- 著者
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藤澤 政紀
岩瀬 直樹
寺田 信幸
- 出版者
- 明海大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2008
視覚刺激と重心動揺に対する姿勢制御との間におけるフィードバックループの研究がなされている.しかし,咬筋の収縮が姿勢制御におよぼす影響についてはあまり知られていない.本研究では,重心動揺に影響を与える3D動画を用い,軽度の咬みしめと下顎安静位という下顎位の違いが重心動揺に及ぼす影響について検討した.被験者は顎関節症のない5名の男性とし,左右の咬筋,前脛骨筋,腓腹筋に電極を貼付し,バーチャル空間内の重心動揺計に立たせた.そして,被験者には軽度の咬みしめとして,最大咬合力の10%MVCを維持する練習をさせた.下顎安静位は上下の歯の無接触状態を指示した,その後ジェットコースターの3D動画を80秒間観賞させ,明らかに姿勢が変化した時間帯の筋電図と重心動揺のデータを分析対象区間とした.その結果,右側の腓腹筋以外は筋電値は下顎安静位よりも軽度の咬みしめ時の方が有意に高く,下顎安静位よりも軽度の咬みしめ時の方が,重心動揺は有意に安定することが確認できた.以上により,上下の歯の接触は姿勢の安定化に影響を与えると考えられた.