- 著者
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山口 功
- 出版者
- 特定非営利活動法人 日本肺癌学会
- 雑誌
- 肺癌 (ISSN:03869628)
- 巻号頁・発行日
- vol.52, no.6, pp.968-976, 2012 (Released:2012-12-14)
- 参考文献数
- 5
目的.本報告では低線量胸部CT画像の特徴を,通常線量胸部CT画像と比較して明らかにする.そして,肺がんCT検診の目標を踏まえて低線量胸部CT画像に対する適正な画像処理を提案する.方法.通常線量と低線量で撮影したCTテストファントム画像および胸部ファントム画像を視覚的に比較した.次いで,低線量CT画像の画像ノイズとアーチファクトを低減することを目的に再構成フィルタ関数を変更して比較した.また,それぞれの再構成フィルタ関数の変調伝達関数を計測して,肺がんCT検診の目的を踏まえて適正な再構成フィルタ関数を検討した.結果.胸部CTにおける低線量画像は通常線量画像と比較して画像ノイズとアーチファクトの顕著な増加が見られた.この画像ノイズとアーチファクトはウィンドウ幅を1500程度に広く設定しても認識されるものであった.肺がんCT検診の目標サイズを考慮して空間周波数0.5 cycles/mmに対して0.9程度のレスポンスが確保できる再構成フィルタ関数を用いることで画像ノイズの少ない画像が得られた.結論.胸部CT検診の低線量化を普及させるためには,低線量肺がんCT検診に適した再構成フィルタ関数の調整が必要である.