著者
井上 和生 都築 巧 大貫 宏一郎 都築 巧 大貫 宏一郎
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

マウスにおいて軽度の運動負荷によって引き起こされ、自発行動量の低下で示される疲労が回復する過程を経時的に測定し、疲労度を評価する系を確立した。この評価系が摂取した物質により抗疲労・疲労回復作用を持つもの、および疲労を促進するものの両方を検出できることを行動する動機に影響する薬物で確認した。この系でグルコース、クエン酸の直前摂取が、またホエータンパク質の慢性摂取が疲労の軽減作用を持つことを示唆した。
著者
清水 邦義 吉村 友里 中川 敏法 松本 清 鷲岡 ゆき 羽賀 栄理子 本傳 晃義 中島 大輔 西條 裕美 藤田 弘毅 渡邉 雄一郎 岡本 元一 井上 伸史 安成 信次 永野 純 山田 祐樹 岡本 剛 大貫 宏一郎 石川 洋哉 藤本 登留
出版者
一般社団法人 日本木材学会
雑誌
木材学会誌 (ISSN:00214795)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.126-130, 2017-05-25 (Released:2017-06-01)
参考文献数
4
被引用文献数
3 2

木材を用いた家の価値が見直されている中で,木材から放散される揮発性成分の機能性が注目されている。季節ごとの温度や湿度の変化の大きい我が国においては,木材から放出される揮発性成分も大きく変化していると考えられる。本研究では,スギ(Cryptomeria japonica)の無垢材を内装に用いた建物(A棟)と,表面に塗装を施された内装材またはビニールクロスで覆われた内装材を用いた建物(B棟)の室内において,年間を通して揮発性成分を定期的に捕集し,ガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS)分析による比較を行った。その結果,木材の揮発性成分の大半を占めるセスキテルペン類の量は,どちらの棟においても冬季より夏季で高く,年間を通してB棟よりもA棟の方が常に高いことが明らかになった。
著者
畑山 知子 長野 真弓 大貫 宏一郎
出版者
日本未病システム学会
雑誌
日本未病システム学会雑誌 (ISSN:13475541)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.6-11, 2008-07-15 (Released:2010-09-09)
参考文献数
13
被引用文献数
1

本研究の目的は, 酸化ストレスおよび抗酸化力と生活習慣および血液指標との関連を検討することである。対象は, 健常な男女42名 (男性10名, 女性32名, 平均年齢47.8±10.8歳) である。身長と体重よりbody mass index (BMI) を算出した。酸化ストレスはFree Radical Analytical System 4: FRAS4 (H&D社製, イタリア, 輸入元株式会社ウイスマー) により, 酸化ストレス (d-ROMs) および抗酸化力 (BAP) を分析した。また, 血液生化学検査 (糖・脂質・蛋白代謝および肝・腎機能・糖尿病指標) を実施し, 対象の基本的特性と生活習慣行動を質問紙にて調査した。酸化ストレスには有意な性差が認められ, 抗酸化力は飲酒習慣のある群で有意に低い値を示した。性別の相関分析を実施したところ, 女性では, 空腹時血糖値と抗酸化力との間に有意な負の相関関係が認められ (-0.365, p<0.05) , 男性ではγ-GTPと抗酸化力との間に有意な負の相関関係が認められた (-0.675, p<0.05) 。d-ROMsには有意な関連は認められなかった。以上より, FRAS4により測定された酸化ストレスには性差がある可能性が示唆され, 飲酒習慣を反映すると考えられた。また, 抗酸化力は正常範囲内であっても血糖値やγ-GTPと負の相関を示したことから, FRAS4による抗酸化力の評価は初期段階の代謝異常, すなわち未病状態を反映する可能性が示唆された。
著者
河崎 祐樹 八木(田村) 香奈子 後藤 純平 清水 邦義 大貫 宏一郎
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.109-115, 2017 (Released:2017-06-23)
参考文献数
21
被引用文献数
2

目的: 健常な日本人が黒ニンニク含有サプリメントを摂取することによる肝機能への有効性を検証すること。試験デザイン: プラセボ対照・二重盲検・ランダム化比較試験。方法: 40名をランダムに2群に割付, 黒ニンニクまたはプラセボを12週間, 摂取させた。摂取前, 6週間後, 12週間後に血液検査 (肝機能, 腎機能, 血糖, 脂質) , 身体測定などを行った。結果: 12週間後の変化量において, 肝機能マーカーであるアラニンアミノトランスフェラーゼ (ALT) は黒ニンニク群のほうが有意に小さい値を示し (p=0.049) , アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ (AST) も黒ニンニク群のほうが小さい傾向を示した (p=0.099) 。結論: 黒ニンニクを12週間摂取することで, 健常日本人に対して肝機能保護作用を示すことが示唆された。本試験はUMINへ登録されている (UMIN000024771) 。
著者
福渡 努 大貫 宏一郎
出版者
滋賀県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

食品栄養学的観点から,トリプトファン代謝産物キヌレン酸産生の制御による高次脳機能低下の予防・軽減を目指した.細胞・組織レベルの研究により,キヌレン酸産生抑制作用をもつアミノ酸10種を見出し,その作用機構を明らかにした.動物実験により,アミノ酸関連化合物の摂取がキヌレン酸産生を抑制し,ドーパミン機能を改善することを明らかにした.行動実験により,キヌレン酸産生増加によって社会行動が低下することを見出し,食餌のアミノ酸組成を変えることによってこの行動異常を抑制できることを明らかにした.以上の結果より,アミノ酸摂取によってトリプトファン代謝を制御し,高次脳機能を調節できる可能性が示された.
著者
清水 邦義 中村 崇裕 大貫 宏一郎 松本 雅記
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

霊芝キノコのゲノム編集について、霊芝特異的プロモーターの単離、ターミネーターの単離、霊芝ゲノム編集用ベクターの構築等の実験を行ってきた。その中で、ゲノム編集に用いるプロトプラストの遺伝子導入効率の低さと、遺伝子発現効率の低さは新規キノコ作成において、ボトルネックとなっていた。この状況に変化をもたらしたのは、刑部らのキノコゲノム編集に関する論文であった(Scientific Reports (2017)。これまで、ある一定の形質を有するプロトプラストを用いると効率が上がることが判明していた。よって我々は、霊芝プロトプラストを用いたゲノム編集には、菌糸体を用いた予備的実験の中で、細胞融合・ゲノム編集を効率的に行うためには扱い易いプロトプラストの採取が必須という結論に至り、セルソーターにより最適なプロトプラスト採取の条件を探索している。我々はこれまでに、霊芝子実体の有用成分のLC/MSを用いた網羅的解析技術を確立しており、新規の菌糸体の作成に成功すれば霊芝トリテルペノイドの数十種類を同時に同定できるシステムを構築している。また、我々はこれまでに、ゲノム編集に必要なプロモーター、ターゲット遺伝子(コーデイングシーケンス)、ターミネーター領域のDNAを霊芝特異的遺伝子としてPCR法により探索し、有望領域を決定した。ターゲット遺伝子としてP450遺伝子群のコーディング領域をゲノム編集している。但し、これらの遺伝子セットが実際に作動するかは未定であるのでキノコゲノム編集で使用された遺伝子も併せて探索している。
著者
林 ちか子 畑山 知子 長野 真弓 大貫 宏一郎
出版者
公益財団法人 パブリックヘルスリサーチセンター
雑誌
ストレス科学研究 (ISSN:13419986)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.23-29, 2010 (Released:2010-06-01)
参考文献数
31
被引用文献数
1

The purpose of this study was to clarify mother's the SOC (Sense of Coherence) and unidentified complaint. The subjects were 42 mothers (Age±SD: 33.9±3.4) living in urban areas. We asked the subjects to self-rate their experiences according to scales such as SOC and lifestyle habits and evaluation were made 39 items of self-claimed sheet of unidentified complaint. The results revealed a negative correlation between SOC score and unidentified complaint score (r=-0.580, p<0.01). The high unidentified complaint score group were higher the frequency of late-evening snacks consumption (p<0.05) and long time getting to sleep (p<0.01) than low unidentified complaint score group. Lastly, the results of logistic regression analysis revealed that the SOC score was the only significant independent factor; the dependent variable was the level of unidentified complaint and the independent variables were the SOC, frequency of late-evening snacks consumption and sleep-onset time (β=0.306, Wald=3.917, p=0.048, Exp (β)=0.736). The higher the SOC score suggested the possibility the preventive effect against the occurrence of indefinite complaint.