著者
佐藤 義則 小山 憲司 三根 慎二 倉田 敬子 逸村 宏 竹内 比呂也 土屋 俊
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.56, no.8, pp.506-514, 2013-11-01 (Released:2013-11-01)
参考文献数
8

国内45機関の参加・協力の下,2011年10月から12月にかけ電子ジャーナルの利用に関するアンケート調査を実施し,広範囲の主題領域の研究者(教員,博士後期課程大学院生)から3,922の回答を得た。これらのデータを多方面から分析した結果,電子ジャーナルの利用がより広範囲にかつ深く浸透するようになっただけでなく,利用者の読書行動や意識(選好)も大きく変化していることが明らかとなった。また,電子ジャーナルの利用度の違いは国際文献と国内文献のいずれを主に利用しているかに密接に関係しており,印刷体と電子情報資源に対するそれぞれ別個のサービスモデルの維持を避けるためには,国内文献の電子化の遅れの解消が必要であることがあらためて確認された。
著者
三根 慎二
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.156-161, 2010-04-01

オープンアクセスに対する社会的関心の高まりや,その促進を後押しする欧米政府・研究機関による政策・制度の策定が続いている。オープンアクセス関連の情報は大量に流通し続けており,一人ですべてを発見し読むことはもはや不可能である。よって,情報収集の負担を軽減しより効率的にするためには,何らかの方策が必要となる。本稿では,オープンアクセス関連の情報を収集するための重要な10大ツール(人,イベント・学会・各種委員会,Twitter,メーリングリスト・メールマガジン,ブログ,Webサイト,ソーシャルブックマーク,ニュースレター,雑誌,図書)を紹介する。
著者
倉田 敬子 三根 慎二 森岡 倫子 酒井 由紀子 加藤 信哉 上田 修一
出版者
三田図書館・情報学会
雑誌
Library and information science (ISSN:03734447)
巻号頁・発行日
no.61, pp.59-90, 2009

原著論文【目的】 本論文の目的は、 日本の医学研究者において、 電子ジャーナルの利用がどこまで進み、それにともない論文の読みの形態、 入手経路、 検索手段にどのような変化が生じているかを明らかにすることにある。 【方法】 日本で医学部、医学研究科を持つ80大学に所属する医学研究者2,033人を抽出し、質問紙調査を実施した。 質問項目は、先行研究の分析に基づき、以下のとおりとした。 1) フェイスシート 、2) 最近読んだ論文の形態、入手経路、検索手段、 3) 普段使う検索手段、書誌データベース、 4) オープンアクセス手段の認知度と利用。 【結果】 2007年3月までに回収できた651件を集計した(回収率32.3%)。 主な結果は以下のとおりである。 1) 最近読んだ論文の7割は電子版論文であった。 2) 電子版論文の85%は大学図書館が契約する購読電子ジャーナルであり、印刷版の6割は個人購読雑誌であった。 3) 最近読んだ論文の検索手段はPubMedが一般的で、全論文の7割弱、電子版論文の8割以上がPubMedによって検索されていた。 PubMedを週1回以上検索する研究者は9割に上った。 一方、最近読んだ論文をサーチエンジンで見いだした研究者はほぼ皆無であった。 4) オープンアクセスは論文の入手先としては、PubMed Central が1割利用されていた以外は使われていなかった。 5) 年齢による論文利用パターンに違いはなかったが、 専門領域(基礎系、臨床内科系、臨床外科系に区分)によっては大きな違いがあった 。
著者
三根 慎二 MINE Shinji
出版者
情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, 2010-04 (Released:2010-10-29)

オープンアクセスに対する社会的関心の高まりや,その促進を後押しする欧米政府・研究機関による政策・制度の策定が続いている。オー プンアクセス関連の情報は大量に流通し続けており,一人ですべてを発見し読むことはもはや不可能である。よって,情報収集の負担を軽 減しより効率的にするためには,何らかの方策が必要となる。本稿では,オープンアクセス関連の情報を収集するための重要な10 大ツー ル(人,イベント・学会・各種委員会,Twitter,メーリングリスト・メールマガジン,ブログ,Web サイト,ソーシャルブックマーク, ニュースレター,雑誌,図書)を紹介する。
著者
三根 慎二
出版者
三重大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究の主な成果として,オープンアクセス運動は,1)学術雑誌の価格高騰,2)学術情報の電子化,3)研究者のイニシアティブという3つの異なる文脈が同時代的に組み合わさった結果生じたものだったが,約20年を経て,研究者や図書館から政府や出版社にその主導権が移りつつあり,機関リポジトリの役割は相対的に小さくなりつつあること,当初掲げられていた商業出版社への対抗戦略としての意味合いは弱まっていることなどがわかった
著者
三根 慎二
出版者
大学図書館研究編集委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.80, pp.54-64, 2007-08
被引用文献数
1
著者
倉田 敬子 松林 麻実子 上田 修一 山地 一禎 三根 慎二 宮田 洋輔
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

研究プロセスがデジタル化し,研究成果とデータの共有を目指すオープンサイエンスの時代に,学術コミュニケーションの将来を考えることは重要な課題である。本研究は,①オープンサイエンスで提案されてきた政策等の分析,②学術雑誌論文と研究データのオープン化のマクロな動向の把握,③個別の研究プロセスと研究データのミクロな調査の3つのアプローチから,学術コミュニケーション全体の生態系を具体的な根拠に基づき明らかにする。
著者
三根 慎二
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.80, pp.54-64, 2007-08-31 (Released:2017-11-09)

オープンアクセスを実現する戦略の一つとして位置づけられているオープンアクセスジャーナルの現状を調査した。その結果,査読制を持つオープンアクセスジャーナルとは,一般的に,1)大学・研究機関や学協会によって,2)2000年以降,3)英米に加えてアジアや南米諸国で刊行された,4)主に自然科学分野の学術雑誌であるということがわかった。
著者
三根 慎二
出版者
三重大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本年度は,1)プラットフォーム概念の整理および2)学術情報流通におけるプラットフォームの事例調査に向けた調査計画の立案を行った。プラットフォーム概念の整理に関しては,まず国内外のプラットフォーム研究関連の先行研究と学術情報流通におけるプラットフォームを扱った研究の網羅的文献探索を行った。前者に関しては,主に中心的研究者の著作やレビュー論文を対象に,エンジニアリング・デザイン(新製品開発,オペレーションズマネジメント,技術戦略)と経済学(産業経済学・産業組織論)におけるプラットフォーム概念(①製品プラットフォーム,②サプライチェーン・プラットフォーム,③産業プラットフォーム,④多面市場プラットフォーム)について整理した。一方,学術情報流通においては,特定のサービスをプラットフォームと呼ぶことはあるものの定義なしでの利用に留まっていること,プラットフォーム概念を扱った研究は学術雑誌の価格構造に関する経済学分野のものを除いて,ほぼ皆無であることが分かった。収集した関連文献リスト(図書・雑誌論文・ウェブサイトなど)は,ホームページ上で公開・随時更新している(http://lis.human.mie-u.ac.jp/post/161536774281/how-platforms-reshape-scholarly-communication)。学術情報流通におけるプラットフォームの事例調査に関しては,特定商業出版社の電子ジャーナルプラットフォームを対象に,なぜ現在のような先導的役割を果たし,他社への強い影響力を保つことができたかを明らかにすることを目的として事例調査の研究計画を立案した。
著者
倉田 敬子 松林 麻実子 酒井 由紀子 上田 修一 三根 慎二 國本 千裕 林 和弘 石田 栄美 宮田 洋輔 前田 知子 森岡 倫子 横井 慶子 加藤 信哉
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

学術研究において,デジタルを基盤とするオープンと共有がどのように進んできているかを明らかにすることが本研究の目的である。研究成果のオープンアクセス化は全分野で半分を超え,電子ジャーナルではデジタルで読みやすい新しい論文形式が進んだ。研究データ共有の体制が整備されている先進事例も見られたが,多くの研究者のデータへの意識は非常に複雑で多様であり,研究実践と深く関わらざる得ないデータ共有は,成果のオープン化以上に実現に困難が多く,多様な視点から検討する必要がある。
著者
倉田 敬子 上田 修一 松林 麻実子 三根 慎二 酒井 由紀子 加藤 信哉 森岡 倫子 林 和弘 國本 千裕 横井 慶子
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

イーリサーチと呼ばれる研究プロセスの特徴,および学術コミュニケーションのデジタル化とオープン化の現状を明らかにすることが本研究の目的である。研究計画ごとにインタビュー,質問紙調査,ウェブの検索・データ収集などの多様な方法により調査を行った。主要な成果は,日本人研究者のデータを巡る実践と意識のモデルの構築,日本の学術雑誌のデジタル化の現状の把握,生物医学分野のデジタル化現況,一般人の医療情報等専門情報のニーズと探索の実態の把握である。
著者
三根 慎二
出版者
三田図書館・情報学会
雑誌
Library and information science (ISSN:03734447)
巻号頁・発行日
no.61, pp.25-58, 2009

原著論文【目的】 本稿の目的は、プレプリントサーバarXivの学術情報メディアとしての役割および位置づけを、2007年までに登録された論文・記事すべてに基づいて実証的に明らかにすることである。 【方法】 1) 論文・記事の年間および総登録件数 2) 論文・記事の学術雑誌掲載率とその後の掲載先 3) arXiv への登録年と学術雑誌掲載年の差(即時性) を明らかにするために、1991年から2007年にわたってarXiv に登録された論文・記事449,071件すべてを対象に、各論文・記事に付与された1) ID, 2) journal-ref (登録論文・記事のその後の掲載先 、 3) 主題領域のデータを分析した。【結果】 方法で述べた3点について、以下のことがわかった。 1) 17年間にわたってarXiv全体では登録件数が毎年増加傾向にあり、とくに宇宙物理学、物性物理学、数学で顕著であるが、主題領域により差がある。 2) arXivに登録された論文・記事のその後の学術雑誌掲載率は全体で47.1%であり、少なくとも論文・記事の半数弱だけが学術雑誌等に掲載されていること、領域では物理学の理論系の領域で高いが数学や計算機科学では低いこと、学術雑誌に掲載された登録論文・記事全体の半数近くを"Physical Review"各誌や"Astronomical Journal"など、物理学と天文学のコアジャーナルに掲載された論文が占めていることがわかった。 3) 高エネルギー物理学4領域では多くの論文が雑誌掲載年以前に登録されているが、登録時点で既に掲載済みである学術論文一般へのアクセス提供を目的としたものも一部の主題領域で見られるようになっている。 以上から、現在arXivは学術雑誌論文のプレプリントサーバと学術論文一般の電子アーカイブという二つの機能を同時に果たしていると考えられる。
著者
佐藤 義則 竹内 比呂也 倉田 敬子 小山 憲司 三根 慎二 逸村 宏
出版者
東北学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

国内 45 機関の参加・協力の下, 2011 年 10 月から 12 月にかけ電子ジャーナルの利用に関するアンケート調査を実施し,広範囲の主題領域の研究者(教員,博士後期課程大学院生)から 3,922の回答を得た。これらのデータを多方面から分析した結果,電子ジャーナルの利用がより広範囲にかつ深く浸透するようになっただけでなく,利用者の読書行動や意識(選好)も変化しつつあることが明らかとなった。
著者
土屋 俊 竹内 比呂也 佐藤 義則 逸村 裕 栗山 正光 池田 大輔 芳鐘 冬樹 小山 憲司 濱田 幸夫 三根 慎二 松村 多美子 尾城 孝一 加藤 信哉 酒井 由紀子
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、今後の学術情報流通環境における大学図書館の役割を追求し、大学の教育研究の革新という観点から検討を行うとともに、それを実現するための要件を明らかにし、「2020年の大学図書館像」を描き出すことを目的とした。そのために大学図書館における情報サービス(NACSIS-ILL)と情報資源管理(NACSIS-CAT)の定量的、定性的分析を行い、時系列的変化を明らかにするとともにその要因について考察した。これらを踏まえ、さらにシンポジウムなどを通じて実務家からのフィードバックを得て、「2020年の大学図書館像」について考察した。