著者
山口 隆章
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.26, no.6, pp.409-413, 1987-12-15 (Released:2017-10-31)

さる1984年11月,メキシコ市内のLPガス配送基地で発生したLPガス爆発火災の状況,事故後の様 子について,現地訪問,資料などに基づいて,きわめて簡単に報告した. なにぶんにも色々な責任問題,刑事上問題があって,特に原因については不明である.扇日本とは色々な条件が大幅に異なっているので,教訓はない.ひとことでいえばgただ驚きである.
著者
大久保 努 原田 秀樹 小野寺 崇 上村 繁樹 山口 隆司 大橋 晶良
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G (ISSN:18806082)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.187-195, 2008 (Released:2008-06-20)
参考文献数
43

インド・カルナール市において,下水を処理するUASB法の後段処理法として,我々が開発した下向流懸垂型スポンジ(Downflow Hanging Sponge: DHS)法の実規模リアクター(処理水量500m3/day,スポンジ容量に対するHRT: 1.5時間)を導入し,有機物処理特性評価を行った.DHS処理水の有機物濃度はインドの排出基準を満たし,全期間(900日間)を通じた平均全BODが6(標準偏差±4)mg/L,平均SSが8(±4)mg/Lであった.また,DHSからの余剰汚泥発生量は0.05kgSS/kgCOD-removedであり,現在までにUASBの後段処理として報告がある好気性処理法と比較して格段に少なかった.DHSは,メンテナンスフリーにも関わらず非常に安定した運転を長期間維持し,活性汚泥法に取って代わる開発途上国向けの新規下水処理技術としての波及が期待できた.
著者
山口 隆介
出版者
聖泉大学紀要委員会
雑誌
聖泉論叢 (ISSN:13434365)
巻号頁・発行日
no.27, pp.105-122, 2020

本稿は,『 プラウン神父』シリーズに見出されるG. K.チェスタトン 1874·1936) の思想を読み解く試みであるが, 特にキリスト教哲学と言いうるものを馴袂することに目標を定める。『プラウン神父』シリーズを貰くキリスト教思想に言及した解説は多い。しかし, 本シリーズを信仰生活への入門魯あるいは信仰生活の知的な刷新に役立ちうる信仰の手引詑というところまで思い入れて読解した論述は, 管見の限り, 日本語では見かけないように思う。本稿は, そのような諒解の一試行であり,『 プラウン神父』ものの社会における機能を拡充することが本研究の目指すところである。チェスタトンは翻訳家泣かせの作家で知られており,『プラウン神父』短編集のタイトルも例外ではない。特に第 1 短編集 The Innocence of Father Brown は出版社ごとにタイトルが変わってしまうほど, 翻訳が安定しない。本稿では, 短編集のもっとも普及している完訳版である創元推理文庫版に準拠した訳を用いることとした。各作品タイトルも同じくそれに準じるが, 初出に限り原題も併載した。作品本文の訳は主に創元推理文庫版を参照しつつ筆者が新たに訳出した 。
著者
望月 宏美 山口 隆子
出版者
日本生気象学会
雑誌
日本生気象学会雑誌 (ISSN:03891313)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.135-141, 2021-03-31 (Released:2021-04-23)
参考文献数
15

ツマグロヒョウモンの著しい生息域の拡大は,地球温暖化の影響として広く一般に知られている.一方,近年,本種の食草であるスミレ類(パンジー等)の増加も一要因ではないかと言われているが,実際に双方の関係性に関する研究論文は少ない.本研究では,ツマグロヒョウモンの北上を,冬季の最低気温の上昇とパンジーの栽培地域の拡大という観点から複合的に考察した.その結果,1990年代初頭のガーデニングブームを契機に,パンジーの栽培地域は顕著に拡大した事が分かり,全国的な冬季の最低気温の上昇と共に,ツマグロヒョウモンの北上を助長した可能性が示唆された.
著者
山口 隆介
出版者
聖泉大学紀要委員会
雑誌
聖泉論叢 (ISSN:13434365)
巻号頁・発行日
no.27, pp.123-140, 2020

本稿は,『 プラウン神父』シリーズに見出される G. K チェスタトン 1874-1936) の思想を読み解く試みの後半である。前半と同じく,短編集のもっとも普及している完訳版である創元推理文庫版に準拠した訳を用いることとした。各作品タイトルも同じくそれに準じるが, 初出に限り原題も併載した。作品本文の訳は主に創元推理文廊版を参照しつつ筆者が新たに訳出した。
著者
山口 隆介 Aquinas Thomas
出版者
聖泉大学
雑誌
聖泉論叢 (ISSN:13434365)
巻号頁・発行日
no.18, pp.117-129, 2010

『神学綱要』Compendium Theologiae の第1部「信仰について」より,神性の業について論じた箇所から数章抄訳し,それに註解をつける形で,トマスの創造論から人間の自然本性と悪への議論へのダイナミズムを示す。
著者
濵砂 良一 川井 修一 安藤 由起子 伊東 健治 倉島 雅子 西村 敬史 山口 隆正 吉村 誠 小林 とも子 村谷 哲郎 松本 哲朗
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.85, no.1, pp.1-7, 2011-01-20 (Released:2015-04-06)
参考文献数
14
被引用文献数
3 1

Real-time PCR 法を用いてChlamydia trachomatis(クラミジア)およびNeisseria gonorrhoeae(淋菌)を検出するAbbott RealTime CT/NG assay(realtime 法:アボットジャパン)の有用性を,女性子宮頸管スワブ検体,女性初尿検体,男性初尿検体を用いて検討した.対象は北九州市内の産科・婦人科施設,泌尿器科施設,皮膚泌尿器科施設を受診し,子宮頸管炎または尿道炎が疑われた患者,女性88 名,男性100 名である.これらの検体をBD プローブテックET CT/GC(プローブテック:日本べクトン・ディッキンソン)と比較した.クラミジアに対する全検体の陽性一致率は97.1%(66/68),陰性一致率は99.0%(206/208),淋菌に対する全検体の陽性一致率は100%(33/33),陰性一致率は100%(243/243)であった.女性の子宮頸管スワブでは3 検体の不一致例が,男性初尿では1 検体の不一致例があった.女性初尿においては2 検査間の不一致例はなかったが,子宮頸管スワブと初尿との間にrealtime 法で3 症例,プローブテックで4 症例の不一致があった.realtime 法とプローブテックの不一致例のうち3 検体でアプティマCombo 2 クラミジア/ゴノレア(富士レビオ)による再検査を行い,すべて陽性であった.女性では子宮頸管スワブ,初尿のいずれかのうち2 つ以上の検査で陽性の場合,男性では初尿で2 つ以上の検査で陽性の場合,「真のクラミジア陽性」症例と仮定すると,realtime 法における子宮頸管スワブ,女性初尿,男性初尿の感度はそれぞれ94.4%,77.8%,97.4%であった.これに対しプローブテックではそれぞれ88.8%,77.8%,100%であった.淋菌に対する感度はいずれの検査でも100%であり,realtime 法は女性の子宮頸管スワブ,男性の初尿を用いると,淋菌,クラミジアに対してプローブテックと同等かそれ以上の有用性を示した.
著者
杉本 悠真 山口 隆司
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.6, pp.22-00329, 2023 (Released:2023-06-20)
参考文献数
15

橋梁の主桁接合部に非突出型高力ボルトエンドプレート接合を適用する場合,接合部強度と剛性向上の観点から水平リブの設置が必要となる.しかし,桁断面や水平リブ諸元が接合部強度と剛性の向上に寄与するメカニズムは明らかにできているとは言い難い.本研究は主桁断面,水平リブ板厚を変化させたパラメトリック解析を実施し,これらのパラメータが接合部の強度と剛性に与える影響について検討している.解析の結果,水平リブを考慮した桁の断面二次モーメント,下フランジ板厚およびエンドプレート板厚が,接合部剛性に特に影響を与えることがわかった.また,フランジ断面積が小さく,ウェブ断面積が大きい桁で接合部強度が大きくなる傾向があることを明らかにした.最後に,主部材剛性を確保するための水平リブ板厚の算出法を提案した.
著者
蔵下 はづき 平片 悠河 高木 素紀 幡本 将史 牧 慎也 山口 隆司 青井 透 黒田 恭平
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.74, no.7, pp.III_255-III_264, 2018 (Released:2019-03-29)
参考文献数
46
被引用文献数
1

本研究では,連作障害が発生したレンコン栽培実圃場を対象とし, 線虫被害の程度の違いにおける微生物群集比較解析,寄生性線虫の定量PCR,有用微生物優占化土壌改良資材を用いたレンコン栽培土壌の回分培養を行うことで,化学農薬に依らない防除方法の確立を目指した.被害程度の差における優占種の同定を行った結果,被害の大きい圃場においてAcidobacteria門,Chloroflexi門の未培養グループに属する微生物が優占して検出された.被害の生じたレンコン細根中の寄生性線虫の定量PCRを行った結果,Hirschmanniella diversa及びH. imamuriの2種の寄生が確認された.土壌改良資材の施用効果を評価した結果,Bacillus属がレンコン栽培土壌で増殖可能なことが分かった.
著者
菅野 美穂 市坪 拓之 ヌル アデリン 市坪 誠 渡利 高大 山口 隆司
出版者
公益社団法人 日本工学教育協会
雑誌
工学教育 (ISSN:13412167)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.2_55-2_60, 2022 (Released:2022-03-20)
参考文献数
17

Generally, the acquirement of professional knowledge and skills for engineering is the essence of Kosen (Japanese colleges of technology) education. This research aims to analyze the elements of quality assurance of the Kosen education system from external evaluations. This research is based on the external evaluation and accreditation data from National Institution for Academic Degrees and Quality Enhancement of Higher Education (NIAD-QE). The result from the quantitative text analysis reported that significant educational achievements of technical colleges included graduate attributes such as knowledge and ability. Furthermore, the quality elements from external evaluations were discussed compared to quality elements from internal evaluations in the Kosen from the viewpoints of the knowledge and skill acquirement for professional engineers.
著者
伊藤 寿宏 押木 守 小林 直央 加藤 毅 瀬川 高弘 幡本 将史 山口 隆司 原田 秀樹 北島 正章 岡部 聡 佐野 大輔
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.72, no.7, pp.III_305-III_313, 2016 (Released:2017-04-03)
参考文献数
25

本研究では、流入下水中のヒト腸管系ウイルス濃度分布、及びWHOが推奨する許容年間疾病負荷(10-6 disability-adjusted life years per person per year)に基づいて、定量的微生物リスク評価(quantitative microbial risk assessment: QMRA)の手法を用いて下水再生水の利用用途ごとにウイルス除去効率の目標値を算出する手法を構築・提案する。代表的なヒト腸管系ウイルスとしてノロウイルスに着目し、流入下水中のノロウイルス濃度モニタリングデータを使用することで、6種類の下水再生水利用シナリオにおけるノロウイルスの下水再生水中許容濃度及び除去効率の目標値を試算した。本研究で提案した方法により算出したヒト腸管系ウイルス除去効率目標値を使用する際には、下水再生システム稼動後においても未処理下水中のヒト腸管系ウイルス濃度をモニタリングすることが求められる。また、用量反応モデル情報の更新と、下水再生利用が行われる地域の状況に基づいた曝露シナリオとパラメータの更新についても継続して取り組むことが重要である。
著者
石丸 伸司 山口 隆義 川崎 まり子 柿木 梨沙 管家 鉄平 五十嵐 正 岡林 宏明 古谷 純吾 華岡 慶一
出版者
日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
雑誌
日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌 (ISSN:18831273)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1_2, pp.41-44, 2018-10-25 (Released:2019-04-02)
参考文献数
15

2016年に公開された心臓サルコイドーシスの診断指針では,造影MRIによる心筋の遅延造影所見(Late Gadolinium Enhancement:LGE)が主徴候の一つとして挙げられているが,CT画像での異常所見については触れられていない.今回,我々はCTでの心筋遅延造影(Late Iodine Enhancement:LIE)が診断の契機となった心臓限局性サルコイドーシスの一例を経験した.本症例では,心臓CTでのLIEは心臓MRIでのLGEの部位と一致しており,また18F-FDG-PETでも同部に強い集積を認めた.サルコイドーシスの心病変診断において,CTはMRIと同等の診断能を持つ可能性があると考え報告する.
著者
アクィナス トマス 山口 隆介
出版者
聖泉大学紀要委員会
雑誌
聖泉論叢 (ISSN:13434365)
巻号頁・発行日
no.22, pp.27-39, 2014

トマス・アクィナスのマリア論は,一面においては,マリアの権威は神の母としてのものであり,したがってキリストのゆえにマリアは偉大であるとするものであるとされ,他面においては,マリアに独立の人格としての意義を認めるものであると論じられる.『天使祝詞講解』(以下『講解』)におけるトマスのマリア論も,上記の両面を有するが,マリアに独立の人格としての意義をより認めるものであると言える.『神学大全』Summa Theologiae および『神学綱要』Compendium Theologiae におけるトマスのマリア論が,理論上だけでなく構成上も,キリスト論の一部を構成する議論と位置づけられているのに対し,『講解』において はマリアが独立の主題となっている.本稿は『講解』のマリア論の上述した独自性に着目し,トマスのマリア論に別の角度から光を当てることを試みるものである.方法としては,『講解』の翻訳と註釈を交互に提示する.この作業を通じて,『講解』がマリアについてのどのような考察であるかを浮かび上がらせることが, 本稿の目標である.テキストとしては,In Salutationem Angelicam vulgo "Ave Maria,, Expositio, in: S. Thomae Aquinatis Doctoris Angeli Opuscula Theologica, vol.II., De Re Spirituali, cura et studio P. Fr. Raymundi M. Spiazzi O. P., Marietti, 1954, pp.237-241を用いた.マリエッティ版の神学小品集第2巻は,収録する全著作の節に通し番号を振っており,翻訳中の節番号は1110番から開始する.この訳は,訳者の知るかぎり初の日本語訳である.
著者
山口 隆義 高橋 大地
出版者
公益社団法人 日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術学会雑誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.65, no.8, pp.1032-1040, 2009-08-20 (Released:2009-09-01)
参考文献数
12
被引用文献数
10 11

The test bolus tracking (TBT) method is a new injection method of contrast medium that we developed. The TBT method is an injection technique that continuously performs the test bolus injection and the main bolus injection, such that the best acquisition of scan timing and the improvement of examination efficiency can be expected. We compared the TBT method and the test injection method by coronary CT angiography. The results demonstrated that the contrast enhancement of the coronary arteries was high and the variation of the CT value was also small in the TBT method. When the scan timing expected by the TI method and the TBT method were compared, it was different of two seconds or more by the case with 43%. However, the variation of CT value was small for the TBT method in these cases. Therefore, the TBT method is a very useful method for CCTA.
著者
山口 隆介
出版者
聖泉大学
雑誌
聖泉論叢 (ISSN:13434365)
巻号頁・発行日
no.18, pp.103-116, 2010

トマスの著作の中でもあまり研究されてこなかったと言われる著作『神学綱要』についてその全体をさらに要約し,紹介する。特に第1部の第1篇にあたる「信仰について」を,純粋現実態および現実態という概念を中心に体系をたどりながら要約する。神の一なる神性については純粋現実態という概念が鍵となるが,三位のペルソナについての議論ではそれほど現実態という概念は現れてこない。創造に関しては純粋現実態である神を頂点とし,現実態の多寡による存在者の序列があることが語られるが,その後の議論では,人間が,その知性が神を認識するという現実態において完成するという文脈が優勢になっていくことを示す。