- 著者
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宮田 剛
- 出版者
- 日本外科代謝栄養学会
- 雑誌
- 外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
- 巻号頁・発行日
- vol.47, no.5, pp.147-154, 2013 (Released:2014-03-03)
- 参考文献数
- 16
- 被引用文献数
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ESSENSE とは,ESsential Strategy for Early Normalization after Surgery with patient's Excellent satisfaction の略であり,日本外科代謝栄養学会で展開する術後回復促進のためのプロジェクト名である.ERAS の普及が進む中で,日本の実情に合わせて,「手術の安全性を向上させつつ,患者満足を伴った術後回復促進対策のエッセンスはなにかを検討し,これらに関する科学的根拠に基づいた情報を提供すること」を使命と考えている.中心的理念を,1.生体侵襲反応の軽減,2.身体活動性の早期自立,3.栄養摂取の早期自立,4.周術期不安軽減と回復意欲の励起,の4 つとした.ERAS protocol で推奨された項目を再整理するとともに,他の論文も含めて整理して情報を提供し,具体策を学術集会で議論する.臨床現場ではこれらの情報を利用して自施設で取り組み,各職種が集まって協議,個々の達成指標を共有しながら作業分担することを期待する.ESSENSE が ERAS と違うのは,医療者の介入事項を規定するのではなく,患者状態の達成目標を明確化することである.