著者
伊藤 将司 森本 章倫
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画. 別冊, 都市計画論文集 = City planning review. Special issue, Papers on city planning (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.847-852, 2010-10-25
参考文献数
10
被引用文献数
2

宇都宮市は、魅力的で持続可能な都市づくりのために、LRT導入を目指して先進的な取り組みを実施している。LRT導入においては、市民意向が重要視され、市民合意形成を図るためのわかりやすい情報を提供が重要な課題である。本研究は、わかりやすい情報提供ツールであるイメージ動画を活用した市民の意識変容を把握するとともに、その知見をもとに合意形成手法の提案を行ったものである。市民の意識変容では、イメージ動画を見る前と後での意識の違いを分析し、イメージ動画が市民の認知度や理解度を向上させ、賛否の態度形成に有効であることが分かった。また、合意形成手法では、イメージ動画を用いた情報提供を行いながら、広く説明する、深く議論する、広く深く議論し方向性を導く3つの合意形成のステップを提案した。
著者
圖師 礼菜 森本 章倫
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.1048-1055, 2023-10-25 (Released:2023-10-25)
参考文献数
13

近年のコロナウイルスの蔓延により,アバターを介した多人数参加型の仮想空間であるメタバースの利用への注目が高まっている.メタバースは,従来のオンラインサービスを複合した機能を有するほか,空間内での自由な行動を可能とし,サイバー空間上へ生活空間を拡大すると言える.本研究ではメタバースについての概念整理を行うことで,メタバース上への生活空間の拡大について検討したほか,都市計画へのメタバースの活用についても考察を行った.さらに,生活行動のひとつである買い物行動に着目したアンケート調査を実施し,メタバースの利用意向及び外出行動の変化意識についても把握した.以上より,メタバースは買い物を目的とした外出の代替となり,外出行動が減少する可能性を示唆した.
著者
伊藤 亜美 伊藤 佑亮 森本 章倫
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.614-621, 2022-10-25 (Released:2022-10-25)
参考文献数
23

2050年カーボンニュートラルの実現のため,世界各国で電気自動車(EV)の普及が進められている.一方,火力発電の割合が大きい電源構成を有する日本では,EVの導入のみでは環境負荷の削減効果が十分に得られない.本研究はEVの完全普及を前提とし,EVの課題に対処可能なシェアリングや電源構成の見直しも想定した交通体系について,ライフサイクルを考慮して定量的に環境負荷を評価することを目的とする.分析では,ライドシェアの利用率を変化させ,シミュレーションを行う.その後,電源構成比率を変更し,環境負荷を算出する.その結果,2030年の削減目標値を達成するにはEVとライドシェアの組み合わせが最も適しており,さらにライドシェアの利用率の増加や電源構成の見直しに関する政策を行うことでさらなる削減効果が期待できることを明らかにした.
著者
宮脇 桐子 冨岡 秀虎 高山 宇宙 森本 章倫
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.637-644, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
14
被引用文献数
1

本研究は,世界各地で注目を集めるMaaSを実都市に導入した際に生じる利用者の交通行動変容に関して,実際の交通社会実験を対象に,スマートフォン位置情報データや事前・事後のアンケート調査結果の活用を通じて導入効果の検証を行った.分析結果より,交通事業者が提供するサービスの統合を行ったMaaSパスの導入が,公共交通の分担率の増加を促し,行動圏域の拡大や外出促進といった交通行動変容を促すことを確認できた.また,行政が掲げる交通戦略における将来の公共交通利用者数の目標値の達成に資することを定量的に明らかにした.
著者
森本 章夫
出版者
一般社団法人 日本ゴム協会
雑誌
日本ゴム協会誌 (ISSN:0029022X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.6, pp.570-574, 1972-06-15 (Released:2009-10-16)
参考文献数
22
著者
横溝 恭一 森本 章倫
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.45.3, pp.457-462, 2010-10-25 (Released:2017-01-01)
参考文献数
8

近年、MMは公共交通の利用者を増加させるための政策として、効果の分析が進められている。しかし、1年以上の長期的効果は十分に明らかにされていない。本研究の目的は、MM実施後のバス利用動向を把握することである。さらには、MM実施による行動変容が長期的に継続されやすい被験者属性を分析する。分析の結果、MM実施後1年後の調査まではバス利用頻度が増加を続けているものの、その後減少に転じていることが示された。加えて、バスLOSが高い地域の居住者ほど、MM実施効果が定着しやすい傾向にあることが示された。
著者
三瀬 遼太郎 井原 雄人 森本 章倫
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.652-658, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
25
被引用文献数
1

パリ協定で定められた温室効果ガス削減目標を達成するためには、特に影響が大きい交通環境負荷の低減が不可欠である。そこで、複数の低炭素な次世代交通機関を導入することで、交通環境負荷を削減する試みが注目されている。本研究では、電気自動車(EV)、次世代型路面電車システム(LRT)、自動運転車、電動バスに着目して、交通量、EV普及率、発電構成比の観点から、実際の交通流の想定下で次世代交通が及ぼす環境改善効果を定量的に評価した。その結果、対象地である宇都宮市においてLRTが開通した際に環境負荷を低減するには、10%以上の自動車交通量の削減が必要であることを明らかにした.さらに、宇都宮市を対象に、次世代交通の導入を想定したうえで、公共交通を推進する政策や太陽光発電を推進するエネルギー政策の導入を仮定し、交通環境負荷の将来推計を行った。その結果、現状では公共交通を推進することで大きく環境負荷が低減するが、将来的に自動車のEV化が進み、かつ電力のCO2排出係数が小さくなると、その利点は薄れることを明らかにした。
著者
伊藤 将司 森本 章倫
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学)
巻号頁・発行日
vol.67, no.5, pp.67_I_101-67_I_108, 2011
被引用文献数
1

本研究は,参加型の社会資本整備より,市民主体の継続活動に展開する要因を明らかにするものである.既往研究及び事例調査から,人(参加者とつながり),意識(目標と信頼関係),環境(適正な合意形成の場)の3つの要因を仮定し,詳細の事例分析によって検証を行った.<br>その結果,参加型の社会資本整備より,市民主体の継続活動に展開する流れを明らかにするとともに,その過程において,継続活動において3つの要因の形成が重要であることが明らかとなった.また,3つの要因に課題が生じた場合においては,継続活動が停滞する場合があることも分かった.
著者
浅香 俊朗 小室 仁 髙藤 建 森本 章倫
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学)
巻号頁・発行日
vol.67, no.5, pp.67_I_1089-67_I_1096, 2011

近年,モータリゼーションの過度の進展により,行楽シーズンにおける観光地では,マイカーによる交通渋滞が発生し,全国で問題となっている.渋滞対策としては,ハード面の整備に加えて,パーク&バスライド(以後P&BRと略記)の手法を用いたソフト面の施策が実施されている.本研究では,栃木県那須高原地域のP&BR社会実験をケーススタディとし,「効果」「採算性」「合意形成」の評価項目によって持続可能性を検討した.結果,「採算性」について天候変化等による大幅な需要変化に対応した収支バランスに課題,「合意形成」については地域が積極的にP&BR運営に参加するような工夫が課題となった.
著者
山下 晴美 古池 弘隆 森本 章倫
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.539-544, 2004-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
6
被引用文献数
1 1

わが国における放置自転車問題は深刻化している。そこで今後の取り組みとして個人が自転車を放置しないという意識を持たせる事も重要であると考えられる。よって本研究では、アンケート対象者を自転車利用頻度の高い高校生とし、自転車放置行為を抑制する意識が、成長過程においてどのように形成されているかについて検討を行う。結果として二つの意識の形成が重要であると分かった。マナー意識を持たせることとルールの遵守の心を持たせることである。特にルールの遵守のためには自転車利用範囲の限定経験や自転車利用時にヘルメットの着用経験をすることが重要であることが分かった。これらの経験が有る人は違法駐輪しない傾向にある。
著者
垣迫 健二 桑原 亮彦 多田 出 森本 章生 小林 迫夫
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
巻号頁・発行日
vol.54, no.8, pp.2097-2101, 1993-08-25 (Released:2009-01-22)
参考文献数
22
被引用文献数
1

Chilaiditi症候群は,右横隔膜と肝臓の間に消化管の一部が嵌入した総称であるが,本症候群には特有の症状がなく,偶然に発見されることが多いと言われている.今回われわれは,右横隔膜下に回腸が嵌入し,絞扼性イレウスを呈した症例を経験した.症例は67歳男性で,右季肋部痛を主訴に近医により紹介され入院となった.腹部所見,腹部X線検査, CT検査などの結果,絞扼性イレウスを合併したChilaiditi症候群と診断し,緊急手術を施行した.肝右葉と腹膜との間に既往の肝炎によると思われる索状物を認め,同部に回腸の一部が嵌入,絞扼し壊死を伴っていた.小腸型のChilaiditi症候群は稀な疾患であり,文献検索上,本例では13例を数えるに過ぎないが,そのうち7例で絞扼性イレウスが認められた.小腸型のChilaiditi症候群では,絞扼性イレウスを合併することが多く,注意が必要であると考えられる.
著者
渋川 剛史 浅野 周平 十河 孝介 森本 章倫
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.408-415, 2018-10-25 (Released:2018-10-25)
参考文献数
17
被引用文献数
2

人口減少時代に突入した我が国では、少子高齢化の進展も著しく、持続可能な都市構造への転換が急がれており、各自治体で「立地適正化計画」の策定及び、本計画に基づく都市構造の転換に取り組んでいる。また、本計画では、およそ5年毎に計画の進捗を評価・見直しが要請されているが、施設誘導や公共交通サービスの改善に対する面的な評価は、把握できるデータの制約などから、十分な評価ができていない。一方で近年、携帯電話基地局データなどにより、施策実施前後の中心市街地などに滞在する属性別人数の変化を把握することが可能となっている。そこで本研究では、立地適正化計画の適切な進捗管理の実践に向け、既存指標の課題を整理し、課題に対応する評価指標として携帯電話基地局データの活用方法についてケーススタディを通じて検討を行った。
著者
坂本 壮 森本 章倫 大門 創
出版者
The City Planning Institute of Japan
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.774-779, 2015

人口減少フレームにある我が国では,人々が徒歩や自転車、公共交通を中心として生活が可能な都市機能集約型のまちづくりであるコンパクトシティが地方都市で進められている.富山市では,LRTなどの公共交通を軸とした拠点集中型のまちづくりが進められており,LRT沿線地域への居住を推進している.そこで,LRT導入都市の人口変動に着目し,都市の人口とLRT沿線の人口の2つの観点から,今後のコンパクトシティ戦略におけるLRT導入の必要性を検討する.本研究では,欧州のLRTが運行している27都市について,LRT導入前後での都市人口の変動を分析した.さらに,その中の4都市に着目し,LRT沿線の人口分布を詳細に分析することで,LRT導入が人口変動にどのように影響しているかを考察する.
著者
森本 章倫
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.739-744, 2011-10-25 (Released:2011-11-01)
参考文献数
24
被引用文献数
7 8

本研究では都市のコンパクト化の評価指標として財政面と環境面に着目し、地域の現状をできるだけ反映した推計モデルの構築を行なった。また、宇都宮市を対象として分析を行なった結果、コンパクト化は財政面、環境面の双方において有利に働くことが確認された。特に、都市構造の変化の影響を受けやすい財政面における効果は大きいことが分かった。しかし、従来から効果が期待されていた環境面については、財政面ほどの効果が発現していない。これは交通分野の低炭素化は、都市のコンパクト化だけでは困難であることを示しているといえる。地方都市の交通部門のCO2排出量の大半は自動車交通であり、自動車交通の総トリップ長の減少がそのカギを握っている。個人の交通行動がより環境にやさしいモードへシフトするような施策の実施や、通過交通量の多い道路の道路円滑化など、総合的かつ広域的な施策が不可欠である
著者
伊藤 将司 森本 章倫
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.67, no.5, pp.67_I_101-67_I_108, 2011 (Released:2012-12-28)
参考文献数
15
被引用文献数
1

本研究は,参加型の社会資本整備より,市民主体の継続活動に展開する要因を明らかにするものである.既往研究及び事例調査から,人(参加者とつながり),意識(目標と信頼関係),環境(適正な合意形成の場)の3つの要因を仮定し,詳細の事例分析によって検証を行った.その結果,参加型の社会資本整備より,市民主体の継続活動に展開する流れを明らかにするとともに,その過程において,継続活動において3つの要因の形成が重要であることが明らかとなった.また,3つの要因に課題が生じた場合においては,継続活動が停滞する場合があることも分かった.