著者
津崎 実 入野 俊夫 堀川 順生 宮崎 謙一 牧 勝弘 竹島 千尋 大串 健吾 加藤 宏明 倉片 憲治 松井 淑恵
出版者
京都市立芸術大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-05-31

本研究は加齢による「聴力」の変化について知覚・生理現象観察と計算モデルを構築を目的とした。従来ほとんど関心を集めていなかった加齢性ピッチ・シフト現象について,十分な数の幅広い年齢層の聴取者を用いて,その現象が確実に生じることを突きとめ,さらに同じ聴取者に対する聴力検査,耳音響放射検査,脳波の周波数追随反応との相関分析を実施した。並行実施した非線形圧縮特性,聴神経の位相固定性などへの加齢による変容の基礎検討を通して,ピッチ・シフトはこれらの要因の変容によっては説明困難であること示し,新規の聴覚モデルの提案に至った。
著者
中村 静 加藤 宏明 匂坂 芳典
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.99, pp.45-50, 2009-06-17

我々は、日本人学習者の英語音声におけるリズム制御に対する客観評価法について研究してきた。この研究の経過で、日本語を母語とする学習者の潜在的なモーラ・タイミングの習慣が,英語のストレス・タイミングの生成に悪い影響を及ぼしているらしいことに注目した。そこで、本研究ではこの影響を調べるために、主にリズム制御に関与する音節の強弱の対比の観点から、母語話者音声に対する学習者音声の対応する種々の音声区分(強勢/弱勢音節,強/弱母音,内容語内/機能語内音節)の持続時間の差異について検討した。その結果,このような持続時間の差異が,英語教師である評価者による主観評価値を大きく左右していることを、両者の相関分析により確認した。
著者
加藤 宏明 津崎 実 匂坂 芳典
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声
巻号頁・発行日
vol.97, no.587, pp.15-22, 1998-03-06

聴取実験により, 促音, 撥音, 無声化母音, 長母音などいわゆる特殊拍を含むセグメントの時間長変動に伴う知覚的な歪みがどの程度許容されるかを調べた.特殊拍を特徴付ける2つの要因, つまり母音・子音などセグメントのタイプと, 拍数の違いなどによるセグメント持続長のバリエーションに着目し, 通常拍との比較を行なった.その結果, 前者の要因の効果が, 母音, 鼻音, 摩擦音と無音の順に許容される変動の範囲が広がるという傾向で, 後者は, 短い持続長より長い持続長の方が許容範囲が広いという傾向として現れた.さらに, セグメントタイプと持続長の要因の交互作用も見られた.母音タイプの方が摩擦音タイプよりも持続長の効果が大きかった.以上の結果に介在する知覚メカニズムを, 音韻固有のラウドネスや持続長の違いに基づく時間長弁別能の違いと, 拍数など音韻論上の構造の内的処理との関係において論じる.
著者
グリーンバーグ 陽子 加藤 宏明 津崎 実 匂坂 芳典
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.65-74, 2011-02-01 (Released:2017-06-02)
参考文献数
15

対話音声の合成を目指して,対話韻律生成の方法を提案した。対話場面において出現する発話内容自体が,その取り得る対話韻律を限定することに着目し,提案方法では,入力となる語彙が与える印象によって制約される韻律特徴量を用いて,従来の読み上げ韻律を修正する対話韻律生成を行う。これまでに行った一語発話「ん」のパラ言語分析が示した,3次元の知覚的印象空間(確信-疑念,肯定-否定,好印象-悪印象)と韻律制御(基本周波数の平均値と時間変化形状,発話時間長)の関係を用いて,同じ印象空間で典型的な座標を持つ語彙に対して,対応する対話韻律を付与した。得られた合成音声に対する自然性評価実験により,提案した方法の妥当性を確認した。
著者
グリーンバーグ 陽子 加藤 宏明 津崎 実 匂坂 芳典
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.65-74, 2011-02-01
参考文献数
15
被引用文献数
1

対話音声の合成を目指して,対話韻律生成の方法を提案した。対話場面において出現する発話内容自体が,その取り得る対話韻律を限定することに着目し,提案方法では,入力となる語彙が与える印象によって制約される韻律特徴量を用いて,従来の読み上げ韻律を修正する対話韻律生成を行う。これまでに行った一語発話「ん」のパラ言語分析が示した,3次元の知覚的印象空間(確信-疑念,肯定-否定,好印象-悪印象)と韻律制御(基本周波数の平均値と時間変化形状,発話時間長)の関係を用いて,同じ印象空間で典型的な座標を持つ語彙に対して,対応する対話韻律を付与した。得られた合成音声に対する自然性評価実験により,提案した方法の妥当性を確認した。
著者
西村 竜一 竹本 浩典 加藤 宏明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.333, pp.19-24, 2008-11-27

頭部伝達関数は,一般に外耳道をふさいだ状態における,音源から外耳道入口までの特性で与えられる.しかし,実環境と同じ聴感を与えるためには,頭部伝達関数に加えて鼓膜面での音圧が実環境での場合と十分近くなるように制御する必要がある.そこで,ヘッドホン受聴時の補正を,外耳道閉そく状態における外耳道入口の信号で行った場合の,外耳道入口と鼓膜面で実現される特性について検討を行った.先ず,HATSを用いて,外耳道入口と鼓膜面での音圧比を,複数のヘッドホンを用いて測定したところ,必ずしも一定ではないことが確認された.さらに,ヘッドホン聴取時の音響伝搬路の簡単なモデルを想定し,計算機シミュレーションで同様の検討を行った.その結果,共振周波数とその倍音において影響が大きいことが確認された.さらに,実際のヒトが聴取した場合にも同様の傾向が見られるかを調べるため,純音マスキングの聴取実験を行った.その結果,ヘッドホンの違いによる影響の周波数依存性が一部に観測された.