著者
高橋 伯夫 松沢 誠 池垣 岩夫 西村 眞人 増井 一郎 山田 親久 乾 修然 吉村 学
出版者
社団法人 日本腎臓学会
雑誌
日本腎臓学会誌 (ISSN:03852385)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.53-64, 1990 (Released:2011-07-04)
参考文献数
30

We assessed the role of circulating digitalislike substance (s) on the blood pressure regulation in patients with essential hypertension, cardiac diseases, diabetes mellites and renal diseases by measuring digoxin-like immunoreactivity (DLI). Plasma DLI concentrations tended to correlate with blood pressure in all patient groups. Plasma DLI correlated to plasma aldosterone concentration in patients with essential hypertension, which suggested close interrelationship between DLI and electrolytes metabolism with adrenal steroids. Serum immunoreactive insulin (IRI) levels significantly correlated with blood pressure. Because plasma DLI levels correlated with serum IRI, increased levels of insulin could have induced sodium retention leading to increased DLI levels. Digitalislike substance, but not insulin, would have directly increased blood pressure in patients with abnormal glucose tolerance. Plasma DLI levels significantly correlated with the severity of renal insufficiency in patients with renal diseases. Plasma DLI highly correlated with amounts of plasma pro-teins, particularly with albumin, which would be due to the binding of DLI with albumin in plasma. Because the level of non-binding DLI is extremely low when assayed with a digoxin-radioimmunoassay, it was impossible to assess the level of a free-form of DLI, i.e., active DLI. That could be a reason why the correlation between the DLI and the other parameters was not highly significant. Collectively, these findings suggest that the DLI is one of the major determinants of blood pressure rises, regardless of any cause.
著者
藤橋 雄一郎 小林 修 山下 政和 三浦 早紀 吉村 学
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2014, 2015

【はじめに,目的】厚生労働省は2025年を目途に可能な限り住み慣れた地域で,自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう,地域の包括的な支援・サービス提供体制(地域包括ケアシステム)を構築するとしている。地域包括ケアシステムでは介護,医療,予防,住まい,生活支援の5つのサービスを一体的に受けられる支援体制を構築するとしており,各保健医療福祉の多職種が密に連携することが望まれている。そのためには,他の職種を理解し尊重すること,情報を的確に伝えるコミュニケーション能力が必要となる。現在の若者は,経験・特に対人関係の経験不足,対人関係能力の未成熟な学生が年々増加している等の報告がなされており,早い段階から他者とのコミュニケーションを図る必要性が求められている。前述の状況から,近年は多職間種連携教育(IPE)や多職種協働(IPW)が様々な場所で行われている。養成過程時にIPEを経験することで,他の職種に対する理解や重要性,卒業後の医療・福祉現場における他の職種へのギャップを減らすことができると考える。また,コミュニケーション能力の向上にも有効であると考える。今回,医療施設でのIPE研修会を実施し,社会的スキル及び自己効力感を測定した。その内容の報告及びアンケート調査による考察を含め報告する。【方法】IPE研修会の参加者は13名で男性6名,女性7名あった。参加者の職種内訳は医学6名,看護4名,理学療法2名,言語聴覚療法1名であった。IPE研修会は4泊5日の行程で行われた。1日目はオリエンテーションと懇親会が行われた。2日目は担当事例のカルテ閲覧,他職種からの情報収集による担当症例評価,他職種同行研修が行われた。3日目は,2日目の内容に加え,症例事例検討,地域住民宅へのホームステイを実施した。4日目は,同日夜に実施する地域住民との座談会において健康に関する講義を実施するための準備を行った。5日目は,IPEグループワークを実施し,研修会の振り返りを行い終了した。調査は初日のオリエンテーション時と最終日に自記式質問紙法を用いて実施した。自記式質問紙法には,看護領域などで用いられている「対人関係を円滑に運ぶ為に役立つスキル」Kikuchi's Scale of Social Skills:18items(Kiss-18)と個人が自己効力感をどの程度認知する傾向にあるのかを測定するGeneral Self-Efficacy Scale(GSES)を用いた。得られたデータより,Kiss-18とGSESの初日と最終日の平均値を算出した。Kiss-18とGSESのそれぞれの初日,終了日の関連性をSpearmanの順位相関係数,Wilcoxonの符号付順位検定を用い比較し,有意水準を5%未満とした。【結果】調査協力を得た13名を分析対象とした。有効回答率は100%であった。Kiss-18の平均値は初日59.8±9.7,最終日67.1±10.6(初日最大値71,初日最小値43,最終日最大値88,最終日最小値47)であった。GSESの平均値は初日7.7±2.2,最終日8.4±2.6(初日最大値12,初日最小値5,最終日最大値13,最終日最小値4)であった。Kiss-18の初日と最終日にはr=0.6 p=0.03と有意な相間が認められた。GSESの初日と最終日にはr=0.35 p=0.25と有意な相間は認めなかった。Kiss-18とGSESの初日と最終日の比較では,初日に比べ最終日において有意に高くなっていた(p<0.05)。【考察】調査より得たKiss-18とGESEの初日及び最終日の平均値を用い,Kiss-18とGSESの標準値と比較した。Kiss-18の標準値は,成人男子61.82±9.41,女子60.1±10.5,大学生男子56.4±9.64,女子58.35±9.02,である。本結果と比較し,初日は大学生男女を,最終日は成人男女を上回る結果となった。GSESの標準値は,成人9.59±3.89(男性10.12±3.78,女性9.12±3.93),学生6.58±3.37である。本結果と比較すると,成人の標準値よりは低いものの,学生の標準値を上回る結果となった。このことから,今回実施した4泊5日のIPE研修会は,参加学生の社会的スキル,自己効力感を向上させたと言える。今回の研修会では,担当事例に対しカルテ閲覧,情報収集,同行研修を行ったことで,より細かな情報が得られた。また,他職種が注意していることを同行研修において確認できたことで,初日と最終日でKiss-18,GSESのスコアが向上したと思われる。【理学療法学研究としての意義】医療機関でのIPEは,他職種とのコミュニケーションを図ることで,自らの知識不足や他職種の理解が深まり,学生の社会的スキル,自己効力感を向上させ更なる意欲の向上に繋がる。
著者
吉村 学
出版者
京都府立医科大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1991

血中のカテコラミンの約6割を占めるドーパミンは測定可能な遊離型が0.3%と微量(10-20pg/ml)であり、他は抱合型として存在することから臨床検査としてルチンに使用するのは難しかった。しかし、今回ジフェニルエチレンジアミン法を用いるHPLC法を開発して、ドーパミンを5pg/ml迄測定する系を確立した。健常者に於ける血中遊離型ドーパミン(以下ドーパミン)濃度は若年者で6.4±1.5pg/ml、高齢者で16.2±8.2pg/mlとなり、血中ノルアドレナリン濃度と同様に加齢の影響を認めた。臥位で低下し、座位及び立位で高値を示すことから、採血は臥位で行った。24時間に於ける血漿ドーパミン濃度は日内変動を示さなかったが、血漿ノルアドレナリン及びアドレナリン濃度は日内変動を示した。運動時の血漿ドーパミン濃度は等尺性運動では軽度の上昇を示したが、律動性運動では著明な高値を示した。その上昇は運動強度の増大と共に上昇し、好気性運動から嫌気性運動に移行する時点で急上昇した。血漿ドーパミン濃度と乳酸濃度とは有意の正相関を示したことから、ドーパミンは運動時の筋肉内循環に重要な役割を占める事が示唆された。各種疾病との関連では、本態性高血圧症患者で低値を示し、β遮断薬投与患者では更に低下した。原発性アルドステロン症や褐色細胞腫などの二次性高血圧症では血漿ドーパミン濃度が高値を示した。又心不全などの浮腫性疾患や甲状腺機能低下症でも上昇した。パーキンソン病や症候群でL-DOPA投与後の血中ドーパミン濃度は経時間内に上昇し、又、循環不全患者でドーパミン製薬投与中の症例では血中ドーパミン濃度が著増することから、薬物濃度のモニターとしても利用可能である。今後は各種疾患及び各種薬剤投与症例の血中ドーパミン濃度を測定して臨床検査的有用性を確認する予定である。
著者
吉村 学
出版者
京都府立医科大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1993

[尿中ドーパミンの由来]尿中に放出される遊離型ドーパミンは腎の近位尿細管で生成されたものであり、血中由来でない。従って尿中遊離型ドーパミン濃度の測定でもって腎機能、特に近位腎細管機能の評価が可能である。一方、尿中抱合型ドーパミンは血中抱合型ドーパミンが濾過されて尿中に排泄されるものである事から、糸球体濾過機能を示すと考えられる。従って、抱合型ドーパミンはグレアチニン並びに尿素窒素と類似して、腎濾過機能依存性に尿中に排泄される。[尿中ドーパミングの測定と腎機能評価]正常腎機能者並びに慢性腎機能低下患者の血清クレアチニン濃度と尿中遊離型ドーパミン濃度を比較すると、両者間に有意の負相関があり、血清クレアチニン濃度の上昇、即ち腎機能の低下と共に尿中遊離型ドーパミン濃度は低下する。他の腎機能検査法と比較すると、尿中遊離型ドーパミン濃度は、近位尿細管機能の指標である尿中α_1マイクログロブリンやβ_2マイクログロブリン濃度と有意な負相関を、尿中クレアチニン、尿素窒素、カリウム並びに無機リン濃度と有意な正相関を示した。これらの成績より、尿中遊離型ドーパミン濃度測定でもって腎機能評価が可能である。今後はクレアチニン・クリアランスとの関係並びに症例数を増やして遊離型ドーパミン濃度のカットオフ値を求めて、腎機能検査法としての実用化を進める予定である。[抱合型ドーパミン濃度と腎機能]血中抱合型ドーパミン濃度は血清クレアチニン濃度と類似して腎機能低下と共に上昇し、腎臓人工透析又は腎移植を行うと血中濃度は低下する。又、腎機能低下状態では尿中に排泄される抱合型ドーパミン濃度は低下する。従って、血中並びに尿中の抱中型ドーパミン濃度測定でもって腎機能評価は可能である。今後、各種腎機能低下患者に於いて検討する予定である。
著者
吉村 学
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.353-354, 2013 (Released:2014-01-10)
参考文献数
1

担当患者をもち, チームの一員としての役割が与えられ, ロールモデルである指導医からのフィードバックやスタッフからの学びによって, 臨床的な自信と患者を診る喜びが生まれる. 実習成功の秘訣は学習者のみならず, 患者にとっても指導医にとってもメリットがあるように工夫することである. 今回は15のコツを紹介した. 患者, 指導医, スタッフにとって具体的なメリットが出てくることが多い. より長い期間の実習にてより効果が大きくなる. その経験の積み重ねはよりよい学習環境の構築につながる.