著者
在原 幸子
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.127-138, 2009-07

研究ノート(Note)本稿は、昨年来の景気後退による採用内定者の内定取り消しや新規学卒者に対する採用抑制、さらには、近年深刻化する就職超氷河期世代の年長フリーター(非正規雇用者)化等によりその問題性が再び問われ始めている「新卒採用に係る年齢制限の妥当性」について、検討を試みるものである。まず、年齢制限の弊害について、非正規雇用者の正規雇用化が困難な現状だけでなく、生涯賃金に換算した場合の正規雇用者との格差や、低所得(者)ゆえに大方生活保護による支援が必要になってくると思われる老後の試算結果等も示し、弊害の深刻さを知る。続いて、募集・採用段階の年齢制限の違法性が争点となった事案や新卒採用での年齢制限を例外的に許容する雇用対策法の法条文、そこにいたるまでの経緯等を概観し、制限の合理性の根拠とされてきた「長期勤続によるキャリア形成を図る」という雇用慣行の存在を確認する。その上で、募集・採用に係る年齢制限禁止の例外事由としてそうした取扱いが妥当なのか否か、ADEA(アメリカ年齢差別禁止法)の定める例外等と比較することにより、一応の判断を行う。さらに、当該慣行の現場での実効性についても「知的熟練論」の観点から考察を加える。そして最後に、当該例外事由の取扱いを含め、年齢制限による弊害を解決するために今後検討していくべき方向性について私見を述べる。In this paper, the author discusses "the validity of age limit in hiring new graduates". First, under such an age limit, since it's difficult for non-regular workers to move to the regular employee who earns high wages comparatively, they feel uneasy to the future. However, on the other hand, judicial precedents and Employment Measures Law take account of existence of an employment practice which aims to develop employee's career in longer service, and exceptionally accept the rationality of that age limit. So, I think about the validity of that age limit from exceptions which ADEA defines, and "theory of intellectual skills". And finally, I'd like to propose the direction which should be considered in order to solve the evils which are caused by the age limit including the case of such hiring of new graduates.
著者
渡邉 泰夫 笠原 幸子
出版者
四天王寺大学大学院
雑誌
四天王寺大学大学院研究論集
巻号頁・発行日
no.12, pp.151-163, 2018-03-20

〔目的〕主体的に学ぶ介護福祉士の職業的アイデンティティの形成過程を明らかにすることを目的とする。〔方法〕主体的に学ぶ介護福祉士6 人の協力を得てLife-line Interview Method に基づく半構造化面接を行い、M-GTA を用いて分析した。〔結果〕主体的に学ぶ介護福祉士の職業的アイデンティティ形成過程は、《省察の深化に伴う葛藤》《"如何に自分で勉強するか"》《介護福祉研究を介した"やればできる感覚"の高まり》《職業的アイデンティティの探求》《社会福祉実践者という職業的アイデンティティへの帰結》という5 カテゴリーから構成された。〔結論〕専門職制度を超越した職業的アイデンティティの形成には隣接領域の資格取得に関連した学びが重要でありながらも、単なる資格取得ではなく"ふりかえり"が契機となっていることが示唆された
著者
曹 萬鉉 山本 昌豊 松原 幸子 村上 賢治
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.713-722, 1997 (Released:2008-05-15)
参考文献数
10
被引用文献数
1

高収量•高品質のトウガラシ新品種を生育する目的で,日本在来種および韓国のF1品種を供試し,親品種と比較しながら品種間雑種の収量,果実のアスコルビン酸含量およびカプサイシノイド含量を調査した.1.日本の固定種間のF1雑種はいずれも親品種より高収量であり,特に'カリフォルニア•ワンダ-(CW)'を片親とした場合,-果重が大きく果数も多く,高収量であった.2.アスコルビン酸は,胎座より果皮に多く含まれていた.アスコルビン酸含量は,品種間差異は少なく,収穫時期による差が大きかった.いずれの品種でも,9月に最も含量が多かった.果実の発育に伴うアスコルビン酸含量の経時的変化を調べたところ,開花4~5週間後まではどの品種,F1雑種も増加したが,その後も緩やかに増加する品種と,ほとんど増加しないかむしろ減少する品種があった.3.カプサイシノイドは,果皮より胎座に高濃度で含まれていた.胎座のカプサイシノイド含量は,'八房などの辛味品種では1000mg/100gDW以上で,一方,辛味のない品種の°CW'と状見甘長では,カプサイシノイドはほとんど含まれていなかった.辛味のない品種と辛味品種のF1雑種のカプサイシノイド含量は,正逆交雑により大きな差が見られた.果実の発育に伴うカプサイシノイド含量の経時的変化では,どの品種でも開花2~3週間後に急激な増加が起こり,5週間後で最大となり,その後は徐々に減少した.カプサイ噛シノイド含量の最大となる時期は,果実の大きさが最大となる時期とほぼ一致していた.
著者
藤原 幸子
出版者
学校法人順正学園 九州保健福祉大学大学院社会福祉学研究科
雑誌
最新社会福祉学研究 (ISSN:18809545)
巻号頁・発行日
no.15, pp.33-40, 2021-03-31

本研究は,犯罪被害者等に対するインターネット調査を通じて,被害後の実態,二次被害の実態,被害後に必要な支援等を明らかにすることである.調査は,犯罪の被害にあったことのある200名の男女を対象に実施した.犯罪被害者等の半数以上の者が心身の被害を訴え,身体的心理的影響が生活機能の低下をもたらしていることから心理面だけでなく生活面の支援の拡充が求められる.犯罪被害者等は,複数の人や機関等から二次被害を受けた人も多く,社会,専門機関,被害者に対する啓発を行っていく必要がある.事件後に必要な支援は,事件直後は様々な手続き等の支援への要望が多く,時間が経過するにつれて精神的なケアの要望が多くなる.犯罪被害者等が被害から回復するためには,時に長い時間を要し,犯罪被害者等のニーズは変化する.そのため,ソーシャルワーカーは長期的に支援するという犯罪被害者等の視点に立った支援が求められる.
著者
村上 賢治 木村 学 松原 幸子
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.773-778, 1995
被引用文献数
2 2

サトイモ (<I>Colocasia esculenta</I> Schott) 品種'えぐいも'のカルスから単離したプロトプラストの培養および植物体再生技術を開発した.<BR>1. プロトプラスト培養の材料に適した柔らかいカルスは, 黄化茎の切片を30g•liter<SUP>-1</SUP>ショ糖, 2mg•liter<SUP>-1</SUP>,4-D+2mg•liter<SUP>-1</SUP>2ipおよび2g•liter<SUP>-1</SUP>ジェランガムを添加したMS培地で培養することにより誘導した. このカルスは, 同組成の新しい培地に継代培養すると増殖を続けた.<BR>2. プロトプラストは, カルスを振とう培養して得られた懸濁培養細胞を酵素処理することにより, 容易に単離された. 酵素液の組成は, 1g•liter<SUP>-1</SUP>ペクトリアーゼY-23+5g•liter<SUP>-1</SUP>セルラーゼオノズカRS+5mM MES+5mM CaCl<SUB>2</SUB>•2H<SUB>2</SUB>O+0.5Mマニトールとした.<BR>3. プロトプラストの培養は, 1/2濃度のMS無機塩, Kao and Michayluk (1975) の有機物に, 種々の濃度のNAA, BA, 2ip, 0.1Mグルコースおよび0.3Mマニトールを添加した液体培地で行った. これらのうち2mg•liter<SUP>-1</SUP>BAを添加した培地でプロトプラストを培養すると多くのコロニーが形成された.<BR>4. プロトプラスト由来のコロニーを0.2mg•liter<SUP>-1</SUP>NAA+2mg•liter<SUP>-1</SUP>BAを添加したMS固体培地 (2g•liter<SUP>-1</SUP>ジェランガムで固化) に移植すると,コロニーからカルスが形成され, 同組成の培地でさらに継代培養すると苗条が再生した. この苗条を切取り,ホルモン無添加のMS固体培地 (2g•liter<SUP>-1</SUP>ジェランガムで固化) で培養すると発根した.<BR>本研究で開発されたサトイモのプロトプラスト培養技術は, 今後再分化率の向上などを図ることによって,細胞融合や遺伝子導入を利用した新品種育成のための,有効な基礎技術となり得ると考えられた.
著者
小松原 幸子 花牟礼 豊 須田 佳人 春田 厚 笠野 藤彦 鹿島 直子
出版者
The Oto-Rhino-Laryngological Society of Japan, Inc.
雑誌
日本耳鼻咽喉科學會會報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.111, no.5, pp.412-415, 2008-05-20
被引用文献数
2 10

耳鼻咽喉科領域では, 脂肪注入術は, 主に声門閉鎖不全に対し行われる方法である. われわれは, 喉頭摘出後にボイスプロステーシス (PROVOX2<SUP>®</SUP>) を留置したがシャント孔が拡大し, 保存的には縮小困難であった症例に遭遇した. この症例に対し, 声帯内脂肪注入術を応用して, シャント孔周囲に脂肪を注入した. その結果, シャント孔の十分な縮小が得られた. これにより, ボイスプロステーシスを用いた発声が継続可能となった.
著者
桝田 正治 瀧口 武 松原 幸子
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.641-648, 1989
被引用文献数
12 12

水耕トマトの5段摘心栽培において摘心後に培養液濃度を高め養液成分の濃度変化および果実収量と品質について調査した. また苗齢の違いと養液成分の濃度変化の関連性についても検討した.<br>1. 定植から摘心までは園試1/2倍濃度で栽培したが, この間のEC値, 硝酸態窒素, カリ, リン濃度は常に低下し, カルシウムとマグネシウム濃度は比較的安定していた. 摘心後に培養液を同じ1/2倍濃度に更新するとカリとリンを除いてどの成分濃度も上昇傾向に変わり,EC値も常に上昇した. カリ濃度の変化は小さかったが,リン濃度の変化は大ぎく培養液補給時にゼロになることもしぼしぼあった. 園試標準濃度ではリンを除いてすべての成分濃度が上昇した. また園試3/2倍濃度と高くすると成分濃度の変化域はさらに大きくなった.<br>2. 異なる苗齢において園試1/2倍濃度の変化を調べたところ, 硝酸態窒素, カルシウムについては70日苗で低下し, 105日苗で安定し, 125日苗で上昇した, カリとリンの濃度はどの苗齢でも低下する傾向にあった. マグネシウム濃度は70日苗で安定していたが, 105日苗と125日苗では上昇した. 成分(n′)と水(w′)の吸収量から算出した値(n′/w′)は硝酸態窒素, カルシウムおよびマグネシウムで苗齢の小さいときには当初の培養液濃度より高く, 苗齢の大きいときは低くなった. リンとカリのn′/w′は苗齢に関係なくほぼ一定で培養液濃度より常に高かった.<br>3. 摘心後に培養液を園試3/2倍濃度(EC2.9)まで高めると, 1/2倍濃度および標準濃度に比べて果実のBrix および滴定酸度が高まった. この場合, 果実収量は若干低下したが, 裂果や尻ぐされ果の発生は少なくなった. 以上の結果より, 摘心後に培養液濃度を高めれば収量に大きな影響を及ぼす事なく果実の品質を高め得るものと推察された.
著者
篠崎 侑一 大原 幸子
出版者
岡山大学農学部
雑誌
岡山大学農学部学術報告 (ISSN:04740254)
巻号頁・発行日
no.11, 1958-03

1.岡山県産ナタネの一般性状を各地区産地別に比較すると,概して県北地区生産のものが県南地区のものより油分含量が高い.2.ヨウ素価の低い品種として伊勢黒系の分系品種が注目され,又一般性状においては特に近畿28号が優秀な品種と思われる.3.成熟適期を落花終了後30日目と定めることは油分の性状変化からみて刈取調製上の意義が大きい.4.ナタネ燐脂体の含量はアルコール可溶性成分の量に比例した.5.輸入ナタネ(エチオピヤ産ナタネと称するもの)に異常性状を示すものが発見されたが,この子実はカラシナ(B. juncea),アビシニアカラシ(B. carinata)の混合物であつて,ナタネとして取扱えない。
著者
田中 秀司 遠田 譲 圓尾 圭美 吉田 雅之 菅原 幸子
出版者
東京女子医科大学学会
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.65, no.6, pp.461-461, 1995-06-25

第303回東京女子医科大学学会例会 平成7年6月8日(木) 臨床講堂I
著者
若林 伸之 菅原 幸子 大野 博子 上田 禮子 石上 宮子 中村 省司
出版者
東京女子医科大学学会
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.51, no.8, pp.870-870, 1981-08-25

東京女子医科大学学会第238回例会 昭和56年4月24日 東京女子医科大学本部講堂