著者
谷口 勇仁 小山 嚴也
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.77-88, 2007-09-20 (Released:2022-08-19)
参考文献数
20

本稿の目的は,雪印乳業集団食中毒事件のきっかけとなった大樹工場での汚染脱脂粉乳製造・出荷のプロセスを分析し,⑴事故原因に関する従来とは異なる新たな解釈体系を提示することと,⑵事故防止のための新たな知見を導出することの2つである.分析の結果,事故の原因となった「殺菌神話」の存在が確認された.この発見事実に基づき,事故防止のために,社内における神話の存在を確認することの重要性が指摘された.
著者
小山 嚴也
出版者
関東学院大学経済研究所
雑誌
経済系 (ISSN:02870924)
巻号頁・発行日
vol.215, pp.10-23, 2003-04

本稿では,企業に対するある特定の要請の発生から社会的要請の形成に至る一連の過程について,issue マネジメント論の成果,ステイクホルダーの概念,社会問題の社会学の理論などを手がかりにしながら考察する。 そもそも,ある特定の要請は,期待される企業活動と現実の企業活動との間にギャップが存在し,その様なことは問題(issue)であると特定のステイクホルダーが認識するところから生まれる。そして,その様な要請に対する企業側の応答とも相俟って,他のステイクホルダーによるissueの認識,共有,特定の要請への正当性の付与がすすみ,ある特定の要請が,その「強度」を強めながら「存在範囲」を社会全体に広げたときに,その様な要請は社会的要請となる。その過程では,issueの複合,連鎖によって,複数の要請が併存するかたちで社会的要請が形成されたり,新たな要請が社会的要請化していくことがある。また,当初の要請が個別企業に対するものであった場合,issueの共有やissueの連鎖などに伴って要請の対象が個別ないし特定企業から企業全般へと変化することもある。
著者
小山 嚴也
出版者
関東学院大学経済経営研究所
雑誌
関東学院大学経済経営研究所年報 (ISSN:13410407)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.57-67, 2015-03

本稿の目的は,地域密着企業におけるフィランソロピー(社会貢献活動)の在り方について,1つのモデルを示すことにある。そのために,横浜におけるフィランソロピー先進企業である株式会社崎陽軒を取り上げ,同社の代表的なフィランソロピーを整理し,分析・検討した。その結果,地域密着型企業におけるフィランソロピーのあり方について,(1)人的,金銭的資源な制約が存在することから,単独でのフィランソロピーより複数企業の共同によるフィランソロピーが望ましい,(2)効果を考えた場合,複数の対象への支援が望ましい,(3)地域の経済団体を核に据えることがスムーズな企画運営を可能にする,(4)支援対象としては学校,とりわけ大学が「人材の採用」という観点からも有力となるということが明らかになった。
著者
杉田 正樹 竹内 整一 加藤 尚武 沖田 行司 香川 知晶 篠澤 和久 直江 清隆 菅野 孝彦 小山 嚴也 加藤 泰史 井上 厚史 田中 智彦 九鬼 一人
出版者
関東学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

明治以降、今日にいたる日本の起業家たち、具体的には、渋澤栄一、大原孫三郎、武藤山治、波多野鶴吉、から、現代の稲盛和夫(京セラ)、中村俊郎(中村ブレイス)、大山健太郎(アイリスオーヤマ)、小倉昌男(ヤマト運輸)、大山康夫(日本理科学工業)などについて、インタビューなどを含めて、かれらの公益志向を作り出した、気概、精神、背景にある倫理思想を明らかにした。これは、伝統思想である、儒教や神道、仏教に解消できない、独自の思想であることがあきらかとなった。