- 著者
-
前田 知子
- 出版者
- 日本図書館情報学会
- 雑誌
- 日本図書館情報学会誌 (ISSN:13448668)
- 巻号頁・発行日
- vol.62, no.4, pp.268-278, 2016 (Released:2017-01-08)
- 参考文献数
- 22
研究データのオープン化を求める動きが国際的に高まっているが,日本においては,研究データの整備体制等に関し,現在も課題が指摘されている。本稿では,その要因を明らかにすることにつなげるため,科学技術政策において最初に研究データが取り上げられた 1960 年度から2015 年度までを対象に,科学技術会議等によって作成された関連資料を調査し,研究データに対する施策の検討状況と実施状況を把握した。また,研究データ整備を施策化する困難さとその理由についても考察した。1970 年代前半迄はデータセンターの具体化方策の検討,1970 年代後半以降90 年代迄は数値データ/ファクト情報という枠組による施策の検討が実施されたが,関連施策が本格的に展開されるには至らなかった。 2000 年以降は研究情報基盤もしくは知的基盤という枠組の一部で記載される形となり,研究データに関しての包括的な方針や施策案は示されなくなった。