著者
牧迫 飛雄馬 阿部 勉 藤井 伸一 住谷 久美子 吉松 竜貴 徳原 理恵 小林 修二 久保 晃
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.203-206, 2005 (Released:2005-09-02)
参考文献数
16
被引用文献数
2 1

在宅における歩行能力評価としての可能性を探ることを目的に,1.5 m,5 mおよび10 m歩行を分析し,その妥当性を検討した。対象は,理学療法を実施している入院患者40例(平均年齢70±12歳)で,快適および最大速度歩行中の1.5 m,5 m,10 mの各地点を通過した所要時間,歩数を計測し,歩行速度,歩行率,歩幅を比較した。その結果,快適および最大歩行ともに歩行距離による歩行速度,歩行率,歩幅の有意差は認めなかった。また,歩行速度,歩行率,歩幅ともに快適速度,最大速度条件において1.5 m歩行は5 m歩行,10 m歩行のそれぞれと有意に高い相関関係を認めた。以上より,1.5 mでの歩行測定は,5 m歩行および10 m歩行同様に歩行能力評価指標のひとつとして活用できる可能性があると考えられた。
著者
安川 知宏 久田 智也 中島 華子 増田 隆介 北之園 拓 山下 恭弘 小林 修
出版者
公益社団法人 有機合成化学協会
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.81, no.4, pp.353-361, 2023-04-01 (Released:2023-04-08)
参考文献数
57

Molecular sieves are type A zeolites with specific sized pores and are commonly used in organic synthesis to capture small molecules such as water. In addition to their trapping effect, they also have acidic and basic active sites and are used as solid acid-base catalysts. Usually, heat-drying treatments are performed prior to use, but the heat treatment methods, such as microwave ovens or heat guns, are not standardized, which could cause problems in reproducibility of reactions. Particularly, for reactions requiring acid/base sites of molecular sieves, these treatment methods are considered more sensitive because the structure of the active sites changes upon heating. In this article, we propose new methods of activation when using molecular sieves and their application to continuous-flow reactions.
著者
小林 修悟 小寺 浩二
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2012, 2012

Ⅰ はじめに河川流域の流域管理や環境保全を行うためには、流域単位での水域環境の把握が必要となる。近年はGISの普及により、河川流域の空間把握が格段に簡便となり、気候や地形等の河川の多様な水質形成因子の表現が可能となった。2000年以降、「水環境の地理学」の研究グループでは「河川流域の水環境データベース」作成が試みられている。当研究室では天塩川(清水ほか2006)、北上川(平山ほか2009)などの一級河川や大規模支流(信濃川支流魚野川、森本ほか2008)にて流域特性把握の研究が成された。本研究は水環境データベースの一環として尻別水系流域の流域特性把握を行うものである。当地域における羊蹄山湧水や公共水質観測による報告はあるが、支流を含めた水系全体の水質分析が成された例はない。主要溶存成分による水質分析とGISを利用した流域特性解析を紹介する。Ⅱ 流域概要 尻別川は支笏湖西方に位置するフレ岳(1,046m)に起源し、西方に流れ羊蹄山(1,893m)北麓を迂回し、蘭越町磯谷で河口へと達する、流域面積1,640km2、幹線流路長126km2の河川である。源流から喜紋別にかけての上流部では1/60以上と急勾配となっており流量は少ない。中流部から下流部にかけ支流合流と羊蹄山を中心とした湧水供給を受け、蘭越からの下流部では1/500‐1/5000程度と緩勾配となり、流量も増加し大河川となり河口へと注ぐ。 当地域は北海道有数の酪農、農業地帯となっており、主な農産品には馬鈴薯やアスパラガス等となっており、下流部は水田地帯が形成されている。観光面では羊蹄山湧水やラフティングといった、水資源による地域振興が成されており、尻別川が当地域に与える影響は大きくなっている。Ⅲ 研究方法国土数値情報等の公共作成データ等をGISソフト用いた流域規模での空間把握による自然地誌作成を行った。また、尻別川水系の水質特性把握を行うために、2012年5、7、9月下旬にて、本流、2次流以上の支流下流、湧水及びそれに準ずる河川最上流部の50点程サンプリングを行い、現地観測(気温、水温、流量、EC、pH、RpH)を行った。サンプルを濾過後、研究室にてTOC、イオンクロマトグラフィーによる主要溶存成分分析を行い、GISソフトによる図化により流域特性の鮮明な把握を行った。Ⅳ 結果と考察流域にはイワヲヌプリ(1,116m)に起源するpH4.0前後の硫黄川・ニセコアンベツ川等の酸性河川や、pH8.0前後の真狩川などを含み、湧水供給の高い河川など多様な河川が存在する。流域の大半が森林となっており5月下旬の河口部のECは95μm/cmと人為的影響が少ないことを示している。しかし、酪農地帯や耕作地流辺の小規模河川においてはpH、ECが高く人為的な影響を受けている。Ⅴ おわりに 本研究により尻別川水系には多様な特性を持つ河川が存在することが判明した。今後も調査を継続し年変動を把握し、水系特性及び各河川の水質形成の解明を行いたい。
著者
小島 ゆみこ アンナ 小林 修一 トマス ジャビエル アコスタ アヤラ 工藤 眞樹子 宮本 明夫 高木 光博 宮澤 清志 佐藤 邦忠
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.119-122, 2002-02-25
被引用文献数
1

Microdialysisシステム(MDS)は, 異なる細胞間の内分泌学的解析を分子レベルで行う方法である.今回, 馬の排卵前卵胞液中プロジェステロン(P_4), エストラジオール17β(E_2), アンドロステンジオン(A_4)とプロスラグランジンF_<2α>(PGF_<2α>)濃度を調べた.卵巣から卵胞を取り出し, ホルモン測定のため卵胞液を採取した.卵胞の大きさを大(30mm<), 中(29〜16mm)および小(15mm>)に区分けして, 各々の卵胞液中のホルモン濃度をEIA法により測定した.卵胞の大きさの違いで, P_4とPGF_<2α>濃度に有意差はなく, (A_4)濃度は大と中の卵胞間で差異を認めた.E_2濃度は, 中卵胞より大卵胞が高値であった.卵胞膜の小片にMDS操作を行い, LHを感作した時にP_4,A_4とPGF_<2α>分泌は増加した.PGF_<2α>を感作した時, P_4とA_4分泌の増加は認められたが, E_2の変動は小さかった.今回の結果から, 排卵前卵胞はLH感作により卵胞膜での黄体化とステロイドホルモン分泌を促進した.さらに, 発情周期のホルモン動態は, 他の動物種と大きく異なることが明らかとなったが, 主席卵胞が選択される機序は十分説明できなかった.
著者
小林 修
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会論文集 (ISSN:13446460)
巻号頁・発行日
vol.49, no.575, pp.419-424, 2001 (Released:2002-04-26)
参考文献数
10

This paper discusses a static stability theory for airplanes. The conventional definitions of static stability are neither clear nor systematic. On the basis of these situations, in the first report of this paper, a system of definitions on 6 static stability concepts was proposed, and two concepts of static flight-velocity stability and static angle of attack stability were studied. And in the second report, a concept of static pitch stability was discussed. This third report discusses on the three static stability concepts in sideslip, roll and yaw, and proposes that “dY/dβ<0, ” “dR/dΦ<0” and “dN/dΨ<0” should be used as the fundamental definitions, where R means rolling moment. The general criteria for these static stabilities are deduced from these definitions. From these criteria, “CYβ<0, ” “Clβ/CYβ>0” and “Cnβ>0” are obtained as the stable conditions. Finally, this report represents the whole summary of this paper.
著者
野田 譲 小林 修
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会論文集 (ISSN:13446460)
巻号頁・発行日
vol.54, no.633, pp.467-475, 2006 (Released:2006-11-20)
参考文献数
2

Most airplanes use their ailerons to compensate the lateral displacement deviation from a reference flight-path. This study proposes a method of lateral flight-path control due to the rudder steering under constraint of automatic roll angle hold. This control method is estimated analytically to produce quicker lateral displacement response than the control due to aileron. Then, experiments using a flight simulator are carried out to evaluate the control characteristics on the task of holding the flight path. The pilot’s evaluation results show that, the rudder steering method gives better flying qualities than aileron steering method. Furthermore, as the more practical control measures, the mixture type of method is worked out, which is transferred from aileron steering to rudder steering depending on the lateral displacement deviation from a reference flight-path.
著者
浅井 武 瀬尾 和哉 小林 修
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.29-38, 2007-01-10 (Released:2007-04-19)
参考文献数
24
被引用文献数
3 3

When the boundary layer of a sports ball undergoes the transition from laminar to turbulent flow, a drag crisis occurs whereby the drag coefficient (Cd) rapidly decreases. However, the aerodynamic properties and boundary-layer dynamics of a soccer ball are not well understood. Here we showed that the critical Reynolds number (Recrit) of a soccer ball was 2.2 - 3.0 × 105. Wind-tunnel testing, along with visualization of the dynamics of the boundary layer and the trailing vortex of a ball in flight clearly demonstrated that both non-spinning and spinning curved balls had low Cd values in the supercritical region. We also showed that the Recrit of a soccer ball was lower than that (approximately 3.5 - 4 × 105) of a smooth sphere, due to the effects of its panels; this indicated that the aerodynamic properties of a soccer ball were between those of a smooth ball and a golf ball. Lateral images taken during high-speed kicking of a spinning curve ball (26 m/s; 8 rps) revealed that the separation point was approximately 120° from the front-stagnation point. In addition, the boundary layer between the top and bottom surfaces of the ball became turbulent. Top-view images taken during curved kicking (27 m/s; 7 rps) showed vortex deflection due to the effects of a relative difference in fluid speed caused by the spinning. The curvature of the ball was largely attributed to a lateral force generated by vortex counteraction. However, although the separation point showed left-right asymmetry in relation to the direction of travel (top-bottom symmetry on the images), it was approximately 116° from the front-stagnation point, which was similar to the separation angle during high-speed kicking of a non-spinning ball. In addition, the boundary layer became turbulent and the vortex region shrank during high-speed kicking of a spinning ball.
著者
中原 一郎 森竹 浩三 半田 肇 小林 修一 長安 慎二 奥野 武彦 中野 善久
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.14-20, 1986-01-01 (Released:2011-08-10)
参考文献数
19
被引用文献数
1

ビタミンK欠乏性頭蓋内出血6例の臨床分析を行った結果, 適切な治療を行ったにもかかわらず, その臨床神経学的予後は不良であった. 微小脳血管構築の特殊性, 脳血液関門の未熟性など, 本症発症時期における小児脳の発達上の特殊性が, 本症の不良な予後ならびにその特徴的なCT所見に密接に関連するものと推定される. 以上の観点から, リスク児の早期のスクリーニング, ビタミンK製剤の予防的投与など, 本症の発症予防の重要性を改めて強調した.
著者
宮城 眞理 豊里 竹彦 小林 修平 川口 毅
出版者
The Japan Society of Health Sciences of Mind and Body
雑誌
心身健康科学 (ISSN:18826881)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.91-99, 2012

本研究は禁煙外来に来訪した受診者を1年以上にわたって追跡調査し,禁煙継続に関わる諸因子を疫学的に明らかにすることを目的とした.特に近年,喫煙が薬物依存症であることが明らかにされ,それに基づいて開発されたニコチン製剤であるニコチンパッチ (二コチネル) および,ニコチン受容体部分作動薬バレニクリン (チャンピックス) を用いた禁煙治療の長期的効果の比較とその他の心身健康に関わる心理的因子の検討を行った.<br>都内の禁煙外来においてバレニクリンもしくはニコチンパッチを用いて治療した102名を対象に治療開始後3ヶ月,1年後に追跡調査した結果,3ヶ月,1年後それぞれの禁煙率は79.3%,62.6%であり,禁煙補助剤別でみるとバレニクリンでは80.0%,68.4%,ニコチンパッチでは77.8%,56.7%であった.禁煙補助剤による副作用は53%にみられ,禁煙補助剤別でみるとバレニクリンでは57%,ニコチンパッチ42%であった.<br>禁煙の持続率に関連すると思われる因子では,禁煙持続群と禁煙しようとしたが,禁煙できなかった喫煙群との間には禁煙外来への受診回数 (3ヶ月<i>p</i> < 0.05,1年<i>p</i> < 0.01) および心理的要因であるSTAI (特定不安) ならびにカウンセリング必要度に有意差がみられ (<i>p</i> < 0.05),さらにカウンセリング必要度の中では,理屈ではよくないとわかっているのにその行動を改められないなどの行動症状,わけのわからないことで,イライラしたり,不安になる,あるいは無気力になるなどの精神症状に有意差が認められた (<i>p</i> < 0.05).<br>以上の結果から,長期的な禁煙効果を高めるためには,受診継続への工夫,禁煙補助剤の開発,ならびに心理的なサポートをするカウンセラーの育成が急務であることが示唆された.
著者
小林 修
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, 1993-06-15
著者
愛甲 美穂 日高 寿美 石岡 邦啓 五十嵐 愛子 坊坂 桂子 山下 昭二 持田 泰寛 守矢 英和 大竹 剛靖 高橋 宏 小林 修三
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.219-224, 2016 (Released:2016-03-28)
参考文献数
11
被引用文献数
3

透析患者は末梢動脈疾患 (peripheral arterial disease : PAD) の合併が多く, 重症虚血肢に至ると予後は著しく不良である. 予後改善にはPADを早期に診断・治療することが重要である. 足病変とPADの有無に基づき6つに区分し, 各区分に対するフットケアの間隔と内容を定めたフットケアプログラム (鎌倉分類) を策定した. 当院外来維持血液透析患者を対象に, 鎌倉分類導入前の2011年度群 (n=185) と, 導入後の2012年度群 (n=196), 2013年度群 (n=196) とに分け, 下肢潰瘍と切断発生件数をCochran-Armitage傾向検定を用い比較検討した. 新規潰瘍発生は, 2011年4.9件/100人・年であったが, 2012年3.1件, 2013年1.5件と有意に減少した (p=0.03). 下肢切断発生症例はすべて小切断で, 2011年1.6件/100人・年, 2012年1.0件, 2013年0.5件と推移した (p=0.14). 足病変を有する群で足関節および足趾上腕血圧比は足病変を有さない群に比較して低値であった. 足病変の有無を加味した透析患者における鎌倉分類はフットケアプログラムとして有用であり, 早期介入の意義が示唆された.
著者
小西 一之 堂地 修 岡田 真人 宮沢 彰 橋谷田 豊 後藤 裕司 小林 修司 今井 敬
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産學會報 = The Japanese journal of zootechnical science (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.68, no.11, pp.1075-1084, 1997-11-25
参考文献数
26
被引用文献数
4

持続性黄体ホルモン製剤であるCIDR-B(以下CIDR)を用いて発情周期を制御したウシのFSHによる過剰排卵処理について,Estradiol-17&beta; Valerate (EV)を投与したときの効果を黒毛和種未経産牛を用いて調べるとともに,短期間に実施した連続過剰排卵処理の影響を調べた.黒毛秘種未経産牛16頭を試験牛とし,無作為にEV投与区とEV非投与区(対照区)に分けた.試験牛には発情周期にかかわらずCIDRを膣内に装着し,その翌日にEV投与区にはゴマ油2mlに溶解したEV 5mgを,対照区にはゴマ油2mlを頸部筋肉内に注射した.これらの投与後5日目から過剰排卵処理を開始した.FSH計20AUを3日間の漸減法により筋肉内注射し,FSH投与開始後3日目にCIDRを除去するとともにクロプロステノール750&mu;gを筋肉内注射することにより発情を誘起した.人工授精を約12時間間隔で20行い,発情開始後7日目に非外科的に胚の回収を行った.以上の処理を1クールとし,EV投与区と対照区を交互に反転しながら4クール行った.採胚間隔は28日とした.なお,第3および第4クールは16頭のうち12頭で行った.第1および第2クールでは超音波断層装置によりCIDRの装着から除去まで1日おきに卵巣の動態を観察した.第4クールまでの12頭の過剰排卵処理成績について,EV投与と処理回数の2元配置により分散分析を待った.EV投与により回収卵数は有意に増加した(P<0.05).処理回数の影響はま黄体数でのみ有意であった(P<0.05).また,第1と第2クール分,第2と第3クール分,第3と第4クール分の連続する2クール分の成績をまとめた結果,いずれの場合も対照区の回収卵数が10あるいは8個未満のウシでは,反転させたEV投与区では採胚成績は有意に改善された.しかし,対照区の回収卵数が10あるいは8個以上のウシでは反転させたEV投与区での成績は対照区と差は認められなかった.第1および第2クールの卵巣の追跡では,過剰排卵処理開始時において,対照区に比べ,反転させたEV投与区の大卵胞(径82nm以上)数は有意に少なかった.以上より,CIDRを用いた過剰排卵処理ではEVを併用投与することにより,卵巣中の大卵胞数が抑制されるとともに,過剰排卵処理成績が改善されることが示唆された.
著者
橋詰 直孝 小林 修平 井上 喜久子 香川 芳子 川原 貴 赤岡 家雄
出版者
一般社団法人 日本痛風・核酸代謝学会
雑誌
プリン・ピリミジン代謝 (ISSN:09162836)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.93-98, 1992

血清尿酸値が一過性に上昇する運動性高尿酸が激しい運動を継続すると恒久的な高尿酸血症に進行するか否かを検討する目的で長距離・マラソンランナー11名(男性,年齢20~42才)を対象に,オーバートレーニングに近い月間走り込み大会前(9月30日),直後(11月1日)2週問後(11月15日),4週間後(11月29日)の血清尿酸値を測定した.<BR>走行距離は大会前の(9月)1日9.4±2.0km,大会中(10月1~31日)1日23.2±2.5kmで大会前の約2.5倍走り込んでいる.大会2週間後1日10.4±1.5km,大会4週間後1日9.1±1.8km である.摂取エネルギーは大会前1日2893±21kcal,大会中では1日3528.1±164.5kcalで,大会前の約1.2倍摂取している.それが大会後も続いている.それにもかかわらず体重の増加は認めなかった.このことは摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスがとれているためである.血清尿酸値は大会直前6,1±0.2mg/dl,大会直後5.6±0.2mg/dl,大会2週間後5.4±0.3mg/dl,大会4週間後5.3±0.4mg/dlで大会前値に対して大会直後や大会後は有意に低下していた.<BR>これらの結果より,運動に見合ったエネルギーを摂取した場合,体重の増加がなく消費エネルギーとのバランスがとれていれば激しい運動を継続的に行っても恒久的な高尿酸血症に進行しないばかりか,かえって尿酸が低下することが考えられた.
著者
饗場 葉留果 小林 修 湊 秋作 岩渕 真奈美 大竹 公一 岩本 和明 小田 信治 岡田 美穂 小林 春美 佐藤 良晴 高橋 正敏
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement
巻号頁・発行日
vol.29, 2013

&nbsp;日本,世界各地には道路や線路で分断されている森が非常に多く,野生動物の移動,繁殖,餌の確保等が困難になっている.そのため我々の研究グループは 1998年から森を分断する道路上に樹上動物が利用できるための橋を研究し,建築してきた.これまでに山梨県に 3ヶ所,栃木県に 1ヶ所,愛知県に 1ヶ所建設された.<br>&nbsp;1998年,山梨県の有料道路上に道路標識を兼ねたヤマネブリッジの建設を提案し,実現させた.建設後,ヤマネを初め,リス,ヒメネズミ,シジュウカラの利用が確認された.建設費用は約 2000万円であった.<br>&nbsp;しかし,2000万円という高額なものでは,この技術を「一般化」し,普及していくことが難しい.そこでより安く,簡易な設計にし,建設できる樹上動物が利用しやすい「アニマルパスウェイ」(以下,パスウェイ)の開発研究を 2004年から行った.2004年の材料研究,2005年には構造研究を実施し,森林を分断している私道上に実験基を建設し,モニタリングを実施したところ,2006年,リスとヤマネの利用を確認した.<br>&nbsp;2007年に北杜市の市道にパスウェイの建設をし,そのモニタリングの結果は 2008年のポスターにて発表した.その後,2010年には,北杜市に.号機が,2011年には栃木県,2013年 4月には愛知県でパスウェイの建設がされた.栃木県では,モモンガの利用が確認され,これで樹上性の小型哺乳類はほぼ利用するということが証左された.山梨県の.号機と.号機では継続的にモニタリングを実施しており,ヤマネの利用は,.号機と.号機では 2割程であり,ヒメネズミは,両機とも 8割程であり,ヒメネズミの利用頻度が高かった.また,パスウェイの利用部位に関しては,ヤマネでは床面とパイプ面を,ヒメネズミとテンでは床面を,多く利用することが確認された.今後,これらのデータを元に,より効果的なパスウェイの普及を行っていく.
著者
赤羽 優夏 丸山 麻希 小林 修司 小松 俊雄 唐澤 忠宏 小松 修 矢澤 正信 井上 憲昭
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 第57回日本農村医学会学術総会 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
pp.310, 2008 (Released:2009-02-04)

<はじめに> 亜鉛は必須微量金属のひとつであり、その欠乏症として味覚・臭覚障害が広く知られているが、この他に褥瘡等の皮膚障害、成長発育障害などにも関与している。これまでの測定方法は原子吸光法が主流であり、その特殊性から、入院患者の一般検査項目に入れられることは少なかった。しかし自動分析用試薬が開発され、当院内においても簡便に測定することが可能となった。今回、入院患者の褥瘡発生と亜鉛濃度との関連性について検討したので報告する。 <対象> 当院に入院中の寝たきり患者33名を対象とした。このうち、褥瘡のある患者(以下、褥瘡(+))は18名(年齢47~109歳 平均83.5歳 男10名 女8名)、褥瘡のない患者(以下、褥瘡(-))は15名(年齢57~102歳 平均86.7歳 男4名 女11名)であった。比較対照として、非寝たきり患者16名(年齢60~89歳 平均79.1歳 男9名 女7名)についても調査した。 <方法> 1.栄養摂取状況の調査 2.血清中亜鉛、総蛋白、アルブミンの測定 測定機器:日立7170S形自動分析装置 使用試薬:アキュラスオートZn(シノテスト社) 自動分析用試薬「生研」 TP (Biuret法) (デンカ生研) エクディアXL‘栄研’ALB-BCG (栄研化学) <結果> 血清亜鉛平均値は褥瘡(+)患者47.0μg/dl、褥瘡(-)患者55.8μg/dlで、褥瘡(+)と褥瘡(-)の患者間に有意差(t検定)を認めた。総蛋白平均値は褥瘡(+)患者6.21g/dl、褥瘡(-)患者5.97g/dlで、有意差は認めなかった。アルブミン平均値は褥瘡(+)患者2.99g/dl、褥瘡(-)患者平均3.22g/dlで、有意差は認めなかった。なお非寝たきり患者の平均値は、亜鉛61.0μg/dl、総蛋白6.89g/dl、アルブミン3.78g/dlであった。 <考察> 今回、血清亜鉛、総蛋白、アルブミンのうち、褥瘡(+)と褥瘡(-)の患者間において有意差が観察されたのは、血清亜鉛のみであった。また、褥瘡(+)患者の亜鉛平均値は基準値(65~110μg/dl)を大きく下回っていた。以上のことから、寝たきり患者においては、血清亜鉛濃度を測定することにより褥瘡発生を予測できる可能性があると考えられた。 褥瘡の予防において栄養状態の良否は大きく影響する。通常、栄養状態を評価する検査項目として総蛋白、アルブミン値が利用されているが、本研究結果によれば両者の値から褥瘡の発生を予測することは困難であると考えられた。 亜鉛濃度が院内で簡便・迅速に測定できるようになったことで、亜鉛の褥瘡マーカーとしての有用性が今後高まっていくであろうと思われる。
著者
藤橋 雄一郎 小林 修 山下 政和 三浦 早紀 吉村 学
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2014, 2015

【はじめに,目的】厚生労働省は2025年を目途に可能な限り住み慣れた地域で,自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう,地域の包括的な支援・サービス提供体制(地域包括ケアシステム)を構築するとしている。地域包括ケアシステムでは介護,医療,予防,住まい,生活支援の5つのサービスを一体的に受けられる支援体制を構築するとしており,各保健医療福祉の多職種が密に連携することが望まれている。そのためには,他の職種を理解し尊重すること,情報を的確に伝えるコミュニケーション能力が必要となる。現在の若者は,経験・特に対人関係の経験不足,対人関係能力の未成熟な学生が年々増加している等の報告がなされており,早い段階から他者とのコミュニケーションを図る必要性が求められている。前述の状況から,近年は多職間種連携教育(IPE)や多職種協働(IPW)が様々な場所で行われている。養成過程時にIPEを経験することで,他の職種に対する理解や重要性,卒業後の医療・福祉現場における他の職種へのギャップを減らすことができると考える。また,コミュニケーション能力の向上にも有効であると考える。今回,医療施設でのIPE研修会を実施し,社会的スキル及び自己効力感を測定した。その内容の報告及びアンケート調査による考察を含め報告する。【方法】IPE研修会の参加者は13名で男性6名,女性7名あった。参加者の職種内訳は医学6名,看護4名,理学療法2名,言語聴覚療法1名であった。IPE研修会は4泊5日の行程で行われた。1日目はオリエンテーションと懇親会が行われた。2日目は担当事例のカルテ閲覧,他職種からの情報収集による担当症例評価,他職種同行研修が行われた。3日目は,2日目の内容に加え,症例事例検討,地域住民宅へのホームステイを実施した。4日目は,同日夜に実施する地域住民との座談会において健康に関する講義を実施するための準備を行った。5日目は,IPEグループワークを実施し,研修会の振り返りを行い終了した。調査は初日のオリエンテーション時と最終日に自記式質問紙法を用いて実施した。自記式質問紙法には,看護領域などで用いられている「対人関係を円滑に運ぶ為に役立つスキル」Kikuchi's Scale of Social Skills:18items(Kiss-18)と個人が自己効力感をどの程度認知する傾向にあるのかを測定するGeneral Self-Efficacy Scale(GSES)を用いた。得られたデータより,Kiss-18とGSESの初日と最終日の平均値を算出した。Kiss-18とGSESのそれぞれの初日,終了日の関連性をSpearmanの順位相関係数,Wilcoxonの符号付順位検定を用い比較し,有意水準を5%未満とした。【結果】調査協力を得た13名を分析対象とした。有効回答率は100%であった。Kiss-18の平均値は初日59.8±9.7,最終日67.1±10.6(初日最大値71,初日最小値43,最終日最大値88,最終日最小値47)であった。GSESの平均値は初日7.7±2.2,最終日8.4±2.6(初日最大値12,初日最小値5,最終日最大値13,最終日最小値4)であった。Kiss-18の初日と最終日にはr=0.6 p=0.03と有意な相間が認められた。GSESの初日と最終日にはr=0.35 p=0.25と有意な相間は認めなかった。Kiss-18とGSESの初日と最終日の比較では,初日に比べ最終日において有意に高くなっていた(p<0.05)。【考察】調査より得たKiss-18とGESEの初日及び最終日の平均値を用い,Kiss-18とGSESの標準値と比較した。Kiss-18の標準値は,成人男子61.82±9.41,女子60.1±10.5,大学生男子56.4±9.64,女子58.35±9.02,である。本結果と比較し,初日は大学生男女を,最終日は成人男女を上回る結果となった。GSESの標準値は,成人9.59±3.89(男性10.12±3.78,女性9.12±3.93),学生6.58±3.37である。本結果と比較すると,成人の標準値よりは低いものの,学生の標準値を上回る結果となった。このことから,今回実施した4泊5日のIPE研修会は,参加学生の社会的スキル,自己効力感を向上させたと言える。今回の研修会では,担当事例に対しカルテ閲覧,情報収集,同行研修を行ったことで,より細かな情報が得られた。また,他職種が注意していることを同行研修において確認できたことで,初日と最終日でKiss-18,GSESのスコアが向上したと思われる。【理学療法学研究としての意義】医療機関でのIPEは,他職種とのコミュニケーションを図ることで,自らの知識不足や他職種の理解が深まり,学生の社会的スキル,自己効力感を向上させ更なる意欲の向上に繋がる。