著者
河野 寛 坂本 静男 丸藤 祐子 小西 真幸
出版者
国士舘大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は第一に,顔面を冷水に漬ける潜水反射に伴う徐脈について,概日リズムが存在するかどうかを検討した。その結果,朝に心拍数が低値を示したことから,潜水反射に伴う徐脈は概日リズムの影響を受けると考えられる。このことは,潜水反射試験を実施する際には,時間帯を考慮して実施すべきであることを示唆している。次に,潜水反射に伴う徐脈に加齢が影響するかどうかを検討した。その結果,若年者と比較して高齢者で潜水反射徐脈が鈍いことが明らかとなった。このことから,潜水反射試験は加齢の影響を受けることがわかる。したがって,潜水反射試験は循環器疾患のリスク指標になるかもしれない。
著者
及川 和美 荒金 圭太 倉藤 利早 斎藤 辰哉 松本 希 高木 祐介 河野 寛 藤原 有子 白 優覧 小野寺 昇
出版者
川崎医療福祉大学
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.453-456, 2011

本研究は,「水中だるまさんがころんだ」運動時の心拍数と酸素摂取量の変化から水中運動としての「だるまさんがころんだ」の特性を明らかにすることを目的とした.被験者は,健康成人男性8名(年齢 : 21±2歳,)とした.被験者は,鬼が「だるまさんがころんだ」と発声している時に最大努力で水中を移動し,声が止んだ時に静止した.鬼までの距離を20mとした.鬼に到着するまでを1セットとし,3セット繰り返した.セット間には,3分間水中立位安静を行った.測定項目は,心拍数と酸素摂取量とした.運動後の心拍数および酸素摂取量は,1セット目の運動時と比較して,1セット目以降の運動時が,同等あるいはそれ以上の値を示した.水中でも陸上の「だるまさんがころんだ」と同様にインターバルトレーニング様の心拍数と酸素摂取量変化を示した.運動生理学的な分析から「水中だるまさんがころんだ」が身体トレーニングの要素を持つことが明らかになった.
著者
川上 有光 河野 寛 田中 重陽
出版者
国士舘大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

先行研究において,反応時間は呼吸相による影響を受けることが明らかにされており,特に呼気相に局所的反応時間および全身反応時間が高まることが報告されている。つまり,この呼吸相と反応時間の関係は,反応時間がパフォーマンスに影響する競技においては重要な役割を担うことになる。剣道は局所および全身の反応時間を高める必要がある代表的な競技の1つである。全身反応時間は呼吸相のうち,呼気相に高まることが分かっている。しかしながら,剣道の打突反応時間における呼吸相の影響はいまだ明らかではない。これを明らかにすることで,剣道の試合中や練習中に呼吸をどのようンにコトロールすればよいのかが明確になり,剣道の競技力向上の一助になると考えられる。そこで、本年度は呼吸相が剣道における打突反応時間に影響を及ぼすかどうかを検討するために,剣道有段者の大学剣道部員を対象として,自由呼吸,統制呼吸および息止め中の打突反応時間を評価する実験を実施した。その結果,自由呼吸および統制呼吸において,呼気相と吸気相の打突の反応時間に有意な差は認められなかった。一方,膝が動き出す時間と剣先が動き出す時間のピーク値については,統制呼吸時と比較して息止め時で有意に低値を示した。このことは息を止めている状態がもっとも早く反応できる可能性があることを示している。しかしながら,実際に竹刀が目標に当たる時間については,試技間に有意な差は認められなかった。一方で,自由呼吸は,吸気相および呼気相いずれにおいても,統制呼吸よりも剣先の反応時間が早かった。これは呼吸の仕方が少なからず反応時間に影響を及ぼすことを示唆している。本研究では,呼吸相が剣道の打突反応時間へ明確に影響を及ぼすことを明らかにはできなかったが,少なくとも息を止めている状態において反応時間が早くなること,また呼吸の仕方が反応時間に影響を与えることを示唆する結果が得られた。
著者
真田 樹義 宮地 元彦 山元 健太 村上 晴香 谷本 道哉 大森 由実 河野 寛 丸藤 祐子 塙 智史 家光 素行 田畑 泉 樋口 満 奥村 重年
出版者
一般社団法人日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.291-302, 2010 (Released:2010-07-15)
参考文献数
23
被引用文献数
17 8

The purpose of this study was to develop prediction models of sarcopenia in 1,894 Japanese men and women aged 18-85 years. Reference values for sarcopenia (skeletal muscle index, SMI; appendicular muscle mass/height2, kg/m2) in each sex were defined as values two standard deviations (2SD) below the gender-specific means of this study reference data for young adults aged 18-40 years. Reference values for predisposition to sarcopenia (PSa) in each gender were also defined as values one standard deviations (1SD) below. The subjects aged 41 years or older were randomly separated into 2 groups, a model development group and a validation group. Appendicular muscle mass was measured by DXA. The reference values of sarcopenia were 6.87 kg/m2 and 5.46 kg/m2, and those of PSa were 7.77 kg/m2 and 6.12 kg/m2. The subjects with sarcopenia and PSa aged 41 years or older were 1.7% and 28.8% in men and 2.7% and 20.7% in women. The whole body bone mineral density of PSa was significantly lower than in normal subjects. The handgrip strength of PSa was significantly lower than in normal subjects. Stepwise regression analysis indicated that the body mass index (BMI), waist circumference and age were independently associated with SMI in men; and BMI, handgrip strength and waist circumference were independently associated with SMI in women. The SMI prediction equations were applied to the validation group, and strong correlations were also observed between the DXA-measured and predicted SMI in men and women. This study proposed the reference values of sarcopenia in Japanese men and women. The prediction models of SMI using anthropometric measurement are valid for alternative DXA-measured SMI in Japanese adults.
著者
倉藤 利早 斎藤 辰哉 及川 和美 荒金 圭太 松本 希 高木 祐介 河野 寛 藤原 有子 白 優覧 小野寺 昇
出版者
川崎医療福祉大学
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.461-464, 2011

「だるまさんがころんだ」は,日本の伝承遊びであり,幼稚園や保育所の保育教材として広く導入されている.しかしながら,今までに,「だるまさんがころんだ」を運動と捉え,運動生理学的な分析を行った研究は,見当たらない.本研究は,「だるまさんがころんだ」遊びの心拍数と酸素摂取量変化から運動と捉えたときの運動生理学的な特性を明らかにすることを目的とした.被験者は,健康成人男性10名であった.被験者は,鬼が「だるまさんがころんだ」として発声している時間に全速で移動し,声が止んだ時に静止した.鬼までの距離を20mとし,3回繰り返した.その間,心拍数と酸素摂取量を測定した.結果から,「だるまさんがころんだ」は,インターバルトレーニング時にみられる心拍数と酸素摂取量変化を示した.運動生理学的な分析から「だるまさんがころんだ」が身体トレーニングの要素を持った伝承遊びである可能性が示唆された.
著者
樋口 満 河野 寛 宮下 政司 沼尾 成晴 坂本 静男
出版者
早稲田大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

本研究は、縄跳びのような重心の上下動を伴う運動は、一過性の運動による食欲の低下を効率的に引き起こすだけでなく、重心の上下動を伴わない運動と比較して、運動由来の食欲低下にグレリンやペプチドYY などの食欲関連ホルモンの貢献度がそれほど大きくないことを明らかにした。加えて、一過性の運動後の食欲は、男性と比較して女性で速やかに亢進(回復)することがわかった。これらの結果は、性別を考慮した肥満の予防・改善のための運動処方作成におけるエビデンスの一つになるだろう。
著者
及川 和美 荒金 圭太 倉藤 利早 斎藤 辰哉 松本 希 高木 祐介 河野 寛 藤原 有子 白 優覧 小野寺 昇 Oikawa Kazumi Arakane Keita Kurato Risa Saito Tatsuya Matsumoto Nozomi Takagi Yusuke Kawano Hiroshi Fujiwara Yuko Baik Wooram Onodera Sho
雑誌
川崎医療福祉学会誌 = Kawasaki medical welfare journal
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.453-456, 2011

本研究は,「水中だるまさんがころんだ」運動時の心拍数と酸素摂取量の変化から水中運動としての「だるまさんがころんだ」の特性を明らかにすることを目的とした.被験者は,健康成人男性8名(年齢 : 21±2歳,)とした.被験者は,鬼が「だるまさんがころんだ」と発声している時に最大努力で水中を移動し,声が止んだ時に静止した.鬼までの距離を20mとした.鬼に到着するまでを1セットとし,3セット繰り返した.セット間には,3分間水中立位安静を行った.測定項目は,心拍数と酸素摂取量とした.運動後の心拍数および酸素摂取量は,1セット目の運動時と比較して,1セット目以降の運動時が,同等あるいはそれ以上の値を示した.水中でも陸上の「だるまさんがころんだ」と同様にインターバルトレーニング様の心拍数と酸素摂取量変化を示した.運動生理学的な分析から「水中だるまさんがころんだ」が身体トレーニングの要素を持つことが明らかになった.
著者
真田 樹義 宮地 元彦 山元 健太 村上 晴香 谷本 道哉 大森 由実 河野 寛 丸藤 祐子 塙 智史 家光 素行 田畑 泉 樋口 満 奥村 重年
出版者
一般社団法人日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.243, 2019-06-01 (Released:2019-05-18)

理由:体力科学 第59巻 第3号 291-302(2010)掲載論文における身体組成データ収集の過程で,資格を持たない者がX線骨密度測定装置を操作したことを理由とした著者からの掲載論文撤回の希望を受け,本誌より撤回する. 一般社団法人日本体力医学会 編集委員長 田中 喜代次
著者
真田 樹義 宮地 元彦 山元 健太 村上 晴香 谷本 道哉 大森 由実 河野 寛 丸藤 祐子 塙 智史 家光 素行 田畑 泉 樋口 満 奥村 重年
出版者
一般社団法人日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.291-302, 2010-06-01
参考文献数
23
被引用文献数
2 8

The purpose of this study was to develop prediction models of sarcopenia in 1,894 Japanese men and women aged 18-85 years. Reference values for sarcopenia (skeletal muscle index, SMI; appendicular muscle mass/height<sup>2</sup>, kg/m<sup>2</sup>) in each sex were defined as values two standard deviations (2SD) below the gender-specific means of this study reference data for young adults aged 18-40 years. Reference values for predisposition to sarcopenia (PSa) in each gender were also defined as values one standard deviations (1SD) below. The subjects aged 41 years or older were randomly separated into 2 groups, a model development group and a validation group. Appendicular muscle mass was measured by DXA. The reference values of sarcopenia were 6.87 kg/m<sup>2</sup> and 5.46 kg/m<sup>2</sup>, and those of PSa were 7.77 kg/m<sup>2</sup> and 6.12 kg/m<sup>2</sup>. The subjects with sarcopenia and PSa aged 41 years or older were 1.7% and 28.8% in men and 2.7% and 20.7% in women. The whole body bone mineral density of PSa was significantly lower than in normal subjects. The handgrip strength of PSa was significantly lower than in normal subjects. Stepwise regression analysis indicated that the body mass index (BMI), waist circumference and age were independently associated with SMI in men; and BMI, handgrip strength and waist circumference were independently associated with SMI in women. The SMI prediction equations were applied to the validation group, and strong correlations were also observed between the DXA-measured and predicted SMI in men and women. This study proposed the reference values of sarcopenia in Japanese men and women. The prediction models of SMI using anthropometric measurement are valid for alternative DXA-measured SMI in Japanese adults.
著者
堀 進悟 太田 祥一 大橋 教良 木村 昭夫 河野 寛幸 瀧野 昌也 寺沢 秀一 箕輪 良行 森下 由香 明石 勝也 山本 保博
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.18, no.9, pp.644-651, 2007-09-15 (Released:2009-02-27)
参考文献数
18
被引用文献数
12 12

本邦では, 救急医の業務は主に重症救急患者の入院診療に従事することと考えられてきた。近年, 救急医が重症度に関わらずすべての救急患者を診療するER型救急医療モデル (ER : Emergency Room) が導入されつつあるが, その実施状況が調査されたことはなかった。本研究の目的は, 日本救急医学会ER検討特別委員会のactive member (註) が勤務する施設を対象として, ER型救急医療の実施状況を調査することである。2006年6月にアンケートが60施設に送付され, 28施設から有効回答を得た。ER型救急医療は22施設で行われ, このうち12施設 (55%) では24時間体制で実施されていた。ER型救急医療を実施する施設では, 重症度にはよらず, すべての救急患者を同一の救急室で診療している場合が多かった (17施設, 73%)。これらの施設には, 最頻値で救急医6~10人, ER型救急医1~3人が勤務し, 10~20人の1年次初期臨床研修医が研修中であった。初期研修医の救急医療研修は, すべての施設でER型の救急医療研修が行われていた。ER型救急医の後期臨床研修プログラムを有する施設は7施設, 準備中の施設は11施設存在した。以上から, 本邦において一部の医療施設ではER型救急医療が実施されていること, 及び救急医の人的資源が十分ではないことが明らかとなった。註 : ER特別検討委員会はER型救急医療の普及啓蒙を活動目標とするため, 委員のみによる活動推進は困難である。このためactive memberを募り, 活動に参加している。本研究実施時のactive memberは86人であった。