著者
八重樫 文
出版者
福山大学
雑誌
福山大学人間文化学部紀要
巻号頁・発行日
vol.6, pp.123-133, 2006-03-01

本稿では、その概念拡大と解釈の不定性が指摘される「デザイン」に関する今後の議論の共通基盤を築くために、現代社会における「デザイン概念」の整理を行った。その結果、(1)「(英語としての)design」の語義から捉え、その解釈を人間の根源的営為にまで拡げた観点、(2)近代デザインの専門性を背景とした観点、の2つの解釈が錯綜した状況であることが確認された。
著者
脇本 健弘 苅宿 俊文 八重樫 文 望月 俊男 酒井 俊典 中原 淳
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.209-218, 2010-01-20 (Released:2016-08-06)
参考文献数
24
被引用文献数
5

本研究では,初任教師の育成として授業に関するメンタリングに注目をした.メンタリングとは,経験を積んだ専門家(熟達教師)が新参の専門家(初任教師)の自立を見守り,援助することである.初任教師を対象に授業に関するメンタリングを行う際は,初任教師が授業を行い,子どもの姿をもとにした授業の振り返りを行うことが有効である.しかし,子どもの姿をもとにした授業の振り返りを行う際に,(1)対話内容が授業技術や理論的なもの中心で,具体的な子どもの話がでてこない,(2)熟達教師の子どもの話が初任教師に伝わらない,(3)振り返る子どもに偏りが出るという問題がある.上記問題を解決するために,メンタリング支援システムFRICA(読み方:フリカ)を開発した.その結果,FRICAを利用することにより,子どもの話が引き出され,初任教師に伝わるように熟達教師が子どもの話ができるようになった.また,子どもの偏りに関しても効果がみられた.
著者
八重樫 文絵 荒木 雅弘 岡 夏樹 新谷 元司 吉川 昌孝
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.1H3J1305, 2019 (Released:2019-06-01)

本稿では,レセプトデータを用いた生活習慣病の発症予測システムを提案する.近年運送業界では,インターネットの普及に伴うドライバーの過重労働に対する対策として,健康管理対策の見直しを急務としている.発症予測を目的とした関連研究には,医療情報に対して表現学習を用いているものがある.これらの関連研究と同様に,我々は本研究の課題を自然言語処理の分野の文書分類問題として捉え,生活習慣病の発症予測を行うモデルの開発を試みた.我々は文字列として保存されているレセプトデータを固定長ベクトル化し,アンダーサンプリングとバギングの組み合わせによって生活習慣病の発症を予測した.その結果,我々のモデルは正例の再現率が0.75にまで昇り,レセプトデータに対して自然言語処理を施すことの有効性が示された.
著者
酒井 俊典 八重樫 文 久松 慎一 山内 祐平
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.113-123, 2006-09-20 (Released:2016-08-03)
参考文献数
22
被引用文献数
4

本研究では,メディア・リテラシーに取り組む教師の学習を支援するオンライン学習プログラムを開発した.メディア・リテラシーに必要とされる専門性を有する,メディア業界に勤務する人々,メディア・リテラシー研究者,メディア・リテラシーに先進的に取り組んできたベテラン実践者との相互作用を通じて,教師が行ったメディア・リテラシー学習を評価した.その結果,評価対象となる参加教師のうち42.1%の教師がメディアの送り手の実際的な状況や,メディア・リテラシーの理論的背景といったメディア・リテラシーの内容に関する知識と教授方法に関する知識を獲得し,内省を行っていたことが明らかになった.
著者
中原 淳 八重樫 文 久松 慎一 山内 祐平
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学雑誌 (ISSN:03855236)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.437-445, 2004-03-20
被引用文献数
7

近年,多くの高等教育機関がeラーニングに注目している.一般的なWebベースのeラーニングシステムには,学習者同士が相互作用を行うための電子掲示板が実装されている.学習者は,それを活用し,相互に情報交換や討論を行い,協調的な問題解決に取り組むことができる.本研究では,電子掲示板における相互作用の状況を,個々の学習者が所有する携帯電話の待ち受け画面に可視化することで,電子掲示板における学習者の諸活動を促進することを目的とした携帯電話ソフトウェア「iTree」を開発した.iTreeは,「木の成長をメタファとした表現」を用いて,電子掲示板の相互作用を携帯電話の待ち受け画面に可視化する.この画面を見ることで学習者は,PCから電子掲示板の様子を,頻繁にチェックしなくても,そこで進行している相互作用の状況を把握することができる.評価の結果,iTreeを利用する学習者は,電子掲示板のメッセージを,より積極的に閲覧する傾向があることがわかった.また,iTreeの機能全般に関して,多くの学習者が肯定的な主観的評価をよせていた.
著者
脇本 健弘 苅宿 俊文 八重樫 文 望月 俊男 酒井 俊典 中原 淳
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.209-218, 2010
被引用文献数
1

本研究では,初任教師の育成として授業に関するメンタリングに注目をした.メンタリングとは,経験を積んだ専門家(熟達教師)が新参の専門家(初任教師)の自立を見守り,援助することである.初任教師を対象に授業に関するメンタリングを行う際は,初任教師が授業を行い,子どもの姿をもとにした授業の振り返りを行うことが有効である.しかし,子どもの姿をもとにした授業の振り返りを行う際に,(1)対話内容が授業技術や理論的なもの中心で,具体的な子どもの話がでてこない,(2)熟達教師の子どもの話が初任教師に伝わらない,(3)振り返る子どもに偏りが出るという問題がある.上記問題を解決するために,メンタリング支援システムFRICA(読み方:フリカ)を開発した.その結果,FRICAを利用することにより,子どもの話が引き出され,初任教師に伝わるように熟達教師が子どもの話ができるようになった.また,子どもの偏りに関しても効果がみられた.
著者
望月 俊男 久松 慎一 八重樫 文 永田 智子 藤谷 哲 中原 淳 西森 年寿 鈴木 真理子 加藤 浩
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.23-33, 2005
被引用文献数
11

本研究では, 電子会議室で協調学習を行う学習者の発言データをもとに, そこで各学習者が発言している議論の内容とプロセスを可視化するソフトウェアi-Beeを開発した.i-Beeは任意の期間を単位として, 各学習者がどのようなキーワードをもとに発話したのか, 相互関係をまとめたマップを提示する.また, 過去にさかのぼってマップの変化の過程を確認できる.ある大学の授業で, i-Beeを利用して電子会議室上で議論を行い, その有効性を検討したところ, 学習者がi-Beeを見ることで, 自分自身や他の学習者の議論への関わりや, その時点までの関わりの変化の特徴に気づくことができることが分かった.また, 学習者がこれまで関わってこなかった学習者や話題にアクセスしたり, 議論への関わり方をリフレクションすることを促すリソースとなることが示された.