇する機会が少ない場合があり得ることなどから, 初期症状が見逃されることがある。厚生労働省では, 平成17年度から4年計画で「重篤副作用総合対策事業」を実施し, その一環として, 患者及び一般医療従事者を対象とした重篤副作用疾患別対応マニュアルの作成を進めている。本稿では, 重篤副作用対策マニュアルの作成目的, 作成状況について紹介するとともに, 公開されたマニュアルのうち, 抗生物質, 抗菌薬が原因医薬品として挙げられているものについて, 簡単に紹介する。平成20年6月末現在, 29の副作用マニュアルが公開され, そのうち, 抗生物質・抗菌薬が関与する薬剤として挙げられているのは16あった。抗生物質・抗菌薬は現代の医療に必須であるが, 抗生物質・抗菌薬の使用に当たっては, これらの標的臓器以外に発生する重篤副作用にも注意を払い, 初期症状を見逃さないことが重要である。
著者
山口 惠三 大野 章 石井 良和 舘田 一博 岩田 守弘 神田 誠 辻尾 芳子 木元 宏弥 方山 揚誠 西村 正治 秋沢 宏次 保嶋 実 葛西 猛 木村 正彦 松田 啓子 林 右 三木 誠 中野渡 進 富永 眞琴 賀来 満夫 金光 敬二 國島 広之 中川 卓夫 櫻井 雅紀 塩谷 譲司 豊嶋 俊光 岡田 淳 杉田 暁大 伊藤 辰美 米山 彰子 諏訪部 章 山端 久美子 熊坂 一成 貝森 光大 中村 敏彦 川村 千鶴子 小池 和彦 木南 英紀 山田 俊幸 小栗 豊子 伊東 紘一 渡邊 清明 小林 芳夫 大竹 皓子 内田 幹 戸塚 恭一 村上 正巳 四方田 幸恵 高橋 綾子 岡本 英行 犬塚 和久 山崎 堅一郎 権田 秀雄 山下 峻徳 山口 育男 岡田 基 五十里 博美 黒澤 直美 藤本 佳則 石郷 潮美 浅野 裕子 森 三樹雄 叶 一乃 永野 栄子 影山 二三男 釋 悦子 菅野 治重 相原 雅典 源馬 均 上村 桂一 前崎 繁文 橋北 義一 堀井 俊伸 宮島 栄治 吉村 平 平岡 稔 住友 みどり 和田 英夫 山根 伸夫 馬場 尚志 家入 蒼生夫 一山 智 藤田 信一 岡 三喜男 二木 芳人 岡部 英俊 立脇 憲一 茂龍 邦彦 草野 展周 三原 栄一郎 能勢 資子 吉田 治義 山下 政宣 桑原 正雄 藤上 良寛 伏脇 猛司 日野田 裕治 田中 伸明 清水 章 田窪 孝行 日下部 正 岡崎 俊朗 高橋 伯夫 平城 均 益田 順一 浅井 浩次 河原 邦光 田港 朝彦 根ケ山 清 佐野 麗子 杉浦 哲朗 松尾 収二 小松 方 村瀬 光春 湯月 洋介 池田 紀男 山根 誠久 仲宗根 勇 相馬 正幸 山本 剛 相澤 久道 本田 順一 木下 承晧 河野 誠司 岡山 昭彦 影岡 武士 本郷 俊治 青木 洋介 宮之原 弘晃 濱崎 直孝 平松 和史 小野 順子 平潟 洋一 河野 茂 岡田 薫
出版者
日本抗生物質学術協議会
雑誌
The Japanese journal of antibiotics (ISSN:03682781)
巻号頁・発行日
vol.59, no.6, pp.428-451, 2006-12-25
参考文献数
17
被引用文献数
37
著者
三鴨 廣繁 玉舎 輝彦 田中 香お里 渡邉 邦友
出版者
公益財団法人 日本感染症医薬品協会
雑誌
The Japanese Journal of Antibiotics (ISSN:03682781)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.35-40, 2006-02-25 (Released:2013-05-17)
参考文献数
6
被引用文献数
2

近年では,性行動の多様化により,クラミジア・トラコマティスの咽頭感染を認める症例が増加していると言われている。しかし,クラミジア・トラコマティスは,咽頭に感染しても無症状のことも多く,感染が拡大する要因のひとつになっていると考えられる。今回,一般女性およびcommercial sex workers (CSWs) の性行動の実態およびクラミジア感染症 (子宮頸管および咽頭) の現状について調査した。その結果,一般女性においてもオーラルセックスは,性行為において,ごく普通の行為として定着していることが明らかになった。子宮頸管にクラミジア感染が認められた女性は,CSWsでは33.3%,一般女性では7.9%であり,咽頭にクラミジア感染が認められた女性は,CSWsでは22.5%,一般女性では5.2%であった。また,これらに対して,クラリスロマイシン,レボフロキサシン,アジスロマイシンによる治療成績を検討したところ,子宮頸管感染ではクラリスロマイシン400mgの7, 10, 14日間投与,レボフロキサシン300mgの7, 10, 14日間投与,アジスロマイシン1000mg単回投与のいずれにおいても除菌率は100%であった。しかし,咽頭感染では,クラリスロマイシン,レボフロキシンの10, 14日投与では,除菌率は100%であったが, 7日間投与では,それぞれ, 83.9%, 86.2%であり,またアジスロマイシンの単回投与では85.0%であった。これらの成績より,クラミジア咽頭感染ではクラリスロマイシンや,レボフロキサシンなどのフルオロキノロン系抗菌薬を10日間以上投与する必要があると考えられた。クラミジア咽頭感染の臨床的意義については議論の多いところであるが,今後は,耳鼻咽喉科および内科の医師とも協力しながら,培養法等などを用いた詳細な検討が必要であると考える。
著者
田中 輝和 田中 恭子 高原 二郎 藤岡 譲 田村 敬博 山ノ井 康弘 北条 聰子 高橋 敏也 三木 茂裕 中村 之信
出版者
公益財団法人 日本感染症医薬品協会
雑誌
The Japanese Journal of Antibiotics (ISSN:03682781)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.790-797, 1994-06-25 (Released:2013-05-17)
参考文献数
13

MRSAとその複数菌感染症に対し, Arbekacin (ABK), Fosfomycin (FOM) 投与30分後に Ceftazidime (CAZ) を投与する時間差併用療法を設定し, 基礎的, 臨床的検討を行い以下の成績を得た。臨床分離のMRSA 1727及びPseudomonas aeruginosa KIに対し, 1/4~1/8MICのABK, FOM, CAZの同時及び時間差処理を行い, 殺菌効果を比較したところ, 時間差処理群により優れた相乗的殺菌効果が認められた。両菌による複数菌感染にマクロファージを用いた系では, 三薬剤の時間差併用により, マクロファージによる著しい殺菌効果の増強が認められた。MRSA感染症を呈した15症例に対する臨床的検討では, 有効率は80.0%であった。MRSAに対する除菌率は60.0%であった。ABK, FOM, CAZを用いた時間差併用療法は, MRSAを含む複数菌感染症に対し, 非常に有効な治療法であると考えられる。
著者
甲田 雅一 福原 淳子 竹内 美香 大川原 正文 松崎 廣子 遠井 初子 古畑 紀子 丸山 美樹 佐々木 希実 沢辺 悦子 池田 昭 鈴木 ツル 佐藤 仁美 高橋 一郎 木村 冨美子 野村 久子 小野 恵美
出版者
公益財団法人 日本感染症医薬品協会
雑誌
The Japanese Journal of Antibiotics (ISSN:03682781)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.458-468, 1999

<I>Pseudomonas aeruginosa</I>に対する各種抗生物質の抗菌力は分離施設の使用抗生物質の種類や量により影響されることが多く, ある施設で有効とされる抗生物質が他の施設でも有効とは限らない。真に抗菌力に優れる抗生物質とはMICが低く, 薬剤耐性が進行し難い薬剤であり, そのような抗生物質こそ, どの施設からの分離菌に対しても有効と言えるであろう。著者らは薬剤耐性が進行し易い抗生物質ではMICの施設間差が大きいと考え, 6施設から分離した<I>P.aeruginosa</I>に対する各種抗生物質のMICとMICの施設間差を調査し, その結果をスコア化して, 総合的に抗菌力を評価する試みを行った。その結果, 真に<I>P.aeruginosa</I>に対する抗菌力に優れる抗生物質はimipenem, cefozopran, ceftazidime, cefsulodin, amikacinなどであると考えられた。本報告で提案した解析方法は, 入院患者の細菌感染症に対する優れた抗生物質の評価のための一方法になり得ると考える。
著者
岡本 美穂二 安冨 徹
出版者
公益財団法人 日本感染症医薬品協会
雑誌
The Japanese Journal of Antibiotics (ISSN:03682781)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.634-637, 1975

消化管の手術においては, 消化管内に存在するグラム陽性およびグラム陰性の細菌による手術野の汚染は, 一般に避けることができないとされている。<BR>手術中に汚染された腹腔内の感染予防のために, 細菌に直接作用させることを目的として, 抗生物質を手術終了直前に腹腔内に注入する方法がある。腹腔内に投与された抗生物質は, 腹膜を介して血液中に移行するが, 腹膜の吸収能は, 横隔膜下腹膜, 大網, 消化管を包む腹膜が, 他の部位の腹膜よりも特にすぐれた透過性を有しており1), 抗生物質は腹腔内投与によつても速やかに血液中に移行し, 有効血中濃度が得られるとされている2)。したがつて, この方法は, 術後の全身性の感染症の予防にも効果が期待できるものと考えられる。<BR>我々は, 従来から腹部手術においては, 手術終了直前に抗生物質を腹腔内に注入することを原則としているが, 注入する抗生物質は副作用の少ないものを使用するように心掛けている。今回, 広範囲スペクトルをもつ殺菌性の抗生物質で, 毒性が低く, 特に腎毒性が少ないために術後の感染予防に広く用いられているSodium cephalothin (商品名ケプリン, 以下CETと略す) を, 腹腔内投与および全身投与に使用し, その併用療法における臨床効果を検討したので報告する。
著者
原田 喜男 花房 友行
出版者
公益財団法人 日本感染症医薬品協会
雑誌
The Japanese Journal of Antibiotics (ISSN:03682781)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.188-194, 1975

薬剤の投与方法には, 静注や筋注あるいは経口などによる全身投与と限局した部位に対する局所投与とがある。抗生物質を腹腔内に投与する方法は, 腹膜炎治療における薬剤投与の1手段として古くから用いられてきた方法であり, 現在も各種の抗生物質が腹腔内に投与されている1)。また近年, 腹部手術時における細菌汚染に対して, 術中に抗生物質を腹腔内に投与し, 術後の腹腔内感染を予防する旨の報告もある1~3)。<BR>手術時における抗生物質腹腔内投与の利点は,(1) 汚染直後に,(2) 直接汚染部位に,(3) 高濃度に, 薬剤を作用させることができる点であり, 一方その副作用としては, 抗生物質の種類によつて,<BR>(1) 腹膜に対する刺激作用一腸管癒着による癒着性イレウスの発生など。<BR>(2) 腹腔内諸臓器に対する刺激作用一特に腸管運動の抑制をも含む。<BR>(3) 術創部の治癒遅延。<BR>(4) 血中移行による全身性の毒性一特に麻酔下における呼吸抑制をも含む。などのあることが指摘されている1, 4)。<BR>Sodium cephalothin (商品名, ケプリン, 以下CETと略す) は, 広範囲のスペクトルをもつ殺菌性の抗生物質で, 非常に毒性が少なく, 特に腎毒性の少ないことなどの利点によつて, 術後の全身投与の抗生物質として広く用いられているものである。<BR>一方, CETの腹腔内投与に関しては,米国での臨床報告があり, その安全性と有効性が確認されているが5~7), 我国でもCETの腹腔内投与を推奨する意見があるので1, 2, 8), 我々はCETの腹腔内投与の安全性について検討するため, ラットを用いて毒性試験をおこなった。
著者
小塚 良允 田村 博昭 清水 保 長谷川 美知子 田中 熟 日高 敏男 鳥浜 慶熈 杉山 陽一 石井 奏
出版者
公益財団法人 日本感染症医薬品協会
雑誌
The Japanese Journal of Antibiotics (ISSN:03682781)
巻号頁・発行日
vol.28, no.5, pp.684-686, 1975

近年における抗生物質の開発進歩には目覚しいものがあり, 各種感染症に対してあるいは汚染手術の術後感染予防に対して著明な効果を期待できるまでに至つている。しかし, その投与方法に関しては, 未だに慣用的な要素が多く, 今後の研究の余地が残されている。抗生物質の本来の効果を期待するには, 薬剤の濃度と起炎菌の感受性との関係を解明した上での正しい投与法をおこなう必要がある。<BR>産婦人科領域における術後感染症として最も重要なのは, 子宮頸癌-広汎子宮全摘除術における骨盤死腔炎である。私どもは, この種の手術にさいして, 子宮全摘除後の骨盤死腔内に, Sodium cophalothin (商品名, ケプリン, 以下CETと略す) の粉末29を散布し, 術後骨盤死腔炎の予防効果を挙げている。今回, CET2g骨盤死腔内投与後の血中濃度を測定し, 術後の抗生物質の投与方法について検討する機会を得たのでその成績を報告する。
著者
佐々木 眞敬 佐野 光一 角 明美 本山 径子 矢野 讓次 松本 一彦 山本 宏
出版者
公益財団法人 日本感染症医薬品協会
雑誌
The Japanese Journal of Antibiotics (ISSN:03682781)
巻号頁・発行日
vol.42, no.11, pp.2412-2421, 1989-11-25 (Released:2013-05-17)
参考文献数
10

Miporamicin (MPM) 並びにその微量成分, 分解物及び代謝物のマウス, ラットにおける急性毒性試験を行った。1. MPMの経口投与によるマウス, ラットにおけるLD50値は最高用量においても死亡が認められなかったことから, それぞれ2,500mg/kg及び2,000mg/kg以上と推定された路。投与経によるLD50値は静脈内く皮下く経口投与の順に高くなり, 性差は認められなかった。2. MPMを経口投与されたマウス, ラットの一般症状に異常は認められなかった。皮下投与では, 投与部位の腫脹, 皮下充出血, 脱毛, 痂皮形成等の炎症性反応が認められた。静脈内投与では, 投与直後に運動抑制及び呼吸抑制又は停止, 振戦, 痙攣等が観察された。3. MPM投与による死因は呼吸抑制, チアノーゼ, 更に, 呼吸停止の後, 心拍の停止がみられることから, 呼吸機能麻痺によると推定された。4. MPMの微量成分, 代謝物及び分解物の急性毒性試験ではMPMとほぼ等しい毒性発現を示した。
著者
福留 厚 松峯 敬夫
出版者
公益財団法人 日本感染症医薬品協会
雑誌
The Japanese Journal of Antibiotics (ISSN:03682781)
巻号頁・発行日
vol.36, no.8, pp.1999-2006, 1983-08-25 (Released:2013-05-17)
参考文献数
13

Cefoxitinsodium (マーキシン注射用, 以下CFXと略す) はStreptomyces lactamduransが産生するCephamycin Cの誘導体として, 最初に開発されたCephamycin系抗生物質である。CFXは, 特にグラム陰性桿菌のうち, Escherichia coli, Klebsiella, Proteusに対して, 優れた抗菌力を示し, 又多くの抗生物質に耐性の嫌気性菌Bacteroides fragilisに対しても極めて有効であると言われている1~4)。今回, 著者らは消化器外科領域での重症感染症に対して, CFXを使用し, その臨床効果, 起炎菌, 副作用に対する検討を行つたので報告する。
著者
小松 信彦 長岡 弘司 福留 厚 李 材木 天野 洋 南雲 昇 雨宮 功治 加藤 桃代
出版者
公益財団法人 日本感染症医薬品協会
雑誌
The Japanese Journal of Antibiotics (ISSN:03682781)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.549-557, 1975-08-25 (Released:2013-05-17)
参考文献数
4

我々は前報1~3) において, 担子菌多糖Schizophyllan (略称: SPG) が諸種の急性の実験的細菌感染症に対して非特異的に感染防御効果を発揮するばかりでなく, 慢性感染症であるマウスの実験的結核症にも治療効果を示し, SPGによる網内系細胞の賦活化が抗結核作用と深い関連性があること, および Ethambutol (EB)と併用したばあい, EBの抗菌作用が加わり, よりよい治療効果をあげ得ると推察される組織像がみられたことを報告した。また前報2) において, Streptomycin (SM)とRifampicin (RFP)の単独およびそれらとSPGとの併用療法の延命効果について報告したが, 今回はそれらの病理組織学的検索の結果について述べる。
著者
福留 厚 松峯 敬夫
出版者
公益財団法人 日本感染症医薬品協会
雑誌
The Japanese Journal of Antibiotics (ISSN:03682781)
巻号頁・発行日
vol.36, no.8, pp.1999-2006, 1983

Cefoxitinsodium (マーキシン注射用, 以下CFXと略す) は<I>Streptomyces lactamdurans</I>が産生するCephamycin Cの誘導体として, 最初に開発されたCephamycin系抗生物質である。CFXは, 特にグラム陰性桿菌のうち, <I>Escherichia coli, Klebsiella, Proteus</I>に対して, 優れた抗菌力を示し, 又多くの抗生物質に耐性の嫌気性菌<I>Bacteroides fragilis</I>に対しても極めて有効であると言われている1~4)。<BR>今回, 著者らは消化器外科領域での重症感染症に対して, CFXを使用し, その臨床効果, 起炎菌, 副作用に対する検討を行つたので報告する。
著者
小松 信彦 長岡 弘司 福留 厚 李 材木 天野 洋 南雲 昇 雨宮 功治 加藤 桃代
出版者
公益財団法人 日本感染症医薬品協会
雑誌
The Japanese Journal of Antibiotics (ISSN:03682781)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.549-557, 1975

我々は前報1~3) において, 担子菌多糖Schizophyllan (略称: SPG) が諸種の急性の実験的細菌感染症に対して非特異的に感染防御効果を発揮するばかりでなく, 慢性感染症であるマウスの実験的結核症にも治療効果を示し, SPGによる網内系細胞の賦活化が抗結核作用と深い関連性があること, および Ethambutol (EB)と併用したばあい, EBの抗菌作用が加わり, よりよい治療効果をあげ得ると推察される組織像がみられたことを報告した。また前報2) において, Streptomycin (SM)とRifampicin (RFP)の単独およびそれらとSPGとの併用療法の延命効果について報告したが, 今回はそれらの病理組織学的検索の結果について述べる。
著者
大島 利夫
出版者
公益財団法人 日本感染症医薬品協会
雑誌
The Japanese Journal of Antibiotics (ISSN:03682781)
巻号頁・発行日
vol.50, no.11, pp.855-861, 1997-11-25 (Released:2013-05-17)
参考文献数
21

平成8年7月に大阪府堺市で発生した腸管出血性大腸菌による集団下痢症に際し, ベルランド総合病院小児科で外来患者788例, 入院患者88例を扱い, 入院例を中心に溶血性尿毒症症候群(HUS)合併の予期因子を検討した。当院では入院, 外来の全例に抗菌薬 (ホスホマイシン) を投与し, HUS合併率は1.4%と低率であった。入院症例の検討で, 腹痛持続日数では有意差がなかったが, 血便持続日数, 下痢持続日数の検討では合併症例が非合併症例よりも長い傾向があった。入院時15,000/μl以上の白血球増多のある例, CRP2.0mg/dl以上の例でもHUS合併が多かった。経過中に発熱があった例, 嘔吐を伴った例でもHUS合併が多い傾向があった。不完全HUS, 腎症, LDH高値, 血小板減少, 乳幼児といったHUS合併のリスクが高いと考えられる34例に, γ-グロブリン, ウリナスタチン, アスピリン, ジピリダモールからなる「早期集約的治療」を行い, 臨床的に有効と思われた。
著者
森鼻 健史 金子 明寛 富田 文貞 諏訪 俊男 河野 喜郎 小林 寅哲
出版者
公益財団法人 日本感染症医薬品協会
雑誌
The Japanese Journal of Antibiotics (ISSN:03682781)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.973-982, 1989-04-25 (Released:2013-05-17)
参考文献数
15

新規マクロライド系抗生物質Clarithromycin (TE-031, A-56268) はラット顎下腺におけるミクロオートラジオゲラフィーによる分布状態の検討では腺房, 導管部共に良好な14C-TE-031の集積がみられた。健康成人男子ボランティア3名によるTE-031 300mg単回投与の血清中, 及び唾液中移行濃度は平均値でそれぞれCmax1.49μg/ml, 1.93μg/ml. Tmax2.91時間, 2.66時間, T1/2 6.31時間, 4.15時間, AUC18.58μg・hr/ml.17.70μg・hr/mlである。又, 同症例から得られた唾液中細菌叢は本剤の唾液中濃度の上昇に伴い, 総細菌数は減少したが12時問後には回復した。又, 経過中菌の耐性化はみられなかつた。以上本剤は個体差はあるものの, 血清中を上回る唾液中移行濃度を示し, 唾液によるTherapeutic drug monitoring (TDM) も可能な薬剤と考える。又, 本剤によると思われる一過性の唾液細菌叢の減少はみられるものの早期に回復し, 単回投与では耐性菌の出現もなく短期投与では口腔正常細菌叢への影響の少ない薬剤と考える。Clarithromycin (TE-031, A-56268) は大正製薬株式会社総合研究所でErythromycin (以下, EM) から合成された新規マクロライド系抗生物質であり, 良好な血中及び組織移行性を示すことが知られている。臨床的にも急性歯性感染症に対し, EMの1/4~1/3量である1日300~400mg投与で約80%の有効率が得られている1)。我々は, 本剤が唾液中への移行性が良いとされていることから1), 顎下腺組織への移行性について, ラットに14C-TE-031を投与後の移行分布をミクロオートラジオグラフィーにて検討し, 又, 3名の健康男子ボランティアに対し本剤300mgを食前投与し, 経時的に血清中及び唾液中濃度を測定すると共に, 唾液中細菌叢への影響を調べた。
著者
板橋 繁
出版者
公益財団法人 日本感染症医薬品協会
雑誌
The Japanese Journal of Antibiotics (ISSN:03682781)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.161-170, 2007-06-25 (Released:2013-05-17)
参考文献数
15

重症肺炎に対する抗菌化学療法の治療効果向上を目的として, Pharmacokinetics/Pharmacodynamics (PK/PD) 理論に基づいたメロペネム (MEPM) の投与条件の検討を行った。重症肺炎患者42例を対象にMEPM (0.5g, 1日2回) の30分~1時間点滴 (1時間群: 24例) と4時間点滴 (4時間群: 18例) による臨床効果を比較検討した。治療に要したMEPMの投与日数およびCRPの低下率には両群問で差が認められなかったが, 死亡率に関しては, 1時間群の37.5%に対して, 4時間群では5.6%と有意 (P<0.05) に優れた救命効果を示した。本検討においては, 各患者における起炎菌のMEPM感受性およびMEPMの血中濃度推移を実測確認できていないものの, 4時間群において認められた優れた救命効果は, 点滴時間の延長によりもたらされたTime above MICの延長を主たる要因とするものであると考えられた。この結果から, MEPMの点滴時間の延長は重症肺炎に対する本剤の臨床効果を向上する上で有用であることが示唆された。
著者
大村 智
雑誌
The Japanese journal of antibiotics (ISSN:03682781)
巻号頁・発行日
vol.49, no.8, pp.755-765, 1996-08-25
参考文献数
22
被引用文献数
1
著者
藤井 良知
出版者
公益財団法人 日本感染症医薬品協会
雑誌
The Japanese Journal of Antibiotics (ISSN:03682781)
巻号頁・発行日
vol.40, no.6, pp.1099-1107, 1987-06-25 (Released:2013-05-17)
参考文献数
7

セフチゾキシム坐剤 (CZX坐剤, エポセリン®坐剤) は藤沢薬品工業 (株) が開発したセフチゾキシム (CZX, エポセリン®) を主薬とし, 吸収促進剤としてカプリン酸ナトリウム (CA-Na) を配合し, 京都薬品工業 (株) と共同で開発された小児用坐剤である.年, 坐剤による直腸内投与は注射剤又は経口剤の投与が困難な小児を含む患者に対し, 有用な薬物投与手段としてその存在価値が見直され, 直腸からの薬物の吸収性に関する研究が盛んに行われている。すでに, 解熱鎮痛剤, 制癌剤では坐剤が市販され, 抗生物質についても高い有用性が期待されているが, その吸収性に難点があり, 坐剤として治療に用い得るものは極めて少なかつた。しかし, 最近β-Lactam系抗生剤の吸収促進剤としてCA・Naが見出され, アンピシリン坐剤 (ABPC坐剤) 1) に続いて, 本来腸管からは吸収されないとされているCZXについても直腸からの吸収性が大幅に改善され, CZX坐剤が開発されるに至つた。主薬のCZXは7位にAminothiazolylmethoxyiminoacetamido基を有し, 3位に置換基のない構造を有する注射用の第5群Cephem剤である2)(Fig.1)。CZXは種々のβ-Lactamaseに対し安定で広範な抗菌スペクトルを有し, グラム陽性菌ではStreptococcuspneumoniae, Streptococcus sp.(Enterococcus faecalisを除く), グラム陰性桿菌ではEscherichiacolf, Klebsiella sp., Haemophilus influenzae, Proteusmirabilis, インドール陽性Proteus sp.に強い抗菌力を有する。更に, 第1, 2, 4群のCephem剤と異なりSerratia sp., Enterobacter sp., Citrobacter sp.及びBacteroides sp.を含む嫌気性菌などにも強い抗菌力を有する3)。CZXはすでに市販され, 成人及び新生児・未熟児を含む小児の諸種感染症にその有用性が認められている
著者
百瀬 皓 笠原 淳弘 畚野 剛 水田 栄治
出版者
公益財団法人 日本感染症医薬品協会
雑誌
The Japanese Journal of Antibiotics (ISSN:03682781)
巻号頁・発行日
vol.35, no.12, pp.2879-2893, 1982-12-25 (Released:2013-05-17)
参考文献数
20

近年本邦においては, 諸外国に比べて各種抗菌剤の研究開発が極めて活発に行われている。特にペリシリン, セファロスポリン系のβ-ラクタム系抗生物質はその作用機序が細菌細胞壁に直接作用するために人体に対する副作用が少なく, 安全性に優れていることから, 市販品も多数にのぼつている。しかし, 眼科領域の適応症を取得している薬剤は少なく, Sulbenicillin (SBPC), Carbenicillin (CBPC), Cepha-10thin (CET), Cefaloridine (CER), Cefazolin (CEZ) であるが, 臨床適用の参考となるヒトの眼内移行性成績はCEZ1, 2) を除き見当らない。又国内では眼科領域の適応症は取得していないけれども, 外国での研究としてCefuroxime (CXM) 3), Cefamandole (CMD) 4), Cefoxitin (CFX) 5) の眼内移行性が報告されているにすぎない。このような現状において, このたび武田薬品から特徴のある2種類のセファロスポリン系抗生剤Cefsulodin (CFs), とCefotiam (CTM) が市販された。その化学構造式をFig.1に示した。CFSは, 緑膿菌に有効な世界最初のセファロスポリン系抗生物質であり, 一方のCTMはグラム陽性菌からグラム陰性菌にまで幅広い抗菌スペクトルを有し, 従来のセファロスポリン系抗生物質に比べて新しくインフルエンザ菌, シトロバクター属, エンテロパクター属, インドール陽性のプロテウス属が有効菌種として追加され, 日常診療で分離頻度の高い菌種には極めて抗菌力の強い薬剤である。これら両剤の家兎眼内移行性についてはすでに検討がなされている6, 7) が, ヒト眼内移行性については検討成績がなく, 今後の眼感染症に対する臨床使用の一助とするべく, 両剤のヒト眼内移行性につき検討し, 若干の考察を加えたので, ここに報告する。