著者
小泉 武夫
出版者
東京農業大学
雑誌
東京農業大学農学集報 (ISSN:03759202)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.219-229, 2010-03-15

今日,わが国に於いて焼酎は一大発展を遂げ,今やその消費量や生産量は日本酒を大きく引き離している。ところがこの焼酎は,一体どこから渡来してきたのかは明らかになっていない。大陸説,中国説,南方南洋説などさまざま論じられているが,今から400年以上も前のことであるので正しい検証はされていない。つまり日本の焼酎の歴史の原点部は今もって明らかにされていないのである。そこで筆者は中国,そして東南アジアの諸国を20年近く調査してきて,そのルーツが中国雲南省に在り,それがメコン川を通して南方に渡り,シャム(今のタイ国)から琉球を経て薩摩に来たことを,多くの文献や,現地での証拠写真などから検証し,証明した。そしてその焼酎が日本に入ってきてから,今度はこの国独自の知恵や発想によってさらに技術的発展を遂げ今日に至ったことを論じる。
著者
鈴木 昌治 小川 明宏 高橋 力也 米山 平 小泉 武夫
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.79, no.8, pp.575-580, 1984-08-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
21

紹興酒もろみ及び麦麹より分離した発酵性酵母12株の同定試験を行ない, 形態学的性質および生理学的性質の結果よりSacch. cerevisiaeと同定した。また, これら酵母はメレジトーズの資化性 (-), ビオチン欠培地での増殖 (+), イーストサイジンの抵抗性 (-), カリ欠培地での増殖 (+), 高泡形成能 (-), L.caseiによる凝集性 (+Weak), 対5番抗原活性 (-) であり, 本邦の焼酎酵母に類似していた。本研究の遂行にあたり, 試料の提供とともに有意義な御助言を賜わった鈴木明治博士ならびに懇切なる御指導をいただいた竹田正久博士, 中田久保氏に深謝する.
著者
小泉 武夫
出版者
東京農業大学
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.219-229, 2010 (Released:2011-07-26)

今日、わが国に於いて焼酎は一大発展を遂げ、今やその消費量や生産量は日本酒を大きく引き離している。ところがこの焼酎は、一体どこから渡来してきたのかは明らかになっていない。大陸説、中国説、南方南洋説などさまざま論じられているが、今から400年以上も前のことであるので正しい検証はされていない。つまり日本の焼酎の歴史の原点部は今もって明らかにされていないのである。そこで筆者は中国、そして東南アジアの諸国を20年近く調査してきて、そのルーツが中国雲南省に在り、それがメコン川を通して南方に渡り、シャム(今のタイ国)から琉球を経て薩摩に来たことを、多くの文献や、現地での証拠写真などから検証し、証明した。そしてその焼酎が日本に入ってきてから、今度はこの国独自の知恵や発想によってさらに技術的発展を遂げ今日に至ったことを論じる。
著者
高橋 美絵 磯谷 敦子 宇都宮 仁 中野 成美 小泉 武夫 戸塚 昭
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.102, no.5, pp.403-411, 2007-05-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
21
被引用文献数
5 7

製麹工程における麹の香りの変化を明らかにした。1.製麹工程中の香りは, 麹らしい香りの全体的強度, キノコの香りの強度は経時的に増加する傾向を示し, 甘い香りは出麹時に最も強くなり, 栗香は出麹以降に強くなることが認められた。2.栗香については, Phenylacetaldehydeが床もみ後40時間で最大となり, 1-Octen-3-one, 1-Octen-3-olは菌体量の増加とともに44時間から49時間の出麹にかけて約2倍に増加したことから, これらの成分のバランスで栗様の香りになるものと考察した。3.製麹工程において麹中のアミノ酸は出麹に向けて経時的に増加する傾向を示したが, 香気成分の前駆物質と考えられるアミノ酸 (Val, Leu, Met及びPhe) において固有の動向は見られなかった。4.製麹工程における脂肪酸の動向を検討したところ, 脂肪酸は菌体量の増加, 菌体外タンパク質量と共に増加する傾向を示し, 脂肪酸は麹菌の増殖の指標となると考えられた。5.リノール酸を基質として麹から抽出した粗酵素液を反応させたところ, HOD及び1-Octen-3-olの生成が確認された。1-Octen-3-ol生成酵素活性は製麹後半 (リノール酸の増加開始約4時間後付近) で約10倍高くなり, 基質であるリノール酸に制御されていることが示唆された。6.1-Octen-3-olを基質として粗酵素液を反応させたところ, 1-Octen-3-oneの生成が確認された。1-Octen-3-one生成酵素活性は盛仕事以後の製麹工程中において一定であり, 香りに強弱がある麹間においても差は認められなかった。7.製麹後期の麹の香りは, リノール酸を前駆体として生産されるものであり, この香りを製麹管理及び麹の品質評価の指標として活用できることが確認された。
著者
小泉 武夫 忍田 憲一 石橋 信治 鈴木 雄三 鈴木 明治
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.192-196, 1975

1.飲酒に供した酒類により, 尿の臭いが特徴づけられることはしばしぽ飲酒者の体験により知られるところである。本報告では熟し香構成成分解明の手掛かりを得ようと, 清酒とそれ以外の酒類 (ぶどう酒, ピール, ウイスキー, 甲類焼ちゅう) を飲酒した場合の尿中揮発成分について比較した。<BR>2.飲酒することにより排尿中の成分は, 飲酒前に比べて複雑に増加することを知った。<BR>3.ガスクロマトグラフィー分析で, 清酒飲酒後の尿中に14成分の存在を推定したが, 他の酒類の場合でもほぼこれに近い尿成分であった。<BR>4.薄層クロマトグラフィー分析により塩基性区分を検討したところ, 飲酒に供した酒類の別により検出成分に差がみられた。特に清酒飲酒の場合特異的であり, これら尿中塩基化合物は, 清酒飲酒の際の尿の不快臭に重要な要因となっているものと推察した。
著者
岡田 俊樹 前田 安彦 角田 潔和 鈴木 昌治 小泉 武夫
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.94, no.8, pp.674-681, 1999-08-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

Kona-koji was prepared without the addition of a koji starter (Tanc-koji) for the production of Imo-shochu. The spores of molds carried in the air affected growth during the preparation of koji. So, we isolated the spores of molds from the vicinity of the places used for the preparation of koji and production of shochu.As shown by the results, a 103 order of colonies per gram·koji of A. oryzae were isolated from kojimuro solids, shochu distillery solids and from the leaves of N. antiqua that are used to wrap the koji A. oryzae spores were also isolated from the air of the koji-muro and shochu distillery. In addition spores of A. niger and other molds were also isolated.We measured the enzyme activity of these strains and investigated their physiological characteristics. Their acidity was higher than that of the standard strains. The characteristics of these strains agreed with those of strains isolated from kona-koji. Therefore, we found that spores of Aspergillus sp. were mixed with the raw material for koji from the leaves of N. antiqua or airborne spores, and these spores grew during the preparation of koji.Further more, spores of other mold contaminating koji were isolated from the leaves of N. antiqua, but they were not detected in the koji. We found that their mold were selected against as the temperature of koji rose to 40C during its preparation.
著者
岡田 俊樹 前田 安彦 金内 誠 角田 潔和 鈴木 昌治 小泉 武夫
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.94, no.10, pp.849-852, 1999-10-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

青ヶ島の芋焼酎製造に用いられる粉状麹の諸性質を調べた。(1) 粉状麹の製麹過程中の水分含量の変化は, 引込み時に45.0%であったものが, 7日目の出麹時は, 32.0%まで減少した。これは, 一般的な散麹の値より10%程度高かった。(2) 粉状麹の製麹中の酸度は, 出麹まで増加し続け, 4.0meに達した。これは, 一般的な焼酎用麹の酸度よりわずかに低いものであった。(3) 粉状麹の出麹時の各種酵素力価は, AAは1, 100U/g・麹, GAは260U/g・麹であり, 白麹菌を用いて製麹した焼酎用麦麹と比べて, AAで約12倍, GAで約1.4倍高かった。APは11,900U/g・麹で, 焼酎用麦麹と同等であり, ACPは9, 800U/g・麹で, 約3倍高い値を示した。また, 耐酸性α-アミラーゼは530U/g・麹だった。(4) 粉状麹の製麹過程中の細菌酸度は, 製麹開始後, 4日目に3.1meに達したが, その後減少し, 出麹時は2.4meだった。これは, 一般的な散麹の値より高い値だった。以上の結果より, 青ヶ島の芋焼酎製造に用いられている粉状麹は, 酸度が高いことや各種の酵素力価より, 焼酎用麹として十分な品質を有していることが明らかとなった。
著者
岡田 俊樹 前田 安彦 角田 潔和 鈴木 昌治 小泉 武夫
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.94, no.2, pp.150-157, 1999-02-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
20
被引用文献数
1 1

伊豆諸島の青ヶ島で芋焼酎の製造に用いられている粉状麹の製麹法について現地調査を行うとともに, 粉状麹の製麹過程中の麹の状貌変化や主要糸状菌の検索とその諸性質を調べた。(1) 粉状麹の製麹法の特徴は, 原料大麦を妙こう処理してから粉状にして用い, 種麹などのスターターを使わずに自然種付によって行うことから製麹に約1週間を費やすことにあった。また, 製麹時に, タニワタリの葉が用いられていた。(2) 青ヶ島には7カ所の製麹場があり, そのうち一醸造場の製麹過程中の糸状菌の動態を調査した。引込みから24時問目にはピンク色の胞子と黄色の胞子が混在していたが, 41日目までに黄色の胞子を持った菌株が急激に増殖し, その後も穏やかな増殖が続き, 出麹まで7目間を要した。出麹時の麹は黄色の胞子が2.7×1011個/g・麹, 黒色の胞子は3.1×1010個/g・麹で, 黄色の菌株がセ体の粉状麹であった。(3) 製麹過程中の培養物および出麹時の麹より分離した菌株の同定を行った結果, 粉状麹に優勢して着生する糸状菌はA. oryzae groupに属する菌種であり, 他にA. niger groupがわずかに混在する菌相であった。(4) A. oryzae groupの生理学的牲質を調べた結果, 生酸性においては, 多酸性の株が多く, 麹酸は, 全ての株で高い生産性が認められた。また, 酵素力価は, α-アミラーゼと中性プロテアーゼ活性において菌株間に大きな違いがみられ, さまざまな性質の菌が混在していた。(5) A. niger groupの生理学的性質を調べた結果, 生酸性は, A. oryzae groupより高く, 酵素力価は, α-アミラーゼ, 中性プロテアーとも低かった。本研究を行うにあたりご協力いただきました青ヶ島酒造合資会社奥山喜久一氏ならびに青ヶ島役場の方々に深謝いたします。
著者
小泉 武夫
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.835-839, 2013 (Released:2013-07-23)
被引用文献数
1
著者
小泉 武夫 Takeo Koizumi 東京農業大学 Professor Emeritus Tokyo University of Agriculture
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.219-229,

今日,わが国に於いて焼酎は一大発展を遂げ,今やその消費量や生産量は日本酒を大きく引き離している。ところがこの焼酎は,一体どこから渡来してきたのかは明らかになっていない。大陸説,中国説,南方南洋説などさまざま論じられているが,今から400年以上も前のことであるので正しい検証はされていない。つまり日本の焼酎の歴史の原点部は今もって明らかにされていないのである。そこで筆者は中国,そして東南アジアの諸国を20年近く調査してきて,そのルーツが中国雲南省に在り,それがメコン川を通して南方に渡り,シャム(今のタイ国)から琉球を経て薩摩に来たことを,多くの文献や,現地での証拠写真などから検証し,証明した。そしてその焼酎が日本に入ってきてから,今度はこの国独自の知恵や発想によってさらに技術的発展を遂げ今日に至ったことを論じる。
著者
小泉 武夫
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.835-839, 2013-03-31
被引用文献数
1

1 0 0 0 OA 稲麹と酒造り

著者
小泉 武夫 鈴木 昌治 野白 喜久雄
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.79, no.7, pp.476-478, 1984-07-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
5

古い文献によれば, 稲贅花 (オンクワ) と呼ばれる稲穂の上に生ずる稲麹を素種として麹造りを行なっていたという。種麹の変遷とも関連して, この稲麹が酒造りに果たした役割は興味のあるところである。最近, 稲麹について調査研究をされた筆者にその周辺を解説していただいた。
著者
吉沢 淑 尾崎 裕子 武藤 敏昭 進藤 斉 角田 潔和 小泉 武夫
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.93, no.12, pp.990-997, 1998

A protease was purified from the sarcocarp of Yubari melon fruit, the raw material used in the production of melon wine, by a series of treatments consisting of ammonium sulfate precipitation, gel filtration and ion-exchange chromatography. The enzyme was a monomer protein without a carbohydrate moiety. Its characteristics are as follws: molecular weight 66 kDa, isoelectric point pH 8.5, optimal temperature 40°C, and enzyme activity is promoted in the presence of Mn<SUP>2+</SUP>. It is a characterisric serine protease and preferentially hydrolyzes peptide bonds on the carboxyl terminal side of Phe and Arg.<BR>The sequence of the N termcnal 20 amcno acods was determined.
著者
進藤 斉 矢部 修平 角田 潔和 小泉 武夫
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.101, no.1, pp.61-68, 2006-01-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

低温醪において液部のMet濃度が増加せず, 低濃度で一定推移し, 酵母菌体内にSAMを高蓄積する現象に対して, 低温が及ぼす影響を個別に検討した。1. 単発酵培地では, 糖が同濃度条件でY, Pまたは麹エキス由来成分が低濃度条件であってもMATFase活性は高くならなかった。また10℃の低温培養でも同様であった。MATFase活性は, 低温における菌体内SAM高蓄積との直接的な関連は薄いと推察した。2. 醪ではSAMを菌体内に高蓄積している10℃発酵条件下でも必ずしもMATFase活性が高くならなかった。さらにMet添加でMATFase活性が高く, かつ10℃でもSAMは高蓄積されないことが示された。このため, 本酵素活性と低温醪でのSAM蓄積の関連性は低いこと明らかとなった。3. 10℃醪では, SAM量が228~242mg/醪1kgと15℃の180mgに比べて多かった。しかし両温度条件でもSAMの90%は菌体内に存在し粕へ移行したことより, 低温醪でSAM生成量が多くても末期管理が適切ならば酒質への悪影響はないと推察した。4. 糖とアミノ酸が連続的に供給され並行複発酵するモデル培地として固液共存培地を作成した。グルコースは順調に消費され, 培養終了時のアルコールが約15%, アミノ酸度も徐々に増加し最大4mlとモデル培地として妥当な経時変化であった。5. 固液共存培地では, 10℃, 15℃両条件で総アミノ酸量及び各アミノ酸組成でも大部分は増加したが, Metは10℃で低濃度のまま一定推移する特徴的な動向を示した。また培養終了時の菌体内SAM量は, 10℃では19.6mg/1010cells, 15℃では同7.0mgと固液共存培地においても醪と同様に低温で高蓄積された。並行複発酵かつ低温での液部Metの低濃度推移と酵母菌体内SAM高蓄積現象は, 米, 米麹を用いずに再現可能であった。またMetが低濃度で徐々に供給されることが, 低温での酵母のMetの選択的取り込みに影響していると推察された。
著者
吉沢 淑 鈴木 大介 進藤 斉 角田 潔和 小泉 武夫
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.92, no.3, pp.217-223, 1997-03-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
5
被引用文献数
3 3

(1) 清酒の主要な香気成分とその類縁物質をモデル清酒に添加し, その酒質への影響をプロファイル法を用いた官能評価により調べた。(2) モデル清酒のアルコール分が高いと, 添加香気物質の香りへのマスキング効果が大きくなった。(3) 酢酸イソアミル, カプロン酸エチルなどのエステルや高級アルコール, ソトロンなど多くの物質がモデル清酒の上立香や含み香を増強させ, 果実様香, エステル様香, 老酒・シェリー様香, 焦臭などを付与, 増加させた。一方, パルミチン酸エチルは上立香を低下させた。(4) これらの物質の多くはモデル清酒の味を変化させた。中でも酢酸イソアミルは甘味を, 酢酸フェネチルは酸味を顕著に増強した。(5) 顕著な効果を示した物質を2種類組み合わせて混合添加した試料の香味は複雑な変化を示した。
著者
原田 和樹 小泉 武夫 永塚 規衣 長尾 慶子 數村 公子 前田 俊道 徳永 拓史 長谷川 喜朗 小川 伸也 岡村 英子 河村 幸恵 小俣 文登 金谷 節子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.21, pp.1089, 2009

<BR>【目的】我々は、咀嚼嚥下障害者食の抗酸化性について長年研究し、本学会で報告してきた。今回は、水産物由来で未利用資源であるナルトビエイに着目し、咀嚼嚥下障害者食を想定して調製した調理加工品が持つ抗酸化性を、多視点解析で行った結果を報告する。<BR>【方法】試料の形態は、煮こごり、魚醤、天日干し調味液漬けとし、試料が持つ抗酸化能の多視点解析は、ケミルミネッセンス(化学発光)法、電子スピン共鳴(ESR)法、米国農務省推奨のORAC法並びにHORAC法、また、好中球様分化細胞HL60の細胞内Caイオン濃度変化と活性酸素産生を蛍光・化学発光で同時に検出した結果から、シグナルトランスダクション経路をもとに作用機序の解析が可能である新しい次世代食品機能性評価法も用いた<SUP>1)</SUP>。それぞれの方法では、ペルオキシラジカル、ヒドロキシルラジカル、スーパーオキシドアニオン・ラジカルの消去活性能などを解析する事になる。<BR>【結果】ナルトビエイの煮こごり試料では、生肉と比較して、ORAC法では5.7倍、ESR法では6.7倍、抗酸化性が増大した。一方、ナルトビエイの肉を調味料の魚醤にすると、ORAC値の平均は、7271&micro;mol TE/100mlとなり、HORAC値の平均は、42981&micro;mol GAE/100mlとなった。なお、その時のESR法でのIC<SUB>50</SUB>値は平均0.08%であった。なお、次世代食品機能性評価法においては、従来知見を得ている単一成分の試料に対してばかりでなく、複合成分で構成されたこれら咀嚼嚥下障害者食材でも、解析が可能である事を見出した。<BR>1) 數村公子, 原田和樹, 前田俊道, 徳永拓史, 土屋広司: 日本食品科学工学会第56回大会講演集, 印刷中 (2009).
著者
小泉 武夫
出版者
日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会雑誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.p30-32, 1975-01
著者
小泉 武夫 村井 総一郎 小泉 幸道 鈴木 明治
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.137-139, 1975

1) 前報では麹菌のメパロン酸非生産株を人工変異法で造成したので, その3株を用いて清酒醸造に応用するための2, 3の基礎試験を行なった。<BR>2) 先ず種麹を試作したところ, 親株に比べて変異株はいずれも繁殖力, 胞子着生が弱かった。<BR>3) 次にその種麹の胞子粉末を使って機械製麹を行ない, その麹について糖化試験'酵素力価測定, メバロン酸生産性, DF (deferriferrichrom) 生成について検討したところ, 酵素力は変異株が弱い反面, メバロン酸'DFは全く生産しなかった。