著者
高橋 英之 寺田 和憲 上出 寛子
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.29, 2015

その実在の議論とは別に,我々がかみさまを知覚する際に,他者やエージェントを知覚するのと同様な神経回路を用いていることが近年示唆されている.我々は,宗教,そして神は古代から人が作り上げてきた最も成功したHAIの一つであるという仮説を提起し,その誕生と機能について,宗教の歴史や形態と既存のHAI研究との比較を行いながら議論を行いたい.
著者
上出 寛子 高嶋 和毅 新井 健生
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.218-225, 2016-03-01 (Released:2017-01-07)
参考文献数
26
被引用文献数
13

本研究の目的は,ロボットに対する擬人化に注目し,擬人化の程度を定量化する日本語版の尺度を作成することである。従来,欧米の研究で用いられている擬人化の程度を測定する二種類の尺度を翻訳して用いた。一つ目は心の帰属を行為の主体性/感覚の経験性の二次元で評価するものであり,もう一つは人間の本質を人間の独自性/人間の本質性の二次元で評価する尺度である。1200人の日本人が,6種類のロボットと2人の人間の写真刺激に対しこれらの尺度で擬人化の程度を評価した。その結果,日本においては,欧米での先行研究と同様の因子が明らかとなると同時に,それらの因子がポジティブな内容の因子とネガティブな内容の因子に分かれることが明らかとなった。日本においては,ロボットの人間らしさについて,ポジティブな側面とネガティブな側面を分けて考える傾向があることが示唆された。尺度の内定信頼性は十分に高いことから,今後の尺度の利用可能性について議論した。
著者
原 進 満倉 靖恵 上出 寛子
出版者
Japan UAS Industrial Development Association
雑誌
次世代移動体技術誌 (ISSN:24355453)
巻号頁・発行日
vol.3, no.6, pp.81-90, 2022 (Released:2022-09-07)
参考文献数
8

近年,空飛ぶクルマに関する技術が国内外で盛んに研究されている。しかし,空飛ぶクルマやドローンなどの社会受容性については,まだ十分に研究されていない。社会受容性に関する十分な検討を行っていないと,今後ドローンの産業利用や空飛ぶクルマの普及により到来する「空の産業革命」が健全に浸透せず,新たな社会問題が発生することも予想される。そこで,社会受容性評価の方法として二つのアプローチを組み合わせた方法を提案する。一つはアンケートによる社会心理学的評価である。もう一つは感性アナライザを用いた脳波計測によるリアルタイム評価である。著者らは前報において騒音に対するストレスの有無を判定するために感性アナライザが適用可能であることを,ロータが発生する定常音や金属がキンキンと発生する非定常音など,複数の種類の音源を用いた実験により明らかにした。本研究では,前報と異なり音源を頭上通過する産業用ドローンの飛行音に限定し,その音量を変えながら何度も聞くことにより発生する,アンケート評価と脳波計測によるストレス評価の違いについて明らかにして,将来の社会受容性調査方法の策定に有用な知見を与える。
著者
高橋 英之 寺田 和憲 上出 寛子
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第29回全国大会(2015)
巻号頁・発行日
pp.2K5OS14b2, 2015 (Released:2018-07-30)

その実在の議論とは別に,我々がかみさまを知覚する際に,他者やエージェントを知覚するのと同様な神経回路を用いていることが近年示唆されている.我々は,宗教,そして神は古代から人が作り上げてきた最も成功したHAIの一つであるという仮説を提起し,その誕生と機能について,宗教の歴史や形態と既存のHAI研究との比較を行いながら議論を行いたい.
著者
野口 洋平 上出 寛子 田中 文英
出版者
ヒューマンインタフェース学会
雑誌
ヒューマンインタフェース学会論文誌 (ISSN:13447262)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.67-78, 2018-02-25 (Released:2018-02-25)
参考文献数
32

Along with the increase of nuclear families and the aging society, the social isolation of elderly people is becoming a big issue. Social robots are being regarded as suitable interfaces to support these elderly people to communicate with others (e.g. family members). In robot-mediated communication, it can be expected that asynchronous messaging functions will cope with differences in life styles between different generations, and that message inputs can be facilitated by natural language dialogue functions. Eliciting self-disclosure from elderly people by utilizing such robots is important to draw out social support from other people. In this study, the following three research questions were examined with the aim of exploring requirements for robots to encourage elderly people'’s self-disclosure. First, using a self-disclosure scale, we examined topics that were encouraged to disclose from elderly speakers by an intermediary robot. Secondly, we investigated the difference between social attributes (robot-specific traits and characteristics) of two kinds of robots with different behaviors. Last, we investigated the relationship between the robot’'s social attributes and self-disclosure from these two independent data.
著者
吉川 雄一郎 松本 吉央 熊崎 博一 上出 寛子 内田 貴久
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2020-04-01

発達障害者の孤立が社会問題となっている.これに対し本研究では,人が遠隔地から操作するロボットの傍に別の自律型ロボットを配置し,これら2体のロボットが生み出す対話にロボットの周囲にいる人々を引き込むことで,発達障害者がコミュニティの人々と交流できる対話システムを実現する.このために,人々との過去の対話内容を基に新たな対話をし続けられる自律型ロボットを開発し,これを発達障害者が操作する遠隔操作型のロボットと連携させることで,継続的な対話を生み出す対話支援システムを開発する.そしてこれを発達障害者のコミュニティに設置し,継続的な交流支援を実現する.
著者
上出 寛子 新井 健生
出版者
科学技術社会論学会
雑誌
科学技術社会論研究 (ISSN:13475843)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.43-53, 2018-12-10 (Released:2020-02-10)
参考文献数
38

本稿では,ますます人間らしいロボットが開発される中で,日本の社会文化的な背景を考慮しながら,社会で受容されるロボットの在り方とは何かについて考察を行うことを目的とした.ロボットに対する心理的安心感について検討した研究を概説し,安心感には,ロボットと一緒にいて安心できるという「Comfort」などに合わせて,ロボットがどの程度人間らしいかも関連することを報告した.次に,人間らしさの認知的帰属に関しては,社会の中で学習される認知的機能という側面と,生まれながらにして人間がもっている感情の豊かさの二側面があり,欧米と比較した場合,日本人はそれらの側面のポジティブ・ネガティブの違いも敏感に区別することを報告した.これらの研究から,日本で受容されるロボットの在り方として,社会の価値観に沿っているかどうかや,時系列的な接触の経験などを検討する必要性について議論した.
著者
上出 寛子 高嶋 和毅 石川 美笛 足立 智昭 北村 喜文
出版者
ヒューマンインタフェース学会
雑誌
ヒューマンインタフェース学会論文誌 (ISSN:13447262)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.107-114, 2018-02-25 (Released:2018-02-25)
参考文献数
22

This study explores quantitative behavioral analysis of children's block play by using A-block that embeds a wireless acceleration sensor. Based on acceleration sensing, we extract specific behavioral parameters of block play quantitatively and aim to estimate age of young children (2-6) from such parameters. 52 young children used A-Block then several major events are computed such as time to get blocks up, times to put them on, times to bring them up, and amount of displacement. Results showed that these parameters could predict children's age significantly and also revealed A-Block has satisfactory capabilities to discriminate under/over 3 years and under/over 5 years. We discussed developing of new parameters and improvement of A-Block for further behavioral analysis of block play.
著者
森 善一 斎藤 祐基 上出 寛子
出版者
Japan Society of Kansei Engineering
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18840833)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.9-15, 2012 (Released:2012-02-08)
参考文献数
17
被引用文献数
2 4

In recent years, along with the development of robot technology, it has become possible to move dolls and toys realistically. Robot therapy is expected to achieve similar effects to those of animal therapy. However, which element of a robot is important for robot therapy has not been examined. We surmise that humans obtain more emotional healing based on biological functions related to hugging a doll with similar size and weight to those of a human baby. This paper describes analyses of the relation between human impressions and elements of the object such as size, weight, motion, and touch. The experimentally obtained results for human impressions using dolls of five kinds, including a robot, were evaluated. The results show that motion, tender touch, sufficient size to be hugged, and weight suggestive of a human baby all gave humans good impressions.
著者
上出 寛子 小菅 一弘 高橋 英之 笠木 雅史 新井 健生 山邉 茂之
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

ドライビングシミュレータ環境が、実車実験とどの程度類似しているかどうかを、手動・半自動での運転モードと、マインドワンダリングの発生との関連から検討するため、実車実験と同様の被験者5名に対して、ドライビングシミュレータを用いた実験を行った。実車実験のドライブレコーダ記録から、追い越された車の種類、台数、また、道路環境(工事等による片側車線規制など)を確認し、これらの要因に関して平均的な運転状況をドライビングシミュレータ上に再現した。また、実車の際には安全性を考慮して実施できなかった、アイカメラを用いた視線測定も行った。実車の場合と同様に、ランダムなタイミングで、音声により運転に集中しているかどうかを訪ね、マインドワンダリングの発生を計測した。同じ被験者に対して、自動運転、半自動運転の両方のモードを行った。その結果、同じ被験者である一方で、シミュレータと実車では、運転モードとの関連でマインドワンダリングの発生について類似した結果は得られなかった。アイカメラの測定の結果、マインドワンダリングを行っている際には、視線が真正面に集中せず、周囲に分散することが確認された。また、全ての被験者が半自動運転の際に、マンドワンダリングしやすいという訳ではなく、運転に自信のある傾向の人は、手動運転の方が、半自動運転よりもマンドワンダリングしやすく、慎重な運転をする傾向の人は、半自動運転の方が、マインドワンダリングしやすいという結果も得られた。また、運転の楽しみについても、これまでの成果で、半自動運転の昨日のついた車のドライバーの方が、手動運転の車のドライバーよりも、運転の楽しみを高く感じていることが明らかになっている。
著者
上出 寛子 大坊 郁夫 趙 〓珍 高橋 直樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.385, pp.33-38, 2005-10-27
被引用文献数
10

社会的スキルが, 顔面表情時の顔形態特徴に与える影響について, 韓国人の大学生を用いて検討を行った.84名の大学生(男性37名, 女性47名)が真顔・幸福・怒りの表情を表出し, 各表情を3次元計測器を用いて撮影した.各表情の顔形態特徴と社会的スキルとの関連を調べた結果, スキル得点が高いと, 口や顎周辺と, 目や眉毛周辺という顔の上下部位の表情が豊かであるということが示された.男女別の検討では, スキル得点の高い男性は, 口や顎周辺の表情が豊かであり, スキル得点の高い女性は, 目の表情が豊かであることが示された.また, 社会的スキルの判別分析では, 男性の方が女性よりも表現力の識別には多くの顔形態部位が必要であり, また, 男女共に目の周辺や顎, 口の周辺の表情が重要であることが明らかとなった.さらに, 目の周辺や鼻, 眉の動かし方が豊かであると, 基本的なスキルが高いことも明らかとなった.