著者
鈴木 正成 小柳 達男
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.171-174, 1968 (Released:2009-11-16)
参考文献数
18

体重380g前後の雄ラットを1週間絶食させて各脂肪組織の組織重量, 脂質含量および副睾丸脂肪組織と腎周囲脂肪組織の脂肪酸組成におよぼす影響を検討し, つぎのような結果を得た。1週間の絶食で体重は平均65g減少した。 脂肪組織の減少は皮下および腎周囲脂肪組織でとくに著しく, 副睾丸脂肪組織がそれについだ。しかし, 腸間膜, 大網膜および肩甲骨間脂肪組織は有意の減少を示さなかった。各脂肪組織の脂質含量は1週間の絶食で減少したが, 皮下および腎周囲脂肪組織で著しい減少が認められ, ついで副睾丸脂肪組織で著しかった。しかし, 腸間膜, 大綱膜および肩甲骨間脂肪組織では明らかな減少は示されなかった。また, 副睾丸脂肪組織の減少は脂質の減少によるが, 脂質以外の組織成分の増加がみられる点で他の脂肪組織と異なった変動を示した。また, 副睾丸脂肪組織の脂質脂肪酸組成は絶食の影響を受けなかったが, 絶食による変動がより大きかった腎周囲脂肪組織で, オレイン酸が高度の有意性をもって増加するのが認められた。以上のような結果から, 絶食時における各脂肪組織の脂質代謝に差異があることが明らかにされた。
著者
小柳 達男 千葉 茂 鷹觜 テル 及川 桂子 赤沢 典子 常松 澪子 木村 武 小山 寛
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.65-70, 1984-02-10 (Released:2009-11-16)
参考文献数
16

サイアミン, リボフラビン, ビタミンB6, ナイアシン, PA, トコフェロール, カルシウム, 鉄を玄米に含まれる量に似せて強化した新強化米を岩手県農村の高齢者に与え, 血圧, 血色素, 副腎皮質ホルモン代謝物の排泄量, 暗順応能力などに及ぼす影響について調べた。それまでサイアミンだけを強化した米を食べていた人々がこの新強化米を1年間摂取した結果, 1) 最低血圧が81±3から76±3mmHgに低下し, 2) 血色素が13.2±0.2から14.8±0.3g/100mlに増加し, 3) 尿中17-OHコルチコイドが2.4±0.1から1.1±0.1mg/8hrに減少し, 4) 尿中パントテン酸は0.31±0.08が1.11±0.34mg/8hrに増した。これらの変化は従来の強化米に比べ新強化米にとくに多いパントテン酸による効果ではないかと考えられる。とくに血圧を降下させた効果について著者らは, パントテン酸の不足によって低下していた神経組織のアセチルコリン濃度がパントテン酸の供給増加によって改善され, 血圧上昇作用をもつアドレナリン系ホルモンの作用に拮抗したものと考えている。暗順応は新強化米だけでは9か月間の摂取でも暗順応の閾 (いき) 値は8.6±0.8が7.7±1.1mmへとわずかに改善されただけであるが, ビタミンAを補うと著しく改善されて4.5±0,6mm (やや不良) にまで改善された。これは被験者たちは栄養調査ではビタミンAを十分に摂取していることになっているがビタミンAの補給前はその不足があったものと考えられる。
著者
小柳 達男 野呂 春暢
出版者
Japan Society for Bioscience, Biotechnology, and Agrochemistry
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.27, no.10, pp.670-672, 1953

1) ラッテにホモスルファミンを与えて腸内の微生物によるフラビン合成を阻止しておき,飼料中の澱粉を等カロリーの脂肪酸で置き換えると尿からのフラビン排泄が減少する.<br> 2) 尿中フラビンは体内のフラビン飽和度を反映するものだとすると,脂肪酸の酸化には澱粉の酸化よりもフラビンをより多く必要とするものと考えられる.<br> 3)脂肪酸の種類により,その代謝に要するフラビン量に差があり,オレイン酸は最も少く,ステアリン酸,リノール酸は多量にフラビンを消費する.<br> 終に臨み御助言を賜つた東京大学農学部の尾崎準一教授に厚く感謝する.なお本実験は文部省科学研究費によつた.
著者
小柳 達男 太田 稔 鷹嘴 テル
出版者
JAPAN SOCIETY OF NUTRITION AND FOOD SCIENCE
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.39-41, 1956

1) 小麦パン, それに粉乳, 大豆, そば或はひえを混じたパン及び白米とみそという6種の異つた飼料でラッテを飼育し栄養価を比較した。<BR>2) 粉乳パンと大豆パンはこれで飼育したラッテの発育, 肝中の酵素活力, ビタミンC含量等よりみて優れた値を有している。<BR>3) そばパンはこれに次いですぐれており, ひえパンは不良であつた。<BR>4) 標準パンに比し白米区のラッテの発育はよいが両区のラッテの肝中のC含量が他のいずれの区よりも低い。