著者
廣瀬 通孝 鳴海 拓志 北川 智利 広田 光一 雨宮 智浩 谷川 智洋 青山 一真
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2019-06-26

本研究の目的は,バーチャルリアリティ空間で複数人が一つの身体(融合身体)を使用して私(I)でも我々(We)でもある身体運動を遂行する環境での検証から,共同行為が自らの寄与によるという感覚(行為主体感)が生じるメカニズムと,身体動作遂行に必要な潜在的知識(身体図式)が変容する条件とそのメカニズムを明らかにすることである.さらに,この知見に基づいて,行為者間の無意識的な意図伝達や動作同期が起こる融合身体の構成法を確立し,融合身体を介して教師から学習者への身体スキルを効率的に転移させることが可能な新しい身体スキル伝達手法を実現することを目指す.
著者
高橋 康介 小川 健二 北川 智利 金子 沙永
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2023-04-01

本研究では知覚像が従来考えられているよりも自由に制御できる可能性について実証研究を進める。構造化を抑制して未統合の感覚信号にアクセスし高感度の知覚像を得る脱構造化現象と、心的イメージと知覚像を合成する信念可視化現象という2種類の知覚像制御過程の解明を目指す。前半は熟達者を対象とした知覚心理学・脳科学研究により知覚像制御の現象理解、心的過程と神経基盤の解明、予測符号化の枠組みでの理論化を行う。後半は非熟達者を対象に知覚像制御の熟達過程や個人差・適性を検討する。以上の研究を通して「不自由でままならぬ」という従来の知覚観から脱却し、ある程度まで自由に制御できる知覚像という新しい知覚観を提案する。
著者
前川 喜久雄 北川 智利
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.46-66, 2002-03-01 (Released:2008-10-03)
参考文献数
28
被引用文献数
6

Transmission of paralinguistic information (speaker's attitude or intention, PI here-after) was examined by means of phonetic experiments. The two basic issues examined were a) how does PI influence the speech signal? and b) how do listeners perceive PI? Utterances of six selected PI types—‘Admiration’, ‘Suspicion’, ‘Disappointment’, ‘Indifference’, ‘Focused (or raised vocal effort)’ and ‘Neutral’— were elicited from 3 speakers of standard Japanese and analyzed acoustically. Results of acoustic analyses revealed significant influence of PI on all acoustic parameters, i.e., fundamental frequency, duration, amplitude, and frequency spectrum. Moreover, multiple regression analyses showed highly significant correlation between the acoustic measures and the three-dimensional perceptual space of PI, which was constructed by means of an MDS analysis of confusion data. All experimental results obtained in this study suggest unanimously that PI can be accurately transmitted by speakers to listeners. Another important finding was the local nature of PI: PI's influence was observed often as the phonetic perturbation of phonological features like phrase-initial pitch rise, phrase-final pitch movement, and lexical accent. The local nature of PI is clearly different from the more global phonetic effects due to non-linguistic information, such as speaker's emotion.

2 0 0 0 視聴覚統合

著者
スペンス チャールズ 五十嵐 由夏 北川 智利
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.83-92, 2007-02-01
被引用文献数
2

過去50年以上にわたる多くの実験研究によって,低次の空間・時間的要因が,視覚と聴覚の多感覚統合にとって重要であることが立証されてきた(例えば腹話術効果の研究で示されるように)。ここでは,多感覚統合における空間的・時間的要因の役割を明らかにする証拠について概説する。また,多感覚統合に影響する要因として,視覚信号と聴覚信号間の時間相関,刺激の運動,モダリティ内とモダリティ間の知覚的群化,モダリティ間の意味的一致性,及び,一体性の仮定の役割についてもそれぞれ議論する。総合すると,構造的,認知的な多くの異なる要因が[1,2]視聴覚情報の統合(又は結びつけ)に共同して寄与しているという見解が,これらの証拠によって支持されるのである。

1 0 0 0 OA 視聴覚統合

著者
スペンス チャールズ 五十嵐 由夏 北川 智利
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.83-92, 2007-02-01 (Released:2017-06-02)
参考文献数
56

過去50年以上にわたる多くの実験研究によって,低次の空間・時間的要因が,視覚と聴覚の多感覚統合にとって重要であることが立証されてきた(例えば腹話術効果の研究で示されるように)。ここでは,多感覚統合における空間的・時間的要因の役割を明らかにする証拠について概説する。また,多感覚統合に影響する要因として,視覚信号と聴覚信号間の時間相関,刺激の運動,モダリティ内とモダリティ間の知覚的群化,モダリティ間の意味的一致性,及び,一体性の仮定の役割についてもそれぞれ議論する。総合すると,構造的,認知的な多くの異なる要因が[1,2]視聴覚情報の統合(又は結びつけ)に共同して寄与しているという見解が,これらの証拠によって支持されるのである。
著者
前川 喜久雄 北川 智利
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.74, pp.9-16, 1999-05-21
被引用文献数
2

筆者らはこれまでにパラ言語情報の伝達にかかわる音声特徴を音饗的に分析してきた. 本稿ではパラ言語情報の知覚に対する検討をおこなう. 6種類のパラ言語情報(疑い, 感心, 落胆, 無関心, 中立, 強調)の同定実験を実施し, そのデータから計算された類似度を多次元尺度構成法(MDS)によって解析したところ, 3次元解が最適との結果を得た. 三つの次元それぞれにおける刺激の座標値を従属変数, これまでに報告してきた音響特徴を独立変数として重回帰分析をおこなったところ, 高い精度で刺激の布置を予測できることが明らかになった.