著者
中村 晃 神藤 貴昭 田口 真奈 西森 年寿 中原 淳
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.491-500, 2007-12-30
被引用文献数
3

本研究では,大学教員初任者がもつ教育に対する不安について検討し,さらにこのような不安と同時に周囲からのサポートについても考慮し,これらがどのように仕事に対する満足感と関係するかを検討することを目的とした。そのため,まず教育不安尺度を作成し,次に教育不安が周囲からのサポート,および職務満足感とどのような関係にあるかを質問紙により検討した。その結果,教育不安尺度では因子分析により「教育方法に関する不安」「学生に関する不安」「教育システムに関する不安」の3因子が見出された。また教育不安と職場におけるサポート,および職務内容満足感との関係を検討した結果,教育に関する不安が高い場合,先輩教員のサポートが満足感を上げる要因になること,および教育システムに関する不安が高い場合,同世代教員によるサポートが少ないと満足感が低くなることが示唆された。これらのことから,特に不安の高い教員に対しては,職場のサポートが仕事の満足感を上げるうえで重要であると考えられる。
著者
中村 晃 神藤 貴昭 田口 真奈 西森 年寿 中原 淳
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.491-500, 2007-12-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
19
被引用文献数
1

本研究では, 大学教員初任者がもつ教育に対する不安について検討し, さらにこのような不安と同時に周囲からのサポートについても考慮し, これらがどのように仕事に対する満足感と関係するかを検討することを目的とした。そのため, まず教育不安尺度を作成し, 次に教育不安が周囲からのサポート, および職務満足感とどのような関係にあるかを質問紙により検討した。その結果, 教育不安尺度では因子分析により「教育方法に関する不安」「学生に関する不安」「教育システムに関する不安」の3因子が見出された。また教育不安と職場におけるサポート, および職務内容満足感との関係を検討した結果, 教育に関する不安が高い場合, 先輩教員のサポートが満足感を上げる要因になること, および教育システムに関する不安が高い場合, 同世代教員によるサポートが少ないと満足感が低くなることが示唆された。これらのことから, 特に不安の高い教員に対しては, 職場のサポートが仕事の満足感を上げるうえで重要であると考えられる。
著者
朱 睿 雪田 恵子 西森 年寿
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.44, no.Suppl., pp.33-36, 2021-02-20 (Released:2021-03-08)
参考文献数
7

本研究では,背後に配置したロボットによって社会的促進・抑制が生じるかを検討する.学生47名を単独で課題を行う群(単独群),他者として人間がいる群(人間群)とロボットがいる群(ロボット群)に振り分け,単純課題と複雑課題に取り組ませた.この結果,単純課題では社会的促進が認められた.複雑課題では,ロボット群の課題遂行量は単独群と人間群より多くなった.
著者
西森 年寿 望月 俊男 椿本 弥生 山内 祐平 久松 慎一 中原 淳 大浦 弘樹
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.309-316, 2014-12-25 (Released:2016-08-11)

筆者らは,大学教育での学生によるレポート課題などにおける問題設定の支援を目的として,映像資料閲覧を支援するための視聴プレイヤーMEET Video Explorerを開発した.教育現場での映像アーカイブ利用が普及し,一人一台環境が実現されるなかで,こうしたツールの利用可能性が高まっている.本研究では実験授業においてこのツールを用い,問題設定に対して映像アーカイブの個別視聴が与える効果と,ナレッジマップ機能の持つ効果について検討を行った.個別視聴活動と講師が説明を行う一斉視聴活動を行った群の比較から,個別視聴群では一部の問題に凝集しない問題設定が行えていることが分かった.また,ナレッジマップの作成により,複数の情報を統合しようとする独創性の高い問題設定が支援できる可能性が示唆された.
著者
田口 真奈 西森 年寿 神藤 貴昭 中村 晃 中原 淳
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.19-28, 2006
被引用文献数
10 9

大学教員初任者に対して「何に不安を抱き,どのようなサポートを必要としているのか」に関する調査を行った.また,高等教育機関に対して「どのような初任者研修を必要と感じ,実施しているのか」に関する調査を実施した.前者の調査からは,初任者が教育方法に関してもっとも不安を感じていることが明らかになった.ただし教育方法に関する研修に対する教員の必要性は必ずしも高くはなく,有効なサポート方法の検討が課題であることが示唆された.後者の機関調査からは,教育方法やITに関わる内容について機関による十分なサポートが提供されていないことが明らかとなった.特に,小規模な機関においては,その必要性が認められているにもかかわらず,サポートが十全でない状況が推測され,そうした機関の初任者をサポートする手だての必要性が示唆された.
著者
前迫 孝憲 内海 成治 松河 秀哉 西端 律子 小池 敏英 吉冨 友恭 今井 亜湖 シルバ セシリア 重田 勝介 森川 治 森 秀樹 西森 年寿 奥林 泰一郎 中澤 明子
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

教育用地域情報基盤としての5GHz帯無線アクセスシステム(包括免許を得て運用)や光ファイバ通信網(地域学校のクラウドコンピューティング・システムによる広域支援等)、衛星通信網(JAXA 超高速インターネット衛星「きずな」を活用したeラーニング実験等)と、それらを相互接続した教育情報基盤の検証や高精細HD 映像による遠隔映像対話環境「超鏡」の開発、特別支援や地域教材におけるネットワークや情報技術の活用を試みた。
著者
栗原 一貴 望月 俊男 大浦 弘樹 椿本弥生 西森 年寿 中原 淳 山内 祐平 長尾 確
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.391-403, 2010-02-15
被引用文献数
3

本論文では,現在一般的に行われているスライド提示型プレゼンテーション方法論について,その特徴を表す新しい定量的指標を提案する.提案指標は,「準備した順に発表資料を提示しているか」および「発表者と聴衆がどれくらい離れたところを表示しているか」を数値的に表現するものである.この指標を用いることで,プレゼンテーションの改善を図る様々な拡張手法を定量的に評価することが可能となる.さらに,提案手法を算出可能なプラットフォームシステム,Borderless Canvasを開発する.大学院講義における運用を通じて提案指標の算出と可視化例,解釈例を示し,指標の有効性と限界,適切な適用方法を議論する.In this paper we propose quantitative metrics to enable discussing the effectiveness and the limitations of extended methods of slide-based presentation methodology, which is widely used and studied today. We define metrics to estimate such as "how the presenter follows the prepared sequence of topics" and "how the presenter's behavior and every member of the audience's behavior differ." Then we develop a ZUI multi-display discussion software, Borderless Canvas, as a platform for calculating the metrics. The result of a situated datataking in a graduate school class for a semester shows an example usage of the metrics and their interpretation. Based on this, we discuss their effectiveness and limitation to apply them to evaluate extended methods of slide-based presentation methodology.
著者
八重 樫文 望月 俊男 加藤 浩 西森 年寿 永盛 祐介 藤田 忍
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.193-196, 2008
被引用文献数
1

高等教育のPBLにおいて,学生が授業時間外の分散環境でも,クラス全体および他グループの活動を意識して,グループ作業を円滑に進めるために,これまでに筆者らが開発してきたPBL支援グループウェアに実装する新機能を設計した.新機能には,常に他者の作業の様子が見え,他者間の会話が自然に聞こえてくるという特徴を持つ,美術大学のデザイン教育における「工房・スタジオ的学習空間」の要素を取り入れた.これを大学授業で利用したところ,学習者に対し,他グループから常に見られていることで自グループの作業への意識を高め,自分の作業の調整を促進する効果が示された.
著者
中原 淳 西森 年寿 杉本 圭優 堀田 龍也 永岡 慶三
出版者
放送大学
雑誌
メディア教育研究 (ISSN:13441264)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.61-74, 2000

近年、教師教育において情報技術を用いた学習環境が注目されており、その中のひとつの可能性としてCSCL(コンピュータを用いた協調学習支援)がある。本論文では、教師を対象としたCSCL環境を具体的にどのようにデザインすればよいのか、という問いに対して、状況的学習論とCSCLの先行実践、教師教育の知見を理論的に考察することを目的とする。より具体的には、CSCL上で展開されるべき教師同士の相互作用の室と、そうした相互作用を支援するインタフェースの2点に言及する。教師教育を目的としたCSCLは、学習者としての教師が自らの教育実践を他の教師と語り、批評しあい、それをもとに教育実践に対して内省を深めることができる環境としてデザインされるべきである。
著者
望月 俊男 久松 慎一 八重樫 文 永田 智子 藤谷 哲 中原 淳 西森 年寿 鈴木 真理子 加藤 浩
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.23-33, 2005
被引用文献数
11

本研究では, 電子会議室で協調学習を行う学習者の発言データをもとに, そこで各学習者が発言している議論の内容とプロセスを可視化するソフトウェアi-Beeを開発した.i-Beeは任意の期間を単位として, 各学習者がどのようなキーワードをもとに発話したのか, 相互関係をまとめたマップを提示する.また, 過去にさかのぼってマップの変化の過程を確認できる.ある大学の授業で, i-Beeを利用して電子会議室上で議論を行い, その有効性を検討したところ, 学習者がi-Beeを見ることで, 自分自身や他の学習者の議論への関わりや, その時点までの関わりの変化の特徴に気づくことができることが分かった.また, 学習者がこれまで関わってこなかった学習者や話題にアクセスしたり, 議論への関わり方をリフレクションすることを促すリソースとなることが示された.