著者
外村 彰
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.42, no.7, pp.616-624, 1987 (Released:2008-04-14)
参考文献数
48
被引用文献数
2

アハラノフ-ボーム (Aharonov-Bohm) 効果は, ベクトル・ポテンシャルの実在性, 物理法則の局所性, 多重連結空間での波動関数の一価性といった量子力学における基本的な問題を内包しているため, 30年にもわたってさまざまな議論が展開されてきた. 最近のゲージ理論の登場によって, ベクトル・ポテンシャルがゲージ場として理解されるようになり, その重要性が増したこともあって, 議論は効果そのものの存否にまで及んだ. 検証実験も既にいくつか報告されているが, 電子線と磁場が重畳している可能性があるとして疑問が投げかけられていた. しかし, 最近の筆者らの実験によって, 論争は新たな局面をむかえた.
著者
外村 彰
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.3-11, 2005-01-05 (Released:2008-04-14)
参考文献数
10

量子力学は,1920年代に建設された.しかし,我々の常識とはかけ離れた内容を含んでいたために,アインシュタインをはじめとする数多くの研究者の議論を招いた.だが,量子力学の予測は全て適中し,素粒子,原子核,化学,バイオなど,あらゆるミクロな理論の基礎となるに至っている.かつての議論は未解決のまま取り残され,今では,教科書で取り上げられることも少なくなり,量子力学はブラックボックスとして取り扱われることも多くなってきた.ところが,ここ30年の先端技術の急速な進展に伴い,思考実験と考えられてきた量子力学の基礎実験も可能になり,実験によって光があてられた量子力学の基礎に,再び関心が集まってきた.この歩みを日本の寄与という観点から振り返ってみたい.
著者
外村 彰
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.290-297, 1983-04-10 (Released:2009-02-09)
参考文献数
25

電界放射型電子顕微鏡によって電子線ホログラフィーは実用段階に達し,その新たな応用が開発された.この磁場分布観察法によって,強磁性薄膜内の磁化分布のみならず,空間に分布する磁場分布が磁力線の形で直接観察できることが実証された.この原理と観察結果を紹介し,今後の展望を行なう.
著者
外村 彰
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.54, no.6, pp.449-451, 1999

高温超伝導体中の磁束量子は, いろいろ不思議な振舞をすることが予測されているが, その実体ははっきりわかっていない. 今回, ローレンツ顕微法の改良により, まがりなりにも磁束量子をリアルタイムで観察できるようになり, 高温超伝導体ならではの動きを捉えることができた.
著者
外村 彰
出版者
The Magnetics Society of Japan
雑誌
日本応用磁気学会誌 (ISSN:02850192)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.6-11, 1981-02-28 (Released:2010-05-18)
参考文献数
28
被引用文献数
1 1

Electron holography has recently made a remarkable progress due to the high coherence of an electron beam generated in a field emission electron microscope and almost reached the stage of practical reality.Holographic interference electron microscopy was realized which gives information on magnetization distribution of specimen. Interference fringes in a contour map were proved to be along the in-plane magnetic lines of force when the thickness was uniform and the magnetic field was closed in the specimen.
著者
渡辺 宏 外村 彰
出版者
日本結晶学会
雑誌
日本結晶学会誌 (ISSN:03694585)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.23-25_2, 1969-03-31 (Released:2010-09-30)
参考文献数
12
被引用文献数
4
著者
外村 彰
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.222-231, 1994-03-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
63

電子は光の10万分の1という短1い波長をもっている.その位相情報を活用すれば,まさに極微の物体の観察.計測が可能になる.筆者らの20年以上にわたる開発によって,従来とは比較にならぬほど明るく干渉性のよい電子線が得られるようになった.このため,電子線ホログラフィーを使って電子の位相変化を1/100波長という高精度で測定したり,さらにピントをはずした電子顕微鏡像の形で,極微の位相物体を動的に観察することが可能になった.これらの手法を使って,これまで不可能だった超伝導体中の個々の磁束量子の磁場分布や,磁束量子の動的挙動の観察が初めて可能になり,高温超伝導体のミクロな磁気的挙動などの未解の問題を明らかにする有力なツールとして期待がかけられている.
著者
外村 彰 松田 強 遠藤 潤二
出版者
公益社団法人 日本顕微鏡学会
雑誌
電子顕微鏡 (ISSN:04170326)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.47-52, 1979-06-30 (Released:2009-06-12)
参考文献数
15
被引用文献数
1
著者
外村 彰 松田 強 遠藤 潤二
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.48, no.11, pp.1094-1100, 1979-11-10 (Released:2009-02-09)
参考文献数
28
被引用文献数
1

Electron holography has recently made a remarkable progress due to the high coherence of an electron beam generated in a newly developed field emission electron microscope and almost reached the stage of practical reality. This review describes firstly the objectives of electron holography: the improvement of electron microscope resolution and the development of new functions that have never been possible with conventional electron microscopes. Secondly three technical advances of electron holography are also described: generation of the electron beam with high coherence, improvement of the electron hologram formation method and compensation of the spherical aberration of electron lens. Furthermore interference microscopy was realized which gives information on thickness and magnetization distribution of specimen.
著者
外村 彰
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.42, no.7, pp.616-624, 1987-07-05

アハラノフ-ボーム (Aharonov-Bohm) 効果は, ベクトル・ポテンシャルの実在性, 物理法則の局所性, 多重連結空間での波動関数の一価性といった量子力学における基本的な問題を内包しているため, 30年にもわたってさまざまな議論が展開されてきた. 最近のゲージ理論の登場によって, ベクトル・ポテンシャルがゲージ場として理解されるようになり, その重要性が増したこともあって, 議論は効果そのものの存否にまで及んだ. 検証実験も既にいくつか報告されているが, 電子線と磁場が重畳している可能性があるとして疑問が投げかけられていた. しかし, 最近の筆者らの実験によって, 論争は新たな局面をむかえた.
著者
外村 彰
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:05272997)
巻号頁・発行日
vol.41, no.5, pp.275-278, 1984-02-20

この論文は国立情報学研究所の電子図書館事業により電子化されました。