著者
和田 賢二 小形 芳美 大塚 浩通 小岩 政照 永幡 肇
出版者
日本家畜臨床学会 ・ 大動物臨床研究会
雑誌
産業動物臨床医学雑誌 (ISSN:1884684X)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.53-63, 2011-11-01 (Released:2013-05-17)
参考文献数
31
被引用文献数
2

マイコトキシンはカビが産生する二次代謝産物であり,生体に対してさまざまな危害をもたらす.カビが発生した自給粗飼料の給与により成績不振に陥る牛群がしばしばみられるものの,マイコトキシンとの関係については明らかにはされていない.そこで,自給粗飼料のマイコトキシン濃度と牛群の生産性および疾病発生状況,白血球機能に対するマイコトキシンの影響ならびにマイコトキシン吸着剤の飼料添加による防除効果を調査した.購入飼料および自給粗飼料(計172検体)のアフラトキシンB1(AFB1),デオキシニバレノール(DON),ゼアラレノン(ZEA)を酵素免疫測定法により測定したところ,グラスサイレージおよびデントコーンサイレージで各マイコトキシン濃度が高い傾向にあった.AFB1濃度が高い自給粗飼料を給与している酪農場では牛の淘汰率が高く,1頭当たりの年間乳量が低い傾向にあった.また,マイコトキシンの重複汚染により子牛の増体量の低下,下痢症の増加と長期化および流早産の増加が認められた.またin vitroでは,マイコトキシンはリンパ球の幼若化および好中球の化学発光反応を抑制した.自給粗飼料のマイコトキシン汚染が疑われる農場において,吸着剤を飼料添加したところ,AFB1濃度が高値であった農場では乳汁中アフラトキシンM1(AFM1)濃度の低下および免疫細胞の増加が認められ,死亡率が減少した.ZEAが高値であった農場では繁殖成績に改善がみられ,早産を伴う周産期病が減少した.以上の知見から,自給粗飼料はマイコトキシンに汚染されている危険性があり,それらの継続的な摂取は白血球機能を介して,牛の生産性および疾病発生と関係していることが示唆された.さらに,飼料への吸着剤の添加は生体に対する各種マイコトキシンの影響を低減させる効果があることが確認され,生産農場における有効な対応策のひとつであることが示された.
著者
大塚 浩司 大町 真一郎 阿曽 弘具
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. DBS,データベースシステム研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.140, no.2, pp.415-420, 2006-07-14
参考文献数
6

共通のトピックに関するウェブページの集合であるウェブコミュニティを抽出する手法の1っとしてHITSアルゴリズムが知られている.HITSアルゴリズムは,ウェブコミュニティを"オーソリティ"と"ハブ"と呼ばれる2種類のウェブページからなる2階層の構造をしていると仮定し,これを2部グラフと見なして抽出することを目的としている.しかし,一般にウェブコミュニティはより複雑なリンク構造を持っている.本論文では,3階層以上の多階層のリンク構造を持つウェブコミュニティを抽出することを目的とし,オーソリティ・ハブに加えて中間ノードを導入したウェブコミュニティ抽出法を提案する.提案手法により,HITSアルゴリズムでは抽出しにくいページをウェブコミュニティのメンバとして抽出することが可能であることを実験により示す.
著者
大塚 浩通 渡辺 知香 小比類巻 正幸 安藤 貴朗 渡辺 大作 増井 真知子 林 智人 安部 良 小岩 政照 佐藤 繁 川村 清市
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.68, no.11, pp.1161-1166, 2006-11-25
被引用文献数
7 35

周産期における乳牛の栄養状態と細胞性免疫機能の関係を明らかにする目的で,異なる2つの飼養内容にあった2群の乳牛の免疫状態を観察した.免疫解析としては末梢白血球ポピュレーションおよびreal-time RT-PCRによる末梢血単核球のIFN-γ, TNF-α, IL-4およびIL-10のmRNAを計測した.乾乳期の飼料内容は1群(N=6)では非繊維性炭水化物が不足しており,II群(N=6)では充足していた.I群の血糖値はII群にくらべ分娩前12週から分娩後16週にかけて有意な低値を示した.1群の総コレステロール値はII群に比べ分娩後2週から10週まで有意な低値を示した.I群のCD3^+T細胞およびCD4^+T細胞数はII群に比べ分娩後6週および14週に有意な低値を示した.またI群のCD21^+B細胞はII群に比べ分娩前の16過と12週および分娩後の2過と10週で有意に低かった.一方,I群におけるCD4^+/CD8^+比は分娩後2週から14週までII群に比べ有意な低値が見られた.分娩後6週ではI群のIFNγ/IL-4mRNA比がII群に比べ明らかな低値を示した.周産期において低栄養にある乳牛では分娩後に細胞性免疫の低下のあることが明らかとなった.
著者
大塚 浩司 後藤 幸正
出版者
東北学院大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1992

X線造影撮影法を用いて、コンクリートのフラクチャープロセスゾーンを検出し、その性状を明らかにすることを目的とする研究を行った結果、研究の期間(平成4年度〜平成5年度まで)に得られた成果の概要は次の通りである。(1)本研究によって得られた、X線造影撮影法はコンクリート中に発生する微細なひび割れ群からなるフラクチャープロセスゾーンを非破壊的に検出するのに有効な手法であることが明らかとなった。(2)CT試験(コンパクトテンション試験)供試体を用い、供試体の寸法を同一とし、コンクリートの粗骨材の最大寸法を4種類に変えた場合のフラクチャープロセスゾーンの検出結果を比較したところ、微細ひび割れ群からなるそのフラクチャープロセスゾーンの性状は粗骨材の最大寸法に極めて大きく関係しており、特にその幅(破壊進行領域と直角方向)は粗骨材の最大寸法が増大するほど大きくなる傾向があることが明らかとなった。その最大幅は、粗骨材最大寸法が5mmの場合はその2.5倍程度であり、微細ひび割れの周辺の雲状の部分も含めると4.3倍程度であった。(3)荷重-開口変位曲線下の面積から求められる、破壊に使用されたエネルギーを破壊領域の面積で除した、破壊エネルギーGFは粗骨材の最大寸法が増大するにつれて大きくなる傾向がみられた。一方、破壊に使用されたエネルギーを破壊領域の体積で除した、破壊エネルギーGWは粗骨材の最大寸法に関わらずほぼ同様な値となる傾向が見られた。(4)粗骨材として河川砂利を用いたコンクリートの場合のフラクチャープロセスゾーンの幅は砕石を用いた場合のそれよりもやや広くなる傾向が見られた。
著者
安藤 貴朗 上村 俊ー 浜名 克己 大塚 浩通 渡辺 大作
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.429-432, 2007-04-25

右子宮角が欠損した6歳(2産)のホルスタイン種牛の,卵巣動態,子宮および卵巣血涙を調べた.右卵巣に黄体が存在する発情周期では,黄体の退行とそれに伴う排卵はみられなかった.左卵巣に黄体が存在する周期では黄体の退行とそれに伴う排卵の遅延がみとめられた.左右どちらの卵巣に黄体が存在する発情周期でも,右子宮動脈の血流速度は左子宮動脈に比べ遅くなった.左右の卵巣動脈の血沈速度は右子宮角欠損の影響を受けず,黄体の存在により変化した.これらの結果から右子宮動脈は血流が弱いことが分かり,片側子宮角の欠損は発情周期,とくに黄体の退行に影響を与えることが示された.症感染豚もしくは非感染豚における糞便中有機酸の特徴を明らかにした.15の養豚農家で飼育されている育成豚から下痢又は軟便を採取した.合計106の糞便中の有機酸濃度を測定し,B.hyodysenteriaeおよびB.pilosicoliをPCRを用いて検出したところ,B.hyodysenteriaeは1農場の3検体から検出され,B.hyodysenteriaeは別の1農場の5検体から検出された.以上より,病原性スピロヘータの検出と,イソ酪酸およびイソ吉草酸濃度の低下との関連が示唆された.