- 著者
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大竹 政和
- 出版者
- 独立行政法人防災科学技術研究所
- 雑誌
- 防災科学技術 (ISSN:04541871)
- 巻号頁・発行日
- vol.35, pp.10-14, 1979-09-25
「大規模地震対策特別措置法」の適用第1号として,静岡県を中心とする6県の合計170市町村が「地震防災対策強化地域」に指定された.中央防災会議,各県,各市町村,.国鉄・NHKなどの指定公共機関,石油化学コンビナートなどの民間の重要施設では,それぞれのレベルで地震防災計画を策定して,大地震の来襲に備えることになる.大地震がいよいよ発生すると判断された場合には,「警戒宣言」が発せられ,それぞれの計画に従って地震防災応急対策が実行に移される.警戒宣言は,気象庁長官から報告される専門的な地震予知情報にもとづいて,総理大臣の判断と責任において発せられることになっている.予知を前提とする地震対策という,世界にも前例を見ない野心的な試みがその第一歩をふみ出したわけである.今回の地域指定の標的は,言うまでもなく駿河湾から御前崎沖を震源地とする「東海大地震」である.それでは,予測される東海大地震とはどのような地震なのだろうか,これを予知するためにどのような努力が行なわれているのだろうか.本稿では,東海大地震の予知に関する現状を概観してみる.