著者
大野 博之 稲積 宏誠
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.146, pp.73-78, 2008-07-12
参考文献数
18
被引用文献数
1

著者らは,情報処理技術を用いた日本語力育成として,論理的で理解容易性の高い文章作成能力の育成と文章理解能力の育成の2つの視点で取り組んでいる.その中で現在までに文を対象とした体裁の統一や理解容易性の向上のための,校正・推敲支援ツールのインフラの構築を進めてきた.しかし,作文力や読解力を養うためには,論理的な文章構造を捉える能力も重要となる.そこで,文の論理構造デザインツールを試作したので報告する.
著者
高橋 正泰 大野 博之
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.329-340, 2005-01-31 (Released:2017-07-28)
被引用文献数
2 2

発達の早期から他者に対する自発的なかかわり行動が乏しく、目線が合わないなどの特徴を有し、自閉症が疑われた男児に対して早期介入を行った。本事例においては、フリー・オペラント技法を適用し、自発的に他者へ働きかける行動の形成を目指した。従来の技法に、構造化および強化遅延手続きを加えることによって、自発的なかかわり行動の頻度は増加し、セッション中に他者と相互交渉をもって過ごす時間が長くなった。また、自発的な働きかけ行動の質に関しても分析を行った結果、セッション開始時には物や物に関連する行為の要求がほとんどであったが、セッションの進行にしたがって、他者との身体接触や身体接触を通した遊びの要求へと変化していった。また、このような自発的なかかわり行動の増加に伴い、自閉的な特徴に関しても変化がみられた。これらの結果から、フリー・オペラント技法を用いた早期介入の効果、自閉症的特徴の変化に影響を及ぼす要因について検討を加えた。
著者
八村 智明 宮原 哲也 大野 博之
出版者
Japan Society of Engineering Geology
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.360-368, 2007-02-10 (Released:2010-02-23)
参考文献数
18
被引用文献数
4 2

災害発生に伴う廃棄物は多量で雑多なものが短期間に排出される. このため, 通常の処理・処分システムにのらないことが多く, 長期的に放置される場合も見受けられる. 本論では, 現状のデータや知見から, 以下の可能性が示された.1) 災害廃棄物の仮置き場では, 嫌気環境下での有機物の腐敗が発生する可能性が高く, 早期の処理・処分が必要となる. さらに, 嫌気環境下の腐敗と悪臭対策のために, 消臭剤を添加したりすることは, 事態をより悪化させる場合がある. 災害廃棄物は雑多なものが分別されていないことが多く, とくに注意を要する.2) 仮置き場では, 有害重金属が溶出し, 地下水・土壌にそれが濃縮することが懸念される. このため, 早期の処理・処分とともに適切な地下水・土壌汚染対策の実施が必要である.3) 崩壊土砂の中などに長期に放置された災害廃棄物は, その量や状態にもよるが, 重金属類や石油化合物などによる複合的汚染の発生源となったり, 腐敗による火災や有害なガス等が発生したりすることが懸念される.4) 崩壊土砂の中などに長期に放置された災害廃棄物のうち, 地震や火山災害などで燃焼した家屋などは, これら残渣や焼却灰に高濃度のダイオキシン類が含有されている可能性がある.
著者
河津 雄介 池田 勝昭 大野 博之 峰松 修
出版者
The Japanese Group Dynamics Association
雑誌
教育・社会心理学研究 (ISSN:0387852X)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.77-85, 1966 (Released:2010-03-15)
参考文献数
12

修学旅行をひかえた117名のかなり乗り物酔いの程度のおもい中学3年生を対象にして, 乗り物酔いのhypnotherapyの効果をおさえるための実験的研究が試みられた。ここではとくに次のような点に考慮がはらわれた。事前におこなわれた実態調査により, 対象者群における乗り物酔いの程度, 状態, 条件等に関する資料をもとにして, 暗示が構成された。また, 催眠深度を成瀬の催眠尺度をもちいることにより客観的に測定し, 治療効果との関係が分析された。さらに, 効果の持続性を明確にとらえるために, 5ヵ月後にfollow up調査をおこない, 効果の持続性, 深度と効果の持続性との関係等について分析された。
著者
大野 博之 小島 圭二
出版者
Japan Society of Engineering Geology
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.295-302, 1988-12-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
17

For modeling groundwater flow and mechanical responses of fractured rock mass, to grasp the characteristics of fractures is essentially needed. Recently, the concept of fractal has been applied by some researchers to describe the fracture system. In this study, the authors report a statistical approach made to check the adaptability of the concept of fractal to the fracture system.The lengths of fracture-traces, apperently seen on the surface of rock mass, were measured by sketching and utilizing data of linearment analysis, while the widths of fracture-traces recognized on geological logs and maps were guaged. The measured data of fracture-traces were statistically processed to determine the distribution functions in large and small scales, then, cumulative-frequency curves were examined.Although log-normal distributions were commonly observed for any measured scales, detailed discussion on scale effect in measurement led us that the measurement error and loss of information became larger as the size of fracture-trace became smaller or larger relative to average value of the resolution of human eyes and the objective scales. Removing such effects, the distribution of measured data within a scale was deviated from log-normal, but was correlated approximately by power distribution, indicating that the fracturetraces possibly distribute obeying so-called “Fractal distribution”. The authors prospect that this fact might be useful for estimating reasonably the distribution and the characteristic factors of fractures of any scale from the measurements at available scales.
著者
小島 圭二 大塚 康範 大野 博之 軽部 文雄 土屋 彰義 徳永 朋祥
出版者
一般社団法人 日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.126-139, 2009 (Released:2013-03-31)
参考文献数
17
被引用文献数
2 1

東京湾沿岸の地域開発/自然の人工改変の変遷の50年を振り返り, この人工改変に地質工学がどのように対応してきたか,基盤の科学・技術である地球科学と地盤工学の論理と知見を取り込み, どのように地質工学の論理体系を作り上げてきたのかを示した. すなわち, 地盤図を地盤地質図にするための論理の転換を行ったこと, ナチュラルアナログの論理を用いて地盤物性を求める手法を示したこと, 地層への物性の組み込みや地盤物性の劣化の論理を展開してきたことなどを, 事例を挙げて示した. これまでの50年の成果を踏まえ, 今後は, 自然の現象論・地盤の物性論・方法論の3つの基本論理とそれらを統合した地質工学を発展させていくことが重要である. 具体的には, シークェンスやナチュラルアナログの論理や手法の展開, また, 地層への4次元物性組み込みの論理の展開, すなわち地盤スケールの物性を求めること, 広域かつ長期の時系列データから自然の地盤特性を評価すること, そして人工改変の自然への影響を予測するために, 自然現象の変化を, 広域かつ同時に把握するツールの開発などがある.
著者
原田 実 田淵 和幸 大野 博之
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.43, no.9, pp.2894-2902, 2002-09-15
被引用文献数
25

原田研究室ではこれまで,EDR電子化辞書に記載された情報を元に,日本語文を意味解析し格フレーム群に自動変換するシステムSAGE(Semantic frame Automatic GEnerator)を開発してきた.既存のSAGEは機能的には正しく動作するが,解析時間が文節数の指数オーダのため実利用するには問題があった.また解析精度に対する客観的な検証がされていなかった.そこで本研究では,Jiriらによる英文の構文木への語意割当て用の高速アルゴリズムの考え方をSAGEにおける係り受け木への語意と格決定用に適用して,SAGEの解析速度を向上させた.この結果,解析速度は文節数の線形オーダになった.また,EDRの解析済みコーパスを用いてSAGEの解析精度を自動的に評価するシステムを開発した.その結果,語意正解率は81.1%,格正解率は60.7%,格の宛先正解率は73.3%であった.これによってSAGEは速度面でも精度面でも意味解析システムとして実利用を開始できるレベルに至ったといえる.In the Harada laboratory,a semantic analysis system SAGE (Semantic frame Automatic GEnerator) has been developed,which converts a Japanese sentence into case frames based on the statistical information in the EDR electronic dictionary.Though SAGE operated correctly,there was such a problem in actual use that it requires the time of the exponential order of the number of clauses.In this research,based on Jiri's deterministic algorithm for assigning the word meaning to nodes of the parse tree of English sentence,the deterministic algorithm for deciding the meaning of words represented by nodes and the deep case of the relations among such nodes in the dependency tree of Japanese sentence is developed.As a result, the analytical speed became the linear order of the number of clauses.Moreover,the system to evaluate the analytical accuracy of SAGE is developed by using EDR analyzed Corpus.This evaluation revealed that the word meaning accuracy is 81.1%,the destination accuracy of case relation is 73.3% and the case relation accuracy is 60.7%.As a result,it can be said that SAGE has reached to the level that we can begin its acctual use for Japanese semantic analysis.