著者
風間 眞理 加藤 浩治 板山 稔 川内 健三 藤谷 哲
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.43046, (Released:2020-01-16)
参考文献数
35

本研究の目的は,スマートフォンの使い方を大学生が自ら評価できるスマートフォン行動嗜癖自己評価尺度を開発することである.首都圏の大学に在籍し,スマートフォンを使用している大学生を対象に,研究者で作成したスマートフォン行動嗜癖自己評価尺度の調査を実施した.探索的因子分析と共分散構造分析,使用時間等との相関を求めた.その結果,有効回答数は587.男子学生243名,女子学生344名であった.探索的因子分析後,5因子20項目となり,各因子名を「自己支配性」,「生活への侵食性」,「離脱症状」,「再燃性」,「非制御な通話」とした.共分散構造分析では,GFI=0.931,AGFI=0.909,CFI=0.932,RMSEA=0.052であった.また,スマートフォン行動嗜癖自己評価尺度総得点と利用時間で有意な相関がみられた.以上より,信頼性と妥当性が示された.
著者
堀井 俊洋 藤谷 哲 赤堀 侃司
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学雑誌 (ISSN:03855236)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.79-87, 1999-09-20
被引用文献数
2

本研究では,文章作成過程における文章産出を促すことを目的とした文章作成支援ツールCard Processorの開発と評価を行った.本ツールCard Processorでは,文章の構造を視覚的に配置しながら文章作成をおこなうことが可能であるユーザインタフェースを実装した.Card Processorとワードプロセッサ(Microsoft Word 97)で作文をする評価実験では, Card Processorで作成した文章は,テーマに関するトピック数を多く含むという傾向がみられた.また,入力作業と推敲作業に費やす時間において,両者に特徴的な違いがみられた.それらの結果から,Card Processorは,「草案の生成,草案の組織化,目標の組織化」といった文章作成作業を支援しており,ワープロは,「読み返し,修正する」といった文章作成作業を支援していることを明らかにした.
著者
望月 俊男 藤谷 哲 一色 裕里 中原 淳 山内 祐平 久松 慎一 加藤 浩
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.15-27, 2004
被引用文献数
12

本研究では,CSCLにおける協調学習に参加している学習者の発言データをもとに,学習者自身や教師がその学習コミュニティのコミュニケーション活動を評価するための方法を提案した.その方法とは,電子掲示板の議論内容と個々の学習者との関係を,コレスポンデンス分析を用いて可視化することである.この方法を用いて,実際に異文化間CSCL実践の一部のデータを分析し,可視化した議論データについて,日本人学習者・外国人学習者の約半数,および日本人教師1名にインタビューを行い,評価情報としての妥当性と適用可能性を検討した.その結果,可視化されたマップによって,コミュニティの話題の分担や,学習者一人一人の知識共同体への関わりの状態が示され,自分や他者の興味関心に対する内省や気づきを促進し,学習者間の議論を活性化する可能性が示された.また,教師にとっては教育プログラム期間中の討論の評価やモデレーションに有効である可能性が示された.
著者
藤谷 哲造 井之口 順 可児 一孝
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.491-501, 1973 (Released:2013-05-10)
参考文献数
11

A retrospective study of 16 cases with visual disturbances resulting from head injury, seen in our clinic between the years 1969-1972, is described. A proposed endnasal-trans-ethomoidal operative technique was performed in all cases, and the following results were obtained.1) The patients consisted of 14 males and 2 females.2) The most prominent cause of visual disorders of the present series was the accident of motor cycle crashes.3) Once blindness occurred completely, their visual powers have never recovered, even if the operation procedures were performed safely in these 6 cases except one case.4) In 10 cases of having imcomplete loss of visual power, some remarkable improvements were gained after the operation.5) Having compared the time of operation with their results, they have been no difference in the series. 6) An otologist should be consulted early in all cases of visual loss resulted from head injury.
著者
吉村 史郎 小笠原 寛 中原 聰 藤谷 哲造
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.602-608, 1995
被引用文献数
6

オオバヤシャプシは六甲山系の開発後に多数植林されており, その開花時期はスギ花粉飛散期の後半に重なる. 1991年の花粉飛散期に芦屋市内に10年以上居住する532名の女性を対象にスギならびにオオバヤシャブシ花粉症の疫学調査を行った. スギとの重複感作例を含めたオオバヤシャブシ花粉症有病率はオオバヤシャブシが密植されハンノキ属の落下花粉総数が977個/cm^2/年の山腹では26.1%で, 山腹から約5km離れ落下花粉総数386個/cm^2/年の平野部では4.3%にすぎなかった. 平野部には交通量の多い幹線道路が通過し, 大気汚染は山腹よりも有意に強かった. しかし, 我々の調査結果から, しばしばスギ花粉症で報告されているような大気汚染の花粉症に対するアジュバント効果は認められなかった.
著者
藤谷 哲 赤堀 侃司
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学雑誌 (ISSN:03855236)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.143-152, 2000-09-20
被引用文献数
4

本論文は,メーリングリストの発言を対象とした重要文の抽出手法の効果を分析した結果について述べている.筆者らは,メーリングリストの発言から,その議論の展開に沿った手法で自動的に重要文を抽出して,内容の要約を提示するシステムの開発を行った.本研究では,自動抽出したそれらの重要文の提示が,新たな情報提示手法として読解過程に果たす機能に注目して,分析を行った.大学生を対象にして,メーリングリストの発言内容の重要文提示の効果と,電子メール文書を読む際の方略に関するアンケート分析,プロトコル分析を実施した.その結果,重要文の提示は,目次利用や,全体構造の把握という読解方略の支援に有効であることがわかった.
著者
峯村 恒平 渡邉 はるか 藤谷 哲 枝元 香菜子
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.4, pp.284-291, 2022-11-28 (Released:2022-11-28)

OECD-ITP(初期教員準備教育)の議論のように,世界的に教員養成は「養成段階から初任者まで」という連続性の中で議論されるようになってきている.我が国でも,断続的な教員養成課程の改革,新卒者教員の採用増,一方で若手教員の不適応や早期離職が課題として指摘されるなど,それぞれに変化があり,それぞれに着目しただけでは対応しきれない状況が生じている.「学校から教職」というトランジション課題として捉え,連続性を踏まえた議論がまさに求められている.本研究では,上記の背景,問題意識を踏まえ,初任者教員を対象とした,着任後に感じた課題や,その中でどのように適応に至ったかという過程について,インタビュー調査を通じて明らかにした.具体的な困難や,適応の過程について論じながら,教員養成課程の課題や,初任者教員への研修・指導という視点に向けた展望についても合わせて論じる.
著者
風間 眞理 加藤 浩治 板山 稔 川内 健三 藤谷 哲
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.313-323, 2020

<p>本研究の目的は,スマートフォンの使い方を大学生が自ら評価できるスマートフォン行動嗜癖自己評価尺度を開発することである.首都圏の大学に在籍し,スマートフォンを使用している大学生を対象に,研究者で作成したスマートフォン行動嗜癖自己評価尺度の調査を実施した.探索的因子分析と共分散構造分析,使用時間等との相関を求めた.その結果,有効回答数は587.男子学生243名,女子学生344名であった.探索的因子分析後,5因子20項目となり,各因子名を「自己支配性」,「生活への侵食性」,「離脱症状」,「再燃性」,「非制御な通話」とした.共分散構造分析では,GFI=0.931,AGFI=0.909,CFI=0.932,RMSEA=0.052であった.また,スマートフォン行 動嗜癖自己評価尺度総得点と利用時間で有意な相関がみられた.以上より,信頼性と妥当性が示された.</p>
著者
藤谷 哲 峯村 恒平
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.91-96, 2019-03-16 (Released:2019-03-13)
参考文献数
5

スーパーサイエンスハイスクール(SSH)にみられるような特筆すべき中等教育のためには,人材育成や教員養成においてどのような専門性や教員意識が重要かを考察するため,全国のSSHに指定されている高等学校で働く先生方を対象として,どのような専門性を持った教員が,どのような役割意識をいだいて勤務されているのかを探ることを目的とした調査を行った.
著者
赤堀 侃司 藤谷 哲 松田 岳士 中山 実 加藤 浩 福本 徹 加藤 浩 福本 徹
出版者
白鴎大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究の目的は、教員や研究者が場所、時間、専門分野などの制約を越えて教育実践知を可視化・共有し、再構築できる"場"としての電子ネットワーク基盤を開発し、実践的評価を通してその有効性を検証することであった。具体的には次のような研究課題に取り組んだ。(1)教育実践知の可視化・共有を支援する電子ネットワーク基盤の要件や支援方法に関する調査・分析。(2)場所・時間・専門分野などの制約を超えて参加者の結びつきを促進するSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の開発。(3)教育実践知を自動的に可視化し、関連知識を結びつけて強化する機能の開発。実践評価の結果、分散した実践知の共有には、知識の自動的な可視化と、関連する分散知を集合知へ変化させることが有効であることを明らかにし、本研究課題で開発したネットワーク基盤が、さらなる知の再構成、創造を促進する可能性を示した。
著者
望月 俊男 久松 慎一 八重樫 文 永田 智子 藤谷 哲 中原 淳 西森 年寿 鈴木 真理子 加藤 浩
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.23-33, 2005
被引用文献数
11

本研究では, 電子会議室で協調学習を行う学習者の発言データをもとに, そこで各学習者が発言している議論の内容とプロセスを可視化するソフトウェアi-Beeを開発した.i-Beeは任意の期間を単位として, 各学習者がどのようなキーワードをもとに発話したのか, 相互関係をまとめたマップを提示する.また, 過去にさかのぼってマップの変化の過程を確認できる.ある大学の授業で, i-Beeを利用して電子会議室上で議論を行い, その有効性を検討したところ, 学習者がi-Beeを見ることで, 自分自身や他の学習者の議論への関わりや, その時点までの関わりの変化の特徴に気づくことができることが分かった.また, 学習者がこれまで関わってこなかった学習者や話題にアクセスしたり, 議論への関わり方をリフレクションすることを促すリソースとなることが示された.