- 著者
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向居 暁
- 出版者
- 日本認知心理学会
- 雑誌
- 日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第17回大会
- 巻号頁・発行日
- pp.61, 2019 (Released:2019-10-28)
何度も目にしているはずの建物がなくなり,更地になっていたり別の店舗になっていたりするときに,以前どのような建物や店舗がそこにあったのか思い出せないのはなぜだろうか。本研究は,街並みにおける建物の変化に気付いたり,以前の建物を想起したりすることに影響する要因について実験的に検討することを目的とした。その結果,変化箇所には気付いたものの,変化以前の建物情報がわからない状態は,「異業種,建替え,空き地>同業種(異業種>空き地)」となった。異業種間の変化は,以前と同じ建物に異なる業種の店があるという違和感が検出率を高めたのだろう。また,変化以前の建物情報の完全な想起は,「同業種>異業種≒空き地≒建替え」となった。同業種間の変化は,変化自体には気付きにくいが,一度変化箇所に気付いてしまえば,変化以前と同じ建物と業種が建物情報を想起するうえでの強力な手がかりとなることが示唆された。