著者
加古 敏之
出版者
富民協会
雑誌
農林業問題研究 (ISSN:03888525)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.171-176, 2000-03-25
被引用文献数
1
著者
伊東 正一 稲本 志良 加古 敏之 山路 永司 石川 行弘 丸山 幸夫 加賀爪 優 茅原 紘
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

本研究はアジアのコメ需要が減退しつつあり、このままでは生産縮小に追い込まれるという、アジア農業にとっては危機的状況が予想されることから、アジア各国及び世界のコメ需要、さらに、今後の見通しについて解析した。結論は下記の通りである。1.世界の一人当たりコメ消費量は2000年代は年平均0.6%の減少率で推移している2.この減少率が続くと世界の一人当たりコメ消費量は2050年には58.9kgに減少する(シナリオ1)3.この減少率が2倍(シナリオ2)及び3倍(シナリオ3)になると、2050年にはそれぞれ52.7kg、及び46.2kgにまで減少する4.世界のコメの総消費量は2050年においてシナリオ1,2,3ではそれぞれ5億3,500万t、4億7,900万t、4億1,800万tとなり、シナリオ3では現在の消費量から増加しない、ということになる5.シナリオ1の見通しは現在の減少率の維持という最も控え目な予測であるが、IRRI(国際稲作研究所)が2003年に見通したものはこれより7%多い(2025年の時点)ものとなっている。国際研究機関の過剰な予測が懸念される6.アジア各国におけるコメ消費動向に関する研究は日本を除いて非常に少なく、コメ消費減退の実情が理解されていない7.1960年代から現在までの間に、台湾の一人当たり消費量は160kgから50kgに激減し、日本も120kgから60kg余に半減した。中国では2000年代に入り、100kgのレベルから減少の速度を加速し、年2kgの減少を呈しているこうした減退しつつある世界のコメ需要に対し、コメの加工向け、飼料向けの利用開発が求められる。こうした動きはアジア全地域で取り組む必要があり、効果的な方法の一つとして、日本が発展途上国に提供しているODA予算に対しても、アジア向けのODAにはコメ消費拡大に向けたプログラムに援助するということもアジア地域の食料安全保障対策や国際食糧需給政策として重要である。
著者
泉田 洋一 立川 雅司 加古 敏之 新山 陽子 青柳 斉 生源寺 眞一 茂野 隆一 坂下 明彦 川手 督也 荒幡 克己
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、日本の農業・農村経済学の成果を個別関連学会の活動成果総体として分析すると同時に、共通課題を抽出して、その方向性を見極めんとするものである。具体的には14の農業経済関連学会の成果を時系列的に分析し、共通課題の抽出にあたっては、各学会の学会誌掲載論文の形態分析、会員へのアンケート調査に加えて、国際農業経済学会、韓国、台湾、中国の農業経済学会の動向についても詳細な分析を行った。成果は拡大しているものの国際化や情報化への対応等における課題が浮き彫りになっており、関連学会間の相互補完(複合結合)が必要となる。
著者
加古 敏之
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究では政策評価を活用して地方自冶体の農林水産行政の改革について考察することを課題としている。兵庫県農政環境部は、農林水産ビジョンに掲げるめざす姿の実現に向けて、多様な行動主体と目標を共有化し、知恵や力を出しあい、適切な役割分担のもとに、ともに取り組んできた。ビジョンで目指す姿がどれだけ実現できたかを毎年評価し、県民に公表するという方法で、ダイナミック・マネジメント・システムを循環させる取組を7年間にわたり実施してきた。こうした取組は徐々にではあるが成果をあげている。より大きな成果を上げるためには、県民、納税者の視点からアウトカム指標に基づく評価をより一層推進することが必要であろう。事務事業評価は、行政機関に既に存在する事務や事業を取り出し、その効果、効率について「事務・事業」の品質チェックをするという特徴をもっており、「戦略」レベルの見直しからは、まだ距離がある。愛知県東海市では、このような状況の打開策としてベンチマーク方式の政策評価を導入した。しかし、住民のニーズを反映した指標は行政の事業から遠いので、住民のニーズと行政の事業を結びつけるロジックモデルを検討し、その後の政策形成につなげていくことが課題といえる。オレゴン州ティラムク郡は、社会指標型ベンチマーキングを活用して、高い成果をあげている。行政からは独立しているティラムク未来委員会は、地域住民から多くの意見・情報を集めて地域の問題を明らかにし、戦略ビジョンとコミュニティ・アクション・プランを策定した。また、達成度評価の結果を公表してきた。ティラムク郡の取組が高い成果を上げている理由として、困難であってもあきらめずに改革への取組を継続する未来委員会の能力、政策評価の実施に関する多くのノウハウを持つオレゴン大学CPWの協力、自分たちの住む地域をよくしたいという地域住民の強い意思と民主主義を実践する住民の能力、を指摘できる。