著者
坂本 勇太 齋藤 駿太
出版者
公益社団法人 北海道作業療法士会
雑誌
作業療法の実践と科学 (ISSN:24345806)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.111-117, 2023-11-30 (Released:2023-11-30)
参考文献数
9

クライエント(以下,CL)中心の作業療法(以下,OT)を実践するためにCLとの協業が必須であるが,CLがOTに拒否的な態度を示すこともある.今回,入院により主婦の役割を剥奪され,OTを拒否する高齢女性のA氏を担当した.A氏はマズローの欲求段階による評価から安全欲求が不足していたため,趣味である音楽鑑賞により欲求の充足を行い,CL中心の可能化のカナダモデル(以下,CMCE)を用いて介入した結果,A氏の必要な作業である「炊事」の可能化に至った.OTを拒否するCLの作業を可能化するためには,CLの欲求段階を踏まえた上でCMCEを用いた介入が有用であることが示唆された.
著者
坂本 勇斗 白土 大成 牧迫 飛雄馬
出版者
保健医療学学会
雑誌
保健医療学雑誌 (ISSN:21850399)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.45-52, 2023-04-01 (Released:2023-04-01)
参考文献数
32

【目的】任天堂WiiⓇ(以下,WiiⓇ)は活用の用途が拡大しリハビリテ-ション(以下,リハ)に応用されるが,脳腫瘍患者を対象にした報告は限られている.今回,脳腫瘍患者に対するWiiⓇリハの有効性を評価することを目的とした.【方法】PubMed, Cochrane Library,医学中央雑誌の各電子データベースとハンドサーチを用いたスコーピングレビューを行った.対象期間は2006年~2021年,言語は日本語と英語とした.【結果】検索された155件から3件が選択された.WiiⓇリハは脳腫瘍患者の身体機能やADL,身体活動への動機づけ,入院環境からの気晴らしについて有効であることが示唆された.【結論】WiiⓇリハは脳腫瘍患者の身体機能やADL,精神面を改善する可能性が示唆された一方,選択されたのは3件のみで,いずれも研究デザインの側面でWiiⓇリハの有効性を明示するには不十分であった.さらに厳密なデザインの介入研究により効果を検証することが望ましい.
著者
川島 一郎 日向 英人 中楯 礼人 細川 恵理子 坂本 勇磨 鈴木 潤 熊谷 拓磨 輿石 めぐみ 鈴木 愛 山本 健夫 中嶌 圭 桐戸 敬太
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.83-90, 2023 (Released:2023-03-29)
参考文献数
18

同種造血幹細胞移植(allogeneic hematopoietic stem cell transplantation, allo-HCT)時には低K血症を高頻度に認め,非再発死亡(non-relapse mortality, NRM)との関連も報告されている。しかし,日本のK注射製剤の添付文書を厳格に遵守すると,補正が困難な場合が多い。今回我々はallo-HCTにおける低K血症とK補充療法について検討した。当科で施行したallo-HCT症例75例を後方視的に解析した。低K血症は92%に認め,grade3以上は40%であった。Grade3以上の低K血症を認めた症例は有意にNRMが高く,予後不良であった(1年:30% vs 7%,p=0.008)。75%の症例で,添付文書の範囲を超える補充療法が必要であった。K注射製剤の添付文書の基準は1988年以降見直されておらず,現状に即した改定が望まれる。
著者
羅 軼凡 坂本 勇人 鈴木 研 三浦 英生
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
M&M材料力学カンファレンス
巻号頁・発行日
vol.2018, 2018

<p>Copper has been applied to the TSV interconnection structure used in microelectronic devices because of its excellent electrical and mechanical properties. However, the physical properties of copper thin film interconnections were found to vary drastically depending on their micro texture and this serious degradation of physical properties was caused by its high-volume ratio of porous grain boundaries and fine columnar grains. Thus, the long-term reliability of products cannot be guaranteed and it is largely dominated by the strength of grain boundaries. In this study, a highly-reliable evaluation method of the strength of a grain and a grain boundary in polycrystalline copper thin films was used to determine a relationship between the crystallinity and their effective strength by using EBSD (Electron Back-scattered Diffraction) analysis and micro tensile test system. The crystallinity of a grain and a grain boundary was quantitatively evaluated by using IQ (Image Quality) value calculated from the Kikuchi pattern obtained from the EBSD analysis. And the strength of a grain and a grain boundary in polycrystalline copper thin films was evaluated by using the developed micro tensile test. Finally, it was found that there was a strong crystallinity dependence of the strength of a copper grain in electroplated copper thin films. In particular, the critical resolved shear stress (CRSS) of a grain significantly decreased with the increase of the IQ value at the grain boundary.</p>
著者
高橋 敬蔵 関 正純 小崎 俊男 鏡 勲 脇元 敦彦 宮崎 雄一郎 千坂 正毅 坂本 勇人 渡久山 博美 奥富 信博 宮上 順志 瀬尾 文洋
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.307-314, 1976

A series of 250 cases undergoing Cesarean section under spinal anesthesia were presented and analyzed from the clinical points of view.<BR>Hypotension down to 80 mmHg or less occured in 43.6% of all cases following spinal anesthesia, and the incidence of hypotension was closely related to the level of sensory analgesia (initial level) .<BR>Hypotension could be mostly restored by changing the position from supine to lateral, but the effects of vasopressor was not uniform.<BR>It was seen that the amount of rapid intravenous infusion was influenced by the duration and degree of hypotension.<BR>Associated with anesthesia, Apgar' Score was indicateed 7 to 10 points in 96% of all cases.<BR>Administration of Droperidol, Diazepam and Pentazocine were effectively choiced for any visceral pain after birth and any emesis.
著者
高橋 敬蔵 坂本 勇人 高橋 俊一 奥富 信博 山中 郁男
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.130-138, 1982

Pancuronium およびその生体内代謝産物は Spectrofluorimetric metbod によれば overall として測定される. また Pancuronium は蛋白結合, 脂肪溶解により不活性化される. したがって血中 Pancuronium の濃度そのものが効果を示すと解釈することは困難である. 著者らはマグヌス法において蛙腹直筋の Acetylcholine による収縮に及ぼす血清量 (蛋白量) ならびに Pancuronium の影響を検討した結果, 血清蛋白量の増加に伴って Pancuronium の不活性化が著しく, 蛋白濃度が1.4g/dl以上では72%以上の抑制がみられた. 成人に4mgの Pancuronium Bromide を bolus に静脈内投与後5分に0.48, 30分0.4, 60分0.3 (&mu;g/ml) に相当する生物学的活性濃度を認めた.
著者
手代森 隆一 坂本 勇一 柴田 絵里子 高野 康之 三上 英子 赤平 恵美 立花 直樹 大西 基喜
出版者
Japanese Association of Medical Technologists
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.550-556, 2014

AmpC β-ラクタマーゼ産生菌の遺伝情報はプラスミドによって菌株,菌種を超えて伝達されるため,院内感染対策で問題となる.今回我々は,長期に抗菌薬投与をされていた肺炎患者において,<i>Klebsiella pneumoniae </i>Carbapenemase(KPC)型との鑑別を要したAmpC β-ラクタマーゼ産生<i>Klebsiella pneumoniae</i>を検出した一例を経験したので報告する.患者は62歳,男性.平成23年8月近医にて肺化膿症と診断され,治療中に肺出血を併発し当院へ転院した.患者は,入院2週間前からカルバぺネム系薬が投与されていた.気管内採痰から検出された<i>K. pneumoniae</i>は,カルバぺネム系薬を含む全βラクタム系薬に耐性であったことから,KPCなどのカルバぺネマーゼ産生菌が疑われた.しかし,Hodge's test,シカベータテスト,メルカプト酢酸の酵素阻害試験はいずれも陰性であった.本菌は,ボロン酸を用いた酵素阻害試験で阻止円の拡大が認められたことから,AmpC β-ラクタマーゼ産生株と推定された.さらに,遺伝子学的検査の結果,本菌はDHA型のAmpC β-ラクタマーゼ産生<i>K. pneumoniae</i>であることが確認された.今回の分離株におけるimipenem(IPM)のMIC値は4 μg/mLであり,2010年以降のCLSIのブレイクポイントで耐性と判定される株であった.AmpC β-ラクタマーゼでありながらIPMのMICが高かった理由は不明であるが,染色体性カルバぺネマーゼ保有の可能性も否定できないと考える.このような耐性菌に遭遇した場合に備え,検査室では酵素阻害試験などを追試できる体制を整えておくことが必要である.