著者
小柳 達男 千葉 茂 鷹觜 テル 及川 桂子 赤沢 典子 常松 澪子 木村 武 小山 寛
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.65-70, 1984-02-10 (Released:2009-11-16)
参考文献数
16

サイアミン, リボフラビン, ビタミンB6, ナイアシン, PA, トコフェロール, カルシウム, 鉄を玄米に含まれる量に似せて強化した新強化米を岩手県農村の高齢者に与え, 血圧, 血色素, 副腎皮質ホルモン代謝物の排泄量, 暗順応能力などに及ぼす影響について調べた。それまでサイアミンだけを強化した米を食べていた人々がこの新強化米を1年間摂取した結果, 1) 最低血圧が81±3から76±3mmHgに低下し, 2) 血色素が13.2±0.2から14.8±0.3g/100mlに増加し, 3) 尿中17-OHコルチコイドが2.4±0.1から1.1±0.1mg/8hrに減少し, 4) 尿中パントテン酸は0.31±0.08が1.11±0.34mg/8hrに増した。これらの変化は従来の強化米に比べ新強化米にとくに多いパントテン酸による効果ではないかと考えられる。とくに血圧を降下させた効果について著者らは, パントテン酸の不足によって低下していた神経組織のアセチルコリン濃度がパントテン酸の供給増加によって改善され, 血圧上昇作用をもつアドレナリン系ホルモンの作用に拮抗したものと考えている。暗順応は新強化米だけでは9か月間の摂取でも暗順応の閾 (いき) 値は8.6±0.8が7.7±1.1mmへとわずかに改善されただけであるが, ビタミンAを補うと著しく改善されて4.5±0,6mm (やや不良) にまで改善された。これは被験者たちは栄養調査ではビタミンAを十分に摂取していることになっているがビタミンAの補給前はその不足があったものと考えられる。
著者
岡本 成司 山口 洋子 小山 寛喜 中谷 操子 米田 千恵 渡部 終五
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.78, no.3, pp.444-453, 2012 (Released:2012-06-15)
参考文献数
27
被引用文献数
1 5

ヤマトシジミの食味に及ぼす塩分の影響を明らかにするため,涸沼および涸沼川下流域で採取した試料のエキス分および潮汁の食味を比較して,水質環境との関係を調べた。涸沼川下流の塩分は潮汐の影響を強く受けて涸沼に比べて高く,軟体組織中の D-, L-アラニン含量は涸沼川産の方が涸沼産よりも高い値を示した。一方,潮汁の遊離アミノ酸総量は涸沼産の方が涸沼川産に比べて高く,官能検査では涸沼産の方が涸沼川産より先味および後味で強い傾向が認められた。
著者
小山 寛介 布宮 伸 和田 政彦 三澤 和秀 田中 進一郎 鯉沼 俊貴
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.163-172, 2010-04-01 (Released:2010-10-30)
参考文献数
46

【目的】下部消化管穿孔の合併症と予後の調査,及び重症化の危険因子に関する検討を行う。【方法】2006年4月から2008年3月までの2年間に,下部消化管穿孔に対する緊急手術後ICU管理を行った50例を対象とした。術後急性期の臓器障害の合併頻度と28日死亡率を後向きに調査した。また重症化の危険因子解明のため,ICU-free days(IFD)をエンドポイントとしてSpearman順位相関分析と多重ロジスティック回帰解析を行った。【結果】下部消化管穿孔術後急性期の臓器障害はショック(40%)が最も多く,次いで播種性血管内凝固(24%)の合併頻度が多かった。また,28日死亡率は6.0%であった。重症化の危険因子としては,Sequential Organ Failure Assessment(SOFA)スコア(オッズ比1.85,P=0.025)と血中の白血球減少(オッズ比20.6,P=0.016)が有意にIFDを減少させる独立危険因子であった。【結論】下部消化管穿孔術後急性期はショックと凝固障害の合併が多い。ICU入室時のSOFAスコア,血中の白血球減少が下部消化管穿孔の重症化に関係することが示唆された。
著者
高瀬 巌 小山 寛史 藤下 章男
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.473-480, 1982-11-20

mesulfenfosの樹幹注入またはdisulfotonの土壌混和の単木処理によるマツノザイセンチュウの防除効果と施用方法や時期別による樹体内の吸収・移行および分布との関係を検討して, つぎの結果を得た.(1) mesulfenfosを樹幹注入またはdisulfotonを土壌混和処理すると, 薬剤は松の樹体内に吸収移行して優れた枯損防止効果を示した.マツノザイセンチュウの防除効果と薬剤の吸収量との間には相関性が認められた.(2) mesulfenfosを樹幹注入すると, 注入点から上方1mでは, 注入部位にのみ薬剤は検出されたが, 高さ5∿7mでは樹体内に均等に分布していた.そして, 木部の中心部より薬剤はおもに検出されたことから, 樹幹に直接注入すれば, 蒸散流に乗って上昇, 移動する垂直移行分布が認められた.(3) 11月から3月に薬剤を樹幹注入または土壌処理したとき, 6月の分析時に土壌処理でやや吸収量の差はあったが, 9∿12月の樹体内の吸収量は変わらず, いずれの処理時期でも効果が認められた.マツノザイセンチュウの活動期間に薬剤を松に保持させて優れた防除効果を発揮させるには, 樹幹注入は5月まで, 土壌処理は3月までに処理すればよい.(4) 土壌処理したdisulfotonは比較的幹基部に多いものの, 上方の幹部や枝部にも吸収移行しており, 垂直分布が認められた.おもに木部(外側)に多いが, 篩部からも検出されたことから, 松の根系から吸収され, 蒸散流はおもに木部の辺材と篩部であることが示唆された.(5) 樹体内から検出された化合物は樹幹注入ではmesulfenfos自身であったが, 土壌処理では酸化体のdisulfoton sulfoneとsulfoxideが主であった.土壌処理したdisulfotonは土壌内で酸化されて, 酸化生成物が根から吸収移行した.