著者
朝倉 真一 野嶋 政和
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.235-240, 1998-10-25 (Released:2018-04-01)
参考文献数
11
被引用文献数
1

The purpose of this paper is to examine the spatial structure of the monthly market held on the precincts of Kitano-Tenmangu in Kyoto City by the design survey and the research of the human behavior. As a results of this analysis, it could conclude as follows; (1) This market consists of eight zones, and these zones are more divided to four religious zones and four living-goods zones. (2) It has the religious axis made by the sequence of this stands with the three-dimensional forms, and is connected to the surrounding spaces by the two plaza-type zones. (3) As the spatial structure of his market is made by the combinations of the forms and the arrangements of the stands and the varieties of goods, it is considerable that there are techniques making the space adapted to the environment and the needs of the users without professional designer.
著者
倉 真一
出版者
宮崎公立大学
雑誌
宮崎公立大学人文学部紀要 (ISSN:13403613)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.1-15, 2012-03-02

本稿では、紀元二千六百年奉祝の一環として、1940年に大阪・枚方遊園で開催された「肇国聖地日向博覧会」(日向博)をとりあげる。日向博はこれまで言及されることがほとんどない、いわば忘却された博覧会であるが、残された資料をもとに考察した結果、以下の点が明らかになった。第一に、紀元二千六百年奉祝事業をめぐる地方間、新聞社間、鉄道会社間の競争と対抗関係から、宮崎県一大阪毎日新聞一京阪電鉄の間に連携が生じ、この連携のなかで同博覧会が開催されたこと。第二に、同博覧会は「聖地巡拝」という名の観光(聖蹟観光)をテーマとしており、それは「肇国の聖地・日向」の立体パノラマによるスペクタクル化によって表象され、都市中間層を聖蹟観光に動員しようとするものであったこと。第三に、「おきよ丸」による神武東遷の再現航海事業と日向博が結びつけられていたこと。その背景には、ともに神話あるいは肇国の聖地のスペクタクル化であるという両者の共通性が存在すること。第四に、日向博における都市中間層の動員、「聖蹟観光」における皇室ブランドの活用などは、戦後の宮崎観光(新婚旅行ブーム)に姿を変えて引き継がれていった可能性が示唆されたこと。
著者
倉 真一
出版者
関東社会学会
雑誌
年報社会学論集 (ISSN:09194363)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.8, pp.191-202, 1995-06-05 (Released:2010-04-21)
参考文献数
13

This article is based on the data of a survey of Iranians currently living and working in Japan. Using Portes' theoretical framework, the author provides an analysis and discussion of several aspects relating to them in view of their strategies for survival and future life chances. The conclusions presented are that; 1) The group of Iranians living in Japan are composed of differing classes of origin and that there is a significant correlation between class of origin and purpose of coming to Japan; 2) The major factors that affects their working conditons are the point in time in the economic cycle they entered the labor market and the extent of their own social networks; 3) They see the Japanese society through the frames of reference that have been produced in view of their expected life chances; 4) Despite the persistence of the economic recession, some Iranians are gradually becoming permanent residents.
著者
倉 真一 長谷川 司
出版者
宮崎公立大学
雑誌
宮崎公立大学人文学部紀要 (ISSN:13403613)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.41-61, 2010-03-05

大正時代、宮崎県そして青島が鉄道網の伸張にともない全国的な鉄道網に統合されていくなか、「日向青島絵はがき」は誕生した。当初、「日向青島絵はがき」の二大ジャンルは、「風景絵はがき」と「植物絵はがき」であった。これらの絵はがきを構成したのは、皇族や学者ら中央からの来訪者が「日向青島」にむける「統治のまなざし」や「科学のまなざし」であり、同時にローカルな生活世界における地元の人々による意味づけであった。その後、昭和に入ると「日向青島絵はがき」は大きく変容していくことになる。その変容過程の背景にあったのは、「統治のまなざし」や「科学のまなざし」にかわる「観光のまなざし」の優越化であり、「日向青島」とそのイメージが、ローカルな生活世界から「脱埋め込み化」されていくという二つの大きな変化であった。その結果、「日向青島絵はがき」における青島とそのイメージは「南国化」し、「白砂青松」にかわって「ビロー樹」をシンボルとする、「ビロー樹絵はがき」という新ジャンルが形成されていったのである。
著者
倉 真一
出版者
宮崎公立大学
雑誌
宮崎公立大学人文学部紀要 (ISSN:13403613)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.113-128, 2006

本稿は1980年代以降に創刊された新興の保守系オピニオン誌の一つである『SAPIO』における外国人言説を考察したものである。1989年の創刊から1990年代前半までの在日外国人に関連する記事を分析した結果、「われわれ=日本人」という主体による「混住社会ニッポン」の実現が90年代初頭には語られていたが、そこで暗黙に想定されていた「外国人」とは、『SAPIO』の主要な読者である企業サラリーマン層からみて同質性が高く、理解可能でコントロール可能な客体、いわば他者性を縮減された「外国人」であった。しかし「外国人犯罪」に関する記事のなかで、「外国人」=加害者(主体)と「日本人」=被害者(客体)という図式が強まり、「外国人」を理解やコントロールが困難な他者性を孕んだ主体として表象するようになるにつれ、最初期の「混住社会ニッポン」を構想する主体としての「われわれ=日本人」という言説は後退し、やがて「混住」というキーワードは誌面上から消えてしまう。かわりに誌上に現れたのは、日本社会にとって〈有益な外国人〉-〈有害な外国人〉という二項対立的な図式であり、それが1990年代後半以降における『SAPIO』の外国人言説の基調をなすことになる。
著者
倉 真一 Shinichi KURA 宮崎公立大学人文学部 Miyazaki Municipal University Faculty of Humanities
雑誌
宮崎公立大学人文学部紀要 = Bulletin of Miyazaki Municipal University Faculty of Humanities (ISSN:13403613)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.45-64, 2020-03-06

本稿は、保守系オピニオン誌『SAPIO』における2010 年代の外国人言説を分析したものである。分析の結果、明らかになった点は以下のとおりである。 第一に、2000 年代に現れた移民や外国人を管理する主体としてのネーションは、2010 年代に入っても「外国人参政権法案」や「ヘイトスピーチ」、「年間20 万人移民受け入れ構想」といった政治的争点が浮上するたびに、同誌上において再確認されていった。 第二に、2014 年の特集記事「移民と在日外国人」において、「移民国家ニッポン」というビジョンを実現する統治的主体として、移民や外国人を管理する主体としてのネーションは位置づけられた。外国人や移民が「日本的な価値観や美徳、文化や慣習」を受け入れる(=同化)客体として構築される一方、統治的主体としての「われわれ」=ネーションは、彼らを教導する「寛容な」主体として構築された。 第三に、移民や外国人を管理する主体としての潜在能力を発揮できない(移民や外国人を十分に客体化できない)事態に直面する時、「移民国家ニッポン」というビジョンは揺らぎ、それを実現すべき統治的主体としてのネーションの不安が惹起されることになる。2010 年代後半、特に2018 年の2 つの特集記事を通じて、さらに「移民国家ニッポン」というビジョンの揺らぎ、統治的主体の不全感や無能感へと進んでいった。その結果、特集記事での移民や外国人のイメージも、ポジティブとネガティブ両方を含むものから、外国人犯罪に象徴されるネガティブなイメージのみが前景化していった。 第四に、2010 年代の雑誌『SAPIO』における外国人言説は、同誌の創刊当初の外国人言説を特徴づけていた「混住社会ニッポン」というビジョンの揺らぎとその失効の過程と重なり合う。「移民国家ニッポン」というビジョンとその揺らぎは、『SAPIO』誌上における外国人言説の四半世紀を経た回帰としても把握できるものである。
著者
朝倉 真一 永橋 為介 野嶋 政和
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.103-108, 2001-10-25 (Released:2017-12-01)
参考文献数
65

The purpose of this paper is to figure out historically and theoretically the character of public retail and wholesale center in around the 1920s in Kyoto by focusing on the context of modern commercial and distributive policy change and the context of modern city management and planning. It could be concluded as follows; (1)Public retail was set first as the one of social work programs for the poor in down town, but the character was getting pilot of a good modern retail, and was set strategically around developing suburb in Kyoto. (2)Particularly, after wholesale center was set in 1927, not only public retail but also private retail and wholesale places were all organized and governed in modern hierarchical system of both modern commercial and distributive policy and city management. (3)This change of commercial and distributive policy was related to and supported by the modern city management policy and new city planning in Kyoto.
著者
朝倉 真一 野嶋 政和
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.66, no.5, pp.789-794, 2003 (Released:2003-09-24)
参考文献数
15
被引用文献数
5 6

The purpose of this paper is to figure out the characteristics and subjects in the Flea-Markets for the community revitalization on the precincts in Kyoto City, through the research for the recognition of the constituents (the administrators, the managers, the stall keepers, the visitors) about the three Flea-Markets. As the results of this analysis, it could conclude as follows. (1) In the Flea-Market, the stall keepers and the visitors share the meanings of the Flea-Market as the place for the communications and the recreations, and (2) the stalls of the amateurs play the important roles to make this characteristic. (3) It is needed for keeping these characteristics to accept the many kinds of the stalls, not like as the conventional stalls organization. And (4) it is needed for the management of the Flea-Market and making the varieties of the goods in the Flea-Market to make use of the network of the stall keepers across the communities, to make use of the resources of the community.
著者
朝倉 真一 野嶋 政和
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
日本造園学会 全国大会 研究発表論文集 抄録 平成15年度日本造園学会全国大会
巻号頁・発行日
pp.59, 2003 (Released:2003-09-01)

本論は、地域コミュニティ活性化を目的としたフリーマーケットについて、京都市内の3つの事例を挙げ、構成主体(空間管理者・主催者・出店者・利用者)の認識を通じてその特性を明らかにし、今後の課題を検討した。その結果、出店者・利用者はフリーマーケットのコミュニケーション・レクリエーションの場としての意味を共有する関係にあり、その中で一般市民・素人の出店が重要な役割を担っていること、そしてこうした特性を支えるためには、既存の露店組合等による管理とは異なる幅広い出店者層の受入れと、管理運営や出店者構成における地域横断的な出店者ネットワークの活用、地域組織等の地域資源の活用が重要であることが明らかになった。
著者
倉 真一 Shinichi KURA
雑誌
宮崎公立大学人文学部紀要 = Bulletin of Miyazaki Municipal University Faculty of Humanities
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.67-87, 2003-03-20

本稿は1990年代の日本における入国(移民)管理政策を,「非行性」の産出という観点から概観したものである。最初に1990年代の入国管理政策を画した1989年と99年の二度の入管法改正をめぐって,前者においては非正規外国人の存在が争点であったこと。しかし非正規外国人という存在が入国管理政策によって作り出されているために,非正規外国人の排除という政策意図は失敗したことを確認した。後者においては非正規外国人による外国人犯罪が焦点となり,入国管理政策を正当化する論拠としての「治安対策」が浮上してきたことを確認した。ついで上記の正当化とそれを支える外国人犯罪の否定的イメージそのものが,実は非正規外国人に対する排除の「意図せざる結果」として形成されたことが明らかになった。「違法性」を纏った「法律違反者」である非正規外国人を,その違法性を理由に排除していく末に産み出されていくのが,「非行性」とその所持者としての「非行者」-すなわち「外国人犯罪者」のイメージなのである。要するにフーコーが「監獄の失敗」にみたように,入国管理制度は自分の存在する根拠(=非行性)を,自らの効果として産出するという自己準拠的な構造を有すといえるだろう。 1989年改正入管法の失敗にもかかわらず,あるいは失敗ゆえに99年改正入管法と現在の入国管理制度は存続の根拠(正当性)を「治安対策」として,自らの産み出した「非正規外国人」と「外国人犯罪者」のうえに求めることができるのである。