- 著者
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正井 泰夫
中村 静夫
大竹 一彦
三村 清志
- 出版者
- The Association of Japanese Geographers
- 雑誌
- Geographical review of Japan, Series B (ISSN:02896001)
- 巻号頁・発行日
- vol.62, no.1, pp.56-71, 1989-06-30 (Released:2008-12-25)
- 参考文献数
- 20
日本の都市地図・アトラスは,日本という風土の中で特徴ある発達を示してきた。江戸時代に大きく発達した絵図的都市地図は,特に百万都市江戸において都市案内図として役立った。明治以後の近代化の過程で,欧米の先進技術が導入され,地図作成法も大きく変化したが,さまざまな面で日本的対応が見られたことも事実である。 今日,国土地理院が大縮尺都市地図のシステム化で果している役割は非常に大きい。また,各省庁,地方自治体,民間企業でも,国土地理院の指導の下に,または密接な協力関係において,詳細な大縮尺地図を作成している。国土地理院は現在,1:10,000地形図シリーズを刊行中であり,これは全国の主要都市へ適応されることになっている。地方自治体等でも,国土地理院の設定したガイドラインの下に,1:5,000から1:2,500程度の大縮尺地形図を作成している。市街地でも地籍図の作成が少しずつ進められているが,正確な地籍図を全面的に完成させるには,従来からの足かせが余りにも大きい。 きわめて詳細なタウンマップの重要性は特に主題図において高い。民間企業による1:1,OOOあるいは1:2,000程度の住宅地図類が全国的規模で出版されているが,この利用度は高い。主として若者向けの買物・レジャー関連の大縮尺タウンマップが多数出されている。歴史的都市アトラスの作成も,東京を中心に盛んとなっているが,大縮尺のものの出版も進み,専門家や中高年を対象として販路がふえている。この種の地図・アトラスは,次第に若者や外国人の関心を呼んでいるが,これには世界最大都市としての東京の過去に対する関心の高まりが反映していよう。