著者
井上 英彦 奥村 誠 塚井 誠人
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.843-848, 2003

本州四国連絡橋は、平日においては日常交通に利用されるのための生活橋として、休日においては広域的な周遊などに利用される観光橋としての役割の増加が期待されている。この役割の変化の分析にはアンケート調査が適しているが、費用などの問題がある。一方、本四架橋内の交通量は日ごとに計測されているものの、有効に活用されているとはいえない。<BR>本論文では、本四架橋の日交通量を分析することで交通量および架橋同士の相互作用の変化を明らかにすることを目的とした。その結果、交通量はカレンダー情報により大きく影響を受け、また架橋間には特に東西間をまたぐような周遊行動が発生していることが明らかとなった。さらに、これらの特徴は経年的に変化していることが明らかとなった。
著者
塚井 誠人 奥村 誠
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.209-215, 2004-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
7

本研究は, 平成3年と13年の事業所・企業統計調査から得られる本所支所間の管轄/被管轄関係のデータを用いて企業の業務ネットワークの空間構造を明らかにした. さらに, 得られた業務ネットワークと各管轄関係の下で雇用されている従業者数について分析を行い, 全国企業の従業者の顧客管理能力について経年比較を行った. その結果, 全国企業の本社は東京周辺の都市では減少する一方で, 東京都内に回帰する傾向にあることが明らかとなった. さらに全国企業の従業者の顧客管理能力については, 同一の支社機能水準で比較した場合, 平成13年の方が全国企業の従業者1人当たりの顧客管理能力が高くなる傾向にあることが明らかとなった.
著者
奥村 誠 塚井 誠人 金子 雄一郎 日比野 直彦 大窪 和明
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

都市間旅客交通には、交通発生の非日常性、情報の不完備性、ネットワーク性などの固有の特性がある。本研究は,このような特性を考慮した調査方法・分析方法の開発・整理を行った。1990-2005年の4回の国土交通省全国幹線旅客純流動調査のデータと追加調査・計測結果の分析を通じて、サンプリング段階のデータの補正方法、観光統計等との統合利用方法の提案を行った。さらに、企業・事業所の立地データと業務トリップの関連性に基づく国土構造分析を行った。
著者
塚井 誠人 原 祐輔 山口 敬太 大西 正光
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.74, no.5, pp.I_349-I_358, 2018 (Released:2019-01-10)
参考文献数
10

2016年に50周年を迎えた土木計画学研究委員会では,これまでの歩みの検証と,今後の展望を議論するための幹事団が設けられた.そのミッションは,2016年春大会から開催された4回のイベントを通じて,今後の土木計画学研究委員会について,議論を深めることであった.本稿では,土木計画学の研究トピックスの変遷の分析(第54回研究発表会,長崎大学で報告)を,この間の幹事団の議論とともに記録することを目的とする.1985年~2015年までの約30年間の土木計画学研究・論文集に基づくデータベースにトピックモデルを適用して,研究トピックスを定量的に抽出した.その結果,基礎研究を終えた多くの研究テーマが,社会で活用されながらも,新たな課題とともに再び学術的な研究テーマとなるサイクルの一端が窺えた.
著者
小林 潔司 JAAFAR Mohamed Nazari Bin 尾形 誠一郎 塚井 誠人
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.478-497, 2007

インドネシアのスマトラ島の森林火災は,周辺各国における日常的サービスの中断,呼吸器系疾患の多発等の深刻なヘイズ(煙害)災害をもたらしている.マレーシア政府は,大気中の汚染物質量をリアルタイムに観測し,ヘイズ警報を発令するシステムを開発している.ヘイズ警報を発令(解除)するためには,衛星情報と地上観測データに基づいて,将来時刻における大気汚染物質の滞留量を迅速に予測するような統計的予測モデルが有用である.本研究では,レジーム変化(regime switching)と長期記憶性を考慮した統計的時空間モデルを定式化するとともに,ヘイズ災害に関する危機管理情報を作成するための方法論を提案する.さらに,マレーシア半島部を対象としたケーススタディにより,本研究で提案した方法論の有効性を実証的に検証する.
著者
桑野 将司 藤原 章正 塚井 誠人 張 峻屹 岩本 真由子
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D (ISSN:18806058)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.54-63, 2010 (Released:2010-03-19)
参考文献数
17
被引用文献数
2

本研究では自動車の保有期間と年間走行距離の相互依存性を考慮した自動車保有・利用行動の同時決定モデルの開発を行った.具体的には,2変量間の非線形な相互依存性を取り扱うことができるコピュラ関数を用いた多変量生存時間モデルを構築し,保有期間と走行距離の間に異なる依存構造を表現する正規コピュラ,ガンベル・コピュラ,クレイトン・コピュラ,フランク・コピュラの適用を行った.2006年10月に中国地方の5県を対象に行われたアンケート調査のデータを用いた実証分析の結果,保有期間と年間走行距離の間にクレイトン・コピュラを適用したときモデル適合度が最も高く,利用行動と保有行動の間に負の相互依存性が存在することを明らかにした.開発したモデルの現況再現性は従来の分析手法よりも高く,その有効性が実証された.
著者
塚井 誠人 井上 英彦 奥村 誠
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木計画学研究・論文集
巻号頁・発行日
vol.21, pp.443-448, 2004

トリップメーカーの目的地における活動時間の決定要因を分析するための滞在時間モデルを推定するためには、通常サンプルごとの到着時刻と出発時刻のデータが用いられるが、その調査には多くの手間と費用が必要である。本研究は集計的な到着・出発時刻分布のみを利用して、時間的変動要因を含む生存関数モデルの推定を行う方法として、出発交通量残差最小化法, および交通量分布発生法の2つの方法を提案した。また、本州四国連絡橋の日別断面交通量データを用いて、本州から四国を訪れる観光客の滞在日数を説明する滞在時間モデルの推定を行い、提案した方法の適用性を示すとともに、曜日や天候による影響を明らかにした。
著者
奥村 誠 杉恵 頼寧 塚井 誠人 小松 登志子 岡村 敏之 藤原 章正
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

本研究の目的は,交通工学,衛生工学,水資源工学などの立場からの知見を総合し,中小都市に即した緊急時の給水計画のあり方と,その立案の効率化のためのシステムの開発であり、基本的な分析ツールの開発を行った。第1に代替水源としての可能性の高い地下水利用を念頭におき,地震時の地上・地下構造物の破損により新たな汚染源が発生した場合の飲用可能性を検討するためのシミュレーション方法を開発するとともに,簡便水質測定法の精度の検討を行った。第2に緊急給水作業に対する道路ネットワーク,耐震配水池,井戸水での代替の効果を検討するため,給水車による飲料水の配送計画モデルを作成した。次いで,東広島市西条地区を対象に,収集した各種のデータを地理情報システム上に整理するとともに,それを用いた具体的な検討を進めた。まず,残存井戸における地下水位と流向流速調査に基づいて利用可能水量の検討を行った。つぎに汚染シミュレーションに基づく汚染拡散を踏まえた簡易水質検査井戸の選定方法の検討,人口と井戸の分布を踏まえた緊急給水点配置の計画モデルを加えて,緊急時の簡易水質測定体制,給水点の設置,給水車の配備を事前に立案する手順を整理した。いずれの問題も複雑な計算を内包するものであり,現時点でパソコン上の簡便な検討システムの構築は困難であることがわかった。具体的な知見は以下の通りである。第1に地下水の季節的な量的変動にかかわらず,緊急時に必要な水量はほぼ確保できる。第2に芸予地震時に断水した広島県島嶼部では,日常的に井戸水を用いている世帯を中心にかなりの井戸水が飲用に使われていた。第3に汚染シミュレーションを用いれば,井戸の汚染リスクが計算でき,その影響を最小にするような検査井戸が選定できる。第4に使用可能井戸を踏まえて緊急飲料水の配送を考えれば,一定のコスト削減が可能である。
著者
杉惠 頼寧 塚井 誠人 奥村 誠 藤原 章正 POLAK John JONES Peter
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

本研究の目的はアクティビティ・アプローチの考え方を基礎として、調査法、行動モデリング、政策評価に関する問題点を明らかにし、改善を加えることにより新しい都市交通計画手法の開発を行うものであり、2年間の共同研究によって次のような成果が得られた。1.平日買物行動を考慮した週末買物活動発生モデルの開発週末買物活動を対象に1週間の買物活動データを用いて、個人の買物行動特性を把握すると同時に、平日買物頻度と週末買物活動発生の同時決定モデルを提案した。宇都宮市の1週間にわたる活動日誌調査で得られた買物活動のデータを用いて実証分析をした結果、同時決定モデルの妥当性を確認できた。2.交通調査における回答者インセンティブの費用便益分析交通調査において、細かな行動や意識などを含む複雑な調査が増え、精度や回答率低くなることが問題となり、効率的な調査方法の開発が求められている。本研究では、インセンティブ(謝礼)をつけるという方法をとりあげ、その効果を定量化し、一定の精度を得るために最も費用の小さいインセンティブの水準を考察した。3.観光周遊行動を分析するためのNested PCLモデルの開発観光周遊行動における目的地及び経路の選択肢は互いに独立とは言えない。そこで本研究は、観光周遊の目的地及び経路選択行動を予測するためにNested PCLモデルを提案した。ケーススタディの結果、同モデルは観光需要予測に有効であることが示された。4.SP調査における所要時間の信頼性を表現する手法の改善本研究は、運行サービスの定時制に関する鉄道利用者の評価を分析したものである。定時制が旅行者によって高く価値付けられていることがわかった。従来の研究では、必ずしもそうでないと説もあった。この違いは、従来の方法では、SP調査で用いられている所要時間の定時制の表現方法がうまくなされていないためであることがわかった。